84pの小説 遊義皇第13話


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正念党、本格始動!
レアハンター組織、制々正念党の七人衆(七票多人式決定衆会の略)は数ヶ月前に4名の欠員が出ていたが、
グールズの人員を吸収し、アドバンテージ保持の『追走者』、超重量級ロック使い『不動不死』、ピアスの男『四界の王』を補充するも、
やはり『超融合』に続いて抜けた主要メンバーが多く、絶頂時に比べて新規加入メンバーは多いが総合戦力は80%といった所、
その為、『超融合』の再加党の為にかなりの手段を用いている。
以上、情報サイト『マウスコミューン』より抜粋。




刃咲
  • LP:7900
  • 手札:1
  • モンスター:アルティメット・インセクトLV7
  • 魔法・罠:伏せ1
  • フィールド:黒きハイエルフの森

クロック
  • LP:8000
  • 手札:5
  • モンスター:異次元の生還者
  • 魔法・罠:伏せ1 マクロコスモス



アルティメット・インセクト LV7 風属性 昆虫族 レベル7 ATK2600 DEF1200
「アルティメット・インセクト LV5」の効果で特殊召喚した場合、
このカードが自分フィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力・守備力は700ポイントダウンする。

黒きハイエルフの森 フィールド魔法
フィールド上に存在する昆虫族モンスターの攻撃力・守備力が300ポイントアップする。
昆虫族モンスターが破壊された時、そのカードのコントローラーのライフを1000ポイント回復する。(オリカ)

異次元の生還者 闇属性 戦士族 レベル4 ATK1800 DEF200
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがゲームから除外された場合、
このカードはエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚される。

マクロコスモス 永続罠
自分の手札またはデッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚する事ができる。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。


   「刃咲くん! ずるいよ、刃咲くんだけでデュエルするなんて!」


   「デュエル中には別の話題はしないのがマナーよ、福助。」


蕎祐は『てめぇが二封気とデュエルしたいって言ったからデュエルしてるんだろうが!』とでも言いたそうだが、耐えている。
ここで言えばクロックとの賭けが成立しなくなり、二封気の情報は手に入らない。


   「……勝ったあとに説明してやるからよ、ちょっと待ってろ。
    さあ、クロック、これでやっとサマ抜きの正面対決だ、カードを引け!」


普通のイカサマ師は複数の技を臨機応変に使いこなし、成果を挙げるもの。
しかしながら、クロックの場合は小道具などは使わず、小手先だけの手札入れ替えを極めてしまい、他の小技はガキの手習いレベルでしかない。


   「あぁー、ドロー(手札6)。
    俺は〔紅蓮魔獣 ダ・イーザ〕を召喚する。」


紅蓮魔獣 ダ・イーザ 炎属性 悪魔族 レベル3 ATK? DEF?
このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている自分のカードの数×400ポイントになる。


その名の通り紅蓮に輝く魔獣は、異次元に存在するカードの波動を写す紅玉の鏡。
肉が増える、体が脹らむ、攻撃力が上がる。


紅蓮魔獣 ダ・イーザ:攻撃力?→攻撃力3200 守備力?→3200


   「! 大きい!」


   「刃咲くん!」


   「あぁー、手加減しねぇぜ蕎祐、守備表示の〔生還者〕を攻撃表示に変更。」


   「最初からしちゃいねぇだろうが…ダメ大人。」


   「あぁー、そりゃそうだ……俺のバトルフェイズ。
    〔ダ・イーザ〕で〔究極虫〕への攻撃、スペースサンダー!」


   「させるかぁッ!〔和睦の使者〕ァ!」


和睦の使者 通常罠
発動ターンだけ相手モンスターからの全て戦闘ダメージを0にする。


2つの巨体が激突する数秒前に、使者による停戦条約が可決し、撃ちかけていたエネルギー砲を収めるグレンダイザー。


   「あぁー……リバースカードを1枚伏せて終了だ。(手札4・伏せ2・発動中1)」


   「俺のドローフェイズ(手札2)!
    〔アルティメット・インセクト〕で〔異次元の生還者〕を攻撃だ! 究極害病砲LV7!」


〔アルティメット・インセクト LV7〕(攻撃力3000)VS(攻撃力1800)〔異次元の生還者〕→生還者除外、クロックLP8000→LP6800。


このデュエル中、初のダメージにたじろぐクロック。
手札入れ替えさえできていれば、前のターンで〔聖なるバリア〕の1枚もセットしていたのだが。


   「あぁー、クソ、だが〔マクロコスモス〕がある限り、〔異次元の生還者〕は何度でも生還するぜ。」


   「いいや、無駄だ!
    〔アルティメット・インセクト LV7〕と〔黒きハイエルフの森〕をゲームから除外。
    ……来い!〔アルティメット・インセクトLV9〕!」


   「あぁー…?」


アルティメット・インセクト LV7:ゲームから除外。
黒きハイエルフの森:ゲームから除外。

アルティメット・インセクト LV9:エクストラデッキ→刃咲のフィールド


アルティメット・インセクト LV9 風属性 昆虫族 レベル9 ATK3400 DEF2100
「アルティメット・インセクト LV7」+「表側表示で自分フィールドに存在している魔法カード」
アルティメット・インセクト LV7が戦闘でモンスターを破壊した時、上記の融合素材をゲームから除外する事でのみ特殊召喚できる。
(融合の魔法カードは必要とせず、アルティメット・インセクトLV7が召喚・反転召喚・特殊召喚されたターンや他の方法では召喚できない。)
またこのカードは魔法カードの効果を受けず、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は半分として計算される。(オリカ)


   「なんだありゃあぁっ!?」


ギャラリーのひとり、寝ぼけ眼の八百屋のサブローさんがクロックや他のギャラリーの代わりとばかりに叫ぶ。


   「究極虫シリーズのモンスターは、はフィールド残留・戦闘で敵撃破という2種類の経験地を稼ぎ成長する。
    幼虫たる〔LV1〕時点では魔法を弾く外殻を持つが、攻撃力と毒鱗粉のためにそれを脱皮し捨て去る。」


本物の昆虫を解説するように、刃咲は頭上で羽ばたく神々しいまでに毒々しい蛾について語る。


   「だが、この〔LV9〕は完成形!
    毒を散らす羽と巨体、それを包む魔封じの鎧、負ける気がしねぇーぜ!
    まだ俺のバトルフェイズは終わってないぜ! 〔 LV9レベルナイン 〕で〔ダ・イーザ〕を攻撃!」


レベルナインの翼から雹のように振る毒の雨に打たれ、魔獣の紅蓮の皮膚はただれ、腐り、緑色になっていた。
そこに攻撃力3000級の衝撃をくらっては、耐える事など夢のまた夢。


〔アルティメット・インセクト LV9〕(攻撃力3400)VS(攻撃力1800)〔紅蓮魔獣 ダ・イーザ〕→ダ・イーザ、破壊・ゲームから除外、クロック:LP6200→LP4600


   「ま、これ以上はレベルアップしねーから安心しとけ、手札を2枚ともセットしてエンド!(手札0・伏せ2)」


異次元の生還者:除外→クロックのフィールド


   「あー、お前のエンドフェイズで〔生還者〕が守備表示でフィールドに戻る。
    俺のターン、ドロー。(手札5)……モンスターを裏守備で召喚、ターンエンド。(手札4・伏せ2・発動中1)」


クロックが伏せ出したのは〔異次元の偵察機〕。
〔生還者〕と同じく、〔マクロコスモス〕下では無限に再生するモンスターである。


異次元の偵察機 闇属性 機械族 レベル2 ATK800 DEF1200
このカードがゲームから除外された場合、
そのターンのエンドフェイズ時にこのカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。


   「ドロー(手札1)……いよっしゃ! 伏せ状態の〔働き蜂への報酬〕を発動し、〔ランスタッグ〕を攻撃表示!」


働き蜂の報酬 永続罠
自分フィールド上のモンスターが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える度に、自分はカードを1枚ドローする。(オリカ)

ランスタッグ 風属性 昆虫族 レベル3 ATK1550 DEF820
守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合、フィールド上のモンスターを全て攻撃表示に変更する。(オリカ)


現れたのはカブトムシのように野太い角を持ったモンスターだが、よく見るとカブトムシにしてはやけに平たい。これはクワガタムシだ。
ランスクワガタスタッグ をかけた名前、ということだろうか。


   「〔ランスタッグ〕で〔生還者〕へ…攻撃!」


ランスタッグの豪槍は、あっさりと生還者の貧相な肉体を貫き、クロックの腕にも深い傷を残す。


〔ランスタッグ〕(攻撃力1550)VS(守備力200)〔異次元の生還者〕→生還者除外、クロックLP4600→クロックLP3250


刃咲:手札0→手札1(働き蜂への報酬の効果)


   「あぁーっつう、貫通持ちかよっ!?」


   「更に! こいつは相手にダメージを与えた時に他のモンスターの防御体制もぶっ壊す! スタッグハンマー!」


ランスタッグは角に刺したままの生還者を地面に叩きつけ、その衝撃によって裏守備表示の偵察機はメンコのように空中に弾き飛ばされた。

   「行け! 〔アルティメット・インセクト〕ォ!」


空中でバタバタする〔偵察機〕は、何の抵抗もできずにアルティメットインセクトに抱かれ、破片というより粉になるまで抱きしめられ、消失した。


〔アルティメット・インセクト LV9〕(攻撃力3400)VS(攻撃力400)〔異次元の偵察機〕→偵察機除外、クロックLP3250→クロックLP250


刃咲:手札1→手札2


   「ターン・エンド!(手札2・伏せ1・発動中1)」


異次元の偵察機:除外→クロックのフィールド
異次元からの生還者:除外→クロックのフィールド


   「将棋で言うところ……王手、ってやつだね。」


   「確かに。
    次のクロックのターンで〔ランスタッグ〕を除去できなければ貫通ダメージで勝利。
    でもクロックのモンスターは〔アルティメット・インセクト〕の効果で攻撃力が低下して倒せるかどうか…。
    倒せたとしても返しのターンの〔インセクト〕の攻撃で終わるわね。」


福助と壱華は寝起きで朝飯も食ってないのに冷徹に見極める。
クロックもわかってはいるが、人に言われると更にヤバイ気がしてくる。


   「あぁー、この状況を打破できるカードっつったら……デッキにあと4枚ぐらいか……?」


   「残りが22枚、22分の4か、奇跡って言うには高い確率だな。 気合で引いて見せろダメ大人。」


   「バカヤロウ、気合で好きなカードが引けるならイカサマなんてしねぇっ!」


正論なのだが、凄まじく情けない。
だが、クロックは目をつぶり、神経を統一し、デッキのカードにしっかりとエネルギーを込める。


   「だが引いてやる! あぁーァァアアがぁあああ! ドロー(手札5)ッ!」


ドローカード:閃光の追放者


もちろん、逆転できるカードではない。


   「挙動が一々ダメ大人のクロックさん、4枚の内の1枚かドロー強化系は引けましたかー?」


福助のモノマネか、やたらに礼儀正しい口調の刃咲がすごく良い笑顔で笑いかける。
残された選択肢はエンド宣言をして刃咲の攻撃で死ぬか、サレンダーするかしかない。
クロックは手札を入れ替えようとも考えたが、周囲には人の目、そしてオセロ村唯一の電気屋にしてカメラマニアの田中さんが収録までしている。
普通に考えて、こんな状態では手札入れ替えなんぞできるはずはない。
……“普通に考えれば”。


   「ふゥー……あぁー……ま、七人衆たる者……“普通”程度じゃなぁ。」


   「なんだと……?」


   「あぁー、やりたくはねーんだぜ?
    指も痛いしよォー、これもダチの二封気を思えばってヤツでな。」


言葉とは裏腹に、クロックは削り取ったような笑顔だった。


   「何の話だ?」


   「あぁー、2回はやらないし、2回はできない。
    だから瞬きなんてするなよ? クシャミしてて見てなかったって言い訳も嫌いだぜ?」


ポーカーフェイス、という物がある。
ポーカーをしている時、強い手であっても弱い手であっても表情に出さず、一定の表情を保つ物である。
これができるかできないか、それだけで結果が変わるほどの物である……が、クロックはそんな物は使わなかった。
表情から相手がそれを察したとしても、クロックの技は“決して証拠を押さえられない”のだから関係ないのだ。


   「ここなら指がぶっ壊れても助姫さんが居るからな、気兼ねなくできた。」


『できる』ではなく、『できた』と確かにクロックは言った。
クロックはアメリカ人だが、下手な日本人よりは日本語は上手いはずだった。


   「……ハッタリだろ?」


   「あぁー、そう思ってるってことはお前には見えなかったんだな?
    他の皆さんもかな?」


ギャラリーはいきなり話を振られ、困惑している。
誰にも見えず、数秒前とはなにひとつ変わった様子はない……クロックの右腕、指の付け根から黒い血が滲んでいる以外は。


   「あぁー、やっぱり助姫先生に治してもらわなきゃなァ。
    薬指と中指の感覚がねぇ、“2枚”でこれじゃァ……。
    カードを2枚セット、エンドだ。(手札3・伏せ4・発動中1)」


クロックは自分の魔法・罠置き場を埋め尽くすと、あっさりエンド宣言をした。
そんな挑発とも取れる態度に、刃咲は自分にこう言い聞かせた、『ハッタリだ、手札入れ替えなんて無理に決まってる』と。
目を逸らさせるのが狙いなのだ。 そうに決まっている。


   「ドロー!(手札3)
    …ビビってなんてやらねえ、俺のバトルフェイズで……」


   「あぁー、タンマ。
    お前のスタンバイフェイズで発動したいカードがある。」


   「何…?」


   「伏せカード発動、〔D.D.ダイナマイト〕。」


D.D.ダイナマイト 通常罠
相手の除外されたカードの数×300ポイントダメージを相手に与える。


数ターン前からセットされていたカード……刃咲の除外カードが溜まるまで待っていたというところか。


刃咲:LP7900→LP5200


   「っツゥ…が、まだまだ負けねぇっ!」


   「あぁー、その通り、まだまだその程度では倒せない。
    だから、だ。
    薬指と中指の分……前のターンに伏せた“2枚”の伏せカードも発動。
    2枚目の〔D.D.ダイナマイト〕、さらにチェーンして3枚目の〔D.D.ダイナマイト〕!」


   「な……っ!?」


刃咲の足元に、2つの爆弾が転がってきた。
左右対称、シンメトカルな爆撃が刃咲を炙る。


刃咲:LP5200→LP2500→LP0


   「す…すげぇ、ライフポイントを一気に削りきった…!」


   「あれは一度手合わせしてもらいたいねぇ、朝ご飯食べた後で。」


盛り上がるギャラリーとは真逆に、刃咲は歯軋りをしつつデュエルディスクを折りたたむ。
そんな刃咲に、クロックは足早に近付き、語りかける。


   「“賭け”は俺の勝ちだ、約束は守れよ?」


刃咲は、自身の敗北によって“友人”である福助の再戦を叶えてやれなくなった。
クロックは、自身の勝利によって“友人”である二封気の情報を守りきった。
何かを背負っている者は強いというが、背負っているものが同じ場合、残るのはただの実力差である。


   「……ああ、約束は守る、ところでクロック、カセットテープを買う気は無いか?」


   「あぁー?」


刃咲はポケットから延長コードで何本か中継したイヤホンを『耳に付けろ』というジェスチャーを含めてクロックに渡す。
耳に入れた瞬間に流れ出す、聞き覚えの有る2つの声。



   【あぁー、それでも俺は自分の頭を殴ってでも喋らなかったんだぞ、言えねぇよ。】


   【…それなら賭けデュエルしようぜ、俺が勝ったらあんたが知ってる限りの二封気の情報を教える、
    あんたが勝ったら俺は福助に『クロック・ジュフが二封気の情報を知っている』って事を言わない。】


   【あぁー? 別に言われたところで俺は困らんぞ?】



   「……どういうことだ?」


   「俺は約束通り、福助には“クロック・ジュフが二封気の情報を知っている”ということを伝えない。
    だけどなァ…俺も子供だしなぁ…。
    偶然録音したカセットを、偶然友達に聞かせないとも…限らないなぁ?」


クロックの浸っていた勝利の余韻は、あっさりと薄まった。


   「あぁー……こんな詐欺紛いのことを……デュエリストの誇りは無いのか!?」


   「手札の入れ替えなんてことをするお前には言われたくねぇな。
    ……俺もいくらなんでもこんな屁理屈で全部教えろとは言わない、情報のヒントだけでカセットを売ってやる。」


どうやら大音を立ててギャラリーを呼んだのも刃咲の手段らしい。
こういう不当な状況でもは大人と子供、腕力に物を言わすこともできない。


   「あぁー、また論点のボカシだな、負けておいてカセット1本で懐柔しようとしてる。
    言っておくが、俺は…」


   「皆さーん、実はですねー、このクロック・ジュフ23歳、カッコ独身はー!」


   「だぁあああっっ!?」


思わず刃咲を抱きかかえ、口元を押えるクロック…それがいけなかった。
そもそも、ここで『クロックが二封気の情報を知っている』なんて言えるわけが無かった。
言ってしまえば交渉の余地が無くなり、福助はクロックを質問責めにする…それだけだ。
福助はクロックがノイローゼになっても聞き出そうとするだろうが、クロックはそうなっても友達を売ることをしないだろう。


   「あぁー…しまった…。」


刃咲は8歳にして、ゆすりの基本を修得していた。
すなわち、相手に思考の暇すら与えず、反論もさせず、ひたすら自分の都合の良い方向に向ける。
精神年齢はおいといて、実年齢ではまだ子供である刃咲をいきなり抱きかかえ、黙らせた村の外から来たクロック。
どう見ても、悪いのはクロックである。


   「で? どうするんだ? クロックさんよ?」


クロックにしか聞こえない声で言う。


   「あぁー…わかった、こうしよう。
    俺は二封気の行き場所も目的も知ってるが、こんな方法では言うわけにはいかねぇ。」


   「ヒントで見逃してやる、さっさと言え。」


パッと刃咲を手放し、クロックはギャラリーに徹していた福助の方を向き直った。


   「あぁー! 福助ェー! お前、二封気に会いたいか!?」


いきなり話を振られても、福助の応えは決まっていた。


   「はい!」


   「あぁー…なんつーか、俺は二封気の情報は知らん! だがヒントは教えてやる!」


クロックは、ニガテなポーカーフェイスでウソを隠す。
刃咲から見ればバレバレなウソなのだが、福助を騙すくらいはできたようだ。


   「はい! お願いします! 教えてください!」


   「二封気にはレアハンターに知り合いが多い。
    情報を得るなら、レアハンターと交渉するのが一番!
    レアハンターを追うならレアハンターが一番だが、ここは二番のセカンドハンターを推す!」


   「セカンド…ハンター?」


知っているだろう、という前提で喋っていたクロックだが、セカンドハンターの存在は一般には知られていない事を行ってから気付いた。


   「あぁー…レアハンターを狩るハンターだ!
    プロデュエリストになるとKCのデータバンクに所持レアと名前が登録され、それをレアハンターはハッキングして盗み見る。
    普通のデュエリストは、所持していても使わないレアカードは登録しないが、セカンドハンターは全てのレアカードを登録する。」


   「そのレアカードの情報で、レアハンターを釣る。
    だからハンターを狩る第二のハンター、セカンドハンターってわけか。」


刃咲も初耳だったらしく、感心して頷いた。


   「…それってつまり、強いレアハンターさんとたくさんデュエルできて……
    しかも二封気さんとも会えるかもしれない、ってことですか!?」


   「あぁー、セカンドハンターを目指すなら急いだ方が良いぜ?
    セカンドハンターには星5以上の認定が必須だが、星の認定には公式大会にでなけりゃならねぇ。
    …一番近いのは、確か明後日のナニワカップか?」


   「うわぁあっ! ありがとうございます! クロックさん」


これでいいだろ? とアイコンタクトをするクロックに、刃咲は無言でカセットテープを渡す。
受け取ると同時にテープを引き出し、グチャグチャの状態でポケットに押し込んだ。


   「で、刃咲くん、さっき言い掛けた言葉の続きって何?
    【クロック・ジュフ23歳、カッコ独身はー!】の次。」


   「ああ、あれね。
    あれは…。」


ニィっとイタズラっぽく一笑い。


   「クロックが、希望者とデュエルしてくれるってよ! 無制限に!」


   「あぁああっっ!?」


驚いたのはクロックだけ。 デュエル大好きの村民たちは目を輝かせる。


   「なにぃ! なら最初はワシじゃ! 若造にはまだ負けん!」


   「いいえ! 僕です!」


既にギャラリーは20人以上、どんどん増えていくだろう。
無理な手札入れ替えによって指は痛いし、飯も食ってない、そんなコンディションでデュエルをする人数じゃぁない。


   「はぁーさぁーきぃー?」


   「頑張れ、ダメ大人♪」






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