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艶やかな黒髪を揺らす少女、周防美琴は此処まで三度にわたり目を覚ました
一度目は薄っすらと暗い影が印象に残る教室
沢山の生徒のいる中、殺し合いをしろと告げられ、全てが始まった
二度目は、沖木島、冷たい地面の元にたった一人で目を覚ました
直ぐに現実と向き合うと、少女は人を殺めた
三度目は上記に挙げた覚めとは一線異なるもの、肉体的なものではなく精神的なもの
男、伊藤真二と出会い、彼を襲った周防であったがその時に一つ勝負をした。
その勝負とは少林寺拳法を学んでいる周防と見た目からして不良そのものな伊藤
この二人で行った勝負、それこそジャンケンやトランプで勝負などはありえない。
プログラムの最中にこそ相応しく、二人に相応しい勝負。
二人が出会って片方が勝負と言った瞬間に、その内容は決まっていた。
そして、周防の負けで勝負は決した。
彼女はそこで「人を殺さない」という約束を背負う。
親友達を守る、その為に人を殺す決断を下した周防にとっては楔とも言える約束
しかし、今の彼女にとっては楔でも鎖でもなく、ただただ目を覚ましたような何かから解放されたような爽快感が胸を打つ。
彼女から見る太陽の輝きが変わったのも、姿の見えない花井の声が聞こえないのも、伊藤と出会ってからだった。
親友達を守るという行動自体は何も変わらない、だからこそ、伊藤を置いて少女は旅立った。
ただ一つの約束だけを心に挟んで

と、ここまでは少し前の話
今、彼女は再び参加者である生徒と出会った。
少女にしてみれば、三度目になる自分以外の人物との遭遇。
出会い、目が合った瞬間に彼女の動きは止まった。
何かを恐れたわけでなく、ただその瞳を見つめていた。それだけ。
向こうが動き出す前に走り出したが、その理由も脳から流れ着いたものではなかった。


男も、この島で三度にわたり目を覚ました
一度目は少女と同じ、殺し合いを告げられた教室で
二度目は、少女と場所こそ違えど同じ島で目を覚ました。
もっとも、覚ました直後に再び意識を失うことになるのだが……
そして、肝心の三度目になる目覚め
そこで彼は記憶を失っていた。
いや、失っていたというのは正しくないのかもしれない。
戻っていたが正しいのか、困惑していたが正しいのか。
どれが正しいのか分からないから、彼に追いかけられている少女は逃げているのかも知れない。

周防美琴と川田章吾
二人の不毛な鬼ごっこは未だ継続していた。
氷川村からスタートしたこの鬼ごっこ、今は村から北東へと遠く離れている。
自然の光が地面のアスファルトを照らし、道に落ちる石が二人のつま先に蹴られ転がっていく。

「……慶子……ちが……けい……」

求めるものに縋るよう地面を踵で蹴り出し、前へ前へと走り続ける川田。
理想と現実、彼の思考は過去と現在の認識を正確にし、自分の不条理な点を挙げるというレベルに到達していなかった。
彼が今、困惑している地点は記憶の問題ではない。
目の前を走る少女が、慶子かそうでないのか。これが今の彼を困惑に染める全てだった。
少女の背中が、現実と理想交互に入れ替わる。そのたびに川田の声も呻きをあげる。

「待ってくれ慶子」

記憶の中で川田が立っている場所
それは、彼の愛しい人である慶子がもう亡き人になっている場所でもある。
既に死亡している彼女、理性では慶子とは思えない、しかし願いと理想が川田を幻想へと手招きをする。

「いい加減にしろ! 一旦止まれ!」

声を荒げ、前を走る周防から見た川田は異質そのものである。
これまで出会った二人とも、異なる。
どこが違うと問われても、答えることはできないだろう
だが、やはり違う。自分に近寄らせてはならない何かを感じていた。

「……けいこ」
「私は慶子なんて名前じゃない!」

はっきりとした口調で周防が叫ぶと、追いかけていた男の足がピタリと止まった。
長い長い追いかけっこが終わったと一息つくと、一定の距離を測り周防は声をかける。

「アンタ、何で私を追いかけるんだよ?」

長時間の走りで、口からは白い息を吐き出しながらも周防は男へと問い詰める。
このプログラムにおいて、追いかけてくるはイコールで殺しにきたとも取れるが、周防はそれだけでないものを確かに感じていた。

「……慶子……じゃないのか……」

体中を獣のように上下に揺らし、地面へと膝を落としていく。
哀しみに満ちた瞳で男は、周防へと言葉を返す。

「私は周防美琴だ、慶子って人じゃない」
「じゃあ、慶子は……やっぱり死んだのか……」

見た目と反したあまりにも落ち込むその姿を目の当たりにし
自分がとてつもなく悪い事をしたのではないかと、周防は目を逸らさずにはいられなかった。

「その慶子って人はアンタの大事な人なのか?」
「……」

今の落ち込み具合と、自分を追いかけているときの形相を思い出せば、返答がなくとも誰でも予想はつく
恋人と勘違いしたほどだ。自分には危害を加えないであろうと確信をし
周防は一歩近寄り男へと手を差し伸べる。

「ほら、立てよ。私も一緒に慶子って人を探してやるよ」
「慶子は……死んだ……」
「そんな簡単に諦めるなよ、ホラ」

そう言い、男の手首を掴み挙げると無理やりに足を立たせていく。

「私は名乗ったんだ。アンタも名前を教えな」
「川田……章吾……」
「よし! 川田。私の友人達とアンタの恋人、慶子さんを探しにいくぞ!」

周防の前に立つ男、川田は未だブツブツと言葉を紡いでいたが
元々の姉御肌を全開にしている周防はそれを意図的に無視をして、川田を引っ張っていく。
最初こそ恐れていたが、他人の色恋が関わると変わるもの、それが世間一般的な女子高生であり、周防美琴だ。
川田の右腕にあるバットもだらしなく、ただ右手に収まっているだけ
だらしない弟分ができたなと思いつつも、内心は微笑んでいた。
自分を追いかけていたのは、人に縋りたいから
人を殺した贖罪も、伊藤への約束も心に秘めて
周防は、目の前の男を引っ張ってやりたい気持ちで一杯だった。

だが、周防美琴は幾つかの勘違いをしていた。
それは川田章吾が探している慶子という女性が名簿の中にいないこと
周防は一度、名簿を覗いてはいるのだが全員の名前を暗記しているはずもなかった。
そして、川田自体への勘違い。周防の前に映る川田は今のところモロさしか見えず、弟のように接している。
しかし、彼こそがキーマン。
彼はこの島から人々を救える存在であり、プログラムからの脱出へと導くことが出来る繋ぎ手である。
そのことに周防が気づかないのも無理はない。
何せ、彼自身もそのキーマンであることを忘れているからだ。
記憶を失った直後には、まだ巻き戻っただけの正常な川田章吾であったが
今の彼にあるものは、愛しき恋人大貫慶子が目の前にいない喪失のみ
全てを理解している第三者がいたならば、川田章吾をキーマンへと戻すには二つの扉を開ける必要があるだろう
一つは、記憶という名の扉、もう一つは大貫慶子という名の扉
その扉はとてつもなく重いものなのか、それとも風が吹けば軽く開いてしまうものなのか誰にも分からない。
どちらにせよ、いずれ開かねばプログラム打破という願いを持つ幾多もの可能性の粒を磨り減らしていくと予測がつく。

人を殺め、人に諭され、人に追われ、人に縋られた
プログラム開始以来、もっとも多くの物語を綴ってきた少女、周防美琴
恐らく、川田章吾を導く少女の行動、決断がこれから先のバトルロワイアルを大きく揺れ動かしていくであろう。

――鍵を持つのは彼女


【H-8/道路/1日目-昼】


【川田章吾@バトル・ロワイアル】

【状態】後頭部に強い打撲 記憶退行 混乱
【装備】金属バット(元は周防美琴の支給品)
【道具】デイパック、支給品一式 タバコ コンドーム一箱 鍋のふた
【思考】
基本:
記憶退行(中3の神戸でのバトルロワイヤル終盤)
精神状態はかなり悪く、アイデンティティの危機。
大貫慶子で頭が一杯、冷静な判断に支障あり

1:慶子、慶子、慶子!
2:頭が痛い
3:こんな理不尽に死ぬことは耐えられない

【備考】
川田は現在、精神的に非常に揺れています。
自分の記憶の矛盾にまだ気づけておらず、しかも慶子の死のフラッシュバックによ
る精神的疲労が大きいです。もし記憶の矛盾をつかれた場合、どのように転ぶかは
わかりません。


【周防美琴@スクールランブル】

【装備】:
【所持品】:支給品一式、ロープ
【状態】:拳に軽症

【思考・行動】
基本:
仲間を探す。襲ってくるものに容赦はしないが殺しはしない

1:川田と共に、慶子と仲間を探す
2:海岸線を南から南東へ沿って移動。仲間を探す
3:同じ学校の仲間を全員探したら伊藤と合流したい





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