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 12月だというのに、この島の朝は季節に似合わない暖かさだった。
 プログラムという政策により呪われた島
 沖木島が日本のどこに位置するか参加者達は知らないが肌で大体の予想はつくだろう。

 草むらで目覚めた多数の参加者をよそに最適な寝所で放置されている金髪の不良
 その傍らに佇む二人の少女。
 三人の学生は島の北東、無学寺にいた。


「なあ、このパンってアンパン? それともジャムパン?」

 関西弁特有のイントネーション全開で聞く少女
 大阪(本名、春日歩)転校初日に智につけられたあだ名だ。
 理由はただ一つ、大阪府からの転校生だから。
 智らしい意見で半強制的につけられたあだ名だが三年近くも呼ばれると愛着が沸いてくるらしく本人は気にしていなかった。

「只のコッペパンみたいだな」
「そうかー」

 歩に返事を返すのは歩にあだ名をつけた少女、滝野智
 いつもは元気いっぱいで走り回る彼女も内心は不安で一杯であった。
 それでも智は歩を心配させないように、表面上はいつも通りを振舞っている。
 歩と違い、死体というこの島の現実を見せられた智は歩のためにも普段通りに接して忘れようとしていた。

「アンパンがよかったなぁ」
「そうだな!」
「……なあ、コッペパンのコッペってなんやろう?」
「あれだよ、コッペおじさんが編み出したパンなんだよ」
「只のパンなのに?」
「ふっふっふ、実はコッペおじさん特有の技が使われているのだ!!」
「へー、そうなんやー」
「………」
「毎回、技名叫んでるんやろか?」
「………」



 少し間をおき、豪快に寝ている金髪からはイビキが聞こえていた。





□ □ □  □ □ □  □ □ □



 30分後


 雑談を交わしながら朝食を摂った二人は今後の話をしていた。

「第四回この金髪をどうやって起こすか会議!!!」

 智の横では歩がパチパチと拍手をしている。

「これだけ待っても、こいつ起きやがらねぇぜ。どうする? 大阪」
「色々しても起きへんからなー、やっぱり待つしかないんと違う?」
「やっぱりそうかー」

 ガクリと頭を下げる智。

「それよりも今のうちにこのプログラムについて考えたほうがええかもなー」

 歩の言葉は智にとって聞きたくもない現実であったが
 避けては通れない話題だということは智も十二分に承知していた。

「…………」
「ともちゃん?」
「ああ、ごめんごめん! そうだな、大阪の支給品なんだった?」 

 少し声を張り上げて歩に尋ねる。

「うちは、これやー」

 勇者の剣を引き抜くかのようにデイバックから十徳ナイフとFN M1906(自動拳銃)を取り出す。
 背景も某青いタヌキみたいに光っている気がする。

「おぉ、私はこれかな」

 智が丁寧にデイバックから支給品を取り出す。
 出てきたそれは フライパン 割り箸(一袋) だった。

「残念やなー」
「まあな」
「「…………」」

 お互い支給品を確認しただけ……だがその中で二人には別々の想いが生まれていた。



 ――――歩は思う。

 疑う余地もなく智の様子がおかしいと
 普段の智なら自分がナイフと拳銃を出したときに、もっと喰い付くはず
 智の支給品に拳銃やナイフがあったなら分かる………
 でもなかった……恐らく拳銃は初めて見たはずだ。
 いつもの、いつもの智なら確実に
 すっげー
 触らせてー
 持たしてー
 貸せー
 最低でもあんな、ただのおぉで済むはずがない。
 あの始まりの場所で黒沢先生の死体を見せられた。
 当然、歩も泣いた。今までの自分に戻れないことは分かっている。
 しかし、それを考慮しても智の様子はおかしかった。
 所々みせる、いつものテンションをみると自分にはそのことを隠しておきたいことがよくわかる。
 だからこそ、歩自身も普段と変わることなく接することにしていた。

 ―――――歩は智の前で大阪を崩さない



「そういやなぁ、前にも言ったことあると思うんやけど
 拳銃って何で一丁なんやろ? パンツと一緒やんな」
「さあなー、ちよすけなら分かるかも」
「ちよちゃんか……大丈夫なんやろか、ちよちゃん」

 大阪を崩したくないつもりの歩であったが仲間のことを思うと心配になる。

「心配すんなよ! ちよちゃんなら大丈夫だって」
「ならええんやけど……」
「神楽と榊ちゃんも、あの運動神経なら大丈夫」
「……そやな」
「まあ、あの金髪が起きたら、みんなを探しに行こうぜ」

 無言で頷く歩を見て智は不安になる。
 お互いがお互いを心配する。
 今、幼い彼女らに出来ることはそれだけなのかもしれない。

「そういや前から思ってたけど、このプログラムって正にバトルロイヤルだよな!」

 歩を心配させまいと無理やりに話題を振る。

「!!!!  バトルロfdんjk………バトルfksf………」
「バ ト ル ロ イ ヤ ル!」

 バトルロイヤルという単語自体に興味を示したのか復唱しようとして中々できない歩を見て
 智はホッとする。

 この島で出会った当初はいつも通りの歩をみて智は感心していた。
 しかし、支給品をお互い見せた時に歩は『残念』と言った。

 残念? 
 それは支給品が武器じゃないから?
 何で武器じゃないと駄目なの?
 武器じゃないとできないから?
 武器じゃないとできないことは、この島では二つ
 身を守ること? 人を殺すこと? 
 ………どっちなの? 歩

 その後の丁の話も今と昔じゃ状況が違いすぎる。
 今、気軽にできる話題じゃない気がする。
 大阪は状況に対応できずに少し狂っているのかもしれない。

 それが智の出した答えだった。
 二人の思惑が交差する。


 自分が大阪を引っ張っていく必要がある。
 今は自分と大阪がここで生きている。
 それでも榊さん、神楽、ちよちゃんは危険に晒されている。
 大阪が落ち込むのは他の三人のことが気がかりだからだ。
 自分でも分かっている。……自分は行動する必要があると
 でも此処を出て自分が起こす行動は………

 智の脳に田中良の死体の映像が浮かんでくる。
 正座状態で首に鉛筆が刺さっていた狂気の映像。
 およそ普通の高校生活を送っていたなら見る事はない。
 しかし智は見た、見てしまった。
 見たことにより思考が迷路のように迷い込む。
 結論は出ない………出ないが

 無学寺を出たら、死体になるか死体を造るか
 ―――――――この二つしかないような気がしていた。

 そんな智をよそに歩はまだ復唱しようと頑張っている。

「バトルロkjfぁ……バトルロ ワ イ ア ル……言えた! ともちゃん言えたでー」
「……バトルロイヤルだっつーの!!」
「……そういやバトルロイヤルってなんや?」
「言えてるじゃねーか!!」
「あっ、ホンマやー」

 言えてるじゃねえかと言ったが
 本当の所はバトルロイヤルのことを説明したくない気持ちがあったことに智が気づくことはない。
 智の迷いと裏腹に時間は経過していく。

 金髪の男が目覚める前に智は決断していくのか
 それとも金髪の男が目覚め、物語が加速していくのか
 …………それまで擬似的日常は続いていく。










【F-8 無学寺/一日目 午前】



【春日歩@あずまんが大王】
【状態】:健康
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 十徳ナイフ FN M1906
【思考・行動】
1:目の前の男の人が目覚めるのを待つ
2:殺しあいはしたくない
3:智の前ではいつも通りの自分を演じる
4:この人やっぱりアホの子なんやろかな~



【滝野智@あずまんが大王】
【状態】:健康 精神的動揺
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 フライパン 割り箸(一袋)
【思考・行動】
1:金髪が目覚めるのを待つ
2:金髪が目覚めるまでに行動方針を決める
3:自分は……どうすればいいんだろう?
4:大阪やみんなが死んでしまったら……



【三橋貴志@今日から俺は!!】
【状態】:健康 熟睡中
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 ランダムアイテム1~3
【思考・行動】
1:…zz今井と…zzz…谷川…めzzzzz………
2:……z幸せzzそうな…z…zzz…
3:ツラ…zzzしや…がってz……
4:…z…コロ……zz…ス!……zzz……
※自分がプログラムに参加している事をわかっていません
 プログラムについての説明を全て聞き逃しています


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