84pの小説 遊義皇第19話


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。






第19話 吼える前には唸るもの





デュエルブレイン:矮鶏様

編集・作成:84g



   「タッグルールは…そうだな、タッグフォースで良いよな?」


   「構わん! どのルールであっても、勝利は私の物だ!」


二封気の提案に神次郎は同意し、残りの二人も異論は無いらしい。


   「…お前ら、ディスクにタッグフォースのルールは入ってるのか?
    入ってないなら拡張USBを貸してやれるが?」


   「あ、空蝉。 あっちのデカイヤツ、日本語ダメらしいんだわ。 英語で。」


作者的には書きにくいし、読者的には読みにくいという劣悪さのため、英語表記にしたりはしない。
だが、英語である。 大阪の町の中、彼らの会話は英語である。


   「…ディスクにルールは入ってるのか?
    入ってないなら拡張USBソフトを貸してやれるが?」


故に、空蝉のコピー&ペーストな発言も、英語である。
心配無用、とばかりにウォンビックはデュエルディスクを起動してみせる。


   「エビエスのヤツに散々云われたからな。 どんな状況でどんなルールでも入れておけ、と。
    …ジロウ、入ってないなら借りろ。」


   「…この神次郎が…対戦相手に…施しを受けるだとぉぉっ!?
    ふざけるなァーッ! 私は、私は! …天使以外の施しは受けないことにしているッ!」


天使の施し 通常魔法
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。


   「…施しと云うが…俺としても、さっさとデュエルしたいんだがな。
    受け取ってもらった方が助かるのだが。」


   「論外だ! イヤだ! 拒否する!」


空気を読まない自己中心、唯我独尊男の神次郎。
そんな中、どっから持ってきたのか焼き鳥とビールを持ってギャラリーに徹していた男の助け舟が入った。


   「…あぁー、ジロウ、お前もなんか貸したらどうだ?
    お互いに貸して借りれば、帳消しだろ。」


   「ほほう!? ならば…!」


   「あぁー、ただしお前のサインや美声は論外な、デュエルに関係するモノ。
    確か自分のライブで配ったプロモーションカードを持ち歩いていただろ?」


   「をを! 私は豪放だからな! 二封気に…うつ病、どれでも貸してやろう!
    …やるわけではないからな? 後で返すのだぞ?」


神次郎は髪を逆立てているヘアバンドに手を突っ込み、20数枚のカードを提示した。
〔神の宣誓〕、〔神の化身〕、〔神の美声〕、〔神の合同合宿〕、〔神の全国ツアー成功記念〕その他諸々。
…なんというか、どれも良くも悪くも神次郎らしいカードだった。


   「俺はうつ病じゃなくて、ウツセミだ、空蝉高差。
    …言葉に甘えて…俺は〔神次郎の宣告〕を借りる。」


   「そんなら、俺は〔神の化身〕だな。 3枚借りて良いか?」


そんなこんなの掛け合いがあり、とにかく神次郎はタッグフォースルールに対応するためのUSBを受け取った。


   「ハッハァッ! 私のデュエルディスクにキサマのUSBメモリを使ってやろう!
    空蝉高差、誇りに思うが良い! 記念にメモリにサインをしてやろううか?」


   「やめてくれ。 それは彼女と一緒に買ったヤツだから汚すと俺が殺される。」


   「汚…ッ!? 私のサインが…っ!?」


   「あぁー、ジロウ。
    サインならあとで俺が100枚でも1000枚でも貰ってやる。
    それよりも、今はお前のデュエルで二封気たちを叩きのめすのが先じゃないか?」


   「なるほど! クロック・ジュフ! 悪くない意見だ!」


クロック・ジュフ23歳、凶悪な子供たちとの会話の末、神次郎の扱い方を覚える。
子守から解放され、ヤキトリとビールで寛ぎモードに入っている。



『デュエルッ!』

第一条 A&BVS壱&弐という組み合わせの場合、A→壱→B→弐→A、のローテーションでゲームが進行する。
第二条 攻撃宣言は、後攻1ターン目からとする。
第三条 パートナー同士は、ライフポイント・フィールド・墓地・除外置き場・勝敗を共有するものとする。
第四条 パートナーのターンが来るたびに、自分自身のデュエルディスクは待機状態になり、手札・デッキは無いものとして扱われ、サレンダー等の権利確認以外の入力ができない。
例:壱のモンスターがある状態で弐のターンになった場合、そのモンスターは弐が操作し、壱は手札に誘発即時効果のモンスター等が有っても使用できない。


   「まずは俺のターンだな、ドロー!
    …飛ばして行くぜ! 手札から〔未来融合〕を発動ぉっ!
    デッキから融合素材モンスターを墓地へ送り、2ターン後に特殊召喚を予約する。」


未来融合-フューチャー・フュージョン 永続魔法
自分のデッキから融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、融合デッキから融合モンスター1体を選択する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に選択した融合モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


   「指名するのは〔ユーフォロイド・ファイター〕な。
    で…捨てる素材は、〔ユーフォロイド〕と〔カオス・ソルジャー〕だな。」


ユーフォイド・ファイター 光属性 機械族 レベル10 ATK? DEF
「ユーフォロイド」+「戦士族モンスター」
このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。
このカードの元々の攻撃力・守備力は、融合素材にしたモンスター2体の元々の攻撃力を合計した数値になる。



デッキ:ユーフォロイド→墓地
デッキ:カオス・ソルジャー→墓地


ユーフォロイド 光属性 機械族 レベル6 ATK1200 DEF1200
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の機械族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。


カオス・ソルジャー 地属性 戦士族 レベル8 ATK3000 DEF2500
「カオスの儀式」により降臨。


   「…急ぎの戦術だな。
    俺やジロウの戦術も知らんのに…切り札か?」


融合召喚は複数枚の素材と融合効果を持つカードを要する。
多量のアドバンテージを消費する戦術である為に、タイムラグがあるとはいえそれ1枚で融合できる〔未来融合〕は正に切り札。
そう、〔未来融合〕は切り札であるはずなのだ。
初手から状況も見ずに使うには惜しいカードであるはずなのだ。


   「出るのに時間掛かるからな、早めに使わないと出番が間に合わないからな。」


   「…そのエクストラデッキは、飾りか?」


二封気のデュエルディスクには、“角”という異名を二封気が自分で付けた。
エクストラカードを入れるスペースが外部的に拡張され、一角獣の角のようだからだ。
本来はエクストラデッキの上限は15枚なのだし、こんな改造は不要なのだが、
ちょっとしたカードの効果でシンクロモンスターを入れられない代わりに融合モンスターを無制限に入れている。


   「いや? また手狭になってきたから、拡張しようと思ってるぐらいだけど?
    …ちなみに、お前のデュエルディスクは?」


   「ルール改正で60枚しか入れられなくなったからな。 今は飾りだな。」


ウォンビックは、身長240センチメートル、体重550トン…ではないが、とにかく重い。
そんなウォンビックが付けていても貧相に見えないくらい大きいデュエルディスク。
名前は“BATTLE・AX(斧)”、命名は二封気とは違って他人が付けた。


   「…それだけあっても…攻撃力だけのモンスターを予約、か。」


融合モンスターは多彩にして多様。
攻撃力の高さ以外にも芸のあるモンスターは他に何枚もあったはず。
それでもなお、指名したカードは〔ユーフォロイド・ファイター〕…何か有るとウォンビックは確信していた。


   「まぁ、とにかく、これで2ターン後の…。
    えーっ、タッグだから次の空蝉の、そのまた次の俺のスタンバイフェイズに〔ユーフォロイド・ファイター〕が出てくる。
    モンスターをセットして、さらに1枚セット、エンドだ。(手札3・伏せ1)」


〔未来融合〕と伏せられた2枚のカード。
放たれた圧力は適切にして強力、だがしかし次のターンプレイヤーはプレッシャーなんて感じない無神経男だ。


   「弱者は辛いなぁ、攻撃力4000ごときモンスターに頼らねば戦えんか。
    だがしかぁし! 攻撃力如きでこの私の牙城を崩すことは造作も無いッ!
    ん? 造作は有った方が良いのか?
    …ともかく、〔ライトロード・マジシャン ライラ〕を召喚ッ!」


ライトロード・マジシャン ライラ 光属性 魔法使い族 レベル4 ATK1700 DEF200
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードを表側守備表示に変更し、
相手フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。
この効果を発動した場合、次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のエンドフェイズ毎に、
自分のデッキの上からカードを3枚墓地に送る。


   「…いきなりそれかよ。」


相手の魔法、罠を破壊する効果を持つモンスター。
〔未来融合〕のような永続魔法は最大のカモであるが、神次郎はいつでも二兎を追うのだ。


   「まずは、そのうずくまっている裏守備を砕いてしまえ!」


△ライトロード・マジシャン ライラAtk1700  ○E・HERO フォレストマンDef2000
神次郎LP:8000→7700


E・HERO フォレストマン 地属性 戦士族 レベル4 ATK1000 DEF2000
1ターンに1度だけ自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。
自分のデッキまたは墓地に存在する「融合」魔法カード1枚を手札に加える。



   「悪ィな。 〔フォレストマン〕の方が硬いぜ?」


   「…ちょっと泣きたくなった! だから2滴くらい泣いた!
    そして次はキサマらを泣かす! 3滴は泣かす!
    〔ライラ〕の効果を発動し、〔未来融合〕も破壊…泣けぇえええっ!」


ライトロード・マジシャン ライラ 攻撃表示→守備表示
×未来融合-フューチャー・フュージョン→墓地


   「私はカードを2枚セットし、ターン終了!(手札3・伏せ1)
    〔ライラ〕の効果により、デッキから3枚墓地へ送る!」


デッキ:シャドウナイトデーモン→墓地
デッキ:ADチェンジャー→墓地
デッキ:E・HERO アナザー・ネオス→墓地


神次郎らしすぎるプレイングに続き、次のターンプレイヤーは空蝉だ。


   「さて、次は俺のターンか、ドロー。
    そうだな…〔カオスエンドマスター〕を召喚だな。」


カオスエンドマスター 光属性 戦士族 レベル3 ATK1500 DEF1000
チューナー:このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
自分のデッキからレベル5以上で攻撃力1600以下のモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


   「〔カオスエンドマスター〕で〔ライラ〕を攻撃…必殺! 混沌撃烈拳!」


○カオスエンドマスターAtk1500  ×ライトロード・マジシャン ライラDef200


   「…空蝉、別にいいけど、もうちょっと捻ったネーミングの方が良いんじゃねーか?」


   「捻れば良いというものじゃないだろう、男ならネーミングもストレートだ。
    とにかく、〔カオスエンドマスター〕が相手モンスターを戦闘破壊した事により、効果発動!
    デッキから…〔アイツ〕を特殊召喚させてもらおう。」


デッキ:アイツ→場


アイツ 炎属性 天使族 レベル5 ATK100 DEF100
非常に頼りない姿をしているが、実はとてつもない潜在能力を隠し持っているらしい。


   「ほぅ…面白いな。」


   「っくう!? 私のカードを1枚減らし、そちらは1枚増加…やるなっ!」


レベル5で効果もない弱小モンスターが現れても、対戦相手は驚かない。
どんなカードでも『1枚のカード』としてしか見ない神次郎。
自分自身も弱小モンスターとして有名なおジャマシリーズを使うウォンビック…驚けという方が無理かもしれない。


   「…なんか期待してたリアクションと違うが…まあ良いか。
    とりあえず、〔アイツ〕でプレイヤーにダイレクタックしとくぜ。 大熱! 炎蹴撃ッ!」


大仰な必殺技は置いといて、とりあえず100ダメージだ。


神次郎LP:7700→7600


   「そしてメインフェイズ2。
    レベル5の〔アイツ〕にレベル3の〔カオスエンドマスター〕をチューニング。
    シンクロ召喚、〔ヴァイロン・エプシロン〕!」

場:アイツ→墓地
場:カオスエンドマスター→墓地
EXデッキ:ヴァイロン・エプシロン→場


ヴァイロン・エプシロン 光属性 天使族 レベル8 ATK2800 DEF1200
「光属性チューナー」+「チューナー以外のモンスター1体以上」
このカードに装備した装備カードを魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にする事はできない。
1ターンに1度、このカードに装備された装備カード1枚を墓地へ送る事で、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する。


   「俺はさらにリバースカードをセ1枚セットし、ターンエンドだ(手札4・伏せ2)。
    で、次だ…えーっと、名前わからないけど、デカイ人。」


   「待てぃ! ウォンビック・ブラックマインッ! 援護してやろう!
    エンドフェイズ、〔リビングデッドの呼び声〕を発動ォッ! 〔ライラ〕を蘇生する!」


リビングデッドの呼び声 永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


よくよく考えると、別にこのタイミングで神次郎が蘇生する必要はない。
ウォンビックが必要だったら勝手に〔リビングデッド〕を発動していただろうし、むしろ戦術を狭めている。


   「…俺のターン…。
    ジロウ、お前のカードを借りるぞ。」


   「ハッハッハァ! 私は情け深いからな!
    〔ライラ〕も〔リビングデッド〕も貸してやろう!」


発動状態の永続罠を貸し出されてどうしろというのだろうか、この男は。


   「〔ライラ〕も借りるが、まずはこっちだ。 墓地の〔ADチェンジャー〕の効果発動。
    〔ヴァイロン・エプシロン〕を寝かしつける。」


墓地:ADチェンジャー→除外

ADチェンジャー 光属性 戦士族 レベル1 ATK100 DEF100
墓地に存在するこのカードをゲームから除外し、フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの表示形式を変更する。


   「ヤバいぜ空蝉! 〔エプシロン〕の守備力は1200しかねぇぜ!」


   「守備表示ならば光属性の虎の子、〔オネスト〕も関係ない。
    危険もなくなったところで、ここは〔ライラ〕の攻撃で…!?」


そのとき、ウォンビックは気が付いた。
未だに、空蝉がチェーンの権利放棄をしていないことを。


   「〔オネスト〕以外にも警戒が必要なカードがあるだろ…?
    俺は手札の〔朱光の宣告者〕と〔暁光の宣告者〕を墓地へ送り、〔ADチェンジャー〕を無効にする。」


手札:朱光の宣告者→墓地
手札:暁光の宣告者→墓地

朱色の宣告者 光属性 天使族 レベル2 ATK300 DEF500
チューナー:このカードと天使族モンスター1体を手札から墓地へ送って発動する。
相手の効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。


ADチェンジャー:無効


   「よくやった! 空蝉! これで〔エプシロン〕が守れる!」


   「褒めてやろうブラックマイン!
    墓地のカード1枚を除外しただけでヤツの手札を2枚削った!」


二封気と神次郎、双方ともに相方を称える。
今の状況はどちらにも取れる状況であり、〔エプシロン〕を見捨てるのも手ではあった。


   「削れても1枚補充できるぜ? 〔暁光の宣告者〕の効果により、カードを1枚ドローする!」


暁光の宣告者 光属性 天使族 レベル1 ATK500 DEF300
チューナー:『宣告者』と名のつくモンスターの効果を発動する為にこのカードが墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。


デッキ:1枚→手札


   「っち…だが、利益とは云えんな! 損が出てないだけだ!」


   「とにかく、〔ライトロード・マジシャン ライラ〕の効果発動。
    このカードの表示形式を守備表示に変更し…その伏せカードを破壊する。」


ライトロード・マジシャン ライラ 攻撃表示→守備表示
×異次元からの帰還→墓地

   「カードを2枚セットし、モンスターもセット、ターン終了だ(手札3・伏せ3)。
    そしてエンドフェイズ、〔ライトロード・マジシャン ライラ〕の効果が発動。」


デッキ:おジャマ・ライトブルー→墓地
デッキ:おジャマトリオ→墓地
デッキ:スターライト・ロード→墓地


   「俺のターン、ドロー!
    スタンバイフェイズ、〔E・HERO フォレストマン〕の効果でデッキから〔融合〕を手札に加える。」


デッキ:融合→手札


   「さらに!手札の〔サンダー・ドラゴン〕の効果発動!
    2枚の〔サンダー・ドラゴン〕をデッキから手札に加える!」

手札:サンダー・ドラゴン→墓地

サンダー・ドラゴン 光属性 雷族 レベル5 ATK1600 DEF1500
手札からこのカードを捨てる事で、デッキから別の「サンダー・ドラゴン」を2枚まで手札に加える事ができる。
その後デッキをシャッフルする。この効果は自分のメインフェイズ中のみ使用する事ができる。


デッキ:サンダー・ドラゴン→手札
デッキ:サンダー・ドラゴン→手札


   「そして、〔融合〕を発動!」


融合 通常魔法
決められたモンスターとモンスターを融合させる。


   「手札の2体の〔サンダー・ドラゴン〕を融合し、〔双頭の雷龍〕を…」


   「ストップだ。 手札の〔おジャマジック〕を捨て、〔封魔の呪印〕だ。」


手札:おジャマジック→墓地

封魔の呪印 カウンター罠
手札から魔法カードを1枚捨てる。
魔法カードの発動と効果を無効にし、それを破壊する。
相手はこのデュエル中、この効果で破壊された魔法カード及び同名カードを発動する事ができない。


×融合→墓地


〔封魔の呪印〕はコストこそ軽くないが、カウンターとしてはその性能は甚大。
これでゲーム中は二封気も空蝉も〔融合〕を発動することができなくなった。


   「さっき〔呪印〕で捨てた〔おジャマジック〕の効果発動。
    デッキからおジャマ3体を手札に加える。」


おジャマジック 通常魔法
このカードが手札またはフィールド上から墓地へ送られた時、
自分のデッキから「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」「おジャマ・ブラック」を1体ずつ手札に加える。


デッキ:おジャマ・グリーン→手札
デッキ:おジャマ・イエロー→手札
デッキ:おジャマ・ブラック→手札


   「さて…まさか、それで終わりか? 二封気?」


   「ざけんな。 〔封魔の呪印〕は痛えが…燃えてきたぜ、ウォンビック。」


   「…虫眼鏡では火は着かんな、やはり俺に火を着けるのはもっと大きな火種だ…。」


熱意は掛け算だ。
片方の数字が高くても、掛ける数字が『1』では燃え上がらない。
しかし、互いに燃え上がっているならば、その熱気は乗算となり止らない。
自分が強ければ強いほど敵も燃え上がり、敵が燃えれば自分も燃える。


   「…悔しい…なぁ。」


クロックから奪ったネギマをほお張りつつ、完全に背景と化していたトガは無意識に呟いていた。

   「あぁー、何が?」


   「あたしがブラックマイン様とデュエルしたことはあるけど…。
    …あんなに楽しそうな顔…してくださったことは…ないから、ね。」


デュエルにおいて、トガはその“差”を痛感していた。
それはときには運だったり、ひらめきを伴うプレイングだったりもする。
明朗な説明はできないことだが、七人衆や二封気に空蝉たちと凡庸なデュエリストを分ける“何か”が有った。


   「それなら、〔沼地に住まうドラゴン〕を召喚!」


沼地に住まうドラゴン 水属性 ドラゴン族 レベル3 ATK1500 DEF200
このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。(その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。)
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、お互いのプレイヤーはカードを1枚ずつドローする。(オリカ)


   「〔フォレストマン〕を攻撃表示に変更、やるぜバトルフェイズ!
    まずは〔フォレストマン〕でライラを攻撃、フォレストショルダぁーッ!」


○E・HERO フォレストマンAtk1000  ×ライトロード・マジシャン ライラDef200
×リビングデッドの呼び声


   「さらに〔ヴァイロン・エプシロン〕で伏せモンスターを攻撃だ!」


攻撃が宣言されると、裏守備モンスターの正体が明らかとなる。
真っ赤でイビツなおジャマだが、〔レッド〕ではない。 女の子モンスターだ。


――お、女の子を殴るなんて、最低なんだか…うべぇぁ!


○ヴァイロン・エプシロンAtk2800  ×おジャマ・バイオレットDef2000


   「…俺、別に〔ピケル〕とか〔ドリアード〕とか戦闘破壊しても全然気にしない人なんだが…。
    モンスター自身に面と向って云われるとビビるな。」


   「…気にするな、としか云えんな。
    〔おジャマ・バイオレット〕の効果発動、墓地から〔おジャマトリオ〕を手札に戻す。」


おジャマ・バイオレット 光属性 獣族 レベル3 ATK0 DEF2000
このカードのカード名は「おジャマ・レッド」として扱う。
リバース:墓地から「おジャマ」と名の付くカード1枚を手札に戻す。


墓地:おジャマトリオ→手札


   「〔沼地に住まうドラゴン〕! ウォンビックを直殴りだぜ!
    スワンプ・スマッシャァーッ!」


ウォンビックはリアクションも取らず、慌ても騒ぎもしない。
だが、内心では自身の鉄壁を誇るガードを破る敵に対し、またも熱気を加算している。


ウォンビックLP:7700→6200

   「〔沼地に住まうドラゴン〕の効果が誘発だぜ!
    相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、互いにカードを1枚ずつドローだ!」


デッキ:1枚→二封気の手札
デッキ:1枚→ウォンビックの手札


   「ブラァ~ックマイー~ン!
    防御しか取り得が無いのがキサマだろう!?
    ライフはともかく、私のモンスターを護る盾ぐらいにはなれ!」


ウォンビックのデッキは、防御面において非常に特化されている。
融合のカウンターにこそ成功したものの、一番重要な攻撃に対するリアクションがゼロ。
これは神次郎でなくても怒りたくなるかもしれない。


   「…反論代わりに訊いておくが、ジロウ。
    お前のターンまで〔バイオレット〕が残っていたら、〔おジャマトリオ〕を回収したか?」


   「…?
    今はハンディキャップをくれてやる気分ではないからな、加えるはずがない。」


   「…そういうことだ。」


相手のフィールドに3体のトークンを特殊召喚し、他の追従を許さないほどの強力なロックカード、それが〔おジャマトリオ〕だ。
しかし、ボードアドバンテージに異様なまでに固執する神次郎にとっては『手加減するときの専用カード』にしか見えていない。


   「とにかく、俺は1枚セットして、終了だ(手札4・伏せ2)。」


二封気の終了宣言と共に、爆発するように神次郎がカードを抜き放つ。


   「盾(ウォンビック)が役立たずだろうが構わん!
    そんなものがなくとも、無くとも勝つのはこの私! 依然変わりなく!
    私のターン! ドロー…まずはこのカードで洗礼ェッ! 〔闇の誘惑〕を発動ッ!」

闇の誘惑 通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。
手札に闇属性モンスターがない場合、手札を全て墓地へ送る。


   「デッキからカードを2枚ドローし、〔墓守の偵察者〕をゲームから除外!
    これで私の手札は4枚から…変わらず4枚か!? なんだとぉ!? 増えない!?」


手札:墓守の偵察者→除外


   「あぁー、1枚発動して減って、2枚ドローして、1枚除外して…どうして増えるんだ?」


   「…1枚減って…2枚増えて…ええい、面倒だ!
    モンスターをセットし、これが必殺にして必滅、〔つり天井〕ぉッ!」


ギャラリーのクロックとの微笑ましい会話を挟みつつ、
とにかく、神次郎は1枚目のジョーカーを開いた。


つり天井 通常罠
全フィールド上にモンスターが4体以上存在する場合に発動する事ができる。
表側表示のモンスターを全て破壊する。


   「な…にぃ!?」


   「前のターンはブラックマインが盾にもならなかったが…私は甘くはない!
    私の場に表側表示のモンスターはないっ! キサマらのモンスターだけがギョウザ用ミンチだ!」


×E・HERO フォレストマン→墓地
×ヴァイロン・エプシロン→墓地
×沼地に住まうドラゴン→墓地


   「私の速度は神の速さッ!
    神速でライフを500払い、使い減りしない永続罠、〔血の代償〕を発動!
    効果により、手札より〔BF-黒槍のブラスト〕を通常召喚だッ」


神次郎LP:6200→5700

血の代償  永続罠


血の代償 永続罠
500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。
この効果は自分のメインフェイズ及び相手ターンのバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

BF-黒槍のブラスト 闇属性 鳥獣族 レベル4 ATK1700 DEF1000
自分フィールド上に「BF-黒槍のブラスト」以外の「BF(ブラックフェザー)」と名のついたモンスターが存在する場合、
このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。


   「ブラックマインが殴られた反撃には、ブラックフェザーこそ相応しい!
    〔黒槍のブラスト〕で、二封気をダイレクトアタック! ブラァック・スパイラァル!」

二封気LP:8000→6300


   「ハハハハァッ! 無様なブラックマインも、全ては私の引き立て役よぉッ!
    カードを1枚セットし、エンドだ!(手札1・伏せ1)」


〔つり天井〕によって1:3交換を果たし、上機嫌の神次郎。
しかしそのことよりも、空蝉の思考に引っ掛かっていることがあった。
神次郎個人が使用したカードのカテゴリは、ライトロード、E・HERO、墓守、BF…と多岐に渡っていた。


   「…どういうことだ…?」


例外はあるが、基本的にデッキテーマは統一した方が強い、というのがデュエルモンスターズの原則。
素人なのか玄人なのか判然としない神次郎の挙動と合わさり、空蝉は思考の沼の中に沈みつつあった。


   「どうかしたか? 空蝉?」


だがしかし、空蝉は相棒の二封気を見て振り切った。
二封気はドラゴンベースのデッキに〔ユーフォロイド〕やら融合素材のためだけに入れている人間である。
デュエリストの哲学には不可侵的な絶対領域が存在し、読みきれないときはいくら考えても読めないこともある。


   「さぁ! どうした!
    私の必殺コンボ(※〔つり天井〕はウォンビックのカード)を受け、やっと気が付いたか!?
    この私を相手にデュエルをすることが、いかに無謀かということを!?」


   「ま、確かにお前も読みきれないがね…。
    それよりも読めないヤツが相方じゃ、怖がってはいられねえな。」


   「…ん、俺?」


   「とにかく、俺はモンスターをセット、ターンエンドだ(手札3・伏せ2)
    次はお前のターンだぜ? ミスターウォンビック。」


ドローしたカードを一瞥し、セットしてエンド。
実際のデュエルでは頻繁に起こることなのだが、
神次郎のように無駄にテンションが上がっている時にされると、地味に冷めたりする。


   「呼び捨てで構わん、おそらく俺の方が年下だ。
    俺のターン、カードを2枚セットし、さらに〔ナチュル・クリフ〕を反転召喚する。」

ナチュル・クリフ 地属性 岩石族 レベル4 ATK1500 DEF1000
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
自分のデッキからレベル4以下の「ナチュル」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。


   「バトルフェイズに入る。 〔黒槍のブラスト〕で伏せモンスターを攻撃する。」


   「〔ブラスト〕はブラックマインが使っても貫通効果を発揮するッ! 
    欲しくもないが、献上するというなら、ライフアドバンテージでも貰ってやらんでも…」


   「――欲しくないっていうなら、やらねぇよ。」


△BF-黒槍のブラストAtk1700  ○ケルベクDef1800
ウォンビックLP:5700→5600


   「ぐおおおお! 別にライフアドバンテージなんぞ要らなかったが…。
    貰えると思っていたものが貰えないならば不愉快だ!


   「それだけじゃねえぜ? 〔ケルベク〕の効果発動だ。」


ケルベク 地属性 天使族 レベル4 ATK1500 DEF1800
このカードを攻撃したモンスターは持ち主の手札に戻る。ダメージ計算は適用する。


場:BF-黒槍のブラスト→手札


   「ぐおおおお、返せブラックマイン! 私のカードはすぐに返せ!」


   「…メインフェイズ2で〔黒槍のブラスト〕を召喚し、ターン終了だ(手札5・伏せ3)。」


ウォンビックの様子に、彼の戦術を知らない二封気と空蝉は不穏な空気を察していた。
攻撃をしてこないわけではないが、神次郎のモンスターを使って、である。
細かくは分からないが、状況的にウォンビックが防御的戦術の使い手であることはほぼ間違いなかった。
一撃必殺を旨とする二封気の直前のターンプレイヤーとなれば、中々に噛み合わせが悪い。


   「俺のターン。
    やァってやるぜ! セットしてある〔ハリケーン〕を発動するぜ!」


ハリケーン 通常魔法
フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。


   「…〔おジャマトリオ〕を発動しておこう。」


おジャマトリオ 通常罠
相手フィールド上に「おジャマトークン」(攻撃力0・守備力1000・地属性・獣族・星2)を3体守備表示で特殊召喚する。
このトークンは生贄にできず、破壊された時、トークンのコントローラーは1体につき300ポイントダメージを受ける。



おジャマトークン→場
おジャマトークン→場
おジャマトークン→場

場:血の代償→ウォンビックの手札
場:伏せカード→ウォンビックの手札
場:伏せカード→二封気の手札



――今日は、神のダンナとタッグだぜウォンビックはよーッ!
――ユルくやってやろうぜ~~! ブラック! イエロ~ッ!
――レッツ! ジャマ! 融合なんてさせないぜェーッ!


   「ほお?
    〔ハリケーン〕なんぞという場から手札に戻すだけのカードの無駄遣いに対して…。
    こちらは〔おジャマトリオ〕で逆にハンディをくれてやるのか! 余裕だなブラックマイン!」


   「…。」


トークンたちのコメントに、神次郎のよく分からない感想はさておき。
とにかく、二封気の場に現れた3体のおジャマトークン。
これ自身も融合素材にならないではないが、〔融合〕を封じられた今、トークンの処理は中々に面倒だ。


   「…ごっつぁんです、ってヤツだぜ? ウォンビック?」


   「何?」


   「見てろよ? 〔増援〕を発動ぉっ!」


増援 通常魔法
デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加え、デッキをシャッフルする。


   「デッキより〔E・HERO エアーマン〕を手札に加え、召喚!」


E・HERO エアーマン 風属性 戦士族 レベル4 ATK1800 DEF300
このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●自分フィールド上に存在するこのカード以外の「HERO」と名のついたモンスターの数まで、フィールド上に存在する魔法または罠カードを破壊する事ができる。
●自分のデッキから「HERO」と名のついたモンスター1体を手札に加える。


   「俺が加えるモンスターは〔D-HERO Bloo-D〕にしておくか。」


デッキ:D-HERO Bloo-D→手札


   「って、ええ!? 〔Bloo-D〕ッ!?」


カードの登場以上に、トガがクロックの腰にオレンジジュースを噴出しながら上げたすっとんきょうな声に他のメンツは驚いた。


   「…確か…フェニックスとかいうカードデザイナーが作ったとされたカードだな。
    実在するかどうかも定かではない幻のカードの1枚だが…お前が持っていたのか。」


   「レプリカみたいなもんだけどな。
    カードの装丁とかソリッドビジョンの具合とかを見るために作られた試作品だよ。」


ソリッドビジョンの仕組みを詳しく解説すると終らないが、とにかくカードイラストでカードをスキャンしている。
そのため、文字列やインクひとつでセンサーが読み取れない可能性があり、そのための代物だ。
〔Bloo-D〕について詳しく知りたい人は、アニメ版遊戯王GXを参照のこと。


   「とにかく、〔おジャマトークン〕3体をリリースして、特殊召喚するぞ。」


“ブルー”と名の付いているが、別に青くはない。
ただ黒い。 茹った血液のような、濁った黒の容姿の異形の戦士、それが〔Bloo-D〕だった。

D-HERO Bloo-D 闇属性 戦士族 レベル8 ATK1900 DEF600
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在するモンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。
相手モンスター1体を指定してこのカードに装備する(この効果は1ターンに1度しか使用できず、同時に装備できるモンスターは1体のみ)。
このカードの攻撃力は、装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターは全て効果が無効化される。



























-
| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
|ログイン|