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「…………俺の……………せいだ」

伊藤誠は戸惑いを隠せなかった。そして悔やんでいた。
彼の目の前には無表情の女性が壁にもたれ掛かるように座り込んでいる。
彼女の周囲には、彼女が流す液体が止まることなく水溜りを広げ続けている。
そして女性と伊藤誠の間には、先ほど大きな銃声を響かせた一本のライフル銃RSAFリー・エンフィールドが転がっていた。
銃口からは煙を上げている。それは悲劇を起こした伊藤誠をあざ笑っているかのようだ。
取り返しの付かない過ちを犯した自分の罪を悔いながら、伊藤誠は再度呟いた。

「どうして……………こんな事に…………………なったんだ」

伊藤誠の表情は、茫然自失という表現がこの上なく似合った。


▽▽▽▽▽
時間を30分ほど巻き戻す
伊藤誠は道を歩いていた。
彼は支給されたカーボン製の竹刀を漫画で見たように制服の背中に突っ込み、S&W M686 Plusを両手で隠すように
持ちながら村を歩いていた。

「はあ、どうしよう」

伊藤誠は投げやりにぼやく。
彼は一応ミリオタ知識は豊富に有り、戦争関連の映画も幾つかを見ている。
軍事知識の持ち合わせは当然有り、銃火器の知識も参加者の中では恐らく上位に位置づけられると思われる。
そして、自らに支給された七連発リボルバーが、かなりの当り銃であることも理解できた。
高性能で強度も有り弾数も多く、その上軽い。しかも予備弾まで42発と多めに支給されている。
これが主催者の狙いか、単純に運が良いだけか。
そこは分かりかねるがとにかくこれを使えば、相手が機関銃かアサルトライフルでも持っていない限り迎撃する事は可能だ。
しかし、問題はそこではない。

「俺に人なんて殺せるわけ無いだろーが。でも、世界や言葉や刹那や乙女も人なんて殺せる…………わけないよな。どうしよ」

そう。
伊藤誠には、人を殺す決断力というものが決定的に欠けていた。
社会生活において、人を殺す選択肢が無いのは普通であるが、この地でそれはマイナスファクター以外の何物でも無いのだ。
そのマイナスファクターを保有する伊藤誠に、する事が出来る選択肢は一つでしかない。

「とりあえず………向うの建物にでも入って様子を見るか。村なら参加者の集まりも森よりは良いだろうし、昼までそこに
潜伏して動向探った方がよさそうだ」

一人で呟いて、伊藤誠は偶然目に入った雑貨屋に足を踏み入れる。

▽▽▽▽▽
「どないしたらええん。私に人を殺すなんてでけへんよ」

春日歩は一人で膝を抱えて座っていた。
怯え、震え、恐怖に打ちひしがれていた。
支給された物はライフル銃が一挺
無意識にそのライフルを手に抱えてはいるが、とても上手に扱える自身は無かった、

「会いたいよ。みんなにはよう会いたい」

震える声で一言呟いたときだった。
自らの潜む建物の入り口から物音が響いてきたのだ。

「誰?まさか私を………………殺しに。いやや………死にたくない!」

震える足取りで、春日歩は物陰に隠れながら侵入者の方へと向かい歩き出す。

▽▽▽▽▽
「思ったよりも綺麗だな」

誠が中に入ると、内装は想像以上に綺麗に整えられていた。

(予想はもっと荒れてたけど、意外に綺麗にしてあるんだな)

と考えながら奥のほうへと歩くと、物陰から一人の少女が飛び出してきた。

「えっ!?」

誠は銃を向けようとするが、遅い。
それより先に少女の銃口が誠を捉えていた。

「銃を捨てて!お願いやからっ!!」
「……………分かったから撃つなよ。銃は置くから」

(先客か。しかも怯えてるじゃないかよ。ヤバイ。あれじゃいつ撃ってくるか全然分からん。
まあ出会いがしらに撃たれなかっただけマシか)

伊藤誠はそう考えながらゆっくりとしゃがみ銃を床に置こうとする。

「いいからはよう捨てて」
「床に放り投げて暴発したらヤバイだろ。絶対に撃たない。絶対に」

そう、声を低く説得するような口調で話してから、銃を床へと置くと、立ち上がる。

「えっと……映画なら手を上げるか、頭の後ろに組むかするけど、どっちがいい?」
「えっ!?何それ?」
「だから手の位置だよ」
「そんなの勝手にしてええよ」
「そう」
春日歩から了承を取ると、誠は両手を頭の後ろで組む。

(はあ、最悪だ。俺ここで死ぬのか。それとも走って逃げる?商品棚を利用したら逃げれるか?でも、ここで逃げると、次は
世界や言葉が危険な目に…………くそっ!八方塞かよ………待てよ。竹刀がある。これを使えば…………やるしかない。
逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ………駄目だ!!!)

誠は必死に思考を巡らせ、窮地を脱する術を考える。
そして、実行に移す。

「なあ、名前はなんていうの?俺は伊藤誠」

誠は少しずつ近づきながら話し出す。

「………私は春日歩いいます」
「春日さんか。高校生?」
「そうです」
「そっか。優勝校を狙ってる?」
「そんな………私に人を殺すなんて」
「そうだよな。それに………」

そこで誠は一度言葉を切る。

(くそ、何かの漫画で読んだ作戦だ。聞いてくれ頼むっ)

誠は心の中で祈りながら、そっと視線を春日歩から逸らし明後日の方向を見つめる。

「なに?」
その誠の仕草に、春日歩は一瞬であるが、銃口ごと視線を誠から逸らす。
その一瞬、これを誠は狙っていた。

(今だっ!)

心中でのゴーサインで誠は走り出す。
作戦は、春日歩が視線を逸らした隙に背中に差した竹刀で春日歩のライフルを叩き落す事だ。

「えっ!何?ええええぇぇぇ!」

とっ突然の誠の接近に春日歩は冷静に対処しきれず、銃口で正確に捉えきれず、撃ち損ねてしまう。

(今だっ!って、抜けないっ!?)

誠は背中に差した竹刀を抜こうとするが、抜けない。
それはそうだ。
剣術素人の誠に侍のようなすばやい居合いも、打ち下ろしも出来るわけがない。

「くそっ!って、うわあああぁぁぁ!!」

誠は力任せに竹刀を背中から引き抜くが、そのまま勢い余り、つんのめって転んだまま、春日歩を通り抜け商品の
陳列された棚にぶつかってしまう。

ドンガラガッシャーン

という擬音がここまで似合う事はまあ無い。
伊藤誠は商品棚を倒したまま倒れている。
そしてここまではただの喜劇。
バカ男が、一人芝居で哀れなピエロを演じただけで済むはずだった。
しかし―――――
「んっ」

伊藤誠が、強引に起き上がろうと体を動かしその衝撃で一本の竹箒が倒れる。
それは皮肉にも春日歩の持つライフルの先端に直撃した。

「きゃあっ!」

衝撃で銃身は引っ張られ、結果的に予想だにしない体勢で春日歩は引き金を引いてしまう。
そして不意に訪れる反動と大きな銃声。
その全てが春日歩を襲う。
結果的にライフルはそのまま地面へと落下し、春日歩はあまりの衝撃に後ろの壁へともたれ掛かるように倒れこむ。


▽▽▽▽▽
そして振り出しに戻る。

伊藤誠は目の前の少女の惨状に、とてつもなく戸惑っていた。
暴発したライフル弾は地面に直撃し、誰も大事には至っていない。
にも関わらず、春日歩の周囲には、彼女が流す液体が水溜りを作り続けている。
ここまで語れば誰にでも察しは付く。
春日歩は銃の衝撃で、意識が飛びそのまま全身の筋肉が恐怖で収縮し、結果的に失禁していた。
目の前の少女の緊急事態に、伊藤誠が戸惑うのも無理は無かった。

「どうしよう。俺が着替えさせるわけにもいかないし。はあ、こんな時に女子が居てくれたら。一体どうすれば」

誠が、狼狽していると、まもなく春日歩は意識を取り戻す。

「えっと………私は……ってええっ」

意識を戻すと同時、自らの恥ずかしい状態に直面に赤面してしまう。
そしてすぐに目の前に居る誠と目が合う。

「あっ、その」
「何も見ていない。俺は何も見ていない。春日さんは何もしてないっ!」

顔を赤くした歩に誠はすぐに目を逸らす。
すると、歩は一度頭を小さく下げてから、デイバックを拾い雑貨屋の置くの用務員室の方へと姿を隠す。
それを確認してから、誠は一度ため息を吐く。

「はあ、大丈夫かな。とりあえず、この二つを回収しないと」

誠は竹刀を足元においてから、春日歩のライフル銃と自身のリボルバーを拾う。

「こういうときってどういう風に反応したらいいんだろ」

帰ってくる彼女を待ちながら、誠は途方にくれる。
【I-6 氷川村の雑貨屋 /一日目 早朝】

【伊藤誠@School Days】
【装備】:S&W M686 Plus(7/7) RSAFリー・エンフィールド(9/10)
【所持品】:支給品一式 S&W M686 Plusの予備弾42 カーボン製の竹刀@BAMBOO BLADE
【状態】:健康
【思考・行動】
1:春日さんにどう対応したらいい?
2:人は殺さない
3:同じ学校のメンバーと合流
4:首輪を解除したい
「はあ、どないしよ、私………高校生にもなって…………やってしもうて」

歩は用務室に入って後、顔を赤くし涙をためていた。
しかし、涙を流しながらも必死で心を建て直し、制服を脱ぐ。
ぐしょ濡れの下着も脱ぎ、下は丸裸。上はブラジャーのみとなってから、デイバッグを開く。
すると中には制服が入っていた。
学校は違うけど、着れないサイズではなく、女性物というのが幸運だった。
それを着てから、歩はふと考える。

「伊藤さん。ひょっとしていい人?私が意識飛んでた時も何もせんかったし。けど……何だかきまずいわな。
どうやって顔だそう」

と、伊藤誠に若干の誤った認識を持ったまま、誠同じ悩みを春日歩も抱えていた。

【I-6 氷川村の雑貨屋 /一日目 早朝】

【春日歩@あずまんが大王】
【装備】:桜蘭高校の制服@桜蘭高校ホスト部
【所持品】:支給品一式 RSAFリー・エンフィールドの予備弾20 上着と、自分の濡れた下着とスカート。
【状態】:健康 ノーパン
【思考・行動】
1:伊藤さんにどうやって顔を合わすの?
2:人は殺したくない。
3:変えの下着がほしい
4:同じ学校の仲間に会いたい