Malt?
ブルイックラディ
最終更新:
malt
ブルイックラディ BruichLaddich
(カタカナ表記は諸説あり)
最終更新2007-10-15
エメラルドブルーの入り江 |
ブルイックラディ蒸留所は2006年1月にアイラ島の蒸留所を巡った際、最も印象的な蒸留所だった。同蒸留所から巡行を始めたのは幸運だった。アイラ島の生活とアイラのモルト作りの全てがあったからだ。
ブルイックラディのボトルはエメラルドグリーンのシールやラベルが施されている。この色は同蒸留所から近い入り江の色だそうだ。
そう聞いて我々はその色を確かめに行った。島で唯一外洋に面した入り江。そもそも全ての道が行き止まりで終わっている島だが、気候に恵まれないが故に道は稀だった。てんでばらばらな道の断片を繋ぎ合わせながら我々はどこかの方向に進んだ。いよいよ目前に道が途絶えた時、急に苦しくなった。息が出来ない。どのくらい立ちすくんでいたのか、時間も途絶えたようだ。
白い砂浜に続くエメラルドグリーンの入り江と鉛色の低い空、そこが「世界の果て」だった。果ての向こう側を覆う巨大な虚無が、所々で顔を出す。我々はあまりに不用意だった。禁忌すれすれの場所だった。我々は足早に逃げ帰った。