84pの小説 遊義皇第十七話(旧)


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(刃咲視点)
結局、バクタスクは力尽きるまではしゃぎ続け、風呂から上がったのはニ時間も後だった。
まぁ、浸透圧の効果で指にはシワができたのは面白かったし、風呂あがりのコーヒー牛乳が美味かったから良しとしよう。

   「壱華、番頭ご苦労さん、デュエルしに行こうぜ。」

   「あ、悪い、今良いところだからあとにしとく。
    ……それでどうしたのー? 奥さーん?」

   「それが晃一ったら、撲殺だけじゃなく刺殺でもいけるようになりなさい、っていったのよぉー!」

   「うっはー、それはヒドイ! 今度連れてきて! 私から一言言っておくから!」

……みのもんたか、この六歳女子は。

   「じゃ、俺は福助と一緒にカードゲームで子供らしく楽しんでくるぜ。」

髪も乾ききらないまま、俺はジャンパーに腕を通し、デュエルディスクを装着し、のれんの下をくぐった。

   「――ねえ君、それ、どうしたの?」

カード屋の自動ドアのセンサーの範囲ギリギリ、背後から掛かった気配も影もない声がかかった。
声の主は、緑色のフードに奇妙な円盤……デュエルディスクか、あれ? カードセンサーが星型に配置されてらぁ?

   「おまえのいう『それ』って『どれ』のことだ?」

   「腕に付けたデュエルディスクだよ、それって猩々鬼が作った『火』だよね?」

   「ん? ああ、確かにこのディスクには『火』って掘り込んであるけどな、
    このディスクを作ったのは小さなカード屋の店長だぜ? そんな仰々しい名前じゃねぇ。」

   「ウソだ、そんなペインティングするのは猩々鬼しかいないもん。」

まあ、ぶっちゃけると俺はこのデザインはどうかと思う。
プロレスラーのマスクじゃねぇんだから、ここまで塗りたくらなくとも良いだろうに。

   「……じゃあアレだ、うちの店長がデザインを盗作したんだ。
    あいつはダメ大人だから、自覚が有ろうと無かろうとパクる人種だ。」

   「ふぅん?」

身長や声質から考えて俺より上だっつーのにどうにも言動がガキくせぇ、都会のガキなんてこんなもんか?

   「俺達はこれからこの店でデュエルするんだけどよ、お前もか?」

   「うん、俺はシャモン・B・ウノンテ、デュエルが大好きなんだ。」


(作者視点)
   「ここなら人も来ぃへんし、ほな、始めましょか。」

   「よろしくおねがいします。」

うどん屋から徒歩5分、数年前に4名の若者が飛び降りたとかで、立ち入り禁止になっていたマンション屋上にて。
……とは言っても、ここから飛び降りて死んだ人間はいない、なんでも上からでは見えないが下にゴミ捨て場があり、
そこに放置されていた等身大のクマのぬいぐるみがクッションとなっており、飛び降りた全員が助かっている。
それ以降は、ここは観光名所となってしまい、ゴミなどが迷惑なので立ち入り禁止となっているそうだ。

   「ワシのアンティは〔招待状〕3枚や。
    ジブンは……まァ、ええわ、大阪人がケチと思われるのも癪やしな、手番もジブンが決めてええで。」

   「ありがとうございます。 それでは先攻頂きます。 ドロー(手札6)!
    僕は手札から〔マンジュ・ゴッド〕を召喚して、デッキから〔ドリアードの祈り〕を手札に加え、ターン終了です。(手札6・伏せ0)」

マンジュ・ゴッド 光属性 天使族 レベル4 ATK1400 DEF1000
このカードが召喚・反転召喚された時、自分のデッキから儀式モンスターカード、
または儀式魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。

    「伏せカードもなし言うたら、挑発にしかならへんで?
     ワシのターン、ドローし(手札6) ワシは手札から〔フロギスドン〕を召喚するわ。」

フロギスドン 炎属性 恐竜族 レベル4 ATK1700 DEF700
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
デッキから「オキシゲドン」1体を選択し、お互いに確認して手札に加える。
その後デッキをシャッフルする。(オリカ)

炎を身に纏ったティラノ型恐竜――否、その恐竜は熱そのもので肉体が形作られている。
完全に蛇足だが、「フロギストン」とは旧科学に信じられていた「炎の元素」の事。

   「バトルフェイズや! 〔フロギスドン〕! フロギーバースト!」

マンジュ・ゴッドが炎に包まれたと思うや否や、炭化という過程すらなく崩れ落ちた。

福助LP8000→LP7700

   「ゴメン…〔マンジュ・ゴッド〕…。」

   「〔フロギスドン〕の効果発動! デッキから〔オキシゲドン〕1枚を手札に加えるで!」

オキシゲドン 風属性 恐竜族 レベル4 ATK1800 DEF800
このカードが炎族モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、お互いのライフに800ポイントダメージを与える。

オキシゲドン:デッキ→松猪の手札

   「2枚のカードをフィールドにセェッ! ターン終了やァ!(手札4・伏せ2)」

   「僕のターンです、ドロー。(手札7)
    手札から〔早すぎた埋葬〕を発動して、さっき破壊された〔マンジュ・ゴッド〕を蘇生します。」

早すぎた埋葬 装備魔法
800ライフポイントを払う。
自分の墓地からモンスターカードを1体選択して攻撃表示でフィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。
このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。

福助LP7700→LP6900

   「僕は〔マンジュ・ゴッド〕を生贄にささげ、〔エレメンタル・コマンダー〕を通常召喚します。
    ……2度も墓地に送ってゴメンね。」

エレメンタル・コマンダー 闇属性 植物族 レベル6 ATK? DEF2200
このカードは特殊召喚できず、フィールド上の光属性モンスターか闇属性モンスターを生贄にしなければ通常召喚できない。
また、このカードの元々の攻撃力はフィールド上に存在する闇属性以外の属性の数×800ポイントとして扱われる。(オリカ)

六色の宝玉に彩られた植物人間の葉脈によって血走った瞳をフロギスドンへと向き、三日月のように哂った。

エレメンタル・コマンダー:攻撃力800

   「〔コマンダー〕が出たいうことは……とうとうドリアードかいな。」

   「もちろんです! 手札の〔錬金生物 ホムンクルス〕を生贄にささげ、〔精霊術師 ドリアード〕を召喚です!」

ドリアードの祈り 儀式魔法
「精霊術師 ドリアード」の降臨に必要。
フィールドか手札から、レベルが3以上になるように生け贄に捧げなければならない。

精霊術師 ドリアード 光属性 魔法使い族 レベル3 ATK1200 DEF1400
「ドリアードの祈り」により降臨、このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。

福助の場に降り立った精霊術師の威光を浴びて、エレメンタル・コマンダーの筋肉がはちきれんばかりに膨らむ。
エレメンタル・コマンダー:攻撃力5000

    「ほぉ、ええコンボもっとるやん。」

    「まだコンボは続けますよ! 手札から〔団結の力〕を発動します。」

団結の力 装備魔法
装備モンスターの攻撃力と守備力は自分のコントロールする表側表示モンスター1体につき、800ポイントアップする。

精霊術師 ドリアード 攻撃力1200→攻撃力2800 守備力1400→3000

    「デュエルするなら一撃決着がカッコいいと思います!
     僕のバトルフェイズ! 〔エレメンタル・コマンダー〕で〔フロギスドン〕を攻撃します!」

各種属性を纏った拳の前に、熱の塊でしかないフロギスドンは対抗の術も無く、パンチ一発で粉砕された。

〔エレメンタル・コマンダー〕(攻撃力5000)VS(攻撃力1700)〔フロギスドン〕→フロギスドン破壊、松猪LP8000→LP4700

3ターン目とは思えない大ダメージに、福助の口には笑みを灯り、松猪は身をよじる。

    「更に! 〔団結に力〕を装備した〔精霊術師 ドリアード〕で直接攻撃です!」

松猪LP4700→LP1900

    「…ジブン、ゴッツイ引き運じゃのぉ。」

    「え、そうですか?」

    「おだてやない、ここまで来るとただの鬼引きでも、星5やら星6のプロデュエリストにでも通用する能力やで?」

    「え…運とかでいいんですか?」

    「星の差が有ったとしても、正味な話、プレイングの基礎さえ押さえておけば大差ない、
     実際に星1のガキが星7のプロを倒すこともザラやし、星いうのはプレイングやカードプールの目安やからな。
     そこから勝負を分けるのは、先天的な『何か』、ジブンはその『何か』、引き運を持ってるんや。」

    「……そうなんですか、僕はカードを1枚伏せて、ターン終了です。(手札0・発動中1・伏せ1)」

褒め言葉とは不思議な物で、漠然とベタ褒めされるよりも根拠を並べ立てられたほうが嬉しい物だ。
少しニコヤカになった福助は、この次のターンで決着になるとは思いもしていなかった。


(作者視点)
   「ああ? デッキ忘れた?」

専用のバッジをもらい、福助が既に松猪四郎と接触したことを刃咲が店員に聞き、
いざデュエル……となったところでシャモンはその事実を口にした。

   「うーん、仕方ないね、お姉さん、パックを8個ください。」

シャモンは緑色のフードの中から財布などを取り出すのではなく、クシャクシャになった1万円札をそのまま取り出した。

   「金持ちだな、都会のガキってのはそんな感じなのか?」

   「んー、どうだろ、俺も他の子供ってあんまり見たこと無いからわかんないや。」

見たことがない、というのも変な日本語だが……、
まあ、子供の使う日本語なんてこんなものだろう、と子供の刃咲は勝手に一問一答した。

   「第九期の新パック、『CYBER SPACE(サイバー・スペース)』とかあるけど、どれにする?」

   「じゃ、新しいパックひとつと……」

   「……って、うおおおお!? これは第三期の『混沌を制する者』に『闇魔界の脅威』、それにこれは第二期の『蘇りし魂』!?」

刃咲がはしゃいだパックは、いずれも今とは違う環境だったせいか、低レアリティのカードの中に強力カードが多くある優良パックだ。
もちろん、復刻パックは出てはいるが、所詮は総集編であり、マイナーカードやコンボ主体のカードは多く絶版になっている。
さすがはカードゲーム専門店、売れ残りのパックでも売れ残り続ければ逆にレアモノ、というわけか。

   「……これは『仮面の呪縛』! 〔女帝カマキリ〕が欲しかったんだ! 2つください!」

   「じゃあ、俺は新パック1つと、『闇魔界の脅威』3つ、『RISE OF DESTINY(ライズ・オブ・デステニー)』2つ、『ファラオの遺産』2つで。

シャモンは釣銭を懐にしまいこみ、嬉々としてパックを開け始めた。

   「………あ、融合モンスター引いちゃった、もう1パック買わなきゃ。」

   「ブースタードラフトだからな、そんなときも有るだろ。
    今買った三種類のパックに入ってる融合モンスターってことは……〔キング・もけもけ〕か?」

厳密に言えば、ブースタードラフトとは、開けたてのパックのカードを参加者が順番に選んで即席のデッキを作って対戦する、という大会形式であり、
今回のシャモンのように、ひとりで即席のデッキを作る際には使う用語ではない。

   「ううん、新パックのカード。 〔サイバー・エンペラー・ドラゴン〕だって。」

   『エンペラーだァアアア!?』


椅子に座っていた黒服の一団が、まるでスクワットでもしていたかのように一斉に立ち上がった。


ズカズカと詰め寄る黒服の人々、共通点はその服装と腕に装着したデュエルディスクのみで、
年齢は上は50超えから下は10才未満、性別も男からオナベの方までバラバラだ。

   「君、そのカード、私たちに譲ってくれないか!? 金は幾らでも出す!」

   「我々は真サイバー流の門下生だ! そのカードを手に入れるために大阪中の店を回ったんだ!」

よくよく彼らが座っていたテーブルを見てみれば、机の上には未開封のパックが山のように積み上げられ、
机の下に置かれたゴミ袋には緑茶色のパックが大量に捨てられていた。――『サイバー・スペース』だ。

   「……ダメ大人は田舎より都会の方が多いんだな。」

   「俺、お金は困ってないんだよね。
    欲しかったらアンティデュエルで俺に勝ってよ。」

事も無げに、子供の口から『アンティデュエル』という単語が出た。
刃咲はまたもや、『都会の子供なんだからこんなもん』と偏見たっぷりに解釈した。

   「よ、よし。
    ならば私の〔サイバー・タイガー〕を……」

   「ヤだ。」

   「……は?」

   「〔サイバー・タイガー〕は流通数415枚で、レア度は下から数えるカードだけど、
    この〔サイバー・エンペラー・ドラゴン〕は、発売してから間が無いから現存枚数50枚以下、釣り合わないじゃん。」
※作中オリジナルレートです。

   「お前、そんな情報をどこで…」

   「それならば! 現存8枚の〔サイバー・キング・ドラゴン〕なら文句も付かないだろう! 師範! お願いします!」

黒服連中は自ら左右に分かれ、残った中肉中背の男の左右へと展開した。
その男も左右に除けた連中と同じ黒服に身を包み、口元は幅広なマフラーに隠されていて、そこから白い紙製の棒がピョン、と飛び出していた。
……全身から大気に染み出している糖分と香料の臭いからして、コンビニとかで10円で売ってる伝統的キャンディー、チュッパ○ャップスだ。

   「いや、俺は子供がナケナシの小遣いで買ったカードを大人が奪う、
    ってのも悲しいものがあるんじゃないかなー、とか思うんですよ、
    緑の子、オレは一応真サイバー流の師範代をやってる姓を 神成かんなり 、名を 鏡真きょうま って奴だけどさ、このデュエル、断ってもいいぜ?」

   「師範!?」

   「ちょっとおおおお!?」

   「うっせぇええなぁー、エンペラーがあってもなくとも、
    俺たち真サイバー流が無敵の軍団ってことには変わりねーっしょ。」

弟子たちに囲まれ、痛い視線を投げられながらも、神成はマイペースだ。

   「んーん、〔サイバー・キング・ドラゴン〕は俺も持ってないからさ、良いよ、決闘を受けるよ。」

   「…あ、そう、なんか悪いね、先攻はどーぞ。」

   『デュエル!』

   「俺のターン、手札から〔一撃必殺侍〕を召喚! 終っわりっだよー。(手札5・伏せ0)」

一撃必殺侍 風属性 戦士族 レベル4 ATK1200 DEF1200
このカードが戦闘を行う場合、ダメージ計算の前にコイントスで裏表を当てる。
当った場合、相手モンスターを効果によって破壊する。

   「んじゃ、俺ね(手札6)、いきなり〔天使の施し〕を発動してっと…〔仮面竜〕と〔巨大化〕を墓地にスタンバイさせとくは。」

天使の施し 通常魔法
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。

仮面竜:神成の手札→神成の墓地
巨大化:神成の手札→神成の墓地

   「んで、手札から〔サイバー・ダーク・ホーン〕を発進ー、んで墓地の〔仮面竜〕を装備ー。」

サイバー・ダーク・ホーン 闇属性 機械族 レベル3 ATK800 DEF800
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を選択して
このカードに装備カード扱いとして装備し、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をアップする。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりに装備したモンスターを破壊する。

仮面竜:神成の墓地→サイバー・ダーク・ホーンの装備カード。
サイバー・ダーク・ホーン:攻撃力800→攻撃力2400

   「バトルフェイズ! 〔サイバー・ダーク・ホーン〕で〔一撃必殺侍〕を殴らせてもらうわ。 コイン投げて。」

シャモンは懐からさっきの釣銭の百円玉を取り出し、親指で弾くお決まりのコイントスポーズを決めた。

   「じゃ『サクラ』で投げるよ、てぃっ…あれ?」

シャモンの中では、表=サクラであり、裏=100らしい。
まぁ、意思さえ通じればゲームに差し支えは無いが……シャモンはコインのキャッチに失敗し、床に落とした。
……これもゲームには差し支えはないが、デュエリストならば最低限練習しておきたい技能ではある。

   「あ、やった! サクラだ!」

   「……く、くぁー、俺ってば攻撃して自爆ってどんだけアンラッキーなんだろー!」

サイバー・ダーク・ホーン:神成のフィールド→神成の墓地へ。

   「師範!  和気藹々わきあいあい も結構ですが、このデュエルはエンペラーの掛かった重要な一戦! 真面目にやってください!」

   「楽しくないゲームは勝っても負けても意味なーし! 最も楽しんで相手をリスペクト! これが真サイバーの極意だぜー! 野々村ちゃーん。」

   「いやっ! しかしっ!」

   「これも計算! 全ては諸葛亮孔明の策の内ー! 手札から〔封印の黄金櫃〕を2枚セットで発動!」

封印の黄金櫃 通常魔法
自分のデッキからカードを1枚選択し、ゲームから除外する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にそのカードを手札に加える。

パワー・ボンド:神成のデッキ→除外
サイバー・ドラゴン:神成のデッキ→除外

   「そいでもって残った手札を全部セット! ターン終了!(手札0・伏せ3)」

   「初手から手札を使いきったぁ!? サイバー流ってのは融合主軸のデッキじゃないのか!?」

刃咲が驚くのは無理もない。
数ヶ月前に衛星放送で、壱華や福助と一緒になって白熱したサイバー流の使い手は、手札を温存し、融合による一撃決着を狙っていた。

   「他所は他所、うちはうちってのがデュエルモンスターズっしょ! 全員同じじゃつまんないでしょ!」

   「面白い! 面白いよ神成くん! 俺のターンだ! ドロー!(手札6) 俺は手札から…」

   「ストオップ! 緑くーん。」

シャモンのプレイを制し、神成は伏せカードに手を伸ばした。

   「ゲームを盛り上げる、最高のスパイスをここで使うぜ! その名もズバっと〔ギャンブル〕っだっ」

ギャンブル 通常罠
相手の手札が6枚以上、自分の手札が2枚以下の時に発動可能。
コイントスで裏表を当てる。当たりは自分の手札が5枚になるようにドローする。
ハズレは次の自分のターンをスキップする。

   「当たれば大量ドロー、外れれば人間サンドバックのコスプレしちゃう正しくギャンブル!
    表が出ればこのデュエルまでサクラが咲く! 裏が出れば100ダメージでは済まない生死の境! 表と予想するぜ!」

   「うっわー! やんややんや!」

   「師範! 何でいきなりそんなカードを使ってるんですかー!? 相手が子供だからって遊びすぎですよぉー!?」

実は、この大博打の真意は、野々村の言うような『余裕』とは真逆の『焦燥』から生じた行為だった。
焦りの元は、先ほどのサイバー・ダーク・ホーンの返り討ちだった。

別の場所でデュエルをしている松猪四郎の言葉をではあるが、神成にとっての『勝負を分ける先天的な何か』とは、正しくこの勝負勘であり、
これが外れるという現象は神成にとって、『デッキに入っている上級モンスター5枚全てが初期手札から有った』と同じく怪訝な出来事なのだ。

一撃必殺侍のコイントスでは、神成の卓越した勘には『ハズレ』の姿しか見えていなかったのだが、
シャモンが「サクラで行くよ」と云った途端、突如として『アタリ』へと姿を変えたのだ。
ここで二分の一程度の博打も失敗したのでは、この幼子相手には到底勝てない、と、神成は感じ取っていた。

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