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序章

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裕紀のぼやきを瞬時に聞き、そして同じように意識の外にやった梔は目前の機体のみに集中する
「なんの冗談だよ、これはァ!」
半ば自棄になりながらも突然戦闘に参入してきたナイトガンダムを加えた2機のMSを相手に六歌仙は必死にEx-νガンダムを操る
上下の区別すらない宇宙空間で、もう自分がどちらを向いているのか、なにを相手にしているかすらわからない。
ただがむしゃらに標準をよぎった機影に向かって撃ち、向かってくるビームを避けることしかできず
目の前のエネルギーケージがじりじりと降下し、レッドゾーンに近づいていることに気付く余裕も無かった

“…セン、…ヤク! ナイト・・・ム……かれた…”
電波干渉によるノイズごしに、レジスタンスの通信士の声がかすかに届く
ナイトガンダムが振り下ろすサーベルを、間一髪のところで避けた六歌仙は、
交戦ポイントを移しているサイドモニターに、さっと目をやった。―――燃えている!?
六歌仙は目を見開いた。梔が乗っている物とはまた違う、量産型ナイトガンダムがレジスタンスの母艦に取り付き、至近距離からライフルを連射している。
艦の装甲は過熱して白く輝き、ナイトガンダムの黒い機体を暗い宇宙の闇の中、赤々と照らし出していた。
「嘘…ぐあっ?!」
喋る暇すら与えない連携攻撃。もはや六歌仙は必死で自機コントロールするしか残された手段はなかった。
ひたすらにキャノンを連射しつつビームを備え付けのフィンファンネルで無効化する――と、トリガーが反応しなくなった。
「・・・・!」
六歌仙ははっとゲージを見た。さっきから鳴っていた警告音が、急に大きく耳に飛び込んでくる。
エネルギー残量を示すゲージは、レッドゾーンにまで下がっていた。
「パワー切れ!?…しまった!」
Ex-νガンダムの周りでバリアを形成していたフィンファンネルが停止した―――エネルギーが切れた!
それを見て取ったV2アサルトバスターが、持てる全ての火力を自機目掛けて放った。
―やられる!
次の瞬間に感じたのは爆発する機体にまきこまれる衝撃ではなかった。
鈍い音と共に、機体にGがかかる。六歌仙はぎょっとして目を開けた。
Ex-νガンダムとV2アサルトバスターを結ぶ斜線上に、ナイトガンダムが居た
「な、梔!?」
一瞬何が起きたのか分からない六歌仙をよそに、叫ぶ裕紀
「ろ、…かせ…ん。逃げ…」
電波干渉ではない、機体の損傷によって生じたノイズごしに梔は言った
それの意味をなんとか捉えた六歌仙はやりきれない気持ちを抑え、その場を後にした

出撃したときは、誰が数十分後にこんな結果を予想しただろう――と裕紀は苦く思った。
裕紀も梔も自身が思った以上に六歌仙を倒すことへの抵抗があった。
もともとは同期の軍人として暮らしていたのだから、当然かもしれないが。
それにしても、さっきナイトガンダム…梔が身を粉にして自分の攻撃を止めなかったら今どれだけ後悔していただろうとつくづく思った
裕紀はV2アサルトバスターに運ばせている機体に向けて、気遣わしげな声をかけた。
「梔、大丈夫か?」
「痛い…」
さきほどよりナイトガンダムからは梔のうめき声しか帰ってこない
「痛い…痛い…」
ただならぬ様子に、裕紀は一刻も早く――と、母艦を目指した。

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