84pの小説 遊義皇第十六話(旧)


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バトルシティに続くか、ナニワカップ開催。
先日、白熱のデュエルを世界に向けて配信したバトルシティに続き、国内では二度目となるデュエルディスクの使用する大会、ナニワカップの開催日がいよいよ2日後と迫り、大阪でのムードは最高潮となっている。
開催地、大阪をホームとするダイナソー竜崎は勿論のこと、海外からもビッグネームが多く参加表明を行い、バトルシティにも引けを取らない熱戦が期待されている。
以上、週間デュエルニュースより抜粋。


(福助視点)
   「かゆい所は無いか~? 蕎祐~?」
   「四回目だ、有る訳無いだろう、元祖ダメ大人。」
とても楽しそうに刃咲くんの頭を洗うバクタスクさん、親子の交流を邪魔するのも野暮だと思うんだけど……刃咲くんが『助けろ』と目で告げてる。
   「バクタスクさん、髪の洗いすぎは逆に頭皮を傷付けるって、みの○んたさんかマチャ○キさんが言ってました。」
   「お、おお、ごめんな蕎祐…ありがとう、福助くん。」
   「いえいえ。」
   「よし蕎祐! お父さんはよくドラマとかでやってる『10数えたら出るぞ』ってヤツがやりたいぞ!」
渋々ながら従う蕎祐くんだが、その口元が「だ」「め」「お」「と」「な」と動いたのを僕は見逃さなかった。
   「ところで、クロックに福助くん、そろそろ上がった方が良いんじゃないかな? 俺達が頭を洗ってる間もずっと浴槽に浸かっていただろう?」
   「あぁー、あんたらが見てて楽しいからもうちょっと入って……あ?」
蕎祐くんは、僕やクロックさんに向かって口をパクパクしている、「コ」「ノ」「ダ」「メ」「オ」「ト」「ナ」「ヲ」「ト」「メ」「ロ」 一区切りして、「マ」「ジ」「デ」
   「あぁー……蕎祐ぇ、俺はもう行くぜ、待ち合わせが有るんだ。」
   「え? 刃咲くんはどうするんですか?」
   「あぁー、福助ぇ、親子の団欒を邪魔しちゃマズいだろぉー。」
クロックさんは、足を滑らせないように気をつけながらも、立ち止まらず脱衣所に歩いていく。
   「ダメ大人! 助けろ! いつもダメ大人って呼んでる仕返しか! 大人気ないぞ!
    ……頼むから! 助けろ! クロック…クロックさ……子供に仕返しするからダメ大人を卒業できないんだぞ コラァ!」
   「あぁー、俺へ『サン』を付けるプライドが勝つ内は大丈夫だよ。」
何が大丈夫なんですか? むしろ何がピンチなんですか?
   「あ、あのぅ、バクタスクさん、蕎祐君も…その、ほどほどにしといた方が…。」
   「そういえば福助君、君はドリアード使いだったね、それなら……」
バクタスクさんは言い残し、刃咲くんから離れ、番台へと走った。
   「た、助かったぜ、サンキュな、福助。」
   「うん、友達だからね。」
あ、バクタスクさんが戻ってきた。
   「コレをあげよう、俺もデュエルモンスターズはやるけど、このカードはデッキには入らない。」
   「……〔悪霊術師 ドリアード〕! 欲しかったんですよ! 良いんですか!?」
アンデットモンスターとの融合によって、闇属性精霊をも操作するドリアード…ドリアード使いなら誰でも欲しがる最強の切り札だ!
   「ありがとうございます! バクタスクさん!」
   「この銭湯の向かい側の店がカードショップだから、ちょっと遊んできなさいな…あ、遊ぶのに最初にお金が必要だから、これで払ってね。」
カードと一緒に取ってきてくれたであろう、500円玉を僕の手に握らせてくれた。
   「はい! ありがとうございます!」
僕はデュエルディスク(オセロ村から持って来た)の融合デッキスペースに悪霊術師をそのまま投入し、手早く服を着込んだ。
   「それじゃ! 親子団欒を楽しんでください!」
   「て、てめぇ! 裏切り者ォ! オイ!」
大阪の人かぁ、そういえばオセロ村以外の人とデュエルするのは初めてだ!
   「ウソだろ! オイ! 福助ッ!?」
   「ドリアード♪ ドリアード♪」


(福助視点)
   「こんにちは~……」
オセロ村とは違い、デュエルテーブルも塞がり、人がたくさん居る。
   「いらはい、ボウヤ、初めて?」
レジに立っている人の良さそうなお姉さんは、顔と同じ声を出した。(意味不明)
   「はい! 初めてです!」
   「うちは始めての人にはネームプレートを買うて貰うことになってるんやけど、500円、有る?」
バクタスクさんの言ってた奴だ。
   「それじゃ、これでお願いします……えと、倉庫の倉にタロット15番の塔の「倉塔」、それに足袋の福助です。」
   「倉塔福助くんね、……はい、これが君の名札、店的には良いけどなくさないようにね。」
   「ありがとうございます、対戦相手の方をさがしてるんですが、今、手が開いてる方はいらっしゃいますか?」
   「そうねぇ、2人集まればデュエルを始める子が多いからねぇ…あ、四郎さんが開いてますね、四郎さん、四郎さん!」
数メートル先でデュエル観戦をする長身の人物を呼びかけてくれた。
   「ホイホイ、宜しくな、ワシの名前は松猪 四郎(まつい しろう)、この店ン中でもいっちゃん強い男や。」
   「………は?」
   「なんや? ワシ、おかしな事、言うた?」

~回想開始~
クロックさん対刃咲君直後
   『……セカンドハンター?』
   『星5以上のプロライセンスを持つ奴がやる職業の1つでな、星5以上に為るとKCのデータバンクに所持レアと名前が登録される、
    それを有る程度の上位レアハンターはハッキングして見たりしてるんだが…それを逆に利用して相手のカードを巻き上げる商売だ!』
   『…だからハンターを狩る第二のハンター……セカンドハンター、ってわけか。』
   『アイツはレアハンターにも知り合いが多いから、レアハンターと戦って情報を聞き出せばあいつの情報を入手できる可能性は高い!』
この会話を聞いて、ぼくはとても楽しそうな仕事だと思った、何もしなくともデュエル相手が来てくれる、なんて素晴らしい商売だろう!
   『凄い! そんな仕事が有るんですね!  決めた! 僕はセカンドハンターに為る!』
   『……もう1つくらいオマケしろ、あれくらいなら教えられなくともこうなってた確率は高い。』
   『あぁー、大阪だ、大阪の松猪 四郎ってのに会いに行け、そうすればセカンドハンターに為りやすくなる。』
~回想 終~

   「えええええええええええええええええええええええええええええええァ!?
    大阪まで会いに来たのに! 会えるのは明日って聞いてて! こんなタイミングで!? 速記技能と犬訓練士の受講中じゃないんですか!?」
   「なしてワシの事を知っとるのかは知らんが……そんな事より、別にツッコミ入れなならんことが有るのとちゃうの?」
……そういえば、松猪さんの服装はちょっと変わってる気もする。
   「……刑事さんなのに、阪神タイ○ースのハッピを着ていること?」
   「それは些細なことやろ! それよりもホラ! ワシのアタマッ! アタマ!」
アタマ?
   「使いもしない免許を取ってることですか?」
   「どんな天然やねん! おかしいやろ! アタマに○ジラさんの被り物付けとるんやで!」
そういえば、確かに松猪さんの頭には、日本の怪獣王で有名な、ゴ○ラのマスクを被っている。 とてもリアルだ。
   「かっこいいですよね、ゴジ○。」
   「違うやろ! いやかっこええのは事実やけど! 『ゴジラマツイなのに阪神ファンかよ!』とか『なんで初代仕様なんだよ!』などァ!」
   「それよりも! 僕はセカンドハンターっていうのに為らないと行けないんです! 方法を教えてください!」
そこに来て、いきなり松猪さんが始めて黙り、空気が変わった。
   「……ちょっと待てや、松猪さん、あんた…やっぱり持ってはんの? 星5デュエリスト試験の……招待状。」
   「それなら……まず俺達とやってもらってええか?」
   「何度も言うとるやん、ワシはそんなん持ってない、この子の持っとる情報が古いだけやねん!」
店に来ていた人達の目付きが変わり、松猪さんに一歩 歩み寄った。
   「招待状って何の事ですか?」
   「ほら、この子はそれも知らないんや! かなり前の情報ででワシに戦いを挑みに来たんや!
    ワシはこの子に事情の説明するからこれで失礼するわ! さいなら!」
言ってから松猪さんは、僕を抱き抱えて、ダッシュで店を後にした。


   「なぁ、ジブン、誰に聞いたんや?」
少し走った後、下ろしてくれたのはウドン屋さん、油揚げがあっさりしていて美味しくて、お客さんの出入りが激しく、周りの声識別できない。
   「何がですか?」
   「ワシが招待状を持ってるって事を、や。」
   「クロックさんです、手札入れ替えが得意なクロック・ジュフさん。」
   「一日中『あぁー、あぁー』言うとるボケ兄さんやな――招待状は別に渡しても問題ないんやけど…。」
   「それじゃあ…どうして、お店の皆には隠してるんですか? 星5のプロデュエリストって言ったら、皆さん欲しがるライセンスですよね。」
   「説明すりゃァ 長くなるんやけどな、理由壱:招待状に限りがあるから。」
言って虎柄のハッピから、四枚のカードを取り出した。

星五への挑戦 招待状
このカードを所持するプレイヤーは、このカードを破壊することで年に一度だけ行なわれる星5昇格試験を受けることができる。
また、このカードは星6以上のデュエリストにのみ、星の数に等しい枚数分だけ配布される。
(このカードは発行された年でのみ有効。)

星五への挑戦 招待状
このカードを所持するプレイヤーは、このカードを破壊することで年に一度だけ行なわれる星5昇格試験を受けることができる。
また、このカードは星6以上のデュエリストにのみ、星の数に等しい枚数分だけ配布される。
(このカードは発行された年でのみ有効。)

星五への挑戦 招待状
このカードを所持するプレイヤーは、このカードを破壊することで年に一度だけ行なわれる星5昇格試験を受けることができる。
また、このカードは星6以上のデュエリストにのみ、星の数に等しい枚数分だけ配布される。
(このカードは発行された年でのみ有効。)

星五への挑戦 招待状
このカードを所持するプレイヤーは、このカードを破壊することで年に一度だけ行なわれる星5昇格試験を受けることができる。
また、このカードは星6以上のデュエリストにのみ、星の数に等しい枚数分だけ配布される。
(このカードは発行された年でのみ有効。)

   「このカードが招待状ですか?」
   「ワシは星6デュエリスト、せやから店全員に配るほど持っとるわけやのぉて、年に6枚だけ支給されるだけや。」
   「……もう、2枚は配ってるんですね。」
   「勿論。」
   「でも僕は困りません、カードを1枚、僕と友達と友達の分で多くとも3枚までしか使えません。」
松井さんは、椅子に少しふんぞり返り、小さな溜息を1つ。
   「ぶっちゃけ、ジブンとそのトモダチに3枚渡しても構へんのや、
    I2社から金銭での販売は禁止されとるからワシにとってはゼニにもならないカードスリーブの無駄やねんからな。」
   「じゃあ、ください。」
   「……なんでワイが2枚しか配ってないか、わかるか?」
   「? いいえ?」
   「配っても意味が無いからや、
    ワシが星6やから星5とは大きな違いは無い、星5デュエリストなら10回やればも2~3回は勝てないとおかしいやろ。」
   「…すいません、だったらもっと手っ取り早く行きましょうよ。」
   「何がや?」
   「デュエルして僕が勝ったら貴方の持ってる招待状を全部貰う、デュエルモンスターズ関連の事ならデュエルモンスターズで決めるのが常識じゃないんですか?」
   「分かっとるなら最初からそう言ってや? シンプル・イズ・ベスト。」
ハッピの中からデュエルディスクのカードセンサー部分を取り出し、ズボンの中からデッキホルダー部分を取り出し、手早く接続する松猪さん。
   「サァ、殺し合いの出来そうな場所を探そうかい。」


(エビエス視点)
作者注、ここでの会話は英語です、英語だと思ってください。
   「……ホーティック、この部屋は狭くないか? 部下達を置くならばもう少し大きな部屋が必要だと思うが?」
   「すみません、第3部隊はもう一つアジトはあるんですが、そちらは国外なので、ここで勘弁してください。」
ここは正念党第3部隊本部こと、東道頓堀マンション(家賃7万2000円)、ホーティック第3幹部の部下の多くはここに寝泊りしている。
マンションの中では最も広い畳八畳の部屋で、男が四人集まった程度では狭くは為らないのだが、狭くしている要因、身長240cmのブラックマインが文句を言う。
   「どうやら――クロックのヤツも来たな、玄関からヤツの足音がする。」
何が楽しいのか、ヘアバンドで必死に髪を逆立てる神次郎第5幹部の知らせどおり、クロック第4幹部は物の数秒で馳せ参じた。
   「あぁー……まだセーフか?」
   「アウトですよ、クロックさん。
    シャモンさんなんて、退屈すぎて遊びに行っちゃいましたよ。」
   「シャモン様には後で 私が決定をご説明しますので、気にせずに開いている座布団に腰掛けてください、クロック第4幹部。」
第4巻部は、遅れてきたとは思えない態度で私の隣の座布団に座り、初対面であるウォンビック第2幹部と目を合わせた。
   「……お前がクロック・ジュフだな、俺はウォンビック・ブラックマイン、新しく第2幹部に席を置いた者だ。」
   「あぁー、宜しく頼む、初対面の気がしねぇけど。」
   「?……グールズ時代にでもあったことが有るか?」
   「あぁー、遠目からチラっとだけ、な。」

きゃダッ

会話が長引きそうだったので、ピアスで埋った両腕をぶつけ合わせて、金属音で強引に区切りを付けた。
   「さて、今回の議題は『ナニワカップ奇襲』についてですが、今回はアンティルール非採用の大会なので、参加者を一人ずつ襲うしか方法は有りません、
    要注意……かつ狙い目の参加者は5名、顔や詳細なデッキタイプはのちほど資料をお渡ししますが、担当はここで発表しておきます。

    『タイムルーラー』の鵜殿 八兵衛(うどの はちべえ)、 使用デッキは干支ロック、トップレアは〔第一時刻守り シネ〕、
    今までで取った賞金額は歴代4位、ロック使いなのでウォンビック第2幹部と相性が良いでしょう。

    『超破壊』のロールウィッツ・ウェンディエゴ、使用デッキはダークアンデット、トップレア〔ヴァンパイア・ジェネシス〕、
    格闘戦・デュエルともども勝利するデュエル用心棒、神第5幹部が適任ですね。

    『テュポーン・ヘッズ』のシグ・ゴールド、使用デッキは海龍族ビートダウン、トップレアは〔畏怖を纏いし異父 テュポーン〕、
    二つ名に沿った切り札を持ち、何人ものレアハンターを討ち取ってきたセカンドハンターで、私ことエビエス第7幹部が担当させていただきます。

    『大天使』の空蝉 高差(うつせみ たかさ)、使用デッキは大天使コントロール、トップレアは〔聖炎の王子 ミカエル〕、
    世界で唯一、四大元素の大天使をフルコンプリートしたデュエリストであり、今回の目玉カードの一枚ですので、ホーティック第3幹部に行っていただきます。

    『電脳氷塊』の神成 鏡真(かんなり きょうま)、使用デッキはサイバー・ドラゴンデッキ、トップレアは〔サイバー・キング・ドラゴン〕、
    真サイバー流という流派の師範ですが、過去に不正行為である手札入れ替えの経緯があり、確実に不正を見破れるクロック第4幹部が適材と判断いたします。

   残るシャモン様は、大阪府デュエル課所属の松猪 四郎、温泉 裸暖、天辺 才印、灸焔 熾貴の四人を担当していただきます、以上、質問は?」
   「………あぁー、エビ、今、なんつった?」
   「ヌクズミ ラノン、アマベ ザイン、キュウエン オキの三人です。」
頭を抱え、項垂れるクロック第4幹部。
   「………有名人なのか? その熾貴という奴は?」
   「ふははははははァ! ウォンビックよ! この神次郎が直々に説明してやろう!
    灸焔熾貴は、私を除けば唯一グールズと正念党の両方に幹部として所属経験がある灸焔三兄弟の一員だ!」
意味も無く仰け反り、無意味に立てていた髪の毛を壁に押し当てながら叫ぶ神第5幹部。
   「神第5幹部の高閲に補足させていただくならば、灸焔熾貴はバーンデッキの使い手であり、一人で戦っても星8級、私の師の一人です。」
   「………『それ』を含む精鋭4人をシャモン一人で倒すのか? それは采配ミスではないのか?」
   「無論、担当とは言ってもシャモン様以下、私を含む5幹部も担当を倒し次第、デュエル課打倒として活動を続けます。
    ですが、シャモン様の戦力はデュエルの腕だけでなく、史上最大の改造デュエルディスク、『星』を持っていますしね、不可能な話ではありません。」
星の能力を『ひとつも』見たことが無いウォンビック第2幹部が半信半疑なまま、ホーティク第3幹部が手を挙げた
   「クロックさん以外の皆さんには既に連絡が終っていますが…次は私から報告しても良いですか? 」
   「あぁー……電話じゃ出来ないような話か。」
   「数日前、俺の…第3部隊の副官である爬露巳式さんが、オセロ村出撃時に倉塔壱華という女性と交戦し、〔サイクロン・ブレイク〕を奪われました。」

トットットットットットットットッ っと っと っと っと

表面上には出さないが、クロック第4幹部の心音が高鳴るのを、隣に座る私の耳は取り逃さなかった。
   「〔サイクロン・ブレイク〕回収は後回しになっていますが、爬露巳式の副官からの降格はすでに決定しています。」
私の言葉を聞き、ウォンビック第2幹部は、第4幹部とは違て向かい側に座っているせいで心音こそ聞こえないが、これも第4幹部とは違って感情の起伏を表情で表した。
   「……エビエス、猿が木から落ちるように、デュエリストならば負けることも有るだろうに、
    一度の敗北、たった一枚の偽造カードを奪われた程度で副官から降格などと馬鹿げている、幹部衆の神次郎ですら俺とのデュエルで敗北している。」
   「おや? この話は既に貴方の耳にも入っている筈ですが?」
   「俺が聞いたのは、巳式が敗北し 九大レアを奪われたということだけで、俺は巳式降格の投票すらしていない。」
どうやら説明したホーティック第3幹部が大雑把にしか解説していないらしい。
   「はっ! ウォンビックよ、降格は投票にも値しない当然の処置だぞ?
    それに発覚こそは貴様が幹部になってからだが、敗北自体は貴様が幹部になる前の出来事だ。」
   「当然…だと?」
   「正念党において敗北は大した意味を持ちません、問題となるのは、『九大レアを紛失した』という事実のみです。」
   「……所詮は偽造カードだろう? 奪われたところで作り直せば良いだけだろうが。」
   「ウォンビック、私も巳式の降格には不満は有るが、巳式が犯したミスが小さいとは思わんな。
    コピーカードはコピーカードからでも作れる、この私ならば、巳式が持っていた〔サイクロン・ブレイク〕コピーから、全く同じクオリティのカードを作り出せる。」
数百人の正念党全メンバーの中でも、最もコピーカード製造に長ける神第5幹部が第2幹部へと解説する。
   「そういうことです。脅威となるのはコピー可能なクオリティのカードを正念党メンバー以外が所有したということであり、
    神第5幹部の時は、カードを賭けていたのは神第5幹部ではなく、第5部隊の副官であり、こちらも既に降格し、代わって牡鹿 啓介が副官に就任しています。 納得していただけましたか?」
静かに頷くウォンビック第2幹部、これではクロック第4幹部に説明したやら第2幹部に説明したやら分かりませんね。
   「副官候補といえば、星6級のデュエリストですが…ホーティック第3幹部の部下は全員星3以下ですし、別部隊からの編入しかありませんね。」
   「いえ、エビエスさん、実は…次の副官候補の目星は点けてあるんです。」
   「ほう?」
トットットットットットットットッ

   「その人物の名前は刃咲 蕎祐、数日前に出会った人物ですが……、
    レアリティの低いカードのみで、私の2軍デッキと対等以上に渡り合う実力者です。」

トットットットッ っと っと っと っと

ホーティック第3幹部が人名を告げた途端、今さっき静まったクロック第4幹部の心音に再び変化が生まれた。
   「クロック第4幹部……先刻もそうでしたが、どうかしましたか?」
   「あぁー? 特に何もねぇけど?」
何も無い筈が無い。
脈拍は操作できないものでもないが、操作するには高い集中力が必要であり、第4幹部だできるとしても、会議中に心拍数を上げるはずが無い。
   「ホーティック、私は賛成せんぞ、巳式を落とし、代わって入る者が馬の骨では…実力をどうやって証明する?」
   「エビエスさんとウォンビックさんは知っているはずです。
    先日、『明』の能力でクロックさんのデュエルを観戦しましたよね? その時の対戦相手の昆虫族使いが刃咲蕎祐です。」
   「クロック第4幹部を追い詰めたデュエリストですか、合点が行きました。」
   「あぁー……見てたのかよ、あのデュエル。」
表面上はポーカーフェイスを保っていはいるが、クロック第4幹部の心音は聞くに堪えないほど短いサイクルで打ち鳴らしていた。
   「あぁー……副官のスカウトつったら、七人衆がオセロ村まで行くんだろうが……今はナニワカップ攻略が先だろ?」
   「……正論だな、行ったところで刃咲蕎祐の勧誘に失敗すれば時間の浪費、大阪攻略中にスカウトする機会も残っている……一応、決を取っておくか?」
この場に居る幹部衆のみでの決だが、5人全員が『オセロ村行きは後回し』で満場一致となり、シャモン様の意見を取るまでもなく纏まった。
   「それでは、皆さん、資料と携帯電話を受け取ってください。
    獲物の現在地の情報や、連絡については資料熟読の上、宜しくお願いします。」
   「……エビエス、俺は小さい携帯電話のボタンが押せない、大きい物を用意してくれないか?」
   「申し訳有りませんが、ウォンビック第2幹部の手に合う電話は容易できませんでした。連絡用に部下を連れて行ってください。」
   「……やはりそれしかないか……トガ! 行くぞ!」
   「はいはーい! ブラックマイン様! 靴をお持ちしました!」
   「……全員が任務を達成できることを祈っている……それでは。」
副官のトガを小脇に抱え、当然の様にベランダから飛び降りる第2幹部……話によれば、彼は階段やエレベーターは腰を曲げなければ通れないので、普段から降りるときはこうしているらしい。
   「…あぁー、新入りは本当にこの世界の人間か? アメコミか少年漫画から出てきたミュータントとかって言われた方がよっぽど納得するぜ。」
私を含め、他の四幹部は静かに、大阪の町へ獲物の影を求めて歩みだした。

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