雪は固くなり、道は氷の板になる冬の一番寒い日々には簡単にバランスを崩し渓谷の罠に落ちてしまう。
昔も今もとりわけ谷の女性にそれは多かった。なぜなら際限のない雪解けから自由になると、彼女たちは寒い月に男たちによって製造されたキ木の品物を積んだ背負いかごを持って平原へと降りていくからだ。それはキッチン用品や、彩色されたお面、十字架や聖母像であった。
ほかの村やほかの時では彫刻家、石工、刃物売り、時計職人になるべく生まれてくるように、キアーゾの谷ではだれもが木の彫り物師や彫刻家になるべく生まれてくる。
平原では女が、食堂に供給し、空腹に戦い、生存に必要なあらゆるものをかごに積んで帰ってくる。(p. 32, line 15~17が抜けてますww)
我々の生活は平野に頼っている。なぜなら村では牛乳と家畜の肉しか作れず、かつては羊毛と木製の機織り機で作られた重い服しかなかったからだ。平原の人々の手の人質のようなもので、我々の存在は彼らの気分に左右されていた。
(冬が)道や小道が滑りやすく通れない道にするから、冬の前にどの家族も自分の備蓄庫のために、多くの備蓄を余裕を持って用意しなければならない。
そのために、平野にカゴに様々なものを積んだ多くの輸送が必要だった。物置の中にふくろづめされたとうもろこし、くり、麦を一列に並べ、塩の山、ワインや油の瓶を供給する必要があった。スパイスの香りで飽和したワインの貯蔵庫の鉄のフックに一年中育てた豚のサラミやソーセージをつるさなければならない。そして、棚にはチーズの丸い塊やバターのパンも並んでいた。ほぼすべての家族が冬を乗り切り、無事に春を迎えると、予想外の病気や不運に備えて、わずかなお金を準備するために、冬が越した後、彼らは牛を売ったり夏の間牧場を保たなくてはならない。
冬が北から吹く冷たい風の長い遠吠えとともに近づくと、我々は子供も大人もひそかなハッキリしない不安や恐怖に追いつかれた。なぜなら、(冬の間は)家に閉じこもって、木を切って一日中ストーブにくべるため、戒厳令のように感じられたからだ。

(p.34 line22, L'inverno era una・・・から不明ww)

 

訳:冬、フリウーリにて
カルロ・ズゴールロン

 冬の最も寒い日、雪が凝り固まって道が氷の大きな板となっていたとき、バランスを失って峡谷の罠に落ちるのはひどく簡単だった。今も昔も、そういうことは多くの人に、特に谷の女たちに起こったものだった。なぜなら、切りがない雪解けのうちに冬が解けるやいなや、彼らを家にとどまらざるを得なくする冷気の時期に男たちによって作られた木工品の詰まったかごを持って平原に下りるのは彼女らだからである。それらは料理道具や彩色された仮面、十字架、聖母像などであった。キアルソ谷ではどれもが木の彫物師や彫刻家になるべく生まれてくる。ほかの谷やほかの時代には、石工、包丁職人、時計職人として生まれてきたように。平原から女たちは、食卓を作り飢えに打ち勝つためのあらゆるものの詰まったかごを持ってかえってくる。それは生存の必需品なのであった。ある意味では、皆が、谷に足りないもの、すなわち買ったり、木工品と交換したりして手に入れられるようなあらゆるものを補給する義務を負っているのである。
 私たちの生活は平原に依存していた。なぜならば谷では牛乳と家畜の肉、また以前は羊の毛から作られた重い服や木のフレームしか作られないからである。私たちは平原の人間の手の中の人質のようなものであり、彼らの気分に私たちの存在はかかっていた。
 すべての家族は、滑りやすく通れない道をrendereする冬の前の自分たちの食料貯蔵庫の蓄えの余裕に注意しておかねばならなかった。このために平原へ多くの人々を派遣し、たくさんのものの詰まったかごを持ってくることが必要だったのである。納戸にはトウモロコシ、栗、小麦の袋の山を並べ、塩の柱や油、ワインの瓶を作る必要があった。香辛料の匂いでいっぱいの地下室の鉄のフックには、一年かけて育てた豚のサラミや塩漬けが懸かって、また棚には、チーズとバターの固まりを並んでいなければならなかった。だいたいどの家族も、冬をなんとか越し無事に春にたどり着くために、冬を越した後に、不測の事態や病気、不運に備えて少しでも金を用意できるように、夏の間放牧されていた乳牛や肉牛を売らなければならないのだ。
 冬が北風のうなりとともに近づく頃、皆、子供も大人も、秘められた恐怖やいい表せない不安に追われる。なぜなら一日中木で働きかまどに火をくべるために家にこもっていると、戒厳令下にいるような気がしてくるからである。冬とは北極海の氷の間を進む長い航海であり、それから我らの生活の一挙一投足が集中し、専念する完全な機構への感謝が出てくるのである。ああ、かつて獣を怖がらせるために灯をともしたように、部屋から寒さを遠ざけておくとても長い苦労を続けるブナの薪、少なくとももみやハンノキのそれの蓄えに余裕を持って計算しなかったことの不運よ。

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最終更新:2008年07月23日 19:47