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ユングと密教
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hibiki
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ユングという精神科医(あるいは精神科学者)がいる。彼は彼の科学を突き詰めた結果、科学というにはあまりに神秘的な世界に行ってしまって、未だに評価が定まらないというか、不思議ちゃん扱いである...
この世界ではユングが不思議ちゃんの巨塔であるとすると、ライヒは不思議様の金字塔かもしれない。いや、不思議の世界となるとライプニッツの方が更に上手か。
閑話休題。
そのユングの思想の根幹を成すのは「集合的無意識」なるものであるそうだ。どうやらこれは曼荼羅の世界観に近いのではないかと思って探すと、彼は曼荼羅について一冊の本を上程している。目次を見た限りでは、彼は曼荼羅と密教というものはチベットのものだと理解していたようで、インドやチベットの曼荼羅についての言及しかない。佛教はインドとイスラムとギリシャが出会ったあたりで興り、やがて釈迦信仰を超えて大乗仏教となり、陸伝いに中国に伝わる過程で密教が生まれ二派に分かれたものが、中国で廃佛が吹き荒れる直前に両方とも空海という僧に伝授され、高野山で完成された(一方の小乗佛教は海伝いに広がったが、イスラム教が後から色を塗り替えた具合になっている)という説は知らないのかもしれない。知っていたら調べずにはいられなかった筈だと思う。
そんなことを思いながら、今はこれ以上追う余裕がない。いずれ読んでみたいと思う。
なお、訳者であり、ユングの研究者である林道義という人は、もと学生運動の幹部という面白い経歴を持つ人である。