圖書舘の闇@Wiki 書籍1

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なんでも批評板1

No.0「絵画の楽しみ方ガイド」 太田治子著 成美堂出版

DG-Law 絵画

数多くの絵画入門書をこの場で紹介してきたわけだが、図版が多くていいなと思ったのはこれ。全面カラー。しかも学術的に書いてあるわけではないので、ずぶの素人でも全く問題無く読める。まさに万人向け。しかもきちんとポイントは抑えてある。とりあえず、この本をかかえていけば美術館で赤っ恥をかくのは避けれる、という感じ。

逆に言えば、大学生が読むにはなんだか気恥ずかしいかもしれない。自分は恥ずかしがらずに、わからない分野についてはこういう一般向けの本から入るのは全然問題無いと思うし、そうしているが、人によっては気になるレベルだろう。ものすごく平易な言葉で書いてあるので、知ってるよそんなこと、とつっこみを入れたくなったり、冗長な説明に飽きてくるかもしれない。

もう一つの欠点として、扱っている年代は19世紀以降がほとんどである。しかも、中途半端に東洋は葛飾北斎だけ。「絵画」と銘打ち、表紙にも全部扱ってますよという雰囲気を漂わせておきながらこの範囲の狭さは無いだろう。その分一人一人がしっかり説明になっていると言えば聞こえはいいが&とりあえず、さっぱり絵画はわからないけど美術館で恥かきたくない人にお勧めしておく。

内容    ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
お勧め度  ☆☆☆


一冊でわかる絵画の楽しみ方ガイド―印象派、写実主義から抽象絵画、シュルレアリスムまで

No.1「反社会学講座」パオロ・マッツァリーノ著 イースト・ブレス発行

DG-Law 社会学

社会学、というのはあらゆる場面において人気の学問だ。一見して実学に見えるせいか、大抵の大学の文学部において、心理学と一、二を争う競争率を誇る人気学科である。また、マスコミの世論を誘導しているのもこの学問だ。逆に言えば、それだけ慢心しているともいえる。それは、オタクをやっている皆様ならひしひしと感じることができるだろう。社会学者が、真実とは別に「ゲームが社会に悪影響を及ぼしている」といえばそれが世論になる。ゲーム脳なんていい例だ。本来社会学も心理学も、実学ではない。法学にどれだけ詳しくても、実際の裁判になれば研究者よりもベテラン弁護士のほうが強いのと同じ理屈で、あくまで文系の学問である。そこを勘違いしている輩が多い、というよりも、世間がそう誤解している。

そういった内情を知っている関係で、自分は社会学が嫌いだった。そこにつけいったかのように私に衝動買いさせたのがこの「反社会学講座」である。「フリーターは悪くない」「日本ほど若者がいじめられている国は無い」「日本人は昔から勤勉というわけではなかった」など、発言は過激だ。社会学的手法を用いて、現状の社会学がいかにいい加減な学問をやっているかを、また社会の悪習がいかに悪影響を与えているかを、皮肉をたっぷり込めて描いている。読後の爽快感は、それらに対して抱いている怒りが強ければ強いほど大きいだろう。

だが何より、他の学問系の書籍と違い、きちんと笑いをとろうという姿勢が見られることが、この本の最も評価すべきところではないだろうか。そのゆえに、非常に読みやすい文章となっている。ただ、笑いをとるためにけっこうマジメな論説を削ってしまっているのが惜しい&というのは要求のしすぎというものか。

なお、この「反社会学講座」はネットで連載したものに新たなデータを加え加筆修正したものであり、古いデータのもので良ければネットでタダで読める。ためしに読んでみてもいいかもしれない。また、攻撃された社会学者たちの反論もあり、著者がまだ新作を書いていることもあり、これからも議論を呼びそうだ。

反社会学講座 http://mazzan.at.infoseek.co.jp/index.html

内容    ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
お勧め度  ☆☆☆☆☆


反社会学講座


No.2「風の歌を聴け」村上春樹著 講談社文庫

kome 現代文学

村上春樹のデビュー作。群像新人賞受賞。
軽快なタッチの青春物語、らしい。演出が巧みで随所に仕掛けがしてある、と思う。登場人物の視点や時制、そして作者自身と思わせるような意見が入り乱れており、酒が入ったときに電車内で読むと(そんな限定的な読み方はしない人が多いでしょうが私にとっては日常なので)絡繰りに気づかず淡々と話が進んでいくので、まるでラジオを聞いているかのよう。

文庫で155ページと結構短いのでちょっとした空きコマ一つの内に読めますよ。
というか誰かこの本の解説をしてくれぃ。

内容    ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆
お勧め度  ☆☆☆☆

風の歌を聴け


No.3「中欧怪奇紀行」 田中芳樹・赤城毅著 講談社文庫

DG-Law 評論

中欧というのは定義が非常に難しい。自分自身の定義ではポーランド・ハンガリー・チェコスロヴァキア・オーストリアがそうである。この本では、ライン・ドナウ線の広い範囲、すなわちドイツからバルカン半島の北部まで全域を中欧と定義している。内容は、大学教授と小説家による中欧に伝わる怪奇について対談であり、1章はドイツ北部、2章は3大モンスター(人狼、吸血鬼、フランケンシュタイン)、3章はロマンス街道とドナウ川流域、4章はライン川とローレライという構成。これに加えて二人の小説が挟んである。

ところが、その内容は怪奇について語っているというよりも、「ドイツ中心欧州旅情」といった色彩が強い。本を読む限り、対談をしているこの二人、相当ヨーロッパへの造詣は深い。にもかかわらずこの二人が知恵を振り絞ってもほとんど怪奇になっていない。本人達自身、「神秘はあれど怪奇はなし」という結論にいたってしまっている。

ということは、そもそもヨーロッパ人、あまり怪奇を描くのが得意でないということだろう。惜しいことである。材料はそろっているのに。むしろ、それを材料にしてうまいこと書くのは日本人なんだ、ということがわかっただけ、収穫であろうか。

無論、内容はそれなりに豊富で、おまけの小説二作もかなりおもしろい。怪奇はもとより、欧州について詳しくなれることは請け合いだろう。自分自身ヨーロッパ旅行のとき、ライン川を見て感動した。

なんだかやや批判的な内容説明になってしまったが、悪い本ではない。あんまり売れてないので、探すのがやや難しい。自分はどうしても読みたくて探し回った挙句、Book1stでようやく発見した。読みたければ貸し出すので連絡を。


内容    ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
お勧め度  ☆☆☆


中欧怪奇紀行


No.4「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 村上春樹著 新潮社

あか 現代文学

 『ハードボイルド・ワンダーランド』と『世界の終り』という二つのストーリーが交互にえがかれていく村上春樹の長編小説。
《ハードボイルド・ワンダーランド》
 暗い洞窟を越えた先にある研究所で、ひとり奇妙な研究にふける謎に満ちた「博士」から仕事の以来を受ける主人公。一角獣の頭骨や博士の研究をめぐって巻き起こる「記号士」たちとの争い、博士救出のための「やみくろ」巣食う暗黒の地底をめぐる冒険、そして博士が主人公の無意識の核にほどこした『世界の終り』と呼ばれる思考回路&&。事件の核心を解き明かしていくパート。

《世界の終り》
 高くそびえる塀によって周囲を囲われた、『世界の終り』と呼ばれる町。中央には天を突くような時計台があり、そして広場には一角獣が集う。「影」を奪われた主人公は「夢読み」として町に馴染むかたわら、「影」はこの不自然な町からの脱出を企てる。心の無い少女、門番、大佐、発電所の管理人など、町を構成するさまざまな住民&&。『世界の終り』の成り立ちを探るパート。

 「面白くえがく」と言うことは小説には絶対に必要なことだと思う。つまらない小説になんてあまり価値が無い。そういう意味でも、この作品はとても面白く書かれている。そしてそれ以上に、深い示唆が含まれている。600ページを超える長編なので、気軽にオススメというわけにもいかないけれど、興味のある人はぜひ読んでみてください。



世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド


No.5「怪奇探偵小説名作選-4 佐藤春夫集」 佐藤春夫著

あか 現代文学

 「西班牙犬の家」、「指紋」、「美しき町」など、佐藤春夫の代表的な探偵・幻想小説がおさめられている。
 個人的に一番好きなのは、何百年後かの未来都市を描いた「のんしゃらん記録」。徹底的な階級制度のしかれた「のんしゃらん市」では、貧しきものは日の当たらない深い地下での生活を余儀なくされている。聞こえてくるのは無意味なラジオ・ニュース、口に出来るのは食用瓦斯(ガス)ばかり。そんな絶望的な状況に住む人たちの耳に、ある日「慈善デー」のニュースが飛び込む。普段日の光と空気とに欠乏している地下住民たちに、特別半日だけ地上の広場が開放されるというもの。主人公を含む大勢の地下住民は、それを聞き迷うことなく地上へと上っていく。しかし「慈善デー」の目的は別にあった。それはすでに何世紀も前に地球上から死滅してしまった「植物」を、彼らの肉体を使って再び地上に蘇らせることだった&&。

 ちなみにこの作品が出来たのは1928年。その時代にこういったSF的作品が作られたと言うことが、なんだかとても実感として湧かない。面白いので、ぜひ読んでみてください。



怪奇探偵小説名作選-4 佐藤春夫集




No.6ダヴィンチ・コード」ダン・ブラウン著 角川書店発行(randomhouse,doubleday)

DG-Law 海外小説

これほどおもしろいミステリー読んだことが無い。すごくおもしろい。内容は濃いし、意見は過激だし。単なるサスペンスものとしても世界が緊張に満ちていて興奮冷めやらない。特に、キリスト教に興味があるなら、読まないのは一生の損と断言できるレベル。ただし、物語をわかりやすくするために、多少強引に議論を進めている点があるため、全部鵜呑みにしてはならない。あと、ラストがいまいちわかりづらいので(というか完結してない)、そういうのが嫌いな人は最後に落胆するかもしれない。できれば解説本もついでに読むといいだろう。けっこう優秀な解説本がたくさん出ているため、どれを読んでもいいと思う。

また、おもしろいのでひきこまれてついつい読んでしまうが、すごく長い。時間が相当かかることは覚悟しておこう。英語力増強のために、英語版を読むのも手である。けして日本語版の訳者が下手なわけではないが(むしろあれだけ難しい文章をよくこれだけ平易な日本語に訳せたと、感心するばかり)日本語版はやや冗長で説明過多な部分がある。あと英語版のほうが安い。日本語版は上下で3600円かかるが、英語版は8ドル(約1000円)程度で買える。

内容    ☆☆☆☆
おもしろさ ☆☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆
お勧め度  ☆☆☆☆☆



ダ・ヴィンチ・コード (上)


ダ・ヴィンチ・コード (下)