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第六章「恐怖の鼓動」-TITAN-


ゴビでの戦闘の直後…

―ツクヨミ・士官用ロッカールーム―

ケイゴ「じゃあ…ミナは……。」
ユウスケ「あぁ。残念だけど……。」
ケイゴ「残念だけどじゃ…ねぇだろがぁぁぁ!!くそおぉおぉぉ!!」

がしゃぁんん

ケイゴはユウスケの胸倉を掴み、ロッカーへ押し付ける。ぶつかった拍子にユウスケの手からミナのペンダントがこぼれ落ちる。

ちゃりりぃぃぃん……

ケイゴ「…!!」
フラウド「ケイゴ…ユウスケは悪くないにゃ…それにミニャはそんなことをしても喜ばないニャ…」
ケイゴはユウスケを離すと、床に落ちたペンダントを拾い上げる。士官学校時代にケイゴがプレゼントしたものだった。
ケイゴ「ミナは…これをずっと…うぅっ!!」
ユウスケはどこか遠くを見るような眼でケイゴを見ている。痛む。ロッカーにぶつけたところではなく、心がジンジンと。「守れなかったのは誰だ?」「ミナはどうして死んだ?」「おれに足りないものはなんだ?」「何がわるいんだ?」ずっと繰り返した問いだ。その答えとするかのように、
ユウスケ「終らせないと…。こんな戦争…早く終らせないと…。こんなに悲しいのは…もうごめんだ。」

ゴビでの戦闘の翌日、夜…

~ツクヨミ・医務室~

TV「昨日までのゴビ砂漠での地球軍と火星軍の大規模衝突は、火星軍の撤退というかたちで終わりを迎え、北京及び周辺都市の人々にも安堵の表情が見られます。次のニュースはアラスカでの巨大MAの目撃情…(ぶつん)」
ユウスケ「…北京は、無事だったんだ…よかった…」
ベッドサイドで丸イスに座り、TVをみていたユウスケは、ベッドに横になっているイズミをみた。ユウスケ自身も本当はイズミ以上に安静にしていなければいけないほどの重傷だ。
イズミ「うん…でもわたしのせいで沢山の人が…」
ユウスケ「イズミはそのことは忘れて…軍に洗脳されてたんだから…」
イズミのベッドに腰かけたユウスケはイズミの手にそっと自分の手をそえる。
イズミ「…っ!」
ユウスケ「…どうかしたの?」
イズミ「わたしは…洗脳なんかされてなかったの…精神を不安定にする薬は使われていたみたいだけど、地球を撃ったのはわたしの意志…軍に入ったのも…『火星にひどいことをした地球が許せない』って…でもユウスケが間違いだって教えてくれたから…憎しみを拭い去ってくれたから…」
ユウスケ「そうだったのか…。おれは…イズミを救いたかったんだ。街角で始めて会ったときの、あのキレイな目が忘れられなくて…。だからイズミ、あれが君の意思だったとしたら君を救えて本当によかった。だから…笑って?」
ユウスケはイズミの涙をぬぐってあげた。
イズミ「うん」
ユウスケ「思ったとおりだ。イズミには笑顔が似合うね。その笑顔を絶やさないで。皆が笑って暮らせる時まで…約束だよ。」
イズミ「うん…ユウスケ…あなたの笑顔は幸せそう…」
ふたりは微笑みあうと、そっと唇を重ねた。イズミの目からはまた涙がこぼれた。

翌朝、夜明けから間もない頃…

―ツクヨミ・艦長室―


コン…コン…

宇宙艦には珍しい木製のドアをノックする乾いた響き。
ユウスケ「艦長。よろしいですか?」
シゲポ「ん?入っていいぞ。」
ユウスケ「失礼します。(ウィーン)」
シゲポ「あぁ、ユウスケか。どうした?」
ユウスケ「…一昨日、俺が連れてきた女性…イズミ=オーツですが…彼女は、マフティ…火星軍として戦っていました。」
シゲポ「…っ!?なんだと?じゃあ…ミナは……。」
ユウスケ「はい、その通りです…。でも、彼女はマフティに精神操作されていて、彼女の意志ではなかったんです!どうか、彼女を地球に迎え入れてやれませんか?彼女は…もう一度、真実を知った上で戦いたいと…」
シゲポの顔には一瞬驚きの色が浮かんだが、彼の態度はすぐに冷静な艦長のものへと戻る。
シゲポ「……ユウスケ…お前は、どう思ってるんだ?」
ユウスケ「…確かに…彼女のやったことは、大変なことだったと思います…」

ユウスケ「でも、俺達が彼女に憎しみを抱いても、それは新たな憎しみを呼ぶだけです。ミナも、そんなことは望んではいないはずです…。」
シゲポ「そうか…。なら、ミナの分まで頑張ってもらう…。回収したあの機体も改修を開始しよう。そう伝えておいてくれ。お前も早く、体を治せ。」
ユウスケ「ありがとうございます…。」

―北京宇宙港(朝)―

晴れわたった海岸で、ミナが眠る黒く重厚な棺を囲み、葬儀が執り行われていた。ユウスケ達を初めとする、ツクヨミのクルー達のたっての願いにより、この日ミナの式を行うことになったのだった。
北京軍長官ヒガシワダ「第5機動艦隊ツクヨミ所属、ミナ=デル=フィオーレ準尉の名誉の戦死を称え、2階級特進により中尉に昇格すると共に、敬礼をもって盛大に送り出す!全員敬礼!」
全員「(バッ!!)」
ケイゴ「(ミナ…守ってやれなかった…俺の力が及ばないばかりに…だが…)」
ユウスケ「(ミナ…安らかに眠って…俺は、君が望んだ世界を、みんなで手に入れるために…)」
ケイゴ&ユウスケ「(この戦争は…絶対に終らせてみせる…絶対に…!!)」
それぞれの想いを乗せてミナの棺は海へと送り出される。海から生まれた命を、その故郷へ送り帰してあげるように…。
悲しみも、さざ波のように揺れていた。

―日本 トヨタ中立軍基地―

シンイチ「んで、ハミダはどうするつもりなんや?わざわざ連れてきて。」
ロミオ「知り合いに、かなり腕の立つ医師がいるんです。そこへ行ってみます。」
シンイチ「ほならわいはファクトリーのほうに用があるさかい。」
ロミオ「ええ。ではまた後ほど。」

―トヨタ基地・開発部―

シンイチ「これがわいの新型?」
トヨタ技術長「はい。最新のBHセオリーを用いたニュータイプ専用MS“ネレイド”です。現在、製作を急いでいますが、完成はもう少し先になりそうです。各種システムの説明をしましょうか?」
シンイチ「いや、心配いらへん。そのへんはロミオに聞いとくさかい。(早いとこ完成させてもらわな、戦争終わらせるどころか世界が滅んでまうで…)」

―トヨタ中央国際病院・医学教授室―

ロミオ「先生!ニシカワ先生!」
Dr.ニシカワ「ん?君は…。」
ロミオ「ワンです。昔お世話になった!」
Dr.ニシカワ「あぁ、ワンじゃないか!久しぶりだな!ずいぶん変わったから分からなかったよ。」
ロミオ「ん?あ、カツラとカラコン!(バサッ)」
Dr.ニシカワ「……変わってないな。」
ロミオ「おかげさまで。(笑)」
Dr.ニシカワ「それで、今日は?どうしてここに?」
ロミオ「実は…先生に診てほしい人物がいるんです。」

ゴビでの戦闘が終盤に差し掛かった頃…

~地球軍アラスカ方面基地~

セト「これがオレの機体なわけ?ちょーかっこよくねー?」
そこには、全長250m以上はある、(明らかに設定ミスってくらい)超巨大な人型のMAが凛としてそびえていた。
整備士モリゲ「我が軍の技術の粋を結集した新型MA“タイタン”です、大尉殿。その名の通り、この巨大さをみてくだ・・・」
セト「んなこと言われなくてもわかるし~?なんかバカにしてんじゃねぇ~?」
モリゲ「いぇ決してそんなことは…(ちっ…こんなヤツが我々の希望であるタイタンのパイロットとは…!)」
セト「ま、ゴタクはいいから、オレっちの操縦についてこれるようにちゃんとチューンしてよね~」
モリゲ「それよりも、MAのセンサー類が得た戦場の情報を脳に直接伝達するシステムについては、すでにお話したとおり…」
セト「あぁはいはい。マギシステムのことならお偉方にもう何度もきかされたし~オレ様に使えないわけないべ?」
モリゲ「ですが…!」
セト「ちょ~マジウザイんスけど~?いいかげんだまんないと、お前から殺すよ…?」
モリゲ「く…!!…はっ!」
OP「これよりタイタンの起動実験を開始します。パイロットは速やかに搭乗せよ。」
セト「はん。待たせやがって。了解~」


セトはタイタンへと乗り込んだ。それが悪夢の始まりだった。

ごぅん…ごぅん…

セト<…メインパワー始動…パワーフロー良好…OS、センサー、BHシステム起動…各部駆動確認…マギシステム起動開始…(ピッピピッ…)>

きゅいぃぃぃん…

セト「ま…まじすげぇ…タイタンのメインカメラの映像なのに自分で見てるみたいだぜ?か~やるな~!」
モリゲ「パイロットのシンクロ確認…脳波、各バイタルサインにも異常なし…成功だ!」

だが、異変は突然訪れた。
セト「…!?く…うっ…ぐっぐぁぁぁぁぁ!頭が…!わっ!れっ…!っルゥゥぅぅゥッ!ぅぅぅうガァァッ!」
モリゲ<暴走か!?実験を中止しろ!マギを切るんだ!>
セト「う…うるサイだマれっ!」
タイタンは右足を一歩前へと踏み出す。

どごんっ

モリゲ「ひっ!…ぐぁぬるぽっ(ぐちゃ」
セト「ハァ…ハァ…ぐっ…コロ…殺…ころス…!」
モリシタ曹長「そ、外へ出るぞぉ!」


どごぉおおん


その後数分で実験用電力の切れたタイタンは停止した。だがパイロットは精神錯乱をおこし軍病院に入院(『封印』と言ったほうが適確であるような措置であった。)、周囲の地形を変えるほどの被害をだした。が、軍は事実を隠蔽し、この事件とタイタンの存在はトップシークレット扱いとなった・・・。

―トヨタ中央国際病院―

ハミダ「ニシカワ先生、ありがとうございました。」
Dr.ニシカワ「いやいや、元気になって良かったよ、ハミダ君。昔にも似たような症例があって助かった…。」
ハミダ「では、オレ達は一旦月に戻ります。これからの動きも気になるので…。」
Dr.ニシカワ「あぁ。気を付けてな。ロミオ君、お父上にヨロシク言っておいてくれ」
ロミオ「はい、分かりました。先生もお体にはお気をつけて…」
Dr.ニシカワ「あぁ、また困ったことがあったら何時でも戻ってきなさい。」
ハミ&ロミ「どうも、お世話になりました!」

―トヨタ宇宙港―

ハミダ「シンイチは来ないのか?」
シンイチ「あぁ。まだネレイドが完成してないしな。もうちょっとこっちに残るわ。」
ロミオ「では、少しお別れということですね。」
シンイチ「ネレイドが出来上がるまで、大体一ヶ月ちょいやて言うとったからな。」
ハミダ「じゃ、オレ達は、先にプトレマイオスに戻ってるから、早めに帰ってこいよ。」
シンイチ「おぉ。元気でな。」
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