雛苺用シナリオ

「そろそろ寝るです」
「今日も眠りの時間にちゃんと眠れるのだわ」
桜田家の、平和な夜のはずだった。
だが、その夜。
「うゅ…何か鞄の隙間がまぶしーの…」
「…ジュン?」
少し鞄を開けてみるが、見える机にジュンはいない。
「ジュン、パソコンつけっぱなしなのー、切らなきゃなのー」
雛苺が問題の光源であるジュンのパソコンに近づいて、やっと異変に気づいた――時、すでに遅し――
「うゅ、ジュンーーーーーー!」

「うーん…悲鳴が聞こえたような気がしたんだけどな」
悲鳴で目を覚ましたのはジュンただ一人だった。
「ここはどこなの…?」
誰も触れていないはずのコンピュータ、電源を確かに落としたはずのPCのスピーカーから声が聞こえる。
「最近はずっとヘッドホン使ってるんだけどな…なんでだ?」
まだベッドから身を起こしただけの位置から画面を見ると、全く見覚えのない色合いがディスプレイに広がっている。
「ヒナ、また一人ぼっちになっちゃったの…。」
「なんだよこれ…」
画面の中には雛苺。そして構図はどう見ても横スクロールのシューティングゲーム。
「どーせ誰かがジョークソフトでも仕掛けたんだろ、全くアドウェアでもないし鬱陶しいマルウェアだな」
Alt+F4。切れない。
「ヒナ、これからどうすればいいの?」
Ctrl+Shift+Esc。これは効いたがプロセスが終了できない。
「タスクマネージャで終了できないだと?」
タスクマネージャを使ってぶった切れないソフトなど、システムソフトウェアの一部を除いて存在しない。
「ユーザーはシステムでもローカルサービスでもなく自分だから…原因はひとつだな」
またか呪い人形。ジュンはおもむろに横にあったマイクを取り出し、ジャックに繋いだ。▼
---------------------------------------ゲーム画面へ---------------------------------------
JUM「おいチビ苺、聞こえたら返事しろ」
ヒナ「ジュン?ジュンなの?ここはどこ?」
JUM「俺のパソコンの中だ!それもこりゃシューティングゲームじゃねぇか!」
ヒナ「しゅーてぃんぐゲーム?」
JUM「そう、ひたすら弾を撃って目の前に出てくる敵を叩き壊すっていうゲーム。何かやってみろよ」
(B+→→攻撃)
ヒナ「弾が出ないのー」
JUM「あれ?これシューティングゲームじゃなくてアクションゲームなのか?」
ヒナ「しゅーてぃんぐとかあくしょんとかよくわからないのー」
JUM「他にもいくつか攻撃あるだろ」
(A攻撃、B+方向攻撃)
JUM「移動は空中を自由だからシューティングゲームかと思ったけどこれはどちらかというとアクションゲームだな」▼
---------------------------------------Phase1前---------------------------------------
カナ「初戦はヒナが相手なのかしら?軽ーく捻ってやるのかしら!」
ヒナ「ヒナは負けるのが大っきらいなの!カナには絶対に負けないの!」
カナ(ヒナは先にあるものを知らないみたいなのかしら!これは言わずに破ればこっちのものかしら!)
ヒナ「カナが何か不気味に見えるのー」▼
---------------------------------------Phase1後---------------------------------------
カナ「くぅー!かしら、カナの負けかしら!まぁいいのかしら…」
ヒナ「ただのゲームなのになんでそんなに悔しがるのー?」
カナ「そのうちヒナにも分かるかもしれないのかしら!」
ヒナ「行っちゃったの…。」
JUM「もう次だぞチビ苺」
ヒナ「疲れるのー」
JUM「疲れるのは僕の方だ!」▼
---------------------------------------Phase2前---------------------------------------
ヒナ「す、水銀燈なのー」
銀様「あら、アリスゲームの敗者がこんなところに何の用でしょうねぇ?」
ヒナ「ヒナは遊びに来たのよー」
JUM(本当にそうなのかよ!僕が最初見た時は泣いてただろ!)
銀様「誰にも、何にも知らされてないのねぇ、哀れだわぁ…」
ヒナ「そんなに言われると気になるのー」
銀様「ふっふふふふ。どちらにしろ貴方はここで私に退けられる運命よぉ。言わなくても十分ねぇ」
ヒナ「相変わらずひどいのー」▼
---------------------------------------Phase2後---------------------------------------
銀様「まさか…!信じられないわぁ」
ヒナ「もう行っちゃったのー…。」
JUM「アリスゲームに関係する何かがあるっぽいようなことを言ってたな」
ヒナ「最後まで行けばきっとわかるのー」▼
---------------------------------------Phase3前---------------------------------------
ヒナ「カナに水銀燈に…もしかしてドールズみんなとあたるの?」
JUM「どうせゲームだ、そう深く考えんなよ」
蒼「今度は雛苺か。……ふふっ、純粋な勝負の場とはいいものだね。」
ヒナ「金糸雀と水銀燈に勝ってきたの!もう負けられないの!」
蒼「ローザミスティカの懸かった場でその二人に勝ったのなら、確かに負けられないね。
  でも、僕とて負けられないのは同じ……。」
JUM「アリスゲームに関連するってそういうことだったのか!」
ヒナ「えっ…!」
蒼「ちょっと僕は口を滑らせてしまったようだね。でもお父様が下さったチャンスは、ものにさせてもらうよ」▼
---------------------------------------Phase3後---------------------------------------
ヒナ「やった!蒼星石に勝ったのー!!」
蒼「残念だけど、負けてしまってはどうしようもないね。昼、また会おう」
ヒナ「もちろんなのー!」
JUM「かなり重大なことしてると思うんだけどそんなに軽くていいのか?チビ苺」
ヒナ「いいのいいの!負けたら動けなくなったりするわけじゃないの!大丈夫なの!」▼
---------------------------------------Phase4前---------------------------------------
紅「ここへきて雛苺ね、なかなか侮れない相手だわ」
ヒナ「しんくなのー!しょうぶしょうぶ!なのよー!!」
JUM「おい真紅、一体どうなってるんだよこれは。ドールズ全員が」
紅「私にだって解らないわ。とにかく、誰かが全員を倒して一番奥にあるローザミスティカを止めないと私たちは出れないのよ。」
ヒナ「ローザミスティカ、暴走してるの?」
紅「そういうことね」
紅「止めた人はそのローザミスティカに手が届くということでもあるのだわ。さあ、始めましょう」▼
---------------------------------------Phase4後---------------------------------------
ヒナ「ヒナの勝ちなのー!」
紅「負けてしまったのは悔しいけれど…こうなったら雛苺、全力でローザミスティカを獲ってきなさい」
JUM「チビ苺が手に入れたんならチビ苺のローザミスティカでいいじゃないか。何でお前が横取りできるんだよ」
紅「雛苺は私なしでは生きていけない身でしょ。私の家来になるという選択をしたのは、雛苺自身なのよ」
ヒナ「そういうことなのー」
JUM「筋は通ってるんだけどなんとなく納得できないんだよな、これ」▼
---------------------------------------Phase5前---------------------------------------
翠「チビチビを倒せばもうローザミスティカは目の前ですぅ!」
ヒナ「チビチビじゃないの!」
JUM「翠星石ってアリスゲームには否定的なんじゃなかったか?ゲームとは言え凄い変わりようだな」
翠「命の懸かってないのにローザミスティカを懸ける不思議な場ですぅ。誰も傷つかないなら思う存分勝負できるです」
JUM「だったらそんなにローザミスティカを欲してるような発言はしないはずだろ」
翠「誰も殺さずにローザミスティカが得られるなんてまたとないチャンスですぅ!
  こんなこと二度とねーです!翠星石だって一度くらい持ってみたいです!悪いですか!?」
ヒナ「ほしがるのはこーへーなけんりなのよー!」
---------------------------------------Phase5後---------------------------------------
翠「信じられねーですぅ…チビチビがこんなに強いわけねーです…何かの間違いです!」
JUM「いや俺が見ている。間違いなんかじゃない」
ヒナ「ヒナは、真紅のげぼくになって失ってた力があるの。それがもどってきてるのよー」
翠「せっかく一番得な役回りに来たのに、いっちばん損な役回りの相手に負けちまったですぅ。
  しゃーねーからローザミスティカはくれてやるですぅ」▼
---------------------------------------そののち---------------------------------------
「みんなに勝った私があれを止めに行くのー!」
 雛苺が指さす先をジュンは目で追ったが、その先には何もなかった。
「おい、お前あさっての方向を指さしてるんじゃないのか?」
「ちょっと遠くなのー、ジュンも来るのー」
 ジュンは耳を疑った。チビ苺は勝手に閉じ込められたのであって他の人を引き込むなんてできないだろ。
 瞬間、ジュンは見たような見たことがないようなところに座っていた。
「あれなのー。ちょっと高くて届きそうにないのー」
「お前、今のいままで空飛んでただろ」
「ジュンに登って取りたかったのよー」
 このやり取りをする一方、ジュンは当然ながらとても驚いていた。
 なぜなら、ここは空間が三次元だからだ。ゲームとか言いながらこれではゲームでも何でもない。
「ここって…!シューティングゲームっぽい何かだとばかり思っていたけどお前ら普通に闘っていたのかよ!」
「他のドールと会うと横に動けなくなるのー」
「あー、そういうことか」(薔薇水晶・雪華綺晶モード分岐ポイント)
「さあ、行くのー!」
 二人が立ち上がり、まさに歩きださんとしたその時――
「あらいけません。私としたことがこんなところに大切な空きローザミスティカを置きっぱなしてしまいました」
「ラプラスの魔なのー!!」
 怪しげにもほどがある登場タイミング。ローザミスティカの前ではなく戦いの勝者である雛苺の前という登場位置。胡散臭い。
「おい兎、これを仕掛けたのはお前なのか?」
「いえいえ滅相もありません、これは単なる私の不注意。時間がないので失礼させていただきます。」
「おい、お前、少なくともこの事態を招いたんだから何か責任取れよ!ふざけるなよ!」
「これは失礼いたしました。では、お帰りはウサギの穴から……」
「とにかくひどいのー」▼
---------------------------------------よくあさ---------------------------------------
「う~ん…ひどい悪夢を見たな、寝たはずなのに全然休まってないぞ」
 寝たわけではないのである。
「ふぁー…」「酷い目に遭ったですぅ」「まったくなのだわ」
 うるさい三人組も起きてきた。この反応を見ると…
「あれ、夢じゃなかったのか?おいお前ら、変な夢見なかったか?」
「あれは夢でも何でもないわ、ラプラスの悪戯よ」「ですぅ」「なのー」
「…やっぱり夢だと思って忘れることにする…」
「それがよさそうね」
「でもやっぱり酷い目に遭ったですぅ、あいつは一回何かではめないと気が済まんですぅ」
「ふふ…いたずらちょっとおもしろそうなのー」
 本当に全く元気な奴らだ。彼女たちが全員、そのジュンから力を奪って生活しているのだから見た目より問題は深刻なのかもしれない。
「みんな~、御飯よ~、降りてらっしゃーい」
「「「はーい」」」▼
---------------------------------------元のフィールド---------------------------------------
兎「さて、(このあたりはラプラスに代弁させて梅さんからプレイヤーに一言挨拶していただこうと思います)」
最終更新:2008年07月04日 20:03