ウイルスカード

単純ヘルペスウイルス(HSV)

 

 

 

 

 

 

 

 口腔粘膜(1型):小児期にヒトヒト感染。90%以上が不顕性で三叉神経節に潜伏感染する。
 再活性化時に口唇周囲に小水疱を反復発症。
 性器(2型):性行為感染。性器ヘルペス発症後仙骨神経節に潜伏し反復発症。
 産道感染により新生児ヘルペス(脳炎、肝炎、ITP、死亡率高い)を合併することも。
 アシクロビル点滴静注。
 突発性発疹(6、7型):6か月から2歳の乳幼児。急激な高熱、口蓋垂起始部の粘膜疹と
 その後の麻疹、風疹様の皮疹。発熱時に熱性痙攣を伴うこともあるが予後良好。


 水痘ヘルペスウイルス(VZV)

 

 

 

 

 

 

 初感染は水痘。2~8歳に空気感染で発熱とともに躯幹から全身に小紅斑、
水疱化し2~3週間で瘢痕を残さず治癒する。合併症として脱髄性疾患(急性散在性脳脊髄炎ADEM)。
ウイルスは三叉神経などの感覚神経節に潜伏感染し、成人後の細胞免疫低下時に再活性化。
感染神経支配領域に非対称性の帯状ヘルペスとして発症する。神経痛を伴う。アシクロビルで治療。


 サイトメガロウイルス(HCMV)

 

 

 

 

 

 

 核内で増殖、フクロウの目、巨細胞封入体症。
胎児期の感染で出生時低体重、小頭症、網膜炎、肝脾腫、頭蓋内石灰化など。
成人の初感染でEBウイルス様の症状。
日和見感染で肺炎、肝炎、腎炎、髄膜炎など重篤。
ガンシクロビルの維持療法が有効である。


 EBウイルス(EBV)

 

 

 

 

 

 

 伝染性単核球症。唾液を介して感染するKissing disease。
咽頭からBリンパ球に感染してIgM産生の増加と反応性にTリンパ球の増殖(異型リンパ球)。
発熱、咽頭痛、全身性リンパ節腫脹、肝機能障害。
対症療法のみ。アンピシリンなどのペニシリン系抗生物質投与により発疹が誘発される。


 ヒトT細胞白血病ウイルス

 

 

 

 

 

 

 成人性T細胞白血病(ATL)。
母乳を介して感染し、数十年の潜伏期間の後に感染したCD4陽性リンパ球が腫瘍性増殖を起こし、
臓器浸潤による肝脾腫、リンパ節腫脹、皮疹などを起こす。
免疫不全による日和見感染、液性因子による高Ca血症などを認める。
HAM:HTLV-1キャリアの成人発症。慢性髄膜炎、排尿障害。知能や上肢は障害されない。
HAU:HTLV-1ぶどう膜炎。飛蚊症、霧視、視力低下。


 HIV

 

 

 

 

 

 

 性行為、血液製剤、経胎盤感染。CD4陽性T細胞を傷害する。
CD4陽性リンパ球が200/μLを下回るとAIDSを発症する。
血漿中のHIV-RNA量が確定診断となる。
HAART療法:ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬とプロテアーゼ阻害薬の併用による治療。
ニューモシスチス肺炎の予防・治療にST合剤とペンタミジン。
サイトメガロウイルスの感染治療・予防にガンシクロビル。
Kaposi肉腫はヒトヘルペスウイルス8型による。


 ムンプスウイルス

 

 

 

 

 

 

 飛沫感染。発熱と有痛性耳下腺腫大。
合併症として無菌性髄膜炎、膵炎、精巣炎(成人)、卵巣炎。
弱毒生ワクチンの接種で予防する。妊婦が感染しても胎児は大丈夫。


 麻疹ウイルス

 

 

 

 

 

 

 空気感染後1~2週間の潜伏期の後に発症。発熱後にカタル症状。頬部粘膜にKoplik斑、
一度解熱し再び発熱する2峰性。色素沈着を残して消失。中耳炎、肺炎、脳炎、数年後のSSPEなどが合併症。
γグロブリンが感染予防や軽症化に有効である。


 ヒトインフルエンザウイルス

 

 

 

 

 

 

 カモが全ての亜型を持つ。
HAやNAのアミノ酸に変異が蓄積し抗原性が変化する連続抗原変異と
異なる亜型との遺伝子再集合により生じる不連続抗原変異があり、
後者はパンデミックの原因となる。
アマンタジン:A型のM2タンパクの水素イオンチャネルの選択的阻害薬。
水素イオンの流入阻止により脱殻が行われず感染が成立しない。
ザナミビル、オセルタミビル:A型、B型のNAタンパクのNA活性を阻害する。
シアル酸が分解されずウイルス粒子の放出が阻止される。細胞内のウイルスはそのまま。
インフルエンザワクチンはその年流行すると予測されるウイルス株の不活化ワクチン。
鶏卵を用いて作られるので卵アレルギー禁忌。


 ラッサ熱ウイルス

 

 

 

 

 

 

 :西アフリカに局在し自然宿主のチチネズミ
や患者の排泄物から感染し、4~10人に1人がラッサ熱を発症する。
人畜共通感染症である。


 ヒトパルボウイルスB19

 

 

 

 

 

 

 伝染性紅斑(りんご病)の原因。飛沫感染。
微熱とともに顔面の蝶形紅斑や大腿部のレース状皮疹。
赤血球の前駆細胞に感染し増殖するため溶血性貧血では無形性クリーゼを合併。
妊娠初期に感染すると胎児水腫に。


 パピローマウイルス(HPV)

 

 

 

 

 

 

 腫瘍化に関与する遺伝子が発動し、
皮膚には尋常性疣贅、STDとして尖圭コンジロームをきたす。
産道感染により新生児の喉頭乳頭腫。


 アデノウイルス

 

 

 

 

 

 

 プール熱:おもに3型による。夏季にプールで集団感染。発熱、咽頭炎、結膜炎、リンパ節腫脹。
 7型により肺炎を合併して重症化する。


 ロタウイルス

 

 

 

 

 

 

 レオウイルス科。「気道と腸管から分離される疾患と関係が不明確な孤児ウイルス」から。

経口感染と経気道感染があり、冬季の胃腸炎の最大の原因となっている。


 ノロウイルス

 

 

 

 

 

 

 カリシウイルス科。カリシとはcupを意味するラテン語から。
粒子表面にカップ状のくぼみを持つ。
4つの属に分類され、病原性があるのはノロウイルス属とサポウイルス属。
いずれも急性ウイルス性胃腸炎の原因となる。
牡蠣、空気感染、嘔吐。


 ポリオウイルス

 

 

 

 

 

 

 咽頭、腸管粘膜で増殖しリンパ節を経由して血中に入り、中枢神経に達する。
主に運動神経細胞の破壊が起こり、急性弛緩性麻痺(AFP)となる。
AFPの発症率は感染者100~150人に1人の割合。


 日本脳炎ウイルス

 

 

 

 

 

 

 ベクターはコガタアカイエカ。日本以外のアジア地域で流行。
大部分は不顕性感染で終わるが、約300人に1人が発症し、
急激な高熱と意識障害、神経症状を呈し、約半数は後遺症を残す。
優秀なワクチンが存在する。


 風疹ウイルス

 

 

 

 

 

 

 患者のエアロゾルの吸入により上気道から感染。
上気道炎症状とともに頸部リンパ節腫脹と顔面から頸部、四肢へ広がる発疹。
数週後に急性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の合併。
先天性風疹症候群として、心血管奇形、白内障、緑内障、小眼球症、聴力障害など。
生ワクチンによる予防。


 アルファウイルス

 

 

 

 

 

 

 東部ウマ脳炎ウイルスはトリと蚊で感染環が形成されており
ヒトやウマは終宿主。チクングニヤウイルスは蚊とヒトが感染環を形成する。

最終更新:2008年07月20日 15:15
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