響きblog
脂肪肝
最終更新:
hibiki
-
view
肝臟に脂肪がたまると脂肪肝
contents
どんな病気ですか?
- 脂肪肝
- 肝臓に中性脂肪がたまった状態で、肝臓の肥満症です。
- アルコール性の場合は、放っておくと肝硬変に進むこともあります。
肝臓に中性脂肪がたまる
皮下や内臓に中性脂肪がたまると肥満になりますが、肝臓にたまると脂肪肝になります。
肝臓がフォアグラのような状態になったといえば、わかりやすいかもしれません。
健康な肝臓でも3~5%の含んでいますが、5%を超えた場合を脂肪肝といいます。
脂肪肝になっている組織を顕微鏡で見ると、肝細胞内に球状の脂肪(脂肪滴)が異常に増えているのがわかります。
正常な肝臓の脂質は、約3分の2がリン脂質で占められ、主に細胞の膜を構成し、残りの約3分の1がコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸になっています。
ところが脂肪肝では、中性脂肪が異常に増加して大部分を占め、コレステロールやリン脂質が蓄積することはほとんどありません。
脂肪肝は、年代では30~70代に多く、男性では40歳前後、女性では40代以降の中高年に多発しています。
性別では、男性の方が多く発症しています。
性別では、男性の方が多く発症しています。
症状
倦怠感や疲労感がある
肝細胞が脂肪でいっぱいになると細胞がふくらんで肝内の血管が圧迫され、肝臓内部の血液の循環が悪くなり、それに伴って肝機能が低下していきます。その結果、からだがだるくなったり、疲れやすくなったりします。しかし、多くの場合、初期の自覚症状はなく、会社の健康診断やほかの病気の検査を受けて偶然発見される場合がほとんどです。
種類
重症になるタイプもあります
脂肪肝で多いのが、肥満を伴うもの、糖尿病に合併するもの、多量の飲酒に付随するものです。
肥満の人と糖尿病患者の約50%、多量の飲酒をする人の約80%が脂肪肝にかかっています。そのほか、ステロイドなどの副作用による薬剤性、極端な飢餓や拒食症による栄養障害もあります。
特殊な場合として、妊娠末期の急性脂肪肝やライ症候群に伴う脂肪肝もあります。
特殊な場合として、妊娠末期の急性脂肪肝やライ症候群に伴う脂肪肝もあります。
栄養過多によるものでは重症になることはありませんが、ほかの原因の場合は、黄疸など重篤な肝障害を起こす場合もあります。
原因
脂肪代謝に異変
脂肪肝の3大原因は肥満、酒の飲みすぎ、糖尿病です。ただし、肝臓に脂肪がたまるメカニズムは複雑です。肝臓はよく人体の化学工場といわれます。人が生きていくうえで必要なエネルギーや物質をつくったり、不要となった物質を解毒したりするからです。こういった機能を代謝といいます。
例えば、食物から取り込んだ脂肪酸を肝臓で人の利用できる型の中性脂肪に変え、血液を通じて全身に運び、エネルギー源としたり、各臓器の材料にします。逆に全身の脂肪組織から血液中に放出された脂肪酸を取り込み、中性脂肪に変えて再利用します。
このように肝臓は食物から摂取する脂肪や全身の脂肪組織から運ばれてくる脂肪、肝臓自身が合成する脂肪で、いつも脂肪まみれで働いているといえます。肝臓が正常に機能していれば、問題ないのですが、食事から摂取する脂肪が増えたり、肝臓自身の過労や病変で機能が低下すると、全身から運ばれてくる脂肪酸を処理する力が落ち、あっという間に脂肪がだぶつき始めるのです。
不摂生をすると1~3ヶ月で発症
どれくらいの期間で脂肪肝になるかというと、しょっちゅう暴飲暴食をする人の場合、1~3ヶ月で発症するといわれています。よく混同されるのですが、脂肪分の多い食品を我慢すれば脂肪肝にならないというわけではありません。
糖質やアルコールも脂肪酸のりっぱな原料です。したがって肝臓の処理能力を超えた食べ方や飲み方は確実に脂肪肝につながると思って間違いありません。
肝臓の処理能力は人によって個人差があります。また疲れている時、治療薬を飲んでいる時などでも違ってきます。
手術や輸血でなることも
栄養過多以外による脂肪間として、先に飢餓による栄養障害をあげましたが、その原因は次のようなものです。
肝臓で合成された中性脂肪が血液中に放出されるときは、必ずある種のタンパク質と結びついてリポたんぱく(主に超低比重リポたんぱく=VLDL)という物質になって出て行きます。したがって極端な栄養障害でタンパク質が不足してくると、脂肪と結びつくタンパク質も足らなくなり、リポたんぱくがつくられにくくなります。その結果、徐々に行き場を失った脂肪が肝臓にだぶついてくるのです。
不規則な食生活だけでなく、病気の治療後に脂肪肝になることもあります。肝臓や膵臓を手術した後、ホルモン分泌のバランスが崩れ、一時的に血中の脂肪酸が増えた時や入院中、食物の経口摂取ができず、長期間にわたって高カロリー点滴を行ったりしたときも
脂肪肝になることがあります。ただ、いずれも治療で治りやすい脂肪肝です。
脂肪肝になることがあります。ただ、いずれも治療で治りやすい脂肪肝です。
検査
血液検査と超音波検査
通常は健康診断で血液検査・尿検査を行い、明らかに異常がある場合、または疑わしい場合に、肝臓の超音波(エコー)やCT(コンピューター断層撮影)による検査を行います。
エコーによる脂肪間の検査では、モニター画面にギラギラと白く輝く特徴的な肝臓が映りますので、判定は簡単につきます。また、CTでは、脂肪肝の人の肝臓は全体に腫大して、正常と比べると黒っぽくなるのが特徴です。
目安となるGOTとGPT
血液検査をしたことのある人なら一度や二度は、肝機能の目安となるGOTとGPTという言葉を聞いたことがあるでしょう。どちらも肝臓の中にある酵素で、肝臓が化学工場として働く際に、触媒として活躍する物質です。
肝臓は脳や心臓と違って再生のきく臓器で、常に旺盛な新陳代謝を行っているので、通常も少量のGOTやGPTは血中に流れ込んでいます。
正常値はGOTが8~40lU/リットル、GPTは5~35lU/リットルの範囲内です。これが異常に高い値のときは肝障害が疑われますので、追加の血液検査をし、エコー検査をして診断を確定していきます。これらの検査でも診断がはっきりしない時はCT、あるいは肝組織の病理検査(肝生検)をすうこともあります。
脂肪肝の場合は、GOTとGPTが軽度の異常であることが多く、GPT値がGOT値よりやや高くなります。ウイルス性肝炎の場合は、GOT値やGPT値の変動幅が大きく、すぐ見分けがつきます。
アルコール性は肝生検も行う
肥満による脂肪肝は、血液検査と超音波検査でほぼ診断できます。
一方、アルコール性の脂肪肝は性質が悪く、飲酒を続けると肝臓に線維が増える肝線維症、さらに肝硬変と進みます。そこでその兆候があるのか、針を刺して肝臓の細胞を採取し、顕微鏡検査をする肝生検を行うこともあります。
一方、アルコール性の脂肪肝は性質が悪く、飲酒を続けると肝臓に線維が増える肝線維症、さらに肝硬変と進みます。そこでその兆候があるのか、針を刺して肝臓の細胞を採取し、顕微鏡検査をする肝生検を行うこともあります。
治療と予防
食事療法が基本
エネルギー制限
栄養過多や肥満に伴う脂肪肝では、薬による治療より、減量を目的とした食事療法に重きをおきます。低脂肪・高たんぱくのメニューを心がけます。
所要エレルギーの出し方
治療のために1日に必要な摂取エネルギーは、標準体重を割り出し、25KCalをかけた値を目安として使います。
[例]身長が170cmの人の場合
(170-100)×0,9=63kg(標準体重)
63×25=1,575KCal
この数値が療法中の1日のエネルギー摂取量です。標準体重の出し方には数種類ありますが、脂肪肝の場合、上記のブローカの変法が一般的です。
通常の大人の所要量は1,800~2,000kCalぐらいですから、ちょっと我慢がいるという印象をもつかもしれません。
運動療法
脂肪肝では食事で入ってくるエネルギーを制限すると同時に、運動でエネルギーの消費に努めます。通常のダイエットも同じことです。しかし、むやみに激しい運動をしても効果はあがりません。
最近テレビなどでも、よくいわれている有酸素運動(ウォーキングやゆっくりしたリズムのエアロビクスなど)を1日30分~1時間くらいするのが効果的です。激しい運動は(無酸素運動)は短時間で終わるため、肝臓の脂肪がエネルギーとして使われることがないからです。
人のエネルギーの使い方は一定の順序があります。運動の初期は肝臓に貯蔵されたグリコーゲンが消費されます。運動の種類にもよりますが、これを使い切るには20分かかります。そのあとに皮下脂肪や肝臓にたまった脂肪が使われます。ですから最低でも30分~40分できれば1時間継続できる運動が必要です。ウォーキングが最適で、早足でできれば毎日、最低でも1日おきに8,000歩から1万歩も歩けば、徐々に肝臓の脂肪がなくなっていき、早ければ1ヶ月ほどで完治します。
アルコール性は禁酒が原則
アルコール性の脂肪肝の治療は意外と大変です。というのも飲酒の習慣はその人の生活と密着しており、変更するのが難しいからです。例えば接待の多い営業マンや、晩酌でアルコールを欠かせないという人は、つらい思いをします。アルコール性の脂肪肝は肝硬変まで進み、死に至ることもあるということをよく理解してもらい、禁酒に努めれば1~3ヶ月で肝機能の数値は正常に戻ります。
仕事上あるいは好きでどうしてもやめれない人や、1~2杯は大丈夫と妥協する人は、その分、回復に長い期間がかかります。
また、そのように妥協する人のなかには、自分でも知らないうちにアルコール依存症(アルコール中毒)になっている場合があり、注意が必要です。
糖尿病などの基礎疾患を治す
内分泌性、飢餓、拒食症などによる脂肪肝はそれぞれ基礎疾患や生活環境、心の持ち方の改善をしなければいけません。それも早急の治療が必要です。治療が遅れると、より重い肝臓病になる可能性が膨らむからです。
太りすぎに注意
過食・肥満が最大の原因ですので、太らないことが脂肪肝の予防としては極めて有効です。
食事の仕方を工夫して予防
通常の食生活を無理に変えなくても、ちょとした工夫でエネルギーの吸収を抑えることが出来ます。
[食事は一定の時間にとる]
ダイエットのために朝食を抜く人がよくいますが、その分、腸での吸収率が高まり、期待したほどダイエット効果は上がりません。無理に体重を落としても、結局長続きせず、リバウンドですぐに元の体重又はそれ以上になります。何度もダイエットを繰り返していると、内臓に脂肪がつきやすくなります。
ダイエットのために朝食を抜く人がよくいますが、その分、腸での吸収率が高まり、期待したほどダイエット効果は上がりません。無理に体重を落としても、結局長続きせず、リバウンドですぐに元の体重又はそれ以上になります。何度もダイエットを繰り返していると、内臓に脂肪がつきやすくなります。
[時間をかけてゆっくり食べる]
食事を始めて十数分すると、腸から吸収された糖が血中にあふれるようになり、それを脳の満腹中枢が感知して、満腹感は起こります。その前におなかいっぱい詰め込めば、余計なカロリーを摂取してしまうことになります。早食い・ドカ食いの人に肥満が多いのはこのためです。
食事を始めて十数分すると、腸から吸収された糖が血中にあふれるようになり、それを脳の満腹中枢が感知して、満腹感は起こります。その前におなかいっぱい詰め込めば、余計なカロリーを摂取してしまうことになります。早食い・ドカ食いの人に肥満が多いのはこのためです。
[食物繊維の多い食品をいつもとる]
ゴボウなどの根菜やヒジキなどの海藻類、こんにゃくなどに多く含まれる食物繊維は、腸でコレステロールを吸着して、からだの外に排泄してくれる作用があります。その分、肝臓に運ばれる脂肪が少なくなり、脂肪肝の予防に効果的です。
ゴボウなどの根菜やヒジキなどの海藻類、こんにゃくなどに多く含まれる食物繊維は、腸でコレステロールを吸着して、からだの外に排泄してくれる作用があります。その分、肝臓に運ばれる脂肪が少なくなり、脂肪肝の予防に効果的です。
運動を心がける
運動の時間が取りにくい人は、通勤を利用してなるべく歩くようにしましょう。主婦の場合は拭き掃除や庭の手入れなどを運動代わりにのもよい方法です。要は軽い運動を長時間続けることです。
添付ファイル