「◆SPJ5GSENNs氏その3」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

◆SPJ5GSENNs氏その3」(2006/05/12 (金) 21:05:22) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

702名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/24(月) 23:21:36.52 ID:Xhmq3mMmO 「やぁ(´・ω・`)ようこそ、バーボンまみれの書斎へ」 「はぁ…あの…旦那さま、ご主人さまが呼んでますので手短に…」 「…このタルトはサービスだと言おうと思ったんだがな」 「あ…それは…」 「ふふ…まぁいい。そこにかけてくれ」 ここは三笠家のお屋敷にある書斎。向かい合っているのは家主の三笠暁弘と、メイドの石津早希。 …で、それを見てるのは私、早希と同じくメイドの遠山明日香。 早希が緊張しながらソファに座る。それを見て旦那様も笑いながら座る。 …まさか、早希と旦那様がやっちゃうのかしら…(・∀・)ニヤニヤ 708名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/24(月) 23:38:09.55 ID:Xhmq3mMmO しかし何だろう、鍵穴から部屋の中を見るなんてアニメみたいだなぁとか思うのは私だけだろうか。 「さて…その話というのはだね」 おっと、集中集中… 「自衛隊の知り合いから聞いたんだが、5月の25日に隕石が降るそうだ」 「…え?」 「え?」 そりゃいつも冷静な早希だって驚くだろう。隕石って…どっかの漫画じゃないんだから… でも、ほんとなのかな… 812 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/25(火) 09:13:12.02 ID:rfgiFSjYO 「それでは、失礼いたします」 一礼して部屋を出る。と… 「さーきっ」 ぴょん、と私の前に明日香が飛び出してくる。 「わっ!…お、驚かせないでよ…」 「まあまあ、緊張をほぐしてあげただけよ」 …いつもの事だし、まぁいいか。 二人で使用人室に戻り、紅茶を入れようとすると突然明日香が呟いた。 「ねぇ、さっきのことなんだけどさ」 「…聞いてたのね」 「うん……」 816 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/25(火) 09:35:48.65 ID:rfgiFSjYO …さっきの記憶がよみがえる。 「隕石が衝突するかどうかは五分五分らしいが、世界は混乱するだろう」 「…はい」 「そこで、だ。この一ヵ月は息子を休学させる」 「え?」 「その一ヵ月は息子の好きなようにさせてやりたい。お前と明日香にはそのサポートや護衛を頼む」 「…かしこまりました。あの…なぜ…」 「明日香を呼ばなかったか、か?…実はもう一つ、頼み事がある」 …あの時旦那さまは苦い顔をして…絞りだすように呟いた。 「息子を…男にしてやってほしい」 「え…」 「あいつももう17、童貞のまま死なせたくはないんだ…無理を承知で、お願いできないだろうか…」 旦那さまが私に頭を下げる。そこまで、ご主人さまを思っているなんて… 「…かしこまりました」 「…すまない」 「…で、ご主人さまとするの?」 「うん…私も、ご主人さまのことは…好きだし」 そういうと、明日香は不満そうな顔をした。 「…やだ」 「…?」 「私だって、ご主人さまのこと好きなのに…よし!」 一人で納得して、明日香は私に人差し指を向ける。 「私と早希、どっちとしたいか、ご主人さまに決めてもらいましょう」 174 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 08:46:33.76 ID:GoSBgucUO 「ご主人さま~♪」 ツインテールを揺らしてご主人さまの部屋に向かう明日香を見ながら私はため息をつく。 「あのさ、明日香…」 「ん?」 「ご主人さま、迷惑じゃないかな…」 メイドにいきなり「やりたい」と言われれば誰だって驚くだろうし。 「大丈夫大丈夫!そもそも女から誘われて嫌がる男なんていないわよ」 「そうかな…」 不安な私の気持ちなんかまったく知らないかのように、明日香は私の前を歩いていく。気が付くと、もうご主人さまの部屋の前に着いていた。 「ご主人さま、入りますよ~」 明日香が軽くドアを叩き、返事が来るとすぐにノブを回した。すると… 『SEXY DINAMITE!』 『ドイツ!ドイツ!ドイツドイツ!ジャーマン!』 『兄貴!兄貴!兄貴!兄貴!』 181 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 09:05:28.13 ID:GoSBgucUO 「…」 「…」 二人は絶句してしまった。 目の前でご主人さまが何食わぬ顔でゲームをしているわけだが… 画面内では、パンツ一丁のマッチョな男が動き回っている。攻撃にあわせて変な声がする。 「…ひどい」 明日香がぼそっと呟いたかと思うと、彼女はすごいスピードで走り去ってしまった。 「ん?早希か、どうした?」 ゲームにポーズをかけてご主人さま…三笠弘樹さまがこっちを見た。 188 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 09:26:52.43 ID:GoSBgucUO 「え、あ、あの…その…」 こんな状況ではあんな質問はできない。そもそも明日香がいないのだから無理だろう。何か、別の話題を… 「あの…ご主人さまのお部屋から変な声が聞こえましたので」 「ああ、これね」 ご主人さまは立ち上がり、ゲーム機を指差して言った。 「これはPCエンジンの超兄貴ってソフトだ」 「超兄貴…」 いかにもやばそうな名前である。 「これがサムソンで、これがアドン。マッチョだろ?」 「は…はぁ…」 何か不安になる。私は3年前から、明日香は10年くらい前からずっとご主人さまに仕えているのに…そんな趣味はないって、わかっているのに。 「あの…ご主人さま…失礼いたします…」 「え…」 私はつい、ご主人さまを抱き締めてしまった。彼の華奢な体が、熱をもっている。 「ちょ…早希、何…」 ご主人さまが顔を赤らめて抵抗したので、すぐに手を離す。 「も、申し訳ありません…でも…不安で…」 192 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 09:59:40.09 ID:GoSBgucUO 「不安って?」 私はご主人さまの方を見ることも出来ず、ただ顔を赤らめて俯いて一言一言絞りだすように呟いた。 「その…ご主人さまは、男の人の方に興味があるのかな、って…」 「んなこたーない」 ご主人さまはいつもの声で否定する。 「俺が超兄貴をやってるのは葉山宏治のサンプリングが良いからだし、それに…」 「それに?」 私が返事をするとご主人さまは恥ずかしそうに頭を掻いて、 「もう何年もお前や明日香を見てるのに、まだドキドキするし」 「…ご主人さま…」 何だ、杞憂だったんだ。 私は清々しい気持ちでご主人さまに挨拶し、部屋を出た。 …あ。そういえば。 「明日香~?どこにいるの?」 明日香を探して誤解を解かなきゃ…私は少し駆け足で、お屋敷の中を捜し回るのでした。 504 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/27(木) 09:11:21.66 ID:s/zE5HqzO …ひどい。ひどいや。 私は一人、使用人室のベッドに転がっていた。 「ご主人さまって…ホモだったんだ…」 私よりもあのマッチョの方が好きなんだ… 「明日香?」 突然、扉が開いて早希が入ってくる。 「あ…早希…」 「ここにいたのね…あのね、ご主人さまのことなんだけど」 早希が言いおわる前に、私の口から言葉が出ていた。 「大丈夫だよ」 「明日香…?」 「趣味なんて、人それぞれだから…」 「え…」 早希は何か言おうとしていたが、私は気にせずに厨房に向かっていった。 155名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/30(日) 11:21:19.34 ID:K+C2TgD2O 翌朝。 「早希」 旦那さまが突然私を呼んだ。 「どうなさいましたか?」 「何か知らんが大臣から呼ばれたから行ってくる」 「かしこまりました。付き添いは明日香で…」 そう言い掛けた私の言葉を遮り、旦那さまは言った。 「いや、お前に頼む」 その顔は、何かを予感しているようだった。 「…かしこまりました」 私は頭を下げ、出掛ける旨をご主人さまと明日香に伝えて、外出用の服装に着替えて車に乗り込む。その時、 「早希、これを持て」 ご主人さまから、黒い塊を手渡される。ひんやりとした感触にそれを見て、私は絶句した。 「…!これは…」 「使い方は分かるだろう…いざというときに使え」 「…はい」 私は、手渡された鉄の塊…拳銃をスーツの内ポケットに隠し、エンジンをかけた。 158名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/30(日) 11:53:13.20 ID:K+C2TgD2O 「で、何で私が残らなきゃいけないわけ?」 少し苛立ちながら昼食の用意をする。 「今日の食事当番は早希なのに…」 ぶーぶー言いながら一平ちゃんのカップ焼そばにお湯を注ぐ。 「ごちそうさまでした」 食事が終わり、片付けを済ませるとご主人さまの部屋に向かう。外出予定を聞くからだ。 「ご主人さま、今日は外出の予定はおありでしょうか?」 「とくになす」 だるそうに返事がきた。さらに 「暇なら入ってこい」 と言われた。相当暇らしい。 「それでは失礼します」 ドアを開けると、ご主人さまは本当にだるそうにベッドの上で転がっていた。 69名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/04(木) 21:55:09 O ご主人さまの部屋にはいろんなモノが壁に掛けられている。 「2323」「イバタはいいバッター」などと書かれた掛け軸、新作ゲームの発売日表など、私には到底縁の無いものではあるが、私はなぜか心が落ち着いていくのを感じた。 「おまえ暇か?」 「はい…」 んじゃあ…とご主人さまが押し入れを漁る。 大人のおもちゃでも出てくるのだろうか。私を縛ったり叩いたり…そんな危ない妄想は、直後の一言で宇宙の彼方に葬り去られた。 「パワプロ、やらないか?」 70名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/04(木) 22:09:13 O その頃、私と旦那さまは… 駐車場に車を止め、とあるビルに入った私たちが最初に見たのは、金色長髪の女性だった。 「三笠暁弘様ですね」 流暢な日本語。そして返事を待つこともなく、 「どうぞ、こちらへ」 と、私たちをエレベーターへ導いた。 すぐにエレベーターは目的階に到着し、ドアが開く。すると目の前には「会議室」と書かれた札と扉が現れる。 「それではどうぞ、こちらへ」 女性が旦那さまに一礼する。私もついていこうとすると、背中に硬い金属の感触がした。 「付き添いの方は、こちらへ」 耳元で突然囁く男の声に、私は両手を上げた。 「早希っ!」 「暁弘様」 鬼のような形相になった旦那さまを、女性はさっきと変わらない抑揚の無い声で制した。 「暁弘様はこちらへどうぞ。…彼女の命は保障しますので」 232 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/11(木) 10:57:31 O 暁弘は連れられた部屋に入ると驚愕した。 「な…」 政財界の大物と呼ばれるような人物や巨大893の組長など、日本の重要人物が集まっている。 「驚いたかね?三笠君」 中央の椅子に座る日本国総理大臣、太泉濁二郎がにやりと笑った。 233 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/11(木) 11:07:11 O 「先程は失礼した。君のお気に入りのメイドに銃を突き付けたりして」 「…何の…つもりです」 「まぁそう怒るな。君にとって悪い話ではない」 怒りに震えながら手を強く握る暁弘を、太泉は気にしないかのように続ける。 「こないだ話したが、地球は終わる」 「まだ決まったわけではないだろう!」 「残念だが…先程の再計算で衝突が確定した」 口元から笑みを絶やさぬ太泉の言葉に、一拍遅れて衝撃を受ける。 「ふ…ふざけ…」 「そこで、だ」 暁弘の発言は割り込まれ、太泉は満面の笑みで続ける。 「我々は宇宙へ脱出しようかと思っている」
702名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/24(月) 23:21:36.52 ID:Xhmq3mMmO 「やぁ(´・ω・`)ようこそ、バーボンまみれの書斎へ」 「はぁ…あの…旦那さま、ご主人さまが呼んでますので手短に…」 「…このタルトはサービスだと言おうと思ったんだがな」 「あ…それは…」 「ふふ…まぁいい。そこにかけてくれ」 ここは三笠家のお屋敷にある書斎。向かい合っているのは家主の三笠暁弘と、メイドの石津早希。 …で、それを見てるのは私、早希と同じくメイドの遠山明日香。 早希が緊張しながらソファに座る。それを見て旦那様も笑いながら座る。 …まさか、早希と旦那様がやっちゃうのかしら…(・∀・)ニヤニヤ 708名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/24(月) 23:38:09.55 ID:Xhmq3mMmO しかし何だろう、鍵穴から部屋の中を見るなんてアニメみたいだなぁとか思うのは私だけだろうか。 「さて…その話というのはだね」 おっと、集中集中… 「自衛隊の知り合いから聞いたんだが、5月の25日に隕石が降るそうだ」 「…え?」 「え?」 そりゃいつも冷静な早希だって驚くだろう。隕石って…どっかの漫画じゃないんだから… でも、ほんとなのかな… 812 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/25(火) 09:13:12.02 ID:rfgiFSjYO 「それでは、失礼いたします」 一礼して部屋を出る。と… 「さーきっ」 ぴょん、と私の前に明日香が飛び出してくる。 「わっ!…お、驚かせないでよ…」 「まあまあ、緊張をほぐしてあげただけよ」 …いつもの事だし、まぁいいか。 二人で使用人室に戻り、紅茶を入れようとすると突然明日香が呟いた。 「ねぇ、さっきのことなんだけどさ」 「…聞いてたのね」 「うん……」 816 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/25(火) 09:35:48.65 ID:rfgiFSjYO …さっきの記憶がよみがえる。 「隕石が衝突するかどうかは五分五分らしいが、世界は混乱するだろう」 「…はい」 「そこで、だ。この一ヵ月は息子を休学させる」 「え?」 「その一ヵ月は息子の好きなようにさせてやりたい。お前と明日香にはそのサポートや護衛を頼む」 「…かしこまりました。あの…なぜ…」 「明日香を呼ばなかったか、か?…実はもう一つ、頼み事がある」 …あの時旦那さまは苦い顔をして…絞りだすように呟いた。 「息子を…男にしてやってほしい」 「え…」 「あいつももう17、童貞のまま死なせたくはないんだ…無理を承知で、お願いできないだろうか…」 旦那さまが私に頭を下げる。そこまで、ご主人さまを思っているなんて… 「…かしこまりました」 「…すまない」 「…で、ご主人さまとするの?」 「うん…私も、ご主人さまのことは…好きだし」 そういうと、明日香は不満そうな顔をした。 「…やだ」 「…?」 「私だって、ご主人さまのこと好きなのに…よし!」 一人で納得して、明日香は私に人差し指を向ける。 「私と早希、どっちとしたいか、ご主人さまに決めてもらいましょう」 174 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 08:46:33.76 ID:GoSBgucUO 「ご主人さま~♪」 ツインテールを揺らしてご主人さまの部屋に向かう明日香を見ながら私はため息をつく。 「あのさ、明日香…」 「ん?」 「ご主人さま、迷惑じゃないかな…」 メイドにいきなり「やりたい」と言われれば誰だって驚くだろうし。 「大丈夫大丈夫!そもそも女から誘われて嫌がる男なんていないわよ」 「そうかな…」 不安な私の気持ちなんかまったく知らないかのように、明日香は私の前を歩いていく。気が付くと、もうご主人さまの部屋の前に着いていた。 「ご主人さま、入りますよ~」 明日香が軽くドアを叩き、返事が来るとすぐにノブを回した。すると… 『SEXY DINAMITE!』 『ドイツ!ドイツ!ドイツドイツ!ジャーマン!』 『兄貴!兄貴!兄貴!兄貴!』 181 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 09:05:28.13 ID:GoSBgucUO 「…」 「…」 二人は絶句してしまった。 目の前でご主人さまが何食わぬ顔でゲームをしているわけだが… 画面内では、パンツ一丁のマッチョな男が動き回っている。攻撃にあわせて変な声がする。 「…ひどい」 明日香がぼそっと呟いたかと思うと、彼女はすごいスピードで走り去ってしまった。 「ん?早希か、どうした?」 ゲームにポーズをかけてご主人さま…三笠弘樹さまがこっちを見た。 188 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 09:26:52.43 ID:GoSBgucUO 「え、あ、あの…その…」 こんな状況ではあんな質問はできない。そもそも明日香がいないのだから無理だろう。何か、別の話題を… 「あの…ご主人さまのお部屋から変な声が聞こえましたので」 「ああ、これね」 ご主人さまは立ち上がり、ゲーム機を指差して言った。 「これはPCエンジンの超兄貴ってソフトだ」 「超兄貴…」 いかにもやばそうな名前である。 「これがサムソンで、これがアドン。マッチョだろ?」 「は…はぁ…」 何か不安になる。私は3年前から、明日香は10年くらい前からずっとご主人さまに仕えているのに…そんな趣味はないって、わかっているのに。 「あの…ご主人さま…失礼いたします…」 「え…」 私はつい、ご主人さまを抱き締めてしまった。彼の華奢な体が、熱をもっている。 「ちょ…早希、何…」 ご主人さまが顔を赤らめて抵抗したので、すぐに手を離す。 「も、申し訳ありません…でも…不安で…」 192 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/26(水) 09:59:40.09 ID:GoSBgucUO 「不安って?」 私はご主人さまの方を見ることも出来ず、ただ顔を赤らめて俯いて一言一言絞りだすように呟いた。 「その…ご主人さまは、男の人の方に興味があるのかな、って…」 「んなこたーない」 ご主人さまはいつもの声で否定する。 「俺が超兄貴をやってるのは葉山宏治のサンプリングが良いからだし、それに…」 「それに?」 私が返事をするとご主人さまは恥ずかしそうに頭を掻いて、 「もう何年もお前や明日香を見てるのに、まだドキドキするし」 「…ご主人さま…」 何だ、杞憂だったんだ。 私は清々しい気持ちでご主人さまに挨拶し、部屋を出た。 …あ。そういえば。 「明日香~?どこにいるの?」 明日香を探して誤解を解かなきゃ…私は少し駆け足で、お屋敷の中を捜し回るのでした。 504 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/27(木) 09:11:21.66 ID:s/zE5HqzO …ひどい。ひどいや。 私は一人、使用人室のベッドに転がっていた。 「ご主人さまって…ホモだったんだ…」 私よりもあのマッチョの方が好きなんだ… 「明日香?」 突然、扉が開いて早希が入ってくる。 「あ…早希…」 「ここにいたのね…あのね、ご主人さまのことなんだけど」 早希が言いおわる前に、私の口から言葉が出ていた。 「大丈夫だよ」 「明日香…?」 「趣味なんて、人それぞれだから…」 「え…」 早希は何か言おうとしていたが、私は気にせずに厨房に向かっていった。 155名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/30(日) 11:21:19.34 ID:K+C2TgD2O 翌朝。 「早希」 旦那さまが突然私を呼んだ。 「どうなさいましたか?」 「何か知らんが大臣から呼ばれたから行ってくる」 「かしこまりました。付き添いは明日香で…」 そう言い掛けた私の言葉を遮り、旦那さまは言った。 「いや、お前に頼む」 その顔は、何かを予感しているようだった。 「…かしこまりました」 私は頭を下げ、出掛ける旨をご主人さまと明日香に伝えて、外出用の服装に着替えて車に乗り込む。その時、 「早希、これを持て」 ご主人さまから、黒い塊を手渡される。ひんやりとした感触にそれを見て、私は絶句した。 「…!これは…」 「使い方は分かるだろう…いざというときに使え」 「…はい」 私は、手渡された鉄の塊…拳銃をスーツの内ポケットに隠し、エンジンをかけた。 158名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/04/30(日) 11:53:13.20 ID:K+C2TgD2O 「で、何で私が残らなきゃいけないわけ?」 少し苛立ちながら昼食の用意をする。 「今日の食事当番は早希なのに…」 ぶーぶー言いながら一平ちゃんのカップ焼そばにお湯を注ぐ。 「ごちそうさまでした」 食事が終わり、片付けを済ませるとご主人さまの部屋に向かう。外出予定を聞くからだ。 「ご主人さま、今日は外出の予定はおありでしょうか?」 「とくになす」 だるそうに返事がきた。さらに 「暇なら入ってこい」 と言われた。相当暇らしい。 「それでは失礼します」 ドアを開けると、ご主人さまは本当にだるそうにベッドの上で転がっていた。 69名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/04(木) 21:55:09 O ご主人さまの部屋にはいろんなモノが壁に掛けられている。 「2323」「イバタはいいバッター」などと書かれた掛け軸、新作ゲームの発売日表など、私には到底縁の無いものではあるが、私はなぜか心が落ち着いていくのを感じた。 「おまえ暇か?」 「はい…」 んじゃあ…とご主人さまが押し入れを漁る。 大人のおもちゃでも出てくるのだろうか。私を縛ったり叩いたり…そんな危ない妄想は、直後の一言で宇宙の彼方に葬り去られた。 「パワプロ、やらないか?」 70名前: まこと ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/04(木) 22:09:13 O その頃、私と旦那さまは… 駐車場に車を止め、とあるビルに入った私たちが最初に見たのは、金色長髪の女性だった。 「三笠暁弘様ですね」 流暢な日本語。そして返事を待つこともなく、 「どうぞ、こちらへ」 と、私たちをエレベーターへ導いた。 すぐにエレベーターは目的階に到着し、ドアが開く。すると目の前には「会議室」と書かれた札と扉が現れる。 「それではどうぞ、こちらへ」 女性が旦那さまに一礼する。私もついていこうとすると、背中に硬い金属の感触がした。 「付き添いの方は、こちらへ」 耳元で突然囁く男の声に、私は両手を上げた。 「早希っ!」 「暁弘様」 鬼のような形相になった旦那さまを、女性はさっきと変わらない抑揚の無い声で制した。 「暁弘様はこちらへどうぞ。…彼女の命は保障しますので」 232 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/11(木) 10:57:31 O 暁弘は連れられた部屋に入ると驚愕した。 「な…」 政財界の大物と呼ばれるような人物や巨大893の組長など、日本の重要人物が集まっている。 「驚いたかね?三笠君」 中央の椅子に座る日本国総理大臣、太泉濁二郎がにやりと笑った。 233 名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/11(木) 11:07:11 O 「先程は失礼した。君のお気に入りのメイドに銃を突き付けたりして」 「…何の…つもりです」 「まぁそう怒るな。君にとって悪い話ではない」 怒りに震えながら手を強く握る暁弘を、太泉は気にしないかのように続ける。 「こないだ話したが、地球は終わる」 「まだ決まったわけではないだろう!」 「残念だが…先程の再計算で衝突が確定した」 口元から笑みを絶やさぬ太泉の言葉に、一拍遅れて衝撃を受ける。 「ふ…ふざけ…」 「そこで、だ」 暁弘の発言は割り込まれ、太泉は満面の笑みで続ける。 「我々は宇宙へ脱出しようかと思っている」 244名前: ◆SPJ5GSENNs 投稿日: 2006/05/12(金) 08:58:25 O 「こちらでお待ちください」 男はそう告げて、ロビーから立ち去った。背中から拳銃を離されて一息つく。と、 「貴方は…確か三笠さんの…」 聞いたことのある声に振り向くと、一人の老婦人が座っていた。 「…高原さま!」 それは高原真澄、かの高原光伸防衛庁長官の妻であった。 「久しぶりですね」 「お久しぶりです…しかし、高原さまは何故ここに?」 「私も、夫と共にここに来たのです…」 そう言う彼女の目は、哀しげな光を放っていた。 「おそらく私も貴方も、私の夫の部下に銃を突き付けられたのでしょうね」 246 名前: ◆SPJ5GSENNs [hage] 投稿日: 2006/05/12(金) 09:09:00 O 「…!」 私は、その言葉に衝撃を覚えた。 高原夫妻と言えば、日本でも有名なおしどり夫婦である。実際、私もこの目でその場面を何度も見ている。 その高原夫人が、最愛の夫の部下に銃を向けられたのだ。それがどれほど辛いことか。彼女は間接的に、自分の夫に銃を向けられたのと同じことをされたのである。 「…今日、私たち以外は皆一人で来られたみたいだわ。本当に、ごめんなさい」 そういうと彼女は突然頭を下げる。私は慌てて止めた。 「そんなこと、なさらないでください…」 しばらく彼女をなだめていると、ご主人さまが戻ってきた。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
人気記事ランキング
目安箱バナー