「根っこを育てる 里山の小さな小羽小学校」 ~Waldorf in Deutschland~
我が家は2003年にドイツから富山へ引越してきました。ドイツやその前に暮らしていたカナダでもずっと子どもたちはシュタイナー幼稚園・シュタイナー小学校で育ってきたので、日本でさぁどんな学校へ行こうかということは、とても大事な問題でした。
富山には夫の仕事で赴任することになったのですが、まったく初めての土地で一人の知り合いもいませんでした。ただ、カナダの日本人の友人で、シュタイナー幼稚園で娘のクラスメートだったソニアちゃんのお父さんが「日本へ帰国したときは、いつも富山に寄って、ヤギやニワトリを飼ってる友だちの家で過ごすんだ。ソニアも思いっきり遊ばせてもらってとてもいいところだよ。そこには小さな小学校があって、そこに通う子どもたちがまたのびのびと子どもらしくてね。」とよく話されていたのです。そのことをふと思い出し、さっそくドイツからカナダへ「そのお友だちの連絡先を教えて~」とお願いし、その富山の連絡先にファックスを送りました。
「はじめまして、突然ドイツからファックスを送らせていただきます藤井と申します・・・・」
この富山の友人こそ、地域循環型有機農業を実践され、また小羽小学校後援会会長でもある橋本さんだったのです。
富山には夫の仕事で赴任することになったのですが、まったく初めての土地で一人の知り合いもいませんでした。ただ、カナダの日本人の友人で、シュタイナー幼稚園で娘のクラスメートだったソニアちゃんのお父さんが「日本へ帰国したときは、いつも富山に寄って、ヤギやニワトリを飼ってる友だちの家で過ごすんだ。ソニアも思いっきり遊ばせてもらってとてもいいところだよ。そこには小さな小学校があって、そこに通う子どもたちがまたのびのびと子どもらしくてね。」とよく話されていたのです。そのことをふと思い出し、さっそくドイツからカナダへ「そのお友だちの連絡先を教えて~」とお願いし、その富山の連絡先にファックスを送りました。
「はじめまして、突然ドイツからファックスを送らせていただきます藤井と申します・・・・」
この富山の友人こそ、地域循環型有機農業を実践され、また小羽小学校後援会会長でもある橋本さんだったのです。
こうして橋本さんとのご縁で、我が家の子どもたちは小羽小学校へ通うことになりました。家が校区ではないので送り迎えをしないといけないのですが、おかげで毎日お友だちや先生方ともお話できるし、ノスタルジックな歴史を感じさせる木造校舎、そこから神通川をはさんで立山連峰の雄大な眺めは何度みてもすばらしく、何より「学校が好き!」と喜んで登校している子どもたちを見るのは何にもかえがたい幸せです。「私がこんな小学校に通いたかったなぁ」とうらやましいのです。
小羽小学校のいいところをほんの少し挙げてみます。
- 全児童、全教職員で一緒に食べる給食 こんなに小さな学校ですが、ちゃんと調理員さんが学校で調理して出してくださいます。この調理員さんももちろん一緒に食べます。だから子どもたちは給食を「キムラさんの手料理」と呼んでいます。地域の方々から季節のお野菜や果物をいただいたり、子どもたちが学校の畑で収穫した野菜で、献立にはない1品や汁物がつくのも小羽ならではです。子どもたちが田んぼで作るお米も給食でいただきます。また「冷たいものは冷たいうちに、温かいものは温かいうちに」と、氷の上にそうめんをのせたり、天ぷらは揚げたてで出してもらえるのも、なんともぜいたくなことです。給食のない日や、午後の授業の合間に、やはり子どもたちが栽培したジャガイモやサツマイモのおやつを出してもらうのも、子どもたちにとってはうれしいことです。春には桜の下でお花見弁当、またお誕生日にはバイキング会食でお祝いします。
- 休み時間や放課後は全校児童で遊ぶ おにごっこ、ドッジボール、一輪車、何をするにも、たいていみんな一緒に遊んでいます。いろんな年齢の子どもたちが、大人のコントロール(管理)なしに遊べる場が今の時代はなかなかなく、また少子化で兄弟でもまれるということも少なくなっているので、小羽小のように「子どもだけで、みんなで遊ぶ」時間があるのはすてきなことだと思います。もちろん先生もよく一緒に遊んでくださっています。そこへお迎えにやってくる幼児も乱入(!)しています。上の子に下の子がガツンと叱られたり、また、下の子たちも楽しく遊べるようにと上の子たちが特別ルールを考えたりと、遊びながら たくさんのことを学んでいるようです。
- 地域の中の学校 地域のおじいちゃん、おばあちゃんたちとの交流がとても盛んです。チューリップ配り、山菜採り、田植え、学校花壇の栽培、稲刈り、収穫感謝祭、冬のわら細工、そば打ち(そば祭り)などなど。さらに日ごろから見守り隊でもお世話になっているので、いつものおじいちゃん、おばあちゃんとお互い顔も名前もよく知っています。悪いことをすると叱ってもらえます!(笑)
- 一人一人が主役 毎日の授業 学習発表会 運動会 卒業式 まさに一人一人が主役。よその学校でも言葉ではそう言いますが、小羽は本当です!少人数ゆえ「お客さん」ではすまされません。授業も、掃除も、合唱も、一人一人が、全員が、がんばらないと成り立たないのです。小羽小の合唱を聴くと心にぐっとくるものがあります。
- 保護者・教職員が協同で子育て これも小規模であるおかげで、保護者と先生方、また保護者同士も日ごろからコミュニケーションが豊富でお互いの理解がしやすいということがあります。先生方も地域も、子どもたちをとても大事に育ててくれていることがよくわかります。何かあっても(なくても)すぐに対応してくれます。PTA行事ではこれまでに親子スキー合宿、野外ピザ作り、オイリュトミーとチェンバロ演奏(穴田さんをお迎えして)などをやってきました。すてきでしょう!?
まだまだ書きたいことは限りなくあるのですが、今回は最後に、今年の小羽小文集「ゆきわりそう」に寄せられた橋本秀延さんの「根っ子を大切に」という題の文章をご紹介させていただきます。
「私が富山へ移り住み、農業をやり始めて二十四年を過ぎました。この間、私の農業のやり方の柱のひとつが、<疎植>ということでした。イネでも野菜でもにわとりでも、特に苗やヒナの育成の場合には、そのことに心がけてきました。
<疎植>ということは、密度をうすく栽培することで、苗を作るときは一箱にまく種の量を少なくしたり、田んぼに苗を植える場合は苗の量を少なくしたり、にわとりのヒナを育てる場合は育すう箱に入れるヒナの数を少なくして育てることです。少なく植えたのでは面積あたりの収穫量が減ってしまうのではないかと心配されるかもしれませんが、工場生産では少ない原料から多くの生産をあげることはできないかもしれませんが、生き物は必ずしもそうなるとは限りません。苗一本一本が、ヒナ一羽一羽がしっかりと充実して育つので、逆に収量が多くなる場合もあります。ところが苗やヒナを、密に、競わせて育てると、背丈ばっかり伸びたヒョロヒョロの苗になったりして、その後十分に能力を発揮できずに終わってしまうこともあります。まして、たとえば有機農業などで農薬などを使わずに育てようとすれば、そんなヒョロヒョロ苗では通用せず、疎植で育てた充実した苗が必須の条件となります。このことはどうやら、根の育成に関係があるのではないかと私は考えています。地上部は密植や、あるいは温度や肥料などで比較的簡単に伸ばすことはできますが、それでは根を充分に発達させることはできません。眼にみえない部分への想像力が大切なのだと思います。
私は基本的に、人間も同じだと考えていて、子どもの頃は、その子それぞれの個性の根っこを、じっくりと育てて欲しいと願っているものです。私が小規模小学校は大切だと言い続けてきた、これが理由です。」
<疎植>ということは、密度をうすく栽培することで、苗を作るときは一箱にまく種の量を少なくしたり、田んぼに苗を植える場合は苗の量を少なくしたり、にわとりのヒナを育てる場合は育すう箱に入れるヒナの数を少なくして育てることです。少なく植えたのでは面積あたりの収穫量が減ってしまうのではないかと心配されるかもしれませんが、工場生産では少ない原料から多くの生産をあげることはできないかもしれませんが、生き物は必ずしもそうなるとは限りません。苗一本一本が、ヒナ一羽一羽がしっかりと充実して育つので、逆に収量が多くなる場合もあります。ところが苗やヒナを、密に、競わせて育てると、背丈ばっかり伸びたヒョロヒョロの苗になったりして、その後十分に能力を発揮できずに終わってしまうこともあります。まして、たとえば有機農業などで農薬などを使わずに育てようとすれば、そんなヒョロヒョロ苗では通用せず、疎植で育てた充実した苗が必須の条件となります。このことはどうやら、根の育成に関係があるのではないかと私は考えています。地上部は密植や、あるいは温度や肥料などで比較的簡単に伸ばすことはできますが、それでは根を充分に発達させることはできません。眼にみえない部分への想像力が大切なのだと思います。
私は基本的に、人間も同じだと考えていて、子どもの頃は、その子それぞれの個性の根っこを、じっくりと育てて欲しいと願っているものです。私が小規模小学校は大切だと言い続けてきた、これが理由です。」
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藤井のりこ 96年よりカナダ、ドイツで暮らし、
家族でシュタイナー教育やシュタイナーコミュニティを体験する。
2006年より シュタイナー教育と森のようちえんを理念とする
野外自主保育「富山 森のこども園」で活動。
家族でシュタイナー教育やシュタイナーコミュニティを体験する。
2006年より シュタイナー教育と森のようちえんを理念とする
野外自主保育「富山 森のこども園」で活動。