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朝焼けに染まる森、それに両脇を挟まれた道を杉村弘樹はひた走っていた。耳をそばだて注意深く、しかし大胆に突き進む。
これが危険な行為である事を弘樹は承知していた。辺りは森に覆われており、身を隠す場所が幾らでもあるため待ち伏せされる他、様々な危険性があるからだ。しかしながらこのプログラムにおいて安全な場所は存在しないのだ。となれば多少のリスクを覚悟して、少しでも仲間と合流する確立を上げるために、こうやって比較的見晴らしのいい道路を進む事にした。
なにか探知機のようなものがあれば、こんな事をせずに済むのだが無いものねだりをしてもはじまらない。しかし、遮蔽物が多い森の中を進むよりも、こちらの開けた道を進む方が安全なのではないか、そんな事を感じさせるほどに辺りは静寂に包まれていた。

今、弘樹が向かっているのは鷹野神社である。地図やコンパスで現在地を確認したところ、そこから地図に載っている中で一番近く、人が集まりそうな場所がそこだからだ。
神社に着いた後、もし誰もいないようであれば平瀬村か氷川村のどちらかに向かう予定だ。
とにかく人の多い場所に行って、早くみんなと合流しなければとそれだけを考えて――
ふと、頭に二人の少女の姿が思い浮かぶ。そしてみんなには悪いが彼女達がこのプログラムに巻き込まれずに済んで本当に良かったと心の底から、そう思った。
多分、彼女達が一緒に巻き込まれていたら――あまり変わらないか。きっと今と変わらずにこの島を駆け回っていただろうなと、そんな事を考えて走りつづけた。

そして道なりに進みつづけ山の麓の近くに来た時、道沿いに朽ち果てた小屋があるのを視認した。少し考えて、なにか有用な道具がありはしないかと思い、それに近づく事にした。相変わらず周囲一帯は静かであるが一応、警戒しながらそれに近づいて中を伺ってみる。やはり人の気配は無い。周囲に気を張りながら小屋に上がり込んで中を物色してみたが、古い新聞紙や廃
材ばかりで特に目ぼしいものは見つからなかった。包丁などの刃物も見つかったのだがどれも錆だらけでとても使えそうに無い。
「ん?」
外に出て、また走り出そうとした時、あるものが目に付いた。
それはなんの変哲も無い竹。だいたい、自分の身長よりやや小さめに切り取られた竹が数本、壁に立て掛けてある。物干し竿かなにかに使われたのだろうか。埃を被ったそれを一本手にとって軽く振り回してみる。細く、軽く、しなやかなそれを弘樹は持って行くことにした。
弘樹は少林寺拳法を習っているのだが、修練する過程で棍術をかじった事があるので素手でいるよりは幾分かマシだろうと考えたのだ。
こんな理不尽な催しに、誰かが進んで参加しているなどと考えたくは無いがそれでも自衛の為、仲間を守る為の手段は必要であった。そう、これは守る為の武器なのだ。
人を殺すという、その一点においては弘樹は充分過ぎるものを支給されている。
それはAK47、カラシニコフとも呼ばれるロシア製の突撃銃だ。
七原たちと一緒に見た映画から得た知識しかないが、弘樹はこの銃の事を知っている。これが使い方次第で容易に人間を物言わぬ肉塊に変えることもだ。
だからこれを使う事はできない。弘樹はこのプログラムに乗る気はないのだから。
しっかりと棒を握り締めて神社に向かって走り出す。仲間たちとの再会を果たすために。

そして弘樹の予想通りに彼の姿を目にする者がいた。ただし城岩中学の同級生ではなく、彼から大分離れた場所にいるのではあったが。
彼女、桑原鞘子は弘樹が走っていた道の山側、弘樹が走っていた道路を一望できる、鷹野神社付近の高台に身を伏せていた。そして支給された双眼鏡を首にかけ、それを使い室江高校の人間を探して辺りをきょろきょろと見回し、弘樹の姿を目にしたのだ。
遠くかすかにしか見えないが確かに黒い学生服が見える。どうやらこちらに近づいている様だ。
(うーん、どうしようかなー。あれって男の子だよねー。でも制服からしてうちの生徒じゃないからダン君じゃ無さそうだし、なにより大きさが違うし)
もしかしたらみんなの事を何か知っているかもしれない。だから会って話をしたいのだが、あの男が殺し合いに積極的に参加している可能性がないとはいえない。そんな場合の対抗手段、レミントンM700を支給されてはいるのだが、
(こんなごついの扱えるわけないじゃないの、はぁ……。そもそも使う気なんて無いし。あの人、なんか棒みたいなのもってるし、私も竹刀とか木刀とかだったらよかったのになー)
全長一メートルを越すその銃はデイパックに入りきらず、口を出して周りを威圧し、その重量は4キロほどもあり鞘子の行動を制限する。そして当然ながらこんなライフル銃をただの女子高生が上手く取りまわせる筈も無い。正直な話、戦力としてはあまり期待できそうに無かった。
さらにもう一つの支給品、頭に被った66式鉄帽もかなりの重量があり、いくら剣道で鍛えているいっても流石にこれらを持って長時間移動するのはなかなか厳しいものがある。もし襲われた場合、鞘子は荷物を持って逃げ切る自信が無い。だからこそ慎重にならざるをえないのだ。
頭に被った帽子というよりもヘルメットといった感じの鉄帽を撫でながら考える。危険を承知で男と接触してみるか、それともこのままゆっくりと動き、周囲を伺いながらみんなを探すか。彼女の選択は――


【G-7 道路/一日目 朝】

【杉村弘樹@バトル・ロワイアル】
【状態】:健康
【装備】:棒(竹)
【所持品】:支給品一式、AK47(30/30)、
AK47の予備マガジン×2、ランダム支給品0~2 
【思考・行動】
1:鷹野神社に向かう
2:七原達と合流したい
3:銃はできるだけ使わない


【G-6 神社付近/一日目 朝】

【桑原鞘子@BAMBOO BLADE】
【状態】:健康
【装備】:双眼鏡、66式鉄帽
【所持品】:支給品一式、レミントンM700(5/5)
予備弾丸20
【思考・行動】
1:男に接触してみようか? それとも無視して仲間を探そうか?
2:なにか棒状のものが欲しい。できれば竹刀




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