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裕紀Ver  三章」(2006/05/19 (金) 22:10:30) の最新版変更点

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"六歌仙の撃墜" この任務は裕紀の失態により完遂されなかった。 もちろん上層部はこの件について「違反には厳罰を処すべきだ」という結論に至ったのだが、 当の裕紀には3日間の独房入りという軽いものが下されただけであった。 これにはもちろん深い理由が存在していた。 六歌仙がまだ軍に居た頃、 裕紀とともにその名は二大エースパイロットとしてレジスタンス側に知れわたっていた。 そのうちの一人が離反したのならば撃てる人間は一人しか居ない、そう上は判断したのである。 とはいえ一度撃つことを躊躇った人間をそのまま信用するわけには行かない。 そのため裕紀には新しく部下が配属されることになった。 もちろん、六歌仙撃墜以外にも"裕紀の監視"の任務が与えられた人間である。 「ここかな?おーい、起きてくださいよぉ。ここから出しますよー」 酷く間延びした声で裕紀は目覚めた。 独房に入って三日目、その事実を思い出し 「迎えが来たのだろう」とまだ覚めきっていない頭で判断し立ち上がった・・・・・・ つもりだったのだがまだ身体も覚めていないらしい。腕しか上がらなかった。 「寝ぼけていないで、さっさと起きて出る準備しやがれっす」 (何だこの口調・・・中途半端に砕けているというか・・・) そんなことを頭の隅で考えていると独房の扉が開いた。 そこには裕紀がまったく見たことの無い人間が立っていた。 「貴方が裕紀殿ですね?自分はクレスであります。 今日付けで正式に貴官の隊に配属となりました。どうぞよろしくお願いします。」 「部下・・・?隊・・・?・・・何だそれは。全然聞いてないぞ。」 隊が結成命令が下されたのが二日前、そのとき独房に入っていた裕紀が知らなくても無理はなかった。 「ありゃ、聞かされてませんか。とりあえず指令に掛け合ってみてください。自分は全然知らないんですよー」 「そうしてみるよ。それじゃクレス・・・だったかな。よろしく頼む。」 「やだなぁ隊長、そんなかしこまらないでもいいっすよ。それじゃ自分は飯でも食べてますね。」 と言うとクレスは食堂の方向へ向かって行った。  司令室で聞かされた事実は二つあった。 一つはあのクレスについて。 地上でのテストが終わった新型機の宇宙適正を調べる為に来たのだという。 適正検査では悪くはなく、むしろ良いほうであとは実戦テストを残すのみとなっていた。 そこで、優秀な戦力を集める必要があった対六歌仙隊に配属されることとなった。 もちろん、実戦で高い能力を発揮できるかは分からないが・・・ 二つ目は遭遇したEx-νガンダムのパイロットについて。 名は葵、まだ未熟ながら未来のエースとして期待されている人間だという。 連戦連勝してきたのだが唯一負けたのがあの戦闘であった。 隊も自らを残して全滅、愛機も大破。 見事にプライドをズタズタにされ、リベンジを臨んでいた葵にとってこの隊の結成はこの上ない朗報だったであろう。 所属部隊も無くなっていたため志願は簡単に通った。 この二つが事実。 それとは別に新たに下された命令があった。 ・・・巴の撃墜である。 軍の機体を持ち出し、レジスタンス側に参戦してこちらに敵対しているのだから当たり前の判断であろう。 二人を撃墜する為にトップエースや試作機、将来のエースを動員して特殊部隊を結成したのだから上層部の力の入れようはかなりのものと言える。 だが、それとは裏腹に裕紀の心境は沈む一方であった。 (今度戦場で出会ったら撃てるのだろうか・・・) もちろん、撃たなければならない。 1回見逃してしまったのだから次は無いだろう。それこそ重罰が下されることになる。 「なんとか説得できないものかな・・・いや、無理か・・・」 二人の意思の強さは良く知っている。おそらく簡単に折れることは無い人間だ。 それに今は部下がいた。しかも葵は交戦して敗北を喫しているので説得する、といっても耳を貸さないであろう。 「・・・覚悟を決めるしかないか。」 そう呟いたと同時、爆音と衝撃が基地に広がり、敵の襲撃を知らせる警報が鳴り響いた。 「何でこんなに接近されるまで見つけられなかったんだ・・・この基地のレーダーはメンテナンスでもしてたのか?」 葵が愚痴る。 「月面基地といってもここは偏狭の地、しかも近くに敵の基地が存在するという報告は無いと来た。そりゃ油断も仕方ないってことで。それより問題はこの砲撃ですよ。何すかこの火力?」 「おそらく戦艦の主砲だろう。 ・・・にしてもかなりの火力だな、おそらく新造艦か。」 と言った所で格納庫に到着した。 そこにはEx-νと見慣れない機体が二機。 クレスがテストするという"ゴッドガンダム"と連戦続きでオーバーホールの必要なV2アサルトバスターの変わりに裕紀が新たに乗り込む"デスティニーガンダム"であった。 「お待ちしておりました裕紀隊長。迎撃の先鋒として出撃してください。デスティニーのマニュアルはもうご覧になっておりますね?」 「独房で穴が開くほど読ませてもらったよ。特殊な装甲を搭載しているらしいな。」 「ええ、そのためか長時間戦闘はできません。今回はMS二機による奇襲らしいですしおそらく大丈夫でしょうけど、一応気をつけてくださいね。ご武運を!」 「二機ってどういうことd・・・ 閉じられたか。」 コクピット内で発進を待っている中、整備長と思われる人物が話した二機のMSの奇襲という言葉がどうしても気になっていた。 少数で基地を奇襲するということ、つまりは精鋭が出てくることになる。 「六歌仙・・・巴・・・出てくるのか・・・クソッ! 以下二人続けよ、裕紀、デスティニーガンダム出るぞ!」 二人が出てこない、そんなかすかな望みを新たな機体の翼に託して裕紀は出撃した・・・ 基地への砲撃があった空域・・・Ex-νガンダム、そして・・・まるで円盤を背負ったかのような異形の機体、レジスタンスがサイコガンダムやビグザムなどのデータを元に開発した「デストロイガンダム」の姿がそこにあった。 「ドライツェーンのチャージはどうだ?」 「戦闘で発射するには問題なくなった。が、さっきの砲撃をかけるにはもう少し時間が掛かる。」 「了解、そろそろあちらも気づく頃だろう。お前は下がっていた方がいい・・・どうやら来たようだな。」 この機体に搭乗するレジスタンスのパイロットたち・・・それは裕紀の予想通りあの二人だった。 「そろそろだな。警戒を厳に。見つけたら集中攻撃で撃破する。」 裕紀の指示があった直後、デスティニーのレーダーに反応。 Ex-ν・・・六歌仙!・・・そう感じた瞬間、無意識の内に通信を開いていた。 「六歌仙!俺は・・・っ!」 声にならない叫びがむなしく響く。自身でも何を言ったか分からない状態。 「その機体に乗ってるのは裕紀か・・・残念ながら人違い、私だよ。分かるな?」 目の前の機体に乗っていたのは別に見知った人物・・・巴。 「何故お前が!?」 「そんなことに答えている余裕は残念ながら無いのでな。一気に叩かせてもらう。」 裕紀の声にまったく動じず巴は機体の特殊シールド、格闘戦用に使用可能なスパイクシールドを構えてデスティニーに接近する。 「隊長、葵さん!自分が近距離で攻撃します、援護を!」 それに対しクレスが接近戦で迎えうつ。 「間近で戦うつもりか?愚かな、沈め!」 スパイクが届く距離まで近づいたゴッドに牽制を交えて激しい攻撃を仕掛ける巴。だがクレスはことごとく回避していた。 リミッター解除の影響かまばゆい光を放つゴッドはビーム刃のナギナタを構え斬撃。 「この私が・・・何ということだ!?」 クレスの攻撃、裕紀と葵の援護射撃によりかなりの損傷を受けいらだつ巴。 「前の戦闘の借り、返させてもらう!」 そして動きが鈍ったEx-νに葵が止めのビームバズーカを撃った。 しかし攻撃は通らない。そればかりか跳ね返ったビームで葵自身が被弾。 「・・・一体何が!?」 そこにはEx-νではなく黒い大型MS・・・デストロイガンダムが立ちはだかっていた。 「危なかったな巴。お前がここまでやられるとは・・・」 そう言ったデストロイのパイロット・・・その声を知っていた裕紀は反応する。 「それに乗っているのは・・・まさか、六歌仙!」 「その通りだ裕紀、お前も中々面白そうな機体に乗っているじゃないか。・・・それでこそ落とし甲斐がある!」 「何故来たんだ、お前には基地砲撃の任務が・・・ここは任せろといったはず!下がれ!」 だが六歌仙は巴を無視し火器を特にデスティニーに集中させ攻撃する。大きなダメージは受けないものの、撒かれた機雷に当たり徐々に被弾していく裕紀、リフレクターで反射されたビームの影響であまり動けない葵。 しかしクレスはナギナタで砲撃を防御しつつ進み、直接攻撃を仕掛ける。 「コイツ・・・」 被弾して焦る六歌仙。が、同時にリミッターが発動して一時停止するゴッド。 「こんなときに・・・!?」 「敵の動きが止まった・・・?一気に離脱するぞ!」 そう言う巴のEx-νに鳴り響く被ロックオンのアラーム。まだデスティニーが健在であった。 「今の損傷ならまず俺に勝てない。投降しろ!」 「投降するのはどちらかな?この機体の主砲ならチャージ不足でもお前たちの基地くらいなら簡単に吹き飛ばせる。さっきのは位置確認の砲撃だ。今度は外さない」 ライフルを構える裕紀に対し六歌仙も警告する。単なる脅しではないことは裕紀が良く分かっていた。 六歌仙のスナイプの腕は半端じゃない、これが同じく遠距離射撃を得意とする自身が言えるのだから相当なものであった。 「つまり・・・見逃せと・・・そう言いたいのだな?」 「その通り。さすが裕紀だ。察しが良くて助かる。」 そう言うとゆっくりと離れていくデストロイとEx-ν。 裕紀たちはその後ろを見ているしかなかった・・・

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