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「はぁ……」
 伊藤誠はため息をつく。携帯電話の一件からずっと歩きっぱなしである。
 さっきと同じく自分の前を黙々と歩く清浦刹那に声をかけて何か話でもしようかと、漠然と
考えるがいい話題が浮かんでこない。刹那との接点の無さもあるが、今の状況で悠長に話して
いる場合でも無いとも感じている。だからこそ、
「はぁ……」
 ため息をつく事で気を紛らわせる事しかできなかった。
 どうやら刹那によると今は鎌石村の役場に向かっているらしい。地図に載っている、わかり
やすい場所だから誰かがいる可能性が高いということだ。
 そして誠は刹那に言われるまま、特に自分では何も考えず、ぼんやりと、僅かばかりの本能
的な恐怖をを感じながら目的地に向けて歩きつづけていた。


 この島で目を覚ましてから、誠にはなにかをやりたいだとか、自分がどうしたいかという考
えが浮かんでこなかった。確かに優勝したいとは思う。しかし殺し合いをしたくないとも思う。
刹那のいうご褒美が気になりもする。しかし誠は切迫した思いを抱けていない。
 そして断片的に、家族の事とか、自分と同じくプログラムに巻き込まれた他の三人の事とか、
いま一緒にいる清浦刹那の事とか、これからこの島でやる事とか、昨日までの生活とか、そう
いったものが頭の中に湧き出てくるが、それが一つの纏まった、具体的な思考の形にならない。

 それというのも実感が湧いていないのだ。自分が今殺しあいの舞台の上にいることの実感が。
 これを呑気という一言で片付けるのは簡単なことであるのだが、それは少し待ってほしい。
 というのも、この状況で正確に現状を把握し、的確に物事を実行できる人間の方が異常だと
いう事である。それにしても普通はなにかしらの行動を起こすものだが、伊藤誠という人間は
良くも悪くも普通過ぎたのだ。家庭環境という面においては少々特殊なものがあるが、誠個人
は、異性さえ絡まなければいたってまともで平凡な男なのだ。

 普通であるからからこそ、自分が死ぬという事をうまく理解できていない。
 普通の学生生活を送っていた人間が武器をもって殺しあえなんていわれても、戸惑うのが当
たり前なのである。それが例え、プログラムという全国的によく知られた制度だとしてもだ。
そして不幸な事に誠には恋愛以外に対する常識と一般的な倫理観というものを持っていた。

 自身の命の危機もうまく理解できず、だけど殺し合いという言葉の意味は頭で理解でき、だ
が常識的に物事を考える凡人である為、どうしていいかわからない。
 もちろん殺し殺される覚悟なんてできていない。それがどういったものかもわかっていない。
 誠はこういった宙ぶらりんな状態なのだ。
 三人の見せしめも、直後に眠らされた事によって、まるで夢だったかのように印象が薄い。
 更に目覚めてから直ぐに清浦刹那と合流してしまった事がいけなかった。彼女が強引に誠を
引っ張っていくからこそ誠は無意識の内に安心してしまい、彼の考える力を奪ってしまった。
 銃をつきつけられても、それを本当の意味で恐れていたわけではなかったのだ。
 だから誠は自分が携帯電話を所持していることにも気づかなかった。危機感がないのだ。
 刹那に任していれば、自分は何も考えなくてもいい。刹那の言うとおりに行動していれば、
それでいい、そんな無自覚な思考停止。いわばずっと、白昼夢を見ているような状態。
 もちろんそんな状態で生き残れる訳がない。仲間がどれだけ頑張っても自分から勝ち残ろう
としない人間は、覚悟の無い人間は、どんどん脱落していく。それがプログラムだ。
 このままでは伊藤誠は遠からず命を落とす事になるだろう。

 ……但し、そんな中途半端な人間を、切欠一つで変えてしまうのもまたプログラム。
 誠にその切欠をもたらす呼び水になる出来事が、二人が役場に近づいた時に起きる。
 銃声が、村役場正面の十字路に差し掛かった所で耳に入ってきたのだ。
 この時も刹那の一声で目的が変わる。
「……伊藤、ついてきて」
「えっ、どこへ行くんだよ? って待てよ清浦ぁ」
 それに答えず、刹那は音のした方へ走り出す。誠はそれが危険だと思いながらも清浦の考え
た事だからと、よく考えずに走り出した。

 □ □ □

 走り去る誠と刹那を見つめていた男がいた。
「行ったか……」
 村役場の二階、その一室に身を隠し窓から外をうかがっていた加東秀吉はそう呟いた。

 理子の話によれば武装解除の為にあちこち歩きまわっている一条という女がいるという。
 そして一条の呼びかけに応じた者がこの役場に集まってくるという話らしい。
 ただし、説得に応じた人間ばかりがやってくるわけでもない。そういった万が一の場合のた
めに秀吉は番人役をかってでたのだ。
 先程のようなお互いに事情もわからない出会いを防ぐ為に、秀吉は番人として、用心の為に
二階で見張りについていた。高所から外を見下ろし、誰かが役場に向かってくるようであれば、
秀吉が声をかけてどういう人間かを確かめる、というわけだ。見逃しがないように事前に人が
出入りできそうな場所は、秀吉が見張る正面の入り口以外全てに鍵をかけておいた。
 少女と男の二人組を見つけた時、説得に応じた他校の生徒なのかと思ったが、念のためにと
ギリギリまで声をかけるのを待った。その結果、どうやら外れだったらしく、二人は走り去っ
ていった。

 こそこそするのは秀吉の性に合わない事だったが、理子に守ると約束した以上はなるべく危
険な賭けをすることは避けたかった。どんなに非力な者でも拳銃一つあれば、簡単に人間が殺
せるのだから。防弾チョッキをつけていても頭に弾が当れば意味が無い。

 ただ、結果としてはその二人以上の問題が発生してしまった。
「カトーくん、今のは……」
 隣で同じく外を見張っていた赤坂理子が秀吉に不安げに声をかけてきた。
「多分、銃声だろうな」
 秀吉は理子が想像しているだろう答えを返す。
 それを聞いた理子は更に暗い顔をする。
 銃声らしき音は、少しの間をおいて連続して聞こえてきた。
 銃撃戦をしている、と考えた方が今の状況では自然だろう。
 理子は顔を曇らせてながら呟いた。
「……かれんちゃん、大丈夫かしら」
 銃声の事をいっているのだろう、そしてそれは秀吉も危惧している事だ。

 この場合、一条かれんの身の安全よりも自分達のことの方が比重は大きいが。
 もし、一条かれんが何らかの騒動に巻き込まれているとしたら。
 それから起こりうる事態を考え秀吉はすぐに決断し、行動に移す。
「おい理子、すぐにここから移動するぞ。用意しろ」
「えっ、ちょっと待ってよそれじゃ……」
「近くの家にいくだけだ、もし一条って奴が戻ってきてもすぐにわかる」
「それでも……」
「あのな、もしもがあってからじゃ遅いんだよ。
 俺の言いたいことはわかるだろ」
 胸糞が悪いけどな、と最後につけくわえ、秀吉は自分のデイパックを持ち上げる。
「……わかったわよ」
 理子も察したのか不承不承といった感じだが自分の荷物を抱えあげた。
 そう、もしも一条かれんが何者かに襲われたと考える場合、それは自分達がどこにいるか知
られてしまった可能性があるということだ。この場合、その銃を持った危険人物がこちらを襲
撃してくる可能性はかなり高い。
 もちろんそれに一条が関わっていないというのも充分にありえることだ。だから秀吉は最低
限の予防策として役場の様子が窺える、近くの民家へ移動する事を考えたのだ。
 銃撃戦を行っていたという事は、最低でも襲撃者は銃を一つは持っている。
 流石に、秀吉も拳銃を持った相手とはやりあったことは無い。
 番人を名乗り出ておきながら情けないことではあるのだが、それでも命には代えられない。
狂犬とて、相手の首筋に噛み付く前に撃ち殺されればどうしようもないのだ。
 なにごともなく一条が戻ってくればそれでよし、もし誰ともしれない何かが役場に近づいた
場合はその状況に応じて対応すればいい。または昼になるまで何事もなければさっさとここか
ら離れるのもいい。
「あー、それとだ」
「なに?」
 部屋をでようとドアの取っ手に手をかけていた理子に背後から秀吉は声をかける。
「書き置き忘れんなよ。昼になったら仲間を探しにいくんだろ?
 そのときの手間が省けるぜ」
「……わかってるわよ! それぐらい!」

 それだけ怒鳴って理子は荒っぽく部屋を出て行った。
「……拗ねちまったな」
 見張りをしながら理子の話を聞いた、秀吉なりの親切心からくる言葉だったのだが、どうや
らお気に召さなかったらしい。
「まー……しょうがねーか」
 普段はどうか知らないが、イライラしやすくなるのはこんな状況では仕方のないことだ。
 殺し合いなんて強要されて、もしかしたら、誰かが銃を持って自分を殺しにくるかもしれな
い、そんな状況じゃ、仕方がない。
(さて、どうなるかな……)
 おおよそ、普通の人生を送っていればこんな事態には遭遇しない。
 秀吉のそれなりに荒んで、しかし充実していた人生でも、銃を相手にした事は無い。
 だからこれから何がおきるか、秀吉には想像しきれない。
 しかし彼には心に抱えているものがある。
 それはプライド。加東秀吉という男は矜持に支えられて生きている。
 誰が笑おうとも、秀吉は自分の生き方を変えたりはしない。
 それでたとえ命を落とす事になろうとも、彼は後悔したりはしないだろう。


【C-3 役場近くの民家/一日目 午前】

【加東秀吉@クローズ】
【状態】:健康
【装備】:防弾チョッキ、アイスピック
【所持品】:支給品一式
【思考・行動】
1:とりあえずしばらくの間、この変な女を守ってやることにする
2:とにかくあの糞野郎(坂持)の言う通りにはしない
3:このむかつく首輪を外す方法はないものかと考えている(具体的な思考ではありません)

【赤坂理子@今日から俺は!!】
【状態】:健康
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、整髪料
【思考・行動】
1:守ってくれるという秀吉の厚意に甘えることにする
2:一条を信用して待ち、とりあえず放送があるまで隠れている
3:昼を過ぎても一条が戻ってこないようなら仲間を探しにいく

※役場に一条が戻ってこなかった場合の為に書置きを残しました


 □ □ □


(何が……いけなかったのかな……)
 ひとしきり泣いた後、一条かれんは塚本天満の亡骸を見つめて自問自答する。
 何故、天満が死んだのか。それを何度も何度も考えるが答えは出ない。
 それはあまりにも唐突で、突然で……まだその事実を飲み下せていない。
(私の……せいなのかな……)
 だから自分が悪かったのかもしれないと、考える。
(あの時……私がおにぎりを食べていれば、塚本さんは死なずにすんだのかな)
 もしかしたら、こうすれば助かったかもしれない。
 もしかしたら、こうすれば死なずにすんだかもしれない。
 それは無茶苦茶で、意味の無い考えで、だけど一条の頭の中を一杯に埋めていく。
 そんな負の感情の連鎖を後ろから聞こえてきた声が断ち切った。
「おい……」
 先程まで一条と格闘した阪東秀人の声で一条は現実に引き戻された。
 一条は振り返って阪東を見る。
 阪東は苦虫を噛み潰したような渋い顔をして、一条を見返していた。
 阪東は天満を悼むのではなく、行動する事を一条に促す。
「……いつまでもこうしていたってしょうがねぇ。
 進むにしろ、戻るにしろ、お前はこれからどうするんだ」
「…………私、は」
 それだけ呟いて一条は黙り込む。
 いまだに立ち直れない一条に阪東は辛辣な言葉を浴びせかける。
「死んじまったら何をしたってそいつが戻ってくることはねぇ。
 お前がそこでじっとしてたって意味なんかねーんだよ」
「…………」
 それでも一条は立ち上がれない。だから阪東は手を変える事にした。
「そいつをそのままにしておくってのか」
「…………あ」
 天満は動く事無く、その場に倒れたままだ。
 このままにしておくわけには、いけなかった。
「お前は今生きてるんだろうが。だから……できることをしてやれ」
 その言葉の意味を一条は噛み締める。
「……わかり、ました」
 もう一度、天満を見つめる。もう動く事は無いけれども、このまま野晒しにはしておけない。
 置き去りにするにはあまりにも可哀想で、せめてどこか清潔な場所に移すのが、今一条がで
きる唯一の事だった。悔やむ事は後でもできる。
「……阪東さんは?」
「俺はさっき言った通りなにがあったか確かめてくる。
 その後は、確か、村役場だったな。一応そこに行ってやるよ。
 ……おい、ちよ。お前はどうする」
「えっ! 私は……その……」
 唐突に話をふられたちよの顔を一条は見る。
 ちよも一条と同じく、困惑し、だけど天満の死に涙していた。
 そんなちよを見た一条はやっぱり優しい子なんだなと思った。
「お前は鎌石村に元々は行きたかったんだろうが。
 お前は一条についていった方がいいんじゃねーのか」
 阪東としては、ちよは一条と一緒に行動してもらう方が都合がよかった。
 さっきは相手がまともな人間だったから良かったものの、本気でこちらを襲ってくる、阪東
にとっての本当の敵を相手にしたならちよにまで手が回りそうにないからだ。
「ちよちゃん……私と一緒に行く?」
「いえ……やっぱり私は阪東さんと一緒に行きます」
「それでいいの?」
「はい、……後悔したくありませんから」
 そう、力を込めてちよは言った。こう言われれば阪東も拒否するつもりはなかった。
 もともと、ちよはどこにいくのかを自分の意思で決めてきたのだ。
 それを自分の都合でどうこうする権利は、阪東にはない。

 各々の行き先が決まった後は、天満が残した荷物をどうするのかという話になった。
 三人で話し合った結果、一条が全て持っていくということになった。
「いいのかよ」
「はい、もしかしたら阪東さんたちが行く先には怪我人がいるかもしれません。
 その場合、余分な荷物は無い方がいいはずです」
 そういって、三つのデイパックを手にかけて、天満を背負って見せた。
「……わかった」
 それを見せられれば阪東は納得するしかなかった。

「それじゃあ、阪東さんもちよちゃんも気をつけて。また、あいましょう」
「……ああ」
「一条さんもお気をつけて」

 阪東とちよに一時の別れをつげて、一条は歩き出した。
 天満の体温を、一条は身体全部で受け止める。
 暖かかった身体は、どんどん冷えていき、天満がもう終わってしまった事を主張している。
 悲しみを乗り越える事はまだできそうに無いけれど、それでも一条は歩いていく。

 □ □ □ 

 そして一条かれんの後を静かに追いかける血塗れの女がいた。
(これも運命かしらね)

 宮崎都だ。都は世界を使った遊びが終わってから、たまたま一条たちの姿を見つけ遠く、草
むらに隠れながら一条たちを観察していた。天満が倒れてから、阪東が一条に声をかける間の、
硬直した時間、その間に都はやってきた。
 すぐに襲ってもよかったのだが、都はさっきの闘いと今の自分の状態を振り返り、様子を見
ることにした。相手は複数、また逃げられないとも限らない、逃げられた場合、その分都は不
利になっていくのだ。
 そして、その集団は倒れていた女を背負った女と、男と子供の二組にわかれた。女の方は村
の方へ、男の方はどうやら自分がもといた方へむかうらしい。
 どちらを選ぶか迷う事もなく、都は女を選択した。わざわざ元居た場所に戻る意味がない事
に加えて、村に少し用事があったのだ。
 西園寺世界をいたぶり殺したせいで、その身体は返り血にまみれていた。ベトベトして不快
なそれを、どうにかして洗い流したかったのだ。
 それに落ち着いて支給品の整理もしておきたかった。確かに強力な武器はたくさん手に入っ
たのだが、流石に量が多すぎる。このままでは手に余るので、使える道具の選別と残った道具
の保管場所を探しておきたかった。
 しかし、それ以上に都を刺激したものがある。
 それはどうやらその二人の女が「一条かれん」と、都が最初に手をかけた播磨拳児の思い人、
「塚本天満」であるらしいのだ。
(矢神の生徒とばかり何度もあたるなんて……本当、運命って皮肉なものね)
 制服もさっき逃がした沢近愛理と同じもので、二人の特徴も播磨拳児から入手した情報と符
合する。とくに塚本天満は播磨拳児が念入りに特徴を教えてくれたため間違え様も無い。
(塚本天満……か)
 播磨拳児のことを思い出す。本当に清々しい馬鹿だった。うらやましくなるぐらいに。
 そして最後の叫びも思い出す。本当に塚本天満を心から思っていた、それが痛いほど伝わっ
てきた。だから……。
(あたしがこの手で殺してあげる。播磨、すぐそっちに送ってあげるから待っていなさい)
 播磨拳児に送る手向けの花、歪んだ都の最後の情けからくる思いであった。

 もちろん既に天満は死んでいる。都はそれを知らないだけだ。

 都もなにかおかしなものを感じていたが、わざわざ背負って運んでいるのをみて生きている
と判断しただけだ。もし自分にそれを置き換えてみたら、一条の気持ちも理解できたかもしれ
ないが、都も冷静な様でいてその実、かなり興奮しているのだ。
 そして都は距離をたっぷりととって一条を追いかける。幸い、一条の足は遅い。なんだかん
だでやはり荷物が多すぎるということだろう。
 とりあえずは村につくまで一条を襲うつもりはなかった。下手に襲った場合、その音を聞き
つけてさっきの男が戻ってきて挟み撃ちにあう可能性があるからだ。だからじっくり確実に殺
す。
 今のところ、全て都の思う通りに事が進んでいた。
 ただ一つ、都に誤算があったとすれば。
 その場に隠れていたのが都一人だけではなかったという事だろう。


【C-3 道/一日目 昼】

【一条かれん@スクールランブル】
【状態】:疲労(中)、空腹、口内出血(軽傷)、頭にたんこぶ、
     腹部にあざ、精神的動揺(大)、どうしようもない後悔
【装備】:ワルサーP38(弾数0/8)
【所持品】:支給品一式×3、デイパック×3、塚本天満の亡骸
     ランダムアイテム1~3 取っ手付き麺棒
【思考・行動】
1:いったん村役場に戻り、阪東達を待つ
2:塚本さん……
3:他校の生徒を探し出し、無力化しつつ説得
4:仲間全員に取り返しのつかなくなる前に自分の仮説を伝えたい

【宮崎都@BAMBOO BLADE】
【状態】:若干の興奮状態 健康 血塗れ
【装備】:コルトM4カービン(30/30) スタームルガーブラックホーク(6/6)
【状態】:支給品一式×2 播磨のサングラス  閃光弾(3/4) スペツナズナイフ三本
     FN ハイパワー(5/13) FN ハイパワー予備弾13×3、手榴弾(4/4)
     コルト M4 カービンの予備マガジン×3
     スタームルガーブラックホークの予備弾30
【思考・行動】
基本:栄花段十朗と生き残る
1:目の前の女の後をつける。が、まだ襲わない
2:栄花段十朗を探す。他校の人間は殺す
3:室江高校の人間は誰も殺せないだろうとアテにしてません
4:色々と整理したい。身体も洗いたい

【その他】
矢神高校出身者の特徴や性格を播磨の認識を元に簡単に知りました。全員安全だと思っています
スタームルガーは大腿にベルトで止めて隠しています。



 □ □ □

「阪東さん……どうして塚本さんは死んでしまったんでしょう」
 一条と別れてからの阪東とちよは目的どおり、先を目指して歩を進めていた。
 そんな時に、ポツリとちよが言葉をこぼした。
「さあな……あいつが食ったアレに毒でも入ってたんだろうよ」
 阪東は見たままの事実を返す。塚本天満は自分で取り出したおにぎりを食べて死んだ。
 それだけだ。あまりにもあっけない死に方だった。
 しかしそれだけではちよは納得できなかった。
「でも、それじゃあなんで、塚本さんはあんなことを――」
「そんなこと考えたって答えなんかでねーよ」
「でも……」
「さっき人が一人死んだ。それだけの話だ」
「それじゃ……納得できません」
 そう言ってちよはうつむいた。
 しばらく黙っていたちよだったがまた唐突に口を開いた。
「阪東さんは……なんでそんなに冷静でいられるんですか」
 それはちよがさっきから疑問に思っていることだった。
 人が一人目の前で死んだのに、ずっと落ち着いていられる阪東が不思議でならなかった。
「私にはとても……」
「オトナがガキの前でみっともねーところ見せられるかよ」
「えっ……」
「それだけだ」
 阪東はこれ以上なにも言わなかった。
 ちよもなにも言わなかった。
 しばらく二人の間に静寂がまたがった。

 それから十分ばかりたったころの事だ。
 草を掻き分け、進んでいく内、阪東が呟いた。
 進んで進んで、そしてそれは唐突に姿を表しはじめる。
「……そろそろ目的地につくみたいだぜ」
「? なんでそれがわかるんですか」
 あくまで音を頼りに進んできただけ。明確な目印などは無かった筈である。
 もうかなり時間が経ってしまって、もしかしたらもう誰もいないんじゃないかとちよは思っ
ていたのだ。……冷静になって考えてみると、なんのあてもなかったんだなとちよは思った。
「これを見てみろ」
 阪東が指をさす先に、ちよの目が釘付けになる。
「これは……血ですか?」
「ああ、しかもこれは……」
 阪東の周囲の枝葉がべっとりと赤い血で汚されているのである。
 おそらく葉と身体が擦れてついたものなのだろうが……。
「おい、俺からあまり離れるなよ。
 それと……覚悟を決めておけ」
「……はい。わかりました」

 草と葉についた血痕を目印にして歩く。
 歩いて歩いて……“それ”はすぐに見つけることができた。
 “それ”をまず目にしたのは阪東秀人だった。
 それは出会い頭の事故みたいなもので。
「っっ!」
 目の前のあまりの惨状に阪東は絶句し、硬直する。
 それが、いけなかった。
「え、どうしたんですか」
「待て! 見るな!」
 阪東はちよを止めようとするが、うまく身体が動かない。
 そして、“それ”を、ちよは、見てしまった。



 確かに阪東はちよに覚悟を決めろと言った。だがそれにも限度がある。
「くそっ、たれが……!」
 ちよを担ぎながら、阪東は急いで安全を確保できる場所を目指していた。
 ちよはあれを見て、声をあげることなく卒倒した。しかしその方がちよにとってはよかった
のかもしれない。
「あんなことをできる奴が、この島にはいるのかよ……!」
 阪東はちよが気絶した後は、即座にちよを抱えて、その場から立ち去った。
 不良としてならしていた阪東だからこそ、わかることがある。
 あれを作りあげた奴は異常であると。
 あれは相手を殺す事を目的としたやり口ではない。
 あれは相手をいたぶって楽しんだ、その結果仕上がったものだ。
 普通の人間には、そんな事はできはしない。
 そいつは狂っていると、阪東は確信していた。
 そして、そいつはこの周辺にいる可能性がある。
 それを考えるだけで、阪東は背筋が冷える。汗がふきだす。
 百選練磨の阪東といっても、本物の狂気にはまだ出会ったことは無い。
 ちよがいなければ、それにあてられて喚き散らしていたかもしれない。
 とにかく安全な場所、少なくとも開けていて辺りが見回せる場所へと、阪東は急いだ。
 全ては落ち着ける場所についてから、それだけ考えて阪東は走りつづける。



【C-2 北西の道/一日目 昼】


【美浜ちよ@あずまんが大王】
【状態】:空腹、精神的ショック(大) 気絶
【装備】:なし
【所持品】:
【思考・行動】
1:…………


【阪東秀人@クローズ】
【状態】:疲労(中)、精神的ショック(大)
【装備】:鎌
【所持品】:支給品一式×2、鉄パイプ、トラロープ
【思考・行動】
1:ひとまず安全な場所へ
2:しばらくちよと一緒に行動する
3:襲ってくるなら誰であろうと叩きのめす
  ただし余程の事が無い限り殺す気は無い
4:ヒロミ達とはできれば一度合流しておきたい
5:この島から脱出する
6:くそったれ……!


 □ □ □

 伊藤誠と清浦刹那はずっと隠れていた。そして事態の一部始終を見ていた。
 塚本天満が死ぬ所も見ていたし、一条かれんと阪東秀人達が別れる所も、宮崎都が一条かれ
んを追いかけるのも、全て見ていた。接触しなかったのは場の状況がわからなかったからだ。
 その後、男の方を追いかけた。一目で危険人物とわかる者の後を追うのは刹那の本意ではな
かったからだ。気づかれぬように距離をとって追いかけた。接触しようかとも思ったが、悩ん
でいる内に、男達はどんどん先に進んでいく。そして男が止まった。子供が倒れた。
 そして男は子供を担いで走り出した。刹那と誠は何事かとそこまで進み、それを見た。

 西園寺世界の変わり果てた姿を。

 そして少しの時が経つ。
 もう放送が間近に迫ったいた。
 刹那は世界のすぐ傍に座り込んでいた。誠はそれを見下ろしている。
 誠からは刹那の顔をうかがうことはできない。
 なんとか、誠が声を絞り出した。
 今はもういない世界に声をかける。
「ごめんな、世界……助けてやれなくて」
「…………」
 間があいた。
 誠が今度は刹那に声をかける。
「……清浦、これからどうしようか。」
「…………」
 返事は無い。
 誠は自分の思いを口にした。
「……俺、思うんだけどさ」
「…………」
 返事は無かったが誠は喋り続ける。
「俺は世界を弔ってやりたいって、思うんだ」
「…………」
 まだなにも返ってこない。
「……ここに埋めてあげようかな」
「……駄目、それは……駄目」
 ようやく返事が返ってきた。
「そっか……そうだよな。ここじゃ、寂しすぎるもんな」
「…………」
「それじゃあ……まず世界を綺麗にしてやらないと」
 そう言って誠は自分のデイパックから地図とコンパスを取り出した。
「ここから南に、川があるからそこで身体を洗ってあげよう
 それから、どうするか考えよう。でもその前に……」
 地図をしまい、今度は水を取り出す。
 キャップを開けて、刹那の隣に膝をつく。
「清浦、ちょっとごめん」
 そういって刹那を脇に動かす。顔は見ないようにした。
 そして誠はペットボトルの水を世界の顔に垂らした。
「世界は女の子だもんな。顔が汚れてちゃ、可哀想だもんな……」
 水を垂らして、血やよだれを指で拭っていく。
 丁寧に、丁寧に顔を指でなぞっていく。
 水が無くなる頃には、あらかた汚れは落ちていた。
「世界……」
 誠は世界の顔を見つめる。
 どんよりと黒く濁った目が誠を見返している。
「本当に……ごめん」
 それだけ言って誠は世界を背負って立ち上がる。
 自分のデイパックは置いていく事にした。
「清浦……行こう」
「…………うん」
 刹那も立ち上がり、誠が歩き出す。刹那もその後をついて歩く。
 そして二人はその場を後にした。後に残るのは血だまりだけ。


【D-2 道/一日目 昼】


【清浦刹那@School Days】
【状態】:健康 精神的ショック(極大)
【装備】:ベレッタM92(装弾数15/15)
【所持品】:支給品一式 レミントンデリンジャー(装弾数2/2) 毒入り小瓶 誠の携帯
【思考・行動】
1:世界…………

[備考]
携帯が坂持に繋がること、メール及びネットは使えないことを確認しました。

【伊藤誠@School Days】
【状態】:健康 精神的ショック(大)
【装備】:
【所持品】:西園寺世界の亡骸
【思考・行動】
1:世界……ごめんな……
2:世界を弔う


[備考]
携帯が坂持に繋がること、メール及びネットは使えないことを見ていました。
誠のデイパックはC-2に放置されています