警察庁の『漫画・アニメ・ゲーム表現規制法』検討会問題まとめ @Wik 議事録テキスト文(1)

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■「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」議事録テキスト版


「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」議事録原文
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen29/gijiroku1.pdf
テキスト文掲載元blog
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060504#1146682839


1/25 バーチャル社会/第一回/06.04.10/議事録
第1回 バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会

議事要旨

1 日時 平成18年4月10日(月)13:30~16:00

2 場所 三田共用会議所

3 出席委員等

(1) 委員

前田委員(座長)、姉崎委員、池田委員、江川委員、岡田委員、玄田委員、坂元委員、下田委員(座長代理)、藤岡委員、藤川委員、義家委員、竹花委員、小林委員

(2) オブザーバー

田代内閣府参事官、有松文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長

(3) 警察庁(生活安全局)

巽長官官房審議官、大木少年課長、坂情報技術犯罪対策課長、中川少年保護対策室長(事務局)

4 議事

(1) 開会

(2) 委員の紹介

(3) 座長の選任、座長代理指名

(4) バーチャル社会のもたらす弊害と子どもをめぐる現状の説明

ア 流通しているアニメ、漫画、ゲーム、ウェブサイト等の実態

イ 上記のような情報が影響を及ぼしたとされる事件の紹介

(5) 竹花生活安全局長あいさつ

委員の皆様方、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、お礼を申し上げる次第でございます。

私ども犯罪を扱っておりまして、最近の事件にしばしば驚かされることがございます。

また、我が国の犯罪の有り様に新たな局面が生じているのではないかと感じているところでございます。例えば携帯電話あるいはパソコンといったものの流通が広がったことに伴いまして、振り込め詐欺ですとかヤミ金問題、あるいは出会い系サイト利用の児童買春事件といった事件が多発するようになってまいりました。そうした犯罪の新たなツールが最近は広がってきているのではないか。あるいは、そうしたインターネット社会の進展が、

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人に、犯罪にかかわる情報を多々提供するようになってきているのではないか。さらには、そうした情報の中で生活している、これは大人・子どもを問わずでありますけれども、犯罪にかかわる人格といいますか、犯罪を少しセーブするような人格そのものにも大きな影響を与えているのではないかといった点も危惧しているところでございます。

これらの状況が、とりわけ子どもたちを巻き込んでいるということに強い危機感を持っておりまして、何とかこの状況を打開していくことは、私ども大人社会の責任ではないかと感じているところでございます。

とりわけ子どもたちが、性あるいは暴力の対象として扱われている、そうした情報が氾濫し、そのことが犯罪の被害者となる子どもたちを広げていないか。あるいは、子どもたち自身が人間関係を構築する力を十分に育て切れず、また命の大切さを理解し、あるいは他者を思いやるという力を持ちきれないで成長する中で、犯罪にかかわるという事態が広がってはいないかどうかといった点について、日ごろの捜査を通じまして非常に大きな強い心配をしているところであります。

警察といたしましては、事件に直接かかわることで、あるいは犯罪を犯した被疑者に直接かかわることで、そうした強い思いを持っているわけでありますけれども、このような状況を変えていく大人社会の一員を担う立場として、警察としても積極的にこの問題にかかわっていくべきだと考えているところでございます。

ところで、多くの方々が、今、私が申し上げたように現状を心配されておられるわけですし、そのことがさまざまな形で表明されているところでございます。また、だれも何もしていないわけではなくて、それぞれのところで随所にこうした状況を改善する努力がなされております。そのことを私どもは十分承知いたしておりますけれども、しかし、それが現在の状況を大きく変える力にはなっていないのではないかと認識いたしているところでございます。

この研究会を私どもが立ち上げることにいたしましたのも、そのような大きな力を社会として生み出したい、そのために警察としても精一杯の努力をしたいという思いからでございます。私たちは、まず、こうした問題の現状がどういう状況なのか、何が問題なのかということについて、よく整理することが必要だと考えております。その上で、どのような対策が、ぶつかり合うさまざまな価値観がある中で、大人社会の具体的な取り組みとして、改善方策として考え得るのかということについて考えていきたいなと思っているわけであります。

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そのような私どもの思いですが、この研究会において何とか先生方の知恵や情熱をお借りして、さまざまなご提言をいただければ、我々としても警察としてできることはやってまいりますし、また他省にかかわることは他省にも働きかけたいと思います。また社会全体に呼びかけていくべき課題については、そのような方法もまた考えたいと思っているところでございます。

どのような方法がそれとして適切なのかは、今後の先生方の議論にかかわるところでございまして、警察庁として何かこうした方針を、あるいはこうした方向をというものを持っているわけではありません。そういう意味では、無責任な依頼の仕方ではあろうかと思いますけれども、しかし問題の複雑さから見て、それはやむを得ないことではないかと私どもは思い、またそれについてご理解をいただいた先生方にご参加をいただいたと思っております。

どうか、そういうところで私どもの意を汲んでいただきまして、率直なご意見の交換をお願いできればと思っているところでございます。本日はありがとうございました。

(6) 前田座長あいさつ

前田でございますが、私が座長にふさわしいかというのは私自身が一番気になるところですが、ご推挙いただいたということで、力の限り務めさせていただきたいと思います。

私は刑事法の研究者で、この中で法律家は私だけということなんだと思うのですが、少年問題とか、今回のバーチャルの問題についても若干勉強させていただいているということで、座長に推挙いただいたと考えております。

我々の世界というのは、犯罪をどうするかというのは非常に難しくて、いろいろな原因がある。だけれども、1つには定まらないんですね。少年の問題について、ここのところずっといろんな施設を回って少年院なんかに行ってみましても、これはマスコミに流れていますから非常に難しい言い方なんですが、家庭が壊れていると、非常に高い割合で少年院に入ってくるということは歴然とした事実なんです。何%違うという問題ではないんです。母子家庭は5倍以上であり、父子家庭になると11倍である。父子家庭が悪い、母子家庭が悪いなんて言ったら大変なことになるわけです。しかし、それでは、そういう問題に対して何も手を打たなくていいのか、いや、手を打つといってどうするんだと。

バーチャルな世界も同じところがちょっとあると思います。いろいろな原因が考えられて、いろいろなものが議論されていますが、それぞれの分野で、しかし、違うファクターもある。やや逡巡している部分があるのではないか。もちろん、こういう議論は科学に裏

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付けられ、客観的な知見に基づいて一歩一歩前に進んでいかなければ、絶対に土台は崩れてしまうということだと思います。

ただ、そのときに、どの程度の挙証とかどの程度の立証があれば政策的なものに落としていけるかというのが非常に難しい判断になっていくと思います。この場ではその前段階を議論する部分が多いかと思います。ただ、法的な対応と申しましても、私などの専門のような刑罰を加えるというハードなシステム的なものから、非常にソフトな法的な対応とか、行政施策でもいろいろなレベルのものもあります。

さらにもう1つ重要なのは、こういう会は果たして行政だけの問題なのか。こうやってマスコミにたくさん来ていただけるというのは大変すばらしいことであって、こういうことでバーチャルな問題に関して規制するということは、ある意味でマスコミ、芸能界を敵に回してやるのかというとそれはとんでもないことで、今の時代、こういう問題を考えるときにマスコミが味方になっていただかなければというか、巻き込んで議論が進まなければ、一歩も前に進まないというより、後ろに戻ってしまうと思います。

その意味でも、できる限りここでの情報をオープンにして、そして投げかけながら、返ってくるボールをきちっと拾いながら会を進めさせていただければ、そのことに私の力を注がせていただければと考えております。

余分なことを申し上げましたけれども、これで委員長就任のごあいさつということにさせていただきたいと思います。ご協力、何とぞよろしくお願いいたします。

(7) 委員意見発表

【A委員】私ども日本PTAとしては全国の61の協議団体に毎年アンケートを配りまして、家庭におけるテレビメディア調査、青少年とインターネットに関する調査というものを行っております。その中で、経年的な変化がどのようになったのかについて、会員と情報を共有しながら活動しております。この研究会の中で私どもとして勉強していきたいのは、この調査結果の中の数字を見ますと、テレビゲームを見ている子どもたちの数字というのは約50%前後なんです。あとの子どもたちの50%は見ていないという結果が出ています。

その50%の中を見ましても、時々やるという子どもたちもいれば、常時やっているという子どもたちもいて、いろいろな形で子どもたちが楽しんでいるようなんですが、それがどのように具体的な形で犯罪や非行につながっていくのかが、私ども保護者としてもよくわからないところが正直なところあります。

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いろいろ保護者の間で検討して、お話はさせていただくのですが、ただ残念なことに、PTAとしても、この調査なんかについても、14年、15年、16年、17年、この3~4年でこのようなインターネットに関することやバーチャル的なことについての検討を始めたという状況で、まだ保護者としての具体的なイメージをきちっとお互いに共有しているような活動になるかというと、まだまだかなと思っております。

ただ、実質的に子どもたちが犯罪に遭い、またそれを起こす青少年・大人が事実いるということですので、このことに対しては皆さんご存じのように保護者として地域にお願いをして、警察、消防、行政、いろんな方にお会いいただいて、子どもたちを守っているわけですけれども、やはりまだまだ具体的な形で子どもたちを、100%とは申しませんが、安全な環境の中に置いて学校生活・社会生活を営むということに至っておりません。今後、このような事例を研究会の中で勉強させていただきながら、いかに子どもたちに自分自身で考え、また保護者と共通の認識を持って、自分の安全、社会に対する考え方ができるのかを学んで、また私どもの仲間に返していきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【B委員】私には6歳、2歳、1歳という3人の子どもがいて、今日から新学年で一番上の娘が登校するんですけれども、実はうちの学区で、普通に買い物をしていたお母さんが連れていた赤ちゃん、1歳半だったんですけれども、いきなり前から来た男が頭からサバイバルナイフをぶっ刺して、のどから突き出たと。そのまま即死。そんな事件が実際身近であった。配付資料の事例は本当に気持ちが悪くなるような惨い内容ばかりなんですけれども、現実に起きているんですね。私に刃が向けられても何とか抵抗してやろうという気はありますけれども、小さい幼児を持っている親としては非常に怖い。

そこで、そのような小さな子どもを持っている親としましては、この問題は1日も早く解決したいと思っているところです。ところが、こういう事件というのは1日や2日、または1年や2年で解決することはないだろうということで、青少年への教育において、根本的な価値観や道徳心の養成がまず必要だと考えています。

昨年は愛・地球博という日本国際博覧会の中で、我々は道徳教育のアニメーションを上映しました。これは命の尊さとか万物の大切さ、このようなことを訴える20分のアニメーションです。8万人の来場者をお受けし、そして非常によかったという感想もいただきました、今年は2万3,000校にわたる小学校の教育現場に直接これを使ってくれという提案をし、今、何百もの学校から、それを総合学習で取り入れたいという要望もいただい

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ています。子どもたちにそういう命の尊さ、物の大切さというのを訴えて教えていくということに乗り出していますが、現実には道徳教育というのがいつの間にか学校から消えているという現実に実際驚きを隠せないわけです。

宗教教育がどうのこうのというわけのわからない話から道徳教育がそういうふうになったということをある文科省の方から聞いたことがあるんですけれども、一体私たちは子どもたちに何を教えなければいけないのかということを、親である我々が原点に立ち返らなくてはいけないんだろうと考えているところです。

今、インターネットで規制なしに死体を見せたり、また性的、いわゆるわいせつな画像がはんらんしている現実に、自由という名のもとにおいて何ら規制がかからないということは、ある意味恐ろしく思っています。自由とは一体何なのか。多様性を認めるとは一体何なのか。そんなことを我々大人が真剣に議論し、いわゆる規制緩和というのは神の啓示のように扱うのではなくて、何の規制を緩和して、どこに規制をかけなければならないのかということを我々がしっかりと考えていかなくはいけない。そんな火急の課題を今抱えているんだなと思っています。

とにかく、このような猟奇的な事件が1日も早くなくなることを心から願い、この場でいろいろな発言をさせていただきたいなと思っています。またいろいろな先生方からの意見もいろいろなところで参考にさせていただき、そして、全国に啓発を促していきたい、そんなことを考えています。今後ともどうぞよろしくお願いします。

【C委員】物事には何でもプラスとマイナスの両面があると思います。IT技術ですとか、あるいはいろいろな表現に関する技術の進歩がもたらした恩恵もたくさんありますけれども、そこからくる直接・間接的な弊害もまたあるわけで、プラスの部分をどう享受しつつ、どうやったらその弊害を減少できるかということが大事だと思います。この問題で言いますと、子どもたちを取り巻く環境の中で一番以前と変わってきたなというのは、やはり情報の流通の仕方ではないかなと思います。

これはインターネットとか、いわゆるバーチャル的な問題だけではなくて、数年前でしたか、赤坂のウイークリーマンションで小学生の子どもたちが監禁される事件がありました。あれはそういうIT関係ではなく、報道されたものによれば、チラシみたいなのをもらって、もうかる、お金が稼げるという、口コミとチラシという非常に古典的な手法で子どもを誘い出したのでした。子どもたちの世界に口コミでもそういう情報が、大人社会だけで出回っているだろうと多くの大人が勝手に思っている情報が伝わっているという、そ

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ういう意味では、情報の流通がかつてとは随分違っていると言えると思います。

それからこれは性に関する情報だけではないと思うんですけれども、社会全体が、光と影の部分があまりはっきりしなくて、全体的にのっぺりしてきた、蛍光灯で照らされたような社会になってきたといいますか、かつてだったら、あんまり表に出てこない“密やかな楽しみ”みたいな感じの部分、そういうものが結構堂々と出てくるとか、あるいは簡単に手に入るという形になってきました。そういう社会の変化というのはもろに子どもたちの世界もかぶっているなと思うわけです。

ですから、もちろんIT関係、あるいはバーチャル世界に関することもそうですけれども、こういう問題というのは本当に総合的に考えなければいけないことだなと思うわけです。

それから、警察というと、すぐ取り締まりとか規制とかいう方向にイメージがいくわけですけれども、もちろん今もB委員のほうから話があったように、確かに取り締まるべきところは取り締まらなければいけないんですけれども、まず、取り締まり、規制というものにもやっぱりプラスとマイナスがあって、それによってほかの問題、例えば言論の自由の問題とか、そういうことにもバッティングすることがある。だから、本当にいろんな方面からいろんな意見を聞いたり、あるいは現状をなるべく詳しく知った上で、多角的に物事を見ていくということがすごく大事なんだろうなと思います。

ですから、これから進めるに当たっては、今幾つかの事例を聞かせていただきましたけれども、なるべく現状を、もちろんこの中にもよくご存じの方もいらっしゃると思いますが、把握するための機会をいただきたいということと、それから、それに関して、この中にもいろんな意見をお持ちの方がいらっしゃいますけれども、例えば言論の自由の問題、あるいは女性の性差別の問題とか、いろいろな人たちの意見が多角的に聞ける機会があるといいなと思います。

それから、バーチャル社会のもたらす弊害という観点から事件を整理されて、配付資料のご説明がありました。ただ、人間そんなに短期間でDNAが変化するとも思えないので、この情報だけでそんなに異常な行動をする人たちが数として増えているのかどうかというのはちょっとよくわからないというのと、一つ一つの事件は、いろいろな要素が絡んでいると思うんです。

その中の、例えばアニメとか残酷なサイトとか、そういうバーチャルな情報ももちろん1つの要素だと思うんですけれども、ほかにどういう要因が絡み合うとこうなるのかとい

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うことですね。事例はそんなにたくさんではなくてもいいですけれども、もう少し深く一つ一つの事件について知る機会が与えられれば、また考える参考になるのじゃないかなと思います。

【D委員】私は特殊な現場でいろいろな子どもたちの問題に向き合う中で、こうした問題にも出会わざるを得なかったという状況があるんですけれども、バーチャル社会のもたらす弊害ということ、子どもへの影響ということを考える場合には、犯罪に絡む問題、これは主に今回はそれが問題になるのかなと思いますが、ただ、犯罪に絡む問題だけじゃなくて、非犯罪の問題もあるわけです。そちらのほうがある意味ですごく大きいわけです。

この犯罪と非犯罪というのは、必ずしもきっちり分けられない問題で、非犯罪的な影響も、それはある意味犯罪的な影響の準備段階になっていたり、あるいは子どもの心が育たないとか社会的なスキルが育たないことによって、結果的にまた犯罪に至らせてしまうという部分があると思います。ですから、バーチャル社会の弊害ということをきちっと考えていく上では、犯罪という側面だけじゃなくて、直接的には非犯罪的な影響として捉えられる部分もきっちり見ていく必要があると思います。

ですから、加害者をつくる、生み出す側面、その結果被害者を生み出してしまう側面、それと同時に、ごく普通の家庭で起きている状況、その境目がなくなってきているというのが今の特徴だと思うんです。

こういう問題については、今ようやくこういう議論がきっちりできるようになってきたわけですけれども、もちろん早くからこの問題を考えられて研究されていた方もいらっしゃるわけです。特にアメリカでは早くから、60年代~80年代にかけて犯罪の爆発的な増加という状況があって、かなり徹底的に調べられているわけです。大規模な研究が行われて、知見の蓄積が既にあるわけです。

その当時よりも今の状況は、さらにメディアが発達して、60年代~80年代の状況というのは主にテレビの時代だったわけですけれども、そこからさらに状況を加速させる状況が出てきているわけです。そういう今まで蓄積されてきた知見というもの、そこをしっかり踏まえるということが非常に重要だと思います。

新たなメディアの問題を考えていくにしろ、テレビとかの問題について、これまで研究されてきた今までの成果といいますか、それは非常に参考になるわけです。今のリアリティーの高いものに比べたらはるかに原始的な、白黒のテレビさえもこれだけの影響を持ち得たんだということがわかっているわけです。それをさらに踏まえて、現代の状況を考え

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ていくことが必要だと思います。

私はバーチャルなテクノロジーの影響として大きく4つぐらいまとめられるんじゃないかと思っています。

1つは、今までもご指摘があったように、いわゆる暴力的な内容とか性的な内容とか倒錯的な内容、反社会的な内容という、有害なコンテンツの影響です。つまり、今はタブーなき社会になってきているわけですけれども、そういうコンテンツに本来だったら触れないはずの子どもが触れてしまうことによる影響です。有害性の大きな部分は、十分判断力を持っていない段階で、あるいはそういうものに対してどのように対処すべきか、ちゃんと教えられていない子どもがそういうものに不用意に触れてしまう。そこでダイレクトに影響を受けてしまうということです。

大体こういう問題は、大抵の子どもは最初は非常に嫌だと思うわけです。最初はやはり嫌悪感や反発を感じるんだけど、人間の心というのは不思議なもので、衝撃的な時期が過ぎてくると、今度は逆にそれに同化するような動きが起こる場合があるんです。そういうプロセスについての理解を、各ケースについて見ていく必要があるかと思います。そうした有害なコンテンツの影響、それも短期的な影響とか長期的な影響、いろいろあると思うんですけれども、大抵は、解明されている原因の大部分はわりと短期的な影響なんです。

それに対して、本当はもっと長期的な影響が起きている可能性があるんです。例えば、言われているのは、幼いころにテレビを見ていると、たくさんテレビを見た子は後に暴力的な傾向が強いとか、子育てに対しても虐待的になってしまいやすいとか指摘されています。非常に長いスパンで影響を及ぼしている可能性もあるわけです。ですから、短期的・長期的両方の影響を考える必要があると思います。

2番目としては、中毒性・依存性の問題です。非常に高度な技術でものすごく刺激的なわくわくする体験が得られるようになっているので、そこにとらわれやすいということです。大人でもはまってしまうわけですから、子どもがはまってしまうのは仕方がないというところです。

中毒性の問題につきましても、もちろん短期的にさまざまな依存症状とか中毒症状が出て、勉強しなくなるとか、いらいらしやすいとか、性格が変わったようになるとか、そういう問題が出ると同時に、長期的な影響が出ている可能性があるんです。そういうことに5年、10年依存し続けることによってどういう人格的な変化をこうむるのか。この辺はまだ十分解明されてはいないのですが、少しずつそれを示唆するような知見もあるので、

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そういうことについても検討できたらなと思っています。

3番目としては、メディアとの体験が生活の中に占める比重というのが非常に大きくなって、その結果、生の現実の体験が不足しやすくなったということです。そういう中で社会的スキルとか対人関係とかコミュニケーションのスキル、そういうものが磨かれなくなったり、あるいは人間の心の一番重要な部分である共感性、他者に対する思いやりとか優しさとか配慮、そういうものが育まれなくなっている状況です。社会的な成熟への影響の部分です。

そこには、両方あると思います。メディアを長い時間使うために生の体験自体が不足する、経験の機会が不足することによって起きている部分と、同時にメディア自体からの影響もあると思います。いずれにしろそういう発達や成熟の問題を起こしているんじゃないかということについて、また検討していただけたらと思います。

4番目として、ネットワーク社会の非常に危険な部分は、不特定多数の他人とのアクセスが非常に容易になっているということです。そこで子どもたちが非常に危険な状況にさらされている。本来は絶対知り合うはずのない危険な大人と、悪意とか下心を持った大人と小中学生のような何も知らない世間知らずの子どもが接触してしまう。そういう危険が生じているということです。

そういうところで犯罪の被害者になってしまったり、時には犯罪に加担するような、薬物などのケースで非常に多いですけれども、みずからも薬物に染まってしまって、みずからも法を犯してしまう。あるいは売春するような状況になって、本人自身も犯罪を犯してしまうということです。

ただ、犯罪的な側面だけではなくて、不特定多数とのアクセスが容易になっているという状況は、子どもたちのメンタリティー自体にも非常に影響を及ぼしている可能性があって、それは、1対1の対人関係というものがごく当たり前だった時代に比べて、いつでも多数の人に容易にアクセスできるということで、対人関係の質が非常に変わってきているということです。過剰な流動性を持っている社会であるがゆえに、一種の適応かもわかりませんけれども、そういう生き方がある意味新しい生き方なのかもわからないけれども、そういうところで一人一人の関係をあまり大切にできないような、だから1つの人間関係がだめになってもすぐ次へいけるという、使い捨ての人間関係のような、そういうライフスタイルとか対人関係のスタイルというものを持っている、そういう傾向が強まっているということです。それは非犯罪的な側面なんだけど、しかし、それが容易に犯罪的な側面

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にも結びつくということです。

そのように、今ざっと指摘した問題でも非常に多面的な要素を持っているということです。多面的な問題、それを十把一からげに論じることは、あるいはごちゃまぜにして論じることはあまり建設的な議論にならないと思うんです。ですから、いろんな要素をきっちりと一つ一つ論じていく。それに対して、どの程度それは危険があるのかを評価して、どういう具体的対策が必要なのかとか、そういう方針、対策を考えていくということが必要じゃないか。

そういう細かな議論を積み重ねていく上で、全体の方針も見えてくるんじゃないか、そう考えます。よろしくお願いします。

【Ε委員】いろいろお話を伺いまして、正直、非常に重苦しい気持ちといいますか、救いようのなさを大変感じて、一体何ができるのだろうかということが率直な思いです。唯一ほっとするといいますか、救われた気分になりましたのは、最初ご紹介いただいた統計の中で、2002年から2003年がある意味、犯罪等のピークであるように私は見えたということです。

ここ二、三年のトレンドですが、さまざまな深刻な状況が、少なくとも全体数としては減っているように見えます。これはぜひ今後教えていただきたいことなのですが、ある種改善傾向に見えるのは、どういう効果のあらわれなのかということをまずは確認させていただきたいと思います。一つは法律の問題もあるのかもしれません。それから、警察のご努力がいつにも増して増えたのかもしれません。ただ、2002年、2003年といいますとリストラが社会全体で大規模に行われたときです。失業も増え、ニートなども増えて大変厳しい状況でした。それがいろいろな意味で、少年の中に大人社会のことがあらわれているのではないかと想像しています。

ですが、これからの経済状況がある程度いっときの苦しさから解放されれば、この問題は解決に進むのではないかと楽観するほど、おめでたい感覚は持っておりません。ニートもそうですが、就職口が増えれば問題がすべて解決するのではないかというような非常に楽観論に対しては、ある種慎重さが必要だと思っております。仕事につけることで、さまざまな社会とのかかわりが持てる人はまだ幸せです。いろいろな背景を持っていると、経済状況がいい中でもうまくいかない人はますます社会の中で疎外感が高まる。その中で、さまざまな形で暴発する可能性は常にあります。これからの状況は、ある意味で有利なものがある反面、どうやってこの問題を長く持続的に考えていくか、ということだと思いま

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す。

若年の就業問題について考えておりますと、キーワードが常に出てきます。それは個別的、持続的、包括的という3つの「的」です。さきほどご指摘があったように、一、二年の努力ですぐに解決する問題は、全くないとは申しませんが非常に少ない。その中でどうやって社会全体として、また個人として、家庭として、学校として、地域として、個別的、持続的、包括的に何ができるかという具体的な仕組みと、具体的な何かを考えていかないと、ややもすると、こういう問題というのは価値観、感情論、経験によって非常にぶれやすい。バーチャルによって加害者にならない、被害者にならないということは絶対にせよ、どうやってリスクを避けるかという具体的なプログラムなり何かを提示していかなければならないと思います。

その意味では、さっきC委員がおっしゃったことと関係しますが、バーチャルの弊害を考える研究会ならば、だれよりも、どこよりもバーチャルなメリットについてよく理解する研究会でなければ、おそらく支持は得られないだろうと思います。まず、バーチャルイコール悪である、バーチャルは悪からスタートすると、多分それは非常に支持を得にくいものだろうと思います。

私も、何かもう1つのきっかけがあることによって、いろいろな問題が起こるのだろうと思います。やはり就業に苦しい、社会に孤立している若者の傾向としては、失敗経験に対して十分なものが持てなかったことがあります。取り返しのつかない大きな失敗になる前に、小さな失敗をコツコツできるような環境はどうやったらつくれるか。

具体的に考えますと、最近いろいろなところで聞く、「10歳」というキーワードは、やはりあるような気がしてなりません。性行為もそうですし、喫煙の問題、またいろいろな心理的な問題、専門家の前で言うのも恐縮ですけれども、ある程度具体的にターゲットを決めて、このぐらいから家庭として、個人として、学校として、まず何から考えるべきか、何を自分のためにやらなければならないのかという、できれば具体的な事例を集めることによって、抽象論でも一般論でもない、ああ、これならうちでもできる、自分でもやらないといけないという、いい意味での危機感を持てるような情報が何かうまく伝えられればと思います。

【F委員】私は社会心理学という分野を専攻しておりまして、特にメディアというものが人間にどのような効果や影響を持つのか、という問題について研究しております。

バーチャル社会といいますのも、子どもが、生身の人間からの直接的な情報ではなくて、

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メディアを介した情報ばかりを受け取っている環境にあることを、本来的な姿ではないという見方から「バーチャル」と表現されていると思うのですけれども、ここでは、メディアの問題につきまして、私どもの分野でどういうことが言われているか、少しご紹介をできればと思います。D委員のお話と重なる部分があります。

まず、メディアの問題というときに、私は悪影響問題と悪用問題の2つに大きく分かれると思っております。悪影響問題といいますのは、メディアによって人間の特質が何らかの形で悪いほうに変化させられるという問題でございます。例えば、暴力シーンを見て暴力的な傾向が高まるとか、インターネットにのめり込み、人とのコミュニケーションをとらなくなったために、コミュニケーション能力が育たず、引きこもりになっていくなどの懸念が見られますが、こういった問題を悪影響問題と考えているわけです。

もう1つの悪用問題というのは、人間の傾向は別に変わってはいないのですけれども、メディアという先端技術を持ったことによって、人が何か悪さをしようとしたときに、その悪さが深刻なものになるという問題であります。例えば、セクシャルプレデターなどといいますけれども、小児性愛者が、ネットを使って子どもに接近をしていって、それで性被害を及ぼすなどということが問題になっております。従来はセクシャルプレデターが子どもにアクセスしようと思って、例えば、家の固定電話に電話をかけても、親が出てそれを取り次がないということで、どうしようもなかったわけです。それが携帯電話やメールですと、直接子どもに連絡がとれることになって、子どもを守ってきた社会的バリアが取れてしまった状態になっているわけです。

その他にも、ネットですと、正直に自分のことを語りやすいという特質があって、そうして出た自分の本音を肯定されるような答えを受けますと、この人は何ていい人だと思いやすい、それから、ネットでは文字コミュニケーションが基本で、情報が制約されておりますので、解釈の余地が多くて相手を理想化する傾向があるとも言われます。こうしたことで、ほかの手段だったら絶対ついていかないような場合でも、ネットを使えばついていってしまうことが心配されます。しかもネットを使えば、孤立していたり、孤独であるような子どもを日本全国から探すこともできます。セクシャルプレデターの立場からすれば、携帯電話やネットというのは非常に便利で強力な武器になるわけです。こういうものを悪用と捉えています。別にプレデター自身は、携帯電話やネットによって人間性が変わってはいないわけです。単にそういう武器を持ったということが問題ということです。

この悪用問題については、悪さをしようという意図を持って、悪さをしようとしたとき

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には、携帯電話やネットの武器としての威力は強く、自明であって、その問題はもはやあまり学問上の議論にもなっていないと思います。人を殺そうと思っても、腕力がないなどで殺せなかった人も、銃があれば殺せるようになるのと同型の問題と言えます。

問題になりますのは悪影響問題のほうだと思います。メディアの提供者が悪さすることを意図していないにもかかわらず、悪い副作用が起こるかという問題でもあります。先ほどC委員からも、本当に影響があるのかという疑問のご発言がございましたけれども、やはり影響がないのではないかという意見や議論もいろいろ出てきまして、そのため、学問上の論争にもなってきたわけでございます。結果はかなり複雑でして、単純ではない状態にあります。

先ほどD委員からもお話がありましたけれども、かつてから暴力シーンなどについてテレビの影響研究がアメリカを中心に行われてきたわけであります。これは、悪影響があるというのとないというので大変な議論がありましたけれども、現在では、悪影響があるかないかと言われれば確かにあるというのが、やはり私は支配的な見方だと思います。

ただ、この場合の悪影響というのは、あくまで暴力シーンは暴力を引き起こすリスク要因であるということで、それだけで何か暴力行動とか犯罪が起こるということではありません。数ある要因があって初めて暴力行為とか犯罪に至るのであって、その中の一要因であるということです。生まれ持った資質もあるでしょうし、親子関係などの生育上の問題もあったかもしれませんし、友人関係、さらにはそのときのストレスとか、いろいろなものが合わさって初めて暴力とか犯罪になるのであって、その中の一要因として暴力シーンが機能するのではないか、という考え方だろうと思います。

それから、そういったリスク要因として機能するにも条件があって、これにもいろいろなことが言われていますけれども、特にしばしば言われておりますのが、暴力が肯定的に描かれていて、暴力がよいものであるという価値観が学ばれてしまうような場合、こういったときに影響が強いのではないかということです。ほかにも、例えば同一化傾向の強い人とか、もともと暴力性が強かった人に悪影響が強いとか、周りにいる大人が暴力シーンに対する嫌悪感を持てば影響が小さくなるとか、いろいろな条件も言われていますけれども、肯定的に描かれているかどうかというのは重要な問題だと言われております。

性暴力についても、実際に加害者が性暴力事件を起こしてみたら、相手の女の子がメディアで見ていたような感じで喜ばなくて、意外に思ったという事例は聞かれるところです。

ポルノグラフィーの研究でも、とくに問題性があると指摘されているのは、単なるポルノ

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グラフィーではなく、加害者が被害者の女性に性暴力を加えるもので、さらに、性暴力にもかかわらず、最終的には女性がそれを受け入れてしまう、むしろ喜んでしまうというストーリーであって、これも暴力を肯定的に描くということにつながるものと考えられます。

もう1つ、メディアの依存の話も関心の強い問題だろうと思うわけでございますが、テレビとかテレビゲームについては、従来の研究については、それによって、コミュニケーション能力の低下や引きこもりなど、子どもの社会的適応性が低まるという研究結果は、私はあまり見られていないと思います。もともと不適応的な人がテレビとかテレビゲームをするようになるという結果が見られてきたと、私は認識をしております。むしろ、問題はインターネットで、それについて不適応が生じるということが今まで言われてきたように思います。やはり人とつながっていることの魅力が強いということかと思います。

ただ、従来はそれがかなり広い範囲に起こるのではないかというニュアンスであったのが、最近では限られた人についてのみ起こると考えられていると思います。つまり、従来、ちょっと麻薬中毒のようなイメージで語られたのが、今はアルコール中毒といいましょうか、アルコールは多くの人が飲みますけれども、中毒になる人は一部であるといった感じでとらえられてきているように私は認識をしております。

ただ、最近、オンラインゲームの普及が進んでまいりまして、ネットの中毒性とゲームのおもしろさが加味されて、これはより中毒性が強いのではないかという議論がございます。これについて、研究が望まれている状況にあるのだろうと思います。

これはD委員もおっしゃいましたけれども、この問題につきましては、詳細に、緻密に検討していく必要があるだろうと考えております。今、取り上げたのは幾つかのトピックをピックアップしたものでございまして、それだけでもいろいろな絡みがあり、これ以外にもさまざまなトピックがありますので、かなり複雑でございます。そして、メディアの弊害の問題ということになりますと、対策というときに、その中にはやはりメディアの自由を制約するようなことを検討する場合も出てくるだろうと思います。もし何らかの制約をするとなっても、不必要な制約はできるだけしないべきです。やはりメディアの豊かさとか恩恵をできるだけ残すというか、むしろ豊かなものにしていくことは一方で望まれるわけですから、不必要なことはしないようにすべきで、十把一からげの議論ではなく、詳細さや緻密さが必要だろうと思います。

このことに関連してもう一つ申し上げたいのですが、「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」ということですけれども、子どもはもちろん守らなくてはいけ

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ないのですけれども、子どもを守りさえすればメディアはどうなってもいいというわけにもいかないのでして、子どもとメディアの両方を守ること、これができれば一番いいのであって、そのために英知を結集する必要があるのではないかと思います。

【G委員】自己紹介、説明に十分な時間がないかもしれないと思い、1枚レジュメを用意しました。もう1つ、レジュメを用意したのは、私、あまり知られている人間ではないと思いますが、日本というか世界で最初に日本の子どもたちだけが手にした、「携帯インターネット」と私どもは呼んでいますが、電話とインターネットが合体した商品について書物を著しております。『ケータイ・リテラシー』といいます。この本は、携帯電話会社にとって気分を害するような内容だと思いますけれども、NTT出版が出してくれました。おそらく業界も私の言っていることを看過できなかったんだろうと推測しています。

さて、そういう仕事をしているメディアの研究者から見ますと、子どもへのメディアの影響というのは、個々ばらばらに論じられ過ぎている。現実の状況はそうなっていないというところに気づいて関心を持っています。子どもたちは、テレビはテレビ、ゲームはゲーム、通話は通話とか、そんなふうに思っていないんです。この委員会では現実に、僕らの少年少女時代にはなかった、情報メディア環境を統合的に生きているという視点をぜひ強調していきたいと思います。

実際に見ていますと、ペーパーメディアであろうと、ビデオであろうと、テレビであろうと、いろいろとそれで意識形成をしながら実際に行動に移す。「最適化」と我々は言っていますけれども、いつ、どこでも自分の行動を最適化する道具を手に入れて、そして行動する。その行動の中には、記録をとったり編集をしたりということもあるわけです。逆に言えば、その編集遊びをするために、いろいろないいことも悪いことも行動を起こす。行動を促す便利なメディアというところにモバイルインターネットの特徴があるいうことをどこかの機会に申し上げたいと思っております。

私は、主に携帯インターネットについて、キャンパスの外に出て一般のお父さん、お母さん方にわかりやすく、見なれている携帯電話ですが、この正体は今までになかったメディアの特性を持っていますということを、5年ぐらいずっと話してまいりました。そういう観点から、バイパス・チャンネルの形成という図を入れておきました。子どもはおもしろがってモバイルインターネットを使っていますが、実は本当のユーザーは子どもではなくて大人、保護者ではないか。子育てに責任を持つ主体をこの図の中央に置きますと、今までになかった、マスメディアの時代にはなかった情報メディア環境の特徴が見えてくる

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ということを言いたかったわけです。

この図で一つ申し上げますと、PlanとDoという単語が入れてありまして、内側にはDirect Communication、Contactという言葉が入っておりますが、内側のほうはメディアの特性でございます。モバイルインターネットのメディア特性です。これを使って情報行動といいますか、社会的な影響が出てくる行動も起こすことができる、それを促すことができる道具です。これが初めて子どもたちの手に渡ってしまった。PlanとDoと書いておきましたが、F委員の話を聞いていますと、悪影響問題がPlan、Direct Communicationのほうで、Doが悪用問題なのかなとも思ったりしながら、また議論をしてみたいと思っております。

こういうものを提出しましたのは、こういう会議では本当に自分の意見を述べる時間がないんです。重要なことですから、今後、意見交換したいと思って、そういう意味で材料を出したということも含んでおります。

もう1つ、インターネットというメディアですが、私ども専門家ぶっているわけではございませんが、半永久的イノベーションに近い進化を遂げていくと思っております。いい意味でも悪い意味でも人間と社会に大きな影響を及ぼします。メタファーによってつくられていくシミュレーションモデルの世界が中心になり、従来のマスメディアの機能が周辺に取り込まれていく、今までに見たこともないメディアの登場と僕らはとらえております。

こういうメディア、インターネットの基本的な理解について、どこかですり合わせをしなければいけないのではないかと考えております。例えば、私がバイパス・チャンネルの形成というこの図を使って、これは中心がインターネットなんですが、子どもの非行とか逸脱行動、あるいは犯罪について説明をし、議論をしているわけですけれども、インターネットというのは改めてこういうメディアなんだ、特に携帯インターネットというのは、見慣れているけれども、よく考えると今までになかった面を含んでいるということを、もうちょっと詳細に議論し認識することが必要と思っております。

この委員会では、私は3つほど主張したいと思っております。1つは、仮想世界をつくり出すメディアとしてのインターネット、これを改めて詳しく詳細に議論する時間を一度つくっていただければと思っております。それを前提にして、私どもが子どもたちを見ておりますと、パーソナルメディア、つまりインターネットとテレビ等マスメディアをもう既に融合的に使っておりまして、我々大人では考えられないコミュニケーション、情報行動をとるようになっていますので、実態についてもっと詳細に議論する必要がある。分かっているつもりで話し合っていると、話し合いのずれが大きくなっていくような気がして

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まいりました。

その上で、特に私が主張しておりますのは、子どもを守る場合に「だれが」という視点をもっと話し合うこと。また、ここに一つ抜けていますのは「何から」ということです。

コンテンツなのか、あるいは他人なのか、悪意の大人を含めた他人なのか、あるいは子ども自身なのか、子ども自身の心なのか、いろいろ考えてみなければいけません。この辺を整理しながら、何を何から、どう守るのかということについて問題提起をしていきたいし、皆さんのご意見も伺っていきたいと考えております。

【H委員】私は非行臨床を専門にやってきて、配布資料の事例は非常にしっくりきました。

最近は性非行少年や性犯罪者の治療教育をやっています。

実証データとしては、インターネットなどで性的刺激を求めることが性犯罪を促進するという確たる証拠は出しにくいと思いますが、実際にアセスメントをやったり、治療をやっていると、悪影響を実感するので、治療するときにはインターネット等で性的な刺激、バーチャルな世界をのぞくことはまず禁止をして治療に入るという約束をしています。それをしておかないと、もうざるのように働きかけの影響がどんどん、どんどん打ち消されて、全く改善しないということはすごく実感しているところです。

一方で、何人かの委員の方がおっしゃいましたが、はまっていく人たちと、そういう刺激を得ても別にはまっていかない、普通に生活できている人たちも多分いるんだろうと思います。私が見るのは、はまっていって危ないことをやってしまった人たちだけなので、そのあたりはきちんと区別する必要があると思っています。

今日の配布資料の事例のうち、その中のかなり多くの事例に関わったことがあります。

書かれているのはバーチャルのもたらす弊害についてだけですが、その背景としては、例えば暴力の被害者になっていたり、家族の中で情緒的なつながりが乏しかったり、ちょっとした器質的な問題があったり、さまざまな要因があると理解しています。それがなかなか、全体的に情報を出すことができないことが、機制が見えにくくなっていることの背景にあると思っています。

それと、今日の資料では、女子の非行というか性的逸脱行動をする、あるいは援助交際と言われるものをする子どもたちのことを、あまり取り上げていなかったような印象があります。一部に売春防止法の違反とかで成人男性のほうからは出ていました。児童期に攻撃的行動を示す少女たちが思春期になると、性的逸脱行動と薬物乱用が前面に出てくるようになります。青年期から成人期にかけて、男性では犯罪に向かうことが多いのに対し、

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女性では、自殺企図をしたり、うつ病になったり、精神科にかかるような内在化障害に入る人のほうが多いので、少女の非行問題は、社会的に問題には取り上げられにくいのかもしれません。しかし、この人たちが子どもを育てたり、家庭を担っていく上では、社会の中に暴力のサイクルを回していく中で果たしている役割は大きいと思います。無論、彼女たちの被害体験と加害体験をより少なくすることも重要な課題です。彼女たちも、ごく初期のころから携帯などのメディアを使って、暴力が肯定される世界に親しみ、その危険性と現実との違いを理解しないままに流れていっている女の子たちもたくさんいるので、そのあたりも視野に入れていただけたらありがたいと思っています。

つまり、どのような場合に、どのような人たちに、どのような弊害があるのかをきちんと押さえていく必要があるということにつながると思います。それに対してどういうふうに対処していくことが現実的なのか。単に規制ということではなく、メディアリテラシーのような教育の仕方、例えば性的刺激を使ってマスターベーションすることを禁止した場合にも、どうしてそれが危ないのかということを一緒に話し合って、納得していくと、「やり過ぎると危ないというのがよく分かったから、今、減らす努力をしています。」というように、自分で衝動と欲求のコントロールができるようになって、そうすると現実感が出てきて変わってくるということがありますので、教育や文化や社会を含めて、全体的に現実的な対処方法を考えていけたらいいと思っています。

【I委員】私は教育方法学というジャンルの研究者でございまして、主に新しい授業を開発する研究をしております。メディアリテラシーを一つのテーマにしていますが、ほかにも環境教育や、キャリア教育、食育、ディベート教育などいろいろな分野の授業をつくっています。

今日呼んでいただいたのは、教育の立場からどういうことができるか意見を述べよということかと理解をしておりますので、私のやっている取り組みについて2つ申し上げます。

1つは、テレビゲームについての授業です。寝屋川事件の少し前から取り組んでいるんですけれども、ゲームの依存とか中毒という問題で、子どもたち自身にそういった問題をきちんと考えてもらう必要があるのではないかということで、子どもたち自身にゲームにはまってしまう仕組みの分析を、KJ法を使い、カードで要素を並べて整理して分析するという活動をさせています。その上で、ゲームのつくり手の方々のお話をビデオ等で紹介しました。皆さんにおっしゃっていただいたのは、ゲームばかりやっていてもゲームは十分楽しめない、将来ゲームづくりの仕事をしたいなんていう子がいるかもしれないけれど

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も、ゲームばかりやっていてもゲームクリエイターにはなれない、そういうお話をしていただきました。

これはある意味のキャリア教育的な要素も含んでいるわけでございますが、子どもたちの中には、ゲームにひたすらはまって、将来はゲームの仕事ができればいいと何となく考えている者がいるわけです。こういう人たちがうまく社会に参加できなくて、引きこもってしまうことがなくはないのではないか。そういった問題に何とか対応したいという意識がありました。

その一、二カ月後に寝屋川で事件がございまして、当時17歳の少年が、小学校の卒業文集にゲームクリエイターだとか、ゲーム雑誌の編集者になりたいと書いていたことが報じられました。あれを見て、確かにバーチャル世界の弊害ということも言えるのかもしれませんが、そういった夢を持った小学生に対して教育は何もできなかったのかという問題も残るだろうと考えまして、メディアにかかわるキャリア教育というのでしょうか、そういう必要性を考えて、今、授業づくりの研究をしております。

もう1点でございますが、携帯電話とかインターネットにかかわる問題について、NHK教育テレビの番組づくりにかかわらせていただいております。一昨年、昨年の夏に25分番組を1本ずつ作って放送し、今、DVDにもなっているんですが、一昨年放送したのが「ネット社会の道しるべ」という番組、昨年が「ケータイ社会の落とし穴」という番組でございます。ドラマ形式で、数分間のドラマを子どもたちに見てもらって、そのドラマを見て周りの人と話し合ってもらうという教材になっています。ポイントは、少し愚かな子どもを主人公にドラマを作っているところでございます。

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