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ビジネスマンさどらー 立てば歩めの親心編

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「しかしこれは...でかいな」
「そうでしょう。ここまで大きくするの大変でしたよ」
「相当強いだろう。あの凶悪そうな変な顔」
「やめて下さい、傷つきます。でも腕っぷしは見ての通り、しかも崖からも飛び降りられる程の身のこなしです」
「ほう、この図体で身も軽いのか、無敵じゃないか」
「はい。このエルヒンガテの前に立ちふさがるものはありません。犬を除いて」
「おい、いま最後にチラッっとなんか言ったな」
「いやだな旦那、細かいことを。お気に召したんでしょう」
「今までの展開だと最後のゴニョゴニョが重要かつ致命的だろ。もう一度はっきり言え」
「分かりました、覚悟はよろしいでしょうか。た・だ・し、敵より犬が大好きです♪」
「開き直って嬉しそうに言うな!。なんだよ、動物好きか?、見た目より実はやさしいのか?」
「いや、性格は見たまんま、かなり悪いです。あ、ちょっと傷ついたかな、ごめんね、訂正、多少ナイーブです。正確には好きと言うより犬に恨みでもあるのか、犬を見ると追いかけ回さずにいられないんですよね」
「やっぱりな。他にもあるだろう、全部出せ」
「いや、欠点と言えばその位ですね。背中から例の寄生体出しますけど、珍しくイチコロじゃありませんから」
「あ、そうなの。どうしようかなあ、今までのと比べるとまだましかなあ。積極的に弱点さらけ出したり、飼い主なのに丸呑みされる危険があったり、泣くほど怯えさせられたりしないのなら......なんか評価のレベルが異常に低いな、何が欲しくて来たのか一瞬忘れたぞ、畜生」
「お、旦那、ようやく多少は買う気に。じゃあ、取っておきのお得情報を」
「なんだ」
「二匹いますよね。マスクみたいのしているのと、素顔のと」
「ああ」
「マスクしてるの女の子です...........旦那、大丈夫ですか?...........そんなにむせなくても...........あ、少し落ち着きましたね、聞こえてますか、しかも花嫁さん♪......................旦那、息は吸わないと吐くだけだと死んじゃいますよ...........顔色が青黒くなってきましたが大丈夫ですか?」
「ハアハアハアハア、危なかった、やさしい光が見えた。何、あれメス?」
「人間がベースなんでメス呼ばわりはどうかと思いますが、あの二匹はつがい、じゃなかった夫婦で新婚ホヤホヤです」
「’二匹’て言ってる時点で違う気がするんだが。でもあの顔で性別の違いがあるんだ」
「ええ、やっぱりメス、じゃなかった女の子の方はそれらしいですよ。あの腰の布着れ、よく見てください」
「ん、オスと何か違うのか」
「あれ実はミニスカートです...........旦那、またですか?...........お、今度は少し早く立ち直りましたね、で中は水玉です...........やっぱりこれ致命傷でしたか、.................................あ!旦那、旦那、見えそう」
「ハアハアハアハア、ハアハアハアハア、光の向こうで死んだポチがしっぽ振ってた。おい!、取っておきのお得情報ってその怪談か」
「違いますよ旦那、新婚ホヤホヤって言ったでしょう。という事は...赤ちゃん♪」
「え、何、あれ繁殖できるの」
「’愛の城を築く’って言ってください。最初に言ったでしょう、’ここまで大きくするの大変でした’って」
「じゃあ、それって子育ての事?」
「そうですよ。ちなみにあの女の子は私が手塩にかけて育てました。思い出すなあ、夜泣きで村中不眠になったり、ハイハイできるようになって村を半壊させたり、何でも口に入れちゃうから村人の大半がベトベトで農作業してたり。でも幼稚園で覚えたお遊戯を披露してくれた時は可愛かったなあ、お遊戯に巻き込まれた村人8人が尊い犠牲になったけど。そんなあの子も今では不気味、じゃなかった綺麗な花嫁に。グスッ、寂しくなってきた、駄目だ、旦那、せっかくですがあの子は売れません」
「分かる!分かるぞ、その通りだ。せっかく大事に育てた可愛い娘を。大体あの男の顔は女たらしの顔だ、それに頭も悪い、わしをお父さんと呼ぶなと何度いえば...」
「旦那、何の話で?、あの男って誰です?」
「うるさい、うるさい、とにかく娘はやらん!」

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