全部2


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  • 第7章「赤毛のギャラクシー」
ここは、かの有名なお台場。私はゆりかもめに乗り、青海を目指していた。
今日も空は蒼い。テレコムセンターを通り過ぎた。次の駅が青海だな。腕時計の短針は3を指している。
海が見える。とても綺麗だ。光が反射して眩しい。秋だが半袖を着ている人もまだいるこの時期。ちょっと暑いくらいだな。
ビルが合間を次々とすり抜けている。被害を最小限にせねば。
私の目的は、巨大な観覧車が有名なデートスポット。パレットタウン。あそこに奴らが来る。だから、止めに行くのだ。
前に一度、たまたまプライベートで観覧車を乗りに来たことがあった。そこで、たまたま奴らと遭遇した。何とか追い払うことは出来たが、「3日後に同じ時間にまた来る。」とだけ言い去っていった。
今日がその三日後のその時間なのである。奴らに時間の概念なんてあるのか?まぁいい。来たら倒すだけ。
赤毛の女性はゆりかもめが止まると同時に立ち上がった。背丈は180cmはあるだろうか。すらっとした体型に薄めのロングコート羽織ったなんとも優雅な気品があふれる容姿。もちろんサングラスは装備されている為、素顔は分からない。
一言で言い表すなら、マトリックスのトリニティーである。そんな格好だった。
「さぁて。どこに居ますやら。」ゆりかもめが通り過ぎる。一点の曇りも無い透き通った声の赤毛の女性は見渡しのいい所から、パレットタウンを見ていた。
すると、一人の男性がベンチから立ち上がり、読んでいた新聞をゴミ箱に詰めた。周りには誰も居ない。
「やはり、あなたでしたか。」振り返りざまに一蹴り。距離を縮めていた男は吹っ飛んだ。プラスチック製の化合樹脂で出来たホームの仕切りを破って線路に飛び出た。
無言で走り、畳み掛けるかのように跳び蹴り。しかし、轟音虚しく、着地をした地点には誰一人居ない。
後ろを振り返ると男が首を曲げて立っていた。どうやら最初の蹴りで、首が逝ってしまったらしい。
「ちっ。プロトタイプのくせに。」女性がライオンのような声で罵声を放つ。
だからどうした。とでも言っているのか、男は無言で逝っている首を直した。きしょく悪い音が響く。
「ふぅん。その程度か。」そう言い放つと男は短くも大きな音で口笛と吹いた。
「保険は賭けておくべきだからな」
直線上に伸びた線路を10メートルほどの間隔を空けて二人は睨み合った。
「後五分で電車が来る。それまでに決着を着けなければな。」後この声が響く。
対して赤毛の女性は、両足を肩幅まで広げ、右手で剣を持ち、左手でその刃の付け根を隠すかのように目の前でポーズをとっていた。
そのとき、女性の背後から一陣の風が引き抜けた。かなりの強風、海が近いから当たり前?いや、海の潮風とは全くことなる風。殺気が入り混じっている風。
女性の赤い髪がばさばさ鳴っている。
ふっ。一瞬、風が止んだ。
「出でよ。我が聖剣。デュランダル。」囁く様に一言。それと同時に隠すように置いていた左手を左に伸ばしていく。
するとどうだろうか。いままで何も無かった空間に、女性の右手の先に青白い炎と共に剣が姿を現した。
美しい直線。見惚れてしまうほどの美しさ。優雅さ。気品に溢れている。たかが剣一本なのに。
剣を出し切ると、炎が止んだ。無風で果てしない渺茫な草原の様だ。女性が剣を右に薙ぎ払うと、清音をたて剣が空気を切っている。
夏の夜に風鈴を鳴らしているかの如く。その気品は言うまでも無い。
「デュ、デュランダルだと!なぜおまえが伝説の武器を召還できる。」
 そもそもデュランダルと言うのは、中世ヨーロッパのフランク王国で、シャルルマーニュに忠誠を尽くした騎士ローランが愛用した名剣。
 その柄は黄金で出来ており、柄の中には、聖ペテロの歯、聖バジールの血、聖ドニ上人の遺髪、聖母マリアの布、といった、キリスト教にとっては尊い聖遺物が納められている剣である。
「一様、波動使いでね」
剣を右手に一気に距離を詰める。目の前の男は動こうとはしない。動けに分けではないのに動かない。男を切り裂こうとしたが背後に気配が現れ咄嗟に踏みとどまり振り返り剣でガードした。
鉄と鉄をぶつけるよりも何倍かクリアな音がした。後ろにはもう一人の男。背は160くらいだ。
「2対1か。」顔をしかめてしまった。いつの間にかサングラスは無くなっており、気品溢れる凛々しい顔立ちが覘く。
腕の時計を見る。電車が来るまで後、2分程しかなくなっていた。ホームにもだんだんと人が集まってきた。
早く終わらさないと。構える。前後から2人同時に攻めてくる。
電車の到達時刻は刻一刻と迫っている。

  • 第八章「誕生」
俺は危惧していた。
無論、俺の運命についてである。
俺は奴等、「組織」の壊滅を目的としている。
無論、俺の中に燃える正義に依る物である。
俺は、力を持った。
無論、俺が持ちたいと思った訳じゃない。

なんつってな。
あれから、もう一ヶ月くらい経つだろうか、警察の二人からも何の音沙汰もないし、実際の俺は気も抜けて、すっかり一高校生に戻っていた。
一度だけ日本政府から俺宛に一通の手紙が届いた。保険に入ってるかとか、死亡時の準備は出来ているかと言った、いかにもな内容だったが、俺はそれを親に見せずに焼却した。
俺は死なない。確信があったからである。
もう書き飽きた、何ともない日常だった。非日常への入り口は日常の中に、だ。
恒常的な出来事は、人間の脳には記憶されないらしい。俺は昨日の晩飯の事を思い出しながら家路についていた。
ああ、俺には姉がいる。おっとりお姉さんを絵に描いたようなおっとりだ。その割には何でも分かっている、不思議な女性だ。弟の俺が言うのもアレだが。
残念ながら、髪がピンクだったり、専属の庭師がいたりはしない。無論、幽霊でもない。
家に帰ると彼女(姉である。一応な。)が迎えてくれる。ニートな訳じゃないぞ。ただ、暇が多いだけだ。
「今日の晩ご飯は私が用意したのよ」
帰宅して、まだ午後になってから五時間しか経っていないというのに、姉は熱心に夕飯を勧めてきた。姉は料理が上手い。
論せずとも、今日の晩飯は非常に美味しい物だった。この楽しく、また微笑ましい(姉が)時間は、ふと付けたテレビによって有終を迎えた。
「ねえ、またこれ作ってもいいかなあ。ねえってば」
俺は答えなかった。テレビに熱中していたからである。バラエティなんかじゃないさ。
「緊急放送!繰り返します!現在、お台場ゆりかもめ、青海駅付近で未知の生物が激しく対抗しています!」
未だブラウン管のテレビに映るリポーターの奥に映る、非現実的な光景に、俺が、いや、姉以外の全世界が震撼しただろう。
新しい世界の誕生だった。

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