※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

高崎秀一と杉村弘樹のふたりは、脱出を呼びかける声を聞いてから、
声の主を探して島のほぼ中央に位置する神塚山の頂上へと急いだ。
そして、元々体力自慢のふたりにとって山頂までの道のりはそれほど苦にならず、
特に何事もなく山頂までたどり着くことができた。
そこは、開けた眺めの良い場所に壁のない小屋のような構造物が建っており、
ちょっとした展望台といった趣の場所だった。

「……誰も、いませんね」
「ああ、多分この辺りだったと思うが」

せっかく山頂までやって来たふたりだったが、そこに人の姿は見あたらず、
仲間が増えることを期待していたふたりは、少なからず落胆した。

「仕方ない、少しこの近くを探してみよう」

ここはそれなりに眺めの良い展望台であり、ぐるっと周りを見渡せば近くに人がいないことはほとんど一目瞭然だったが、
斜面がきつい場所や木が密集している場所など、展望台の近くで見通しの悪い場所も数カ所あり、ふたりはそういった場所を確かめて回った。

「やはり誰もいないか……、もうここにはいないのかも知れないな」
「ええ、でもどうしてでしょう?」
「何か、この場にいられない理由が出来たのかも知れないが……」

結局、そういった場所にも人影はなく、これからどうするかふたりが悩み始めた時、
そんな悩みを吹き飛ばしてしまう音が神塚山に響き渡った。

ぱららららららら

「今のは!?」
「銃声!おそらくマシンガンみたいな物だ!」

驚愕の表情で振り返った杉村に対して、高崎も険しい顔で、
しかし冷静に聞こえてきた音を分析した。
杉村は銃声など聞くのも初めてだが、高崎は拳銃の声であれば間近で聞いたことがある。
その経験が、高崎に辛うじて冷静さを保たせていた

「危険だが……、行くしかないな!」

高崎はそう言うと、腰のベルトに差してあった拳銃を抜いて走りだした。

「はい!」

杉村も持っていた竹の棒を握りしめると、自分のデイバッグからはみ出しているAK47を確認して高崎の後に続いた。
相手がマシンガンである以上、いま杉村の手に握られている竹の棒では何の役にも立たないかも知れない。
出来るだけ使いたくはないが、いよいよという時はこいつを使うことになるだろう。
そんなことを考え、しかしそんな事にはならないよう祈って、杉村は高崎を追った。

「は…、は…、は…」
「はぁ…、はぁ…、はぁ…」

さすがに山を駆け上った後なので、ふたりとも多少の疲労を感じてはいたが、
そんなことは構わず走った。後悔はしたくなかったのだ。
そうして銃声のした方に向かって走っていると、
正面から薄黄色の制服を着た少女が走ってくるのが見えた。
その少女の手には、拡声器のような物が握られていた。

「高崎さん!」
「ああ、きっとあの声の子だ」

あの、脱出を呼びかけていた声の主と見て間違いないだろう。
そして、拡声器とデイバッグ以外には目立った物を持っていないところを見ると、
先ほどのマシンガンの音は、彼女ではないということも予想できた。
少女の方はふたりを見ると足を止め、怯えたような様子で高崎達の出方を伺っていた。

「怖がらせてはいけないな」

高崎はそう言うと手に持っていた拳銃をベルトに戻し、
大きく手を広げて危険が無いことをアピールしながら、ゆっくりと少女に歩み寄った。

「大丈夫だ、俺達は君と争う気なんて無い」

それを見た少女は、戸惑っているようっだったが逃げ出したりはせず、
高崎と杉村が側にやって来るまでその場を動かなかった。

「初めまして、俺は高崎秀一」
「俺は杉村弘樹です」

そんな少女に対して高崎と杉村は簡単に挨拶をしたが、少女は無反応だった。


「れんげさん、だね?」

そこで高崎は、まず少女が本当にあの声の人物かどうか確かめることにした。
本当はフルネームを確認したかったのだが、彼女はあまり聞かない苗字の持ち主で、
先ほどの拡声器の1回だけでは、高崎も杉村も、彼女の苗字を覚えられなかった。

「は、はい……」

名前を呼ばれて、初めて薄黄色の制服の少女、宝積寺れんげは声を発した。
その声は、弱々しく震えていた。
よく見ると、声だけでなくれんげの身体は小刻みに震えており、
表情も明らかに狼狽している様子だった。それを見て、高崎はやっと理解した。
先ほどのれんげは、動かなかったというより動けなかったのだ。
時折、手に持っている拡声器のスイッチを押してしまうのか、
拡声器からガガッと雑音が聞こえてきた。

「大丈夫、俺達は君の呼びかけを聞いてきたんだ」
「わ、わた、しの?…………ひっ!」

とにかく、れんげを安心させようとした高崎だったが、
れんげは声を上げ、さらに怯えた様子になってしまった。

『お前は馬鹿か!間違いなく殺し合いに乗った奴等がやってくるぞ!』

桐島ヒロミの言葉が、れんげの耳に蘇っていた。

(……殺される?)

高崎と杉村の目的も、先ほどヒロミを襲った者と同じなのではないか。
そんな考えが頭に浮かび、れんげは2、3歩後ずさった。

(死にたく、ない……)

そう思ったれんげだったが、この状況でこれからどうすればいいのか、
走って逃げようにも男の足から逃げ切れるとは思えず、
交渉しようにも、混乱した頭では思考が空回りするばかりで、
良い考えは思い浮かばず、れんげはその場に立ちつくした。
気がつくと、状況はれんげにとってどんどん悪くなっているようだった。

(まずいな……)

そんなれんげの様子を見た高崎は、内心焦っていた。
本当は、この場でゆっくりとれんげを落ち着かせてから話を聞きたいところだったが、
れんげがここまで動揺している原因は、おそらく先ほど聞こえてきたマシンガンだろう。
だとすれば、彼女が落ち着くまで待っている暇はない。
逃げるにせよ、マシンガンの持ち主と接触するにせよ、早急に判断しなければ命に関わる。

ぱらららら

「うお!」
「いやあああーーーー!!」
「くっ、近いぞ!」

高崎がどうするべきか考えていると、再びマシンガンの音が聞こえてきた。
高崎達の方から、音のした方へ走っていたので当然だが、
1回目に高崎達が聞いた時よりも、その音はかなり近づいていた。
それまで、黙って成りゆきを見守っていた杉村も驚きの声を上げ、
れんげは悲鳴を上げて頭を抱えると、その場にしゃがみ込んだ。
その拍子に拡声器はれんげの手から落ち、ガシャと音を立てて地面を転がった。

「どうします!?」

杉村の方は冷静さを失わず、油断無く音のした方を警戒しながら拡声器を拾い上げると、高崎の判断を待った。
杉村は、高崎と出会ってから今までの短い時間の間にその言葉や立ち振る舞いから、
高崎を自分よりも大人で判断力のある人物だと評価しており、
余程のことが無い限り、杉村は高崎の判断に従うつもりだった。
高崎は、そんな杉村の声に促されるように決断した。

「逃げよう!」

もしマシンガンの持ち主が軟葉か城岩、または、れんげの学校の出身者ならば、
話し合う余地もあるのかも知れないが、もし違ったら、
相手は問答無用で襲いかかってくる可能性が高い。
そうなった場合、高崎達はれんげを守りながら戦うことになるが、
高崎には、今のれんげをそんな相手から守り抜く自信がなかった。
今、マシンガンの持ち主と接触するのはあまりにもリスクが高すぎた。
それに、高崎自身あまり自覚していなかったが、マシンガンの音にかなりビビっていた。

「れんげさん、ちょっとごめんよ」

高崎はそう言うとしゃがみ込んでいるれんげを、いわゆるお姫様だっこの形で抱き上げ、
音がした方とは反対側へ走り出した。

「…………」

高崎は、桜蘭高校ホスト部の部員達とは違うタイプだが、なかなかの二枚目であり、
普段のれんげがこんな事をされれば喜ぶか、抱き方を批評をするなど、
何らかの反応があるところだろうが、今のれんげはヒロミの時と違い、
抵抗もしなければ逆に自分から抱きつくこともなく、ただ身を固くして震えていた。

「行こう、杉村くん」
「はい!」

高崎は、れんげを抱きかかえたまま杉村の横を走り抜け、
杉村は、銃声のした方を警戒しながら高崎の後について走りだした。


【F-5 東端 山中/1日目 昼】


【杉村弘樹@バトル・ロワイアル】
【状態】:疲労(小)
【装備】:棒(竹)、拡声器
【所持品】:支給品一式、AK47(30/30)、
AK47の予備マガジン×2、ランダム支給品0~2 
【思考・行動】
1:高崎についていく
2:七原達と合流したい
3:高崎がプログラムに乗るようであれば全力で止める
4:銃はできるかぎり使わない

【高崎秀一@今日から俺は!!】
【状態】:疲労(小)
【装備】:トカレフTT-33 マガジン(8/8)
【所持品】:支給品一式 花火セット 冷却スプレー
【思考・行動】
基本:どんな形であれ仲間を守る
1:マシンガンの音がした方から逃げる
2:れんげを落ち着かせて話をする
3:杉村と共にプログラムからの脱出を考える、無理と判断した場合には
  仲間の命を最優先
4:三橋と伊藤に恩を返したい
5:できれば花火は三橋に渡したい


【宝積寺れんげ@桜蘭高校ホスト部】
【状態】: 精神の混乱
【装備】:なし
【道具】:デイバッグ、支給品一式 本人確認済み残り一つ
【思考・行動】
基本:死にたくない
1:わたしはああああああああああ
2:殺される……?