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第四章「出逢い」-marigold-


~ブリッジ~


ピピッ

機影の接近を告げるレーダーの電子音が鳴る。
ミカン「接近するシャトルあり!友軍のコードです。月の…プトレマイオス所属。あ、映像通信がっ…」
月所属兵<ん?つながったんか…ん?うぁ!タネっ…じゃなかった!お、お、お久しぶりです教官どの!そして初めましてぇ諸君♪こちらプトレマイオス防衛軍、ニャン議長室直属の特務部隊ディアナのもんや。そっちでもロミオとハミダが世話になっとると思うけども…さて、わいの着艦許可はいつおりるんかいな?>
シゲポ<まさかシンイチか!?>
シゲポがキャプテンシートから身を乗り出す。
ミカン<知り合い…ですか?>
シゲポ<月の士官学校での教え子だ。昔、上から教官の役職をおしつけられてな。あの頃はまだ月は独立してなかった…ふん、いっちょ前になりやがって!よし着艦を許可しろ!>
シンイチ<感謝します教官どの!>
シンイチはニッコリと敬礼する。

~ツクヨミブリッジ~

シゲポ「えー…まもなく本艦は大気圏突入シークエンスに移行する。各自所定の配置につけ。尚、降下予定地点は日本海。モスクワの火星軍港に降り立ち、シベリア電磁鉄道づたいに攻めてきている火星軍が南下を始めた。おそらく狙いは北京だ。現地の防衛軍はゴビ砂漠で迎え撃つ準備をしている。よって本艦も北京宇宙港へ向かう。北京は我軍の重要な宇宙港なので、この任務は責任重大だ。諸君の活躍を期待する。」
ミカン「耐熱シールド展開。まもなく最終突入ライン(越えると地球の重力に逆らえず、突入を中止できなくなるライン)に入ります。…!?こ、後方に敵艦影!数3…MS数…ご、50…!」
シゲポ「なんてこった…こんなときに!(今大気圏への突入を強行すれば…確実に墜とされる!)突入中止!!全スラスター全開で重力を降りきれ!フラウド隊全員迎撃用意!」
ミカン「艦長!!」
シゲポ「なんだ!?」
ミカン「な…7番ハッチが開いています!!」
シゲポ「なにぃぃ!?」
シンイチ<その必要はありませんで。わいが出ますさかい。ハミダのデスピナ借りてくで。うちの軍の機体やから文句ないやろ?>
シゲポ<なに!?お前ひとりでか!?無茶だ50機だぞ!?>
シンイチ<50機…それがどないかしたんですか?すぐ全滅させてきますわ。ほな★>
シゲポ<ま、まて!出撃は許可していない!ちっ、出させるな!>
ミカン「か、カタパルト射出準備に入っています!間に合いません!」
シゲポ「なぁんてこったぁ!」
そしてシンイチは敵艦隊の中心にまで機体を進めると、機体をその場でグルグルと縦横に回転させ、踊るようにカリュケのビームを避けながら、ビームをあたりに滅茶苦茶に散らしていく。

ばしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅ……

シゲポ「な、なんだあの滅茶苦茶な戦い方は!?」
だがカリュケの動きがおかしい。いつの間にかほとんどがそこに漂っているだけなのだ…シンイチは滅茶苦茶に撃っているわけではなかった。その全てをカリュケの武装、スラスター、メインカメラ“だけ”を狙って撃っていた。そう、誰も殺すことなく。それがシンイチの正義だった。
シンイチ「よし♪んじゃ帰還すんで~」
その間、わずか7分足らず。それはもはや人間技ではなかった。クルー達が言葉を失う中、ロミオはそれを見つめ、何かを確信したようにうなずいたが、その動作に誰も気づく者はなかった。

ロミオ(ふっ…やはりcode:Nを扱えるのはシンイチだけのようですね…)

そしてツクヨミは地球の引力に惹かれ、宇宙をあとにする。

ツクヨミがL2から地球へと向かったころ。

~火星A.R.T.E.M.I.S.首都ダヴィンチ市・オポチュニティータワー地下~

そこには一機、真紅のMSが静かに立っていた。背中には大きく広げた翼が見える。
シーゲル・スパ「かねてからの私の願いである…火星の民の安息はお前の手にかかっているのだ…イズミよ…。」
イズミ・オーツ「はい。」
返事をしたのは、淡くブルーがかった白く長い髪の、大きな瞳を持つ16、7歳ほどの少女だった。

スパ「戦争は既に始まってしまった…。もう後に戻ることは叶わぬ。ならば、ワシのただひとつの願い…それはこの戦争を勝利のうちに終わらせることだ。その為の“ゴビ作戦”であり、“アマルテア”であり、イズミ……お前なのだ。わかってくれるな…、ワシの身勝手を。」
イズミ「はっ!必ずやりとげます!お父様。(私が…必ず火星に勝利を!地球軍に死を!)」
スパ「すまぬ…ほんとうにすまぬ…!!我が愛しき娘よ。サトーさえいなければ、お前を戦場になどやりはしなかった!!」
イズミ「いえ、これは私の意志です、お父様。火星の悲しみ、怒り…総て私が背負ってみせす…!!では明朝、“ヱリシウム”と合流して、北京へ向かいます。」
スパは首をたてにふり、娘を見送る。
スパ「イズミよ、戦いの中にも人の血を忘れるでないぞ。意志なき戦いは、もはやただの『殺戮』でしかない…」


―地球日本海・ツクヨミ艦長室―

シンイチ「改めて、えらいお久しぶりです、教官殿。」
シゲポ「あぁ、まさかこんな形でまた会うとは思っていなかったよ。」
そう言いながら、とてもにこやかな、だが少し悲しげな表情で自分の教え子を見つめた。
シゲポ「強くなったな、シンイチ。お前もディアナのパイロットとしてここに来たんだろう?」
シンイチ「こんな時代やから…自分に出来ることをしようと思ぉて…教官も今でもパイロットを続けてはると聞きましたが…」
シゲポ「あぁ。しかし、昔に比べれば、てんでたいしたことはない。今も地球の重力のおかげで全身がだるいよ。」
シンイチ「いえ、あの頃と少しもお変わりないですよ★わいも少しでもお役に立てればと思ってます。」
シゲポ「すまないな。だがとても心強い。期待している。」

―同・医務室―

ドアが開くと同時に、ロミオがハミダの眠るベッドに駆け寄る。
ロミオ「…ハミダっ!…先生!ハミダの容体は…?」
Dr.モリゲ「物理的な異常は特に…なにか外部からの精神的な重圧のようなものでしょうか…」
ロミオ「いつ…意識が戻るんでしょうか…?」
医師は眉間にしわを寄せる。
Dr.モリゲ「それは…」

―同・艦内通路―

ロミオ「先生、ハミダをよろしくお願いします…。(ウィーン)」
シンイチ「あ、おい、ロミオ!」
ロミオ「…!シンイチ!」
シンイチ「いや、議会からの指令で、お前らと一緒に行動することになったんや。んで、ハミダは?あいつもこれに乗っとんねやろ?」
ロミオ「ハミダは今、意識不明で倒れています。」
シンイチ「…は!?やられてもーたんかいな!?」
ロミオ「いえ、身体的外傷はまったく…。恐らく、精神的な要因だろうと、ドクターは…。」
シンイチ「ニュータイプの性(さが)か…。わいらも気ぃつけな…な。でも心配いらへん!あいつならすぐケロっとした顔で起きよるで!」
ロミオ「そう…ですね。」
シンイチがワザとおどけて見せても、ロミオの笑顔には暗い色が残ったままだった。

~北京宇宙港(深夜)・地球軍第7研究所格納庫~

OP<場内に侵入者。繰り返す。Fエリアに侵入者。数1名、ハンドガンで武装している。F-37、38、41ブロック警備兵にエマージェンシー発動.。>
イズミ「(油断していた…!まさかこんなところで発見されるなんて…でも十分な成果はあったはずだ…この地球軍の大型MAと新型MSの開発データ…ヱリシウムまで持ち帰れば…!)…撤退する(ぼそっ」
警備兵「みつけたぞ!取り囲め!」
警備兵「もう逃げ場はないぞ!20人以上を一人で相手はできまい!?」
イズミ「ふっ…やってみる?(カチリッ)」

ずずんっ…どがぁあああん!!

警備兵達「うぁぁぁあああ!」

~北京宇宙港(朝)・第18ドック~

北京OP「第5機動艦隊所属ツクヨミですね。火星からの長旅、お疲れ様でした。北京はあなた方を歓迎します。」
たった今到着したツクヨミ艦内では、長旅から無事帰り着いて、あちらこちらで安堵のため息が漏れていた。
シゲポ「ふぅ…ゴビの待機部隊によると、敵に動きはないようだ。よって今日1日…」
クルー全員「(きゅぴぃぃぃん)…!」
全員の中で何かがはじけた(?)
シゲポ「一時休暇にする!!」
クルー全員「いやっほぅ~~♪♪」

~北京市内~

ミナ「ひさしぶりのお外は気分爽快ね!」
ケイゴ「あん?久しぶりの登場で気分がなんだって?」
フラウド「それはオレ達が言っちゃいけないネタにゃ(≡w≡;」
ユウスケ「んじゃ、北京料理は満喫したし、それぞれ行きたいとこもあるだろうし、別行動といきますか~」
ミナ「わたしLove&Peaceの新作が見たいな~フラウド、ブティック付き合って~vV」
ニャラウド「ニャに!?Σ(゚Д゚;o)」
フラウドはミナに半ば強引に引っ張られていく。
フラウド「あ、みんにゃ、集合時刻は厳守だにゃ!」
ケイゴ「んじゃおれはギターでも見にいくか…じゃな。」
ユウスケ「じゃ、おれはもう少しこの辺りを…」
ユウスケがフラウド隊のメンバーと分かれてまもなく…

どんっ

少女「あっ!」
ユウスケ「っ!?」

カラカラカラ…

ユウスケは曲り角から突然飛び出してきた少女とぶつかった。少女はその拍子に尻餅をつき、なにかが道端に転がりおちた。
ユウスケ「ご、ごめん!オレ、ボーっとしちゃってて…大丈夫?」
少女「…だ…いじょうぶです…こちらこそすみません…」
手を差し述べたユウスケは、顔をあげた少女をみて、一瞬鼓動が止まったかと思った。少女はとても整った顔立ちで、美しく、大きな瞳はどこか悲しげだったが、輝きに満ちていた。そしてユウスケはなんとなく、その少女とどこかで会った気もした。
ユウスケ「こ…これ…きみの?データディスクみたいだけど…」
少女はユウスケの手をとって立ち上がる。
少女「…!!ありがとうございます。あの…わたしはこれで…!」
ユウスケ「ま、待って!なまえ…君の名前は!?」
少女「イズミ…!」
走り去るイズミはすぐに人混みに消えたので、ユウスケは見失ってしまったが、不思議とイズミの顔は鮮明なままずっと頭から離れなかった。
ユウスケ「イズミ…イズミか…」

(ぶぶぶぶ)

ユウスケ「はいもしもし。ミカン?あぁもうそんな時間か?わかったすぐ戻る!」
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