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戰に敗れるといふのはかういふことだつたのか
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hibiki
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國語問題協議會「福田恆存先生顯彰頁」より転載
かうして幾多の先學の血の滲むやうな苦心努力によつて守られて來た正統表記が、戰後蒼惶の間、人々の關心が衣食のことにかかづらひ、他を顧みる餘裕のない隙に乘じて、慌しく覆されてしまつた、まことに取返しのつかぬ痛恨事である。しかも一方では相も變らず傳統だの文化だのといふお題目を竝べ立てる、その依つて立つべき「言葉」を蔑ろにしておきながら、何が傳統、何が文化であらう。なるほど、戰に敗れるといふのはかういふことだつたのか。
―――『福田恆存全集』第四卷、「覺書」終節
―――『福田恆存全集』第四卷、「覺書」終節