Malt?
グレンキンチー
最終更新:
malt
Glenkinchie グレンキンチー
Glenkinchie グレンキンチー10年
いつでも美味しい。明るくていい奴。
あらゆる面で中庸なローランドモルト。ボトルやラベルも含めてケレン味がなくスマート。ローランドって都会に近いんだなあと思う。
私はこれをソーダ割りにして飲むのが好きだ。特にクラッシュアイスにして飲むのがいい。クラッシュアイスは溶けるのが早い、おまけにソーダ割りときては元の味わいが分からなくなるのではないかと心配されるかもしれない。確かに、そんなことは安いブレンデッドウイスキーでやればいいのかもしれない。シングルモルトでやるというのだからこれは過剰だ。しかもわざわざクラッシュアイスにするというのだから二重に過剰だ。
なぜ、そこまで、このローランドモルトに過剰になるのか。
そのまま飲んでももちろん美味しい。ローランドらしい好い意味での軽さ、緑の丘に咲く花の香り、丘を駆け回った初恋の頃の記憶。閉鎖が相次ぐローランドの蒸留所の中では品質も流通量も安定していて、手に入れることに関して神経質さがない。しかし「受け入れ安さ」と「安定した量」こそは近代工業の印ではなかったか。豊穣を喜ぶ過剰さとは対極にあるもの。だからこそ私は、この「良くできた」ローランドモルトに残された過剰さの刻印を拡大しようとしているのだと思う。
誤解のないように繰り返しておくが、グレンキンチーはそのまま飲んでも、もちろん美味しい。いつでも美味しい。