84pの小説 遊義皇第十五話(旧)


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点字スリーブ、列効社正式発売!
デュエルモンスターズはカードゲームの性質上、視覚者しか遊べないゲームだったが、
本来はカードの傷を予防する為に付けるスリーブのテキスト部分に1から40までの点字を掘り込み、それをデッキ構築時に覚えるという物、
デッキの構築こそ介護者の手が必要となるが、プレイ自体は1人で出来る革命的カードスリーブだ。
定価80枚入り1200円で、列効社に予約すれば購入できる。
付記、このスリーブは四年前から行方不明となっている社長息子の列効 二封気氏の開発を基にしており、
氏の開発した技術の応用・改良をした商品の総利益は2億を超えていると推察されている。


(クロック視点)
   「クロック、お前は車の免許を持っているか?」
飯を食って食休み中の俺に蕎祐が唐突に訊いて来た質問、寝起きで脳に血液が回っていない状態の俺は考えもせずに反応していた。
   「あぁー、まぁ免許くらい持ってるぜ、それが何だ?」
   「じゃあ、大阪まで運転してくれ、今すぐ。」
   「あぁー、無理言うなよ、この山奥から大阪って……電車なら速いが、車なら高速使っても5時間以上掛かるぞ。」
   「奇遇だな、だからそれだけの道程を電車で乗り継ぐと時間が掛かるし疲れる、だからの後部座席で寝て、
    起きたら着いてる、すなわち運転手を雇ってそいつに運転させようとしたわけだ。」
うあ、コイツ人の話を聞いてるくせに異見を聞く気がねぇ。
   「ふざけんな、俺はもう3日もオセロ村に足止め食ってんだぞ、やってられっか。」
作者注、本当に3日です。
クロック来る(1日目朝)→酒を買いに行く(夕方)→巳式とデュエル(夜)→ニック襲来&クロック気絶&2日目の電車が出る(2日目朝)
→クロック復活・刃咲とデュエル(3日目朝)→刀都屋見学(昼)→現在。
   「ほう、それなら俺や福助達に子供だけで出掛けろと?」
   「あぁー、そうは言ってねぇだろ? 助姫さんが無理でも福助の親御さんに連れてってもらえば…。」
松猪四郎は、分かれた助姫さんのダンナの友達で、一生会いたくないといっていた人物だ。
   「福助の両親は……居ない。」
俯いて――まるで笑いを堪えるように泣き出した蕎祐……悪いこと聞いちまったかな。
   「……そりゃ悪かったな、だが俺は行かないぞ、大阪なんて正念党の指令でもない限り――」
   「クロック、電話が来てるわよー。」

   『あ、クロックさんですか? 至急大阪へ来てください。」
……予想はしてたぜ、マイゴッド、助姫さんに電話の中継をされた瞬間からな。
電話の主のホーティックは、更にばつの悪い言葉を続けた。
   『今回の任務は大阪府警デュエル課の壊滅、『ナニワカップ』の参加者からのカード強奪、
    七人衆の7人目の発掘も行なうので、七人衆は全員集合です。」
   「あぁ? ちょと待て! そんな大事な話に俺は投票してねぇぞ?」
   『……あれ? 本当ですか? それはこちらの手違いですね、すみません。
    ですがどちらにしても他の五人の投票で4対1だったんで仮にクロックさんが反対しても無意味でしたし、
    今大阪にはエビエスと僕、そして新入りのウォンビックさんが既に集結しています、そして残る次郎さんとシャモンさんも今は大阪に向かってる最中です、
    ところで―――どうしてクロックさんはオセロ村に居るんですか? 携帯電話に掛けても出ないからもしかしてと思って、そちらの番号に掛けたんですが?」
訊ける物なら俺が訊きたい。
   「あぁー、まあ色々有ったんだ。」
   『電車はもう出ちゃってるみたいですし、車を入手していますぐこちらに向かってください。』
   「あのなぁ、ホーティック、こんな小さな村にレンタカーなんて……。」
   「クロックー、大阪に連れて行く気になったら言えよー、車は母さんの車を貸してやるからー。」
   『渡りに船とはこの事ですね、それでは明日までに到着してください。』
盗聴してる、絶対に盗聴してる!
   「え、う、あァっ!? 待ってくれよ、俺はこっちでちょっと深い傷を受けちまってよ、それの診療に時間が掛かりそうなんだ!」
   「何を言ってるの、クロック、あんたが自分で殴った傷なら治したでしょう?」
助姫さん、貴方はどれだけ暇なんですか…?

20分後

   「大阪だって! 壱華ちゃん!」
   「楽しみね、本場のタコヤキってどんな味なのかしら。」
神様、俺は何か悪い事をしましたか? 本気で改修しようと悩んでます。


(神次郎視点)
   「隊長、そろそろ折れてくださいよ!」
   「拒否する! 私は断固として大阪には行かない!」
私は母親に習った中国の呼吸法とこれまた母に教わった日本の格闘技を駆使し、謀反を示す部下達を次々となぎ倒して行った。
   「ですから! これは謀反なんかではなく、他の七人衆様方の決定ですのでどちらかと言えば謀反は隊長の方です!」
   「黙れ! 理屈で論破するな! 感情論で喋れ!」
   「……なにやってんの? みんな?」
仮眠室で14時間の睡眠を取った、この度の大阪行きを推したシャモン・B・ウノンテが起きだしてきた。
   「聞いてください第1幹部! ジン第5幹部が大阪行きを拒否するんですよ。」
   「大阪嫌いなの? 次郎くん?」
   「大阪が嫌いなわけが無いだろうが! 幼少の頃から何度も飛び込んだ道頓堀! ヨーロッパより素敵なポルトヨーロッパ、
    王子ばかり居る王子動物園その1とその2、 そして忘れてならない通天閣ッ!」
   「隊長! そんなに大好きなら里帰りだと思って出撃してください!」
我が部下の言うように私は大阪は私の誇りだ――だが『松猪 四郎』に会うわけには行かない、殺される。
   「次郎くん、確か正念党に入った時に言ったよね? 『幹部衆の決定には命を賭してでも従う』、これは俺も守ってる正念党の最重要ルールだよ?」
   「ふん、この私はいかなる者の束縛も受け……アァッ?」
   「あのですねぇ、たいちょ……ッ!?」
突如として私の視界に広がる緑――否、シャモンの姿が一挙に眼前に迫る。
   「うをづぉっ!?」
我乍ら情けない声を出しながら左に倒れこみ、危うくながらも回避する、
……シャモンの繰り出した技は、ブラックマインを一撃で打ち倒した『マウス・トゥ・クランプ』(口の中の足痛)、シャモンの持つ赤穂十拳の中でもトップクラスの威力を持つ必殺技だ。
   「この規則はね、次郎君……猩々鬼が考えたルールなんだよ? それを君は否定するの?」
シャモンの表情は、常日頃から被っている森緑色のフードのせいで全く読み取れないので、機嫌は声から汲み取るしかないが、言葉で命の危機を感じたのは初めてだ。
   「……男子に生まれた限りは、誓いを破る訳には行かんな! 大阪へ行ってやろう!」


(二封気視点)
大阪に到着してからまだ20~30分程度、観光に来たわけでもないが、やっぱり昔の知り合いに挨拶は必要だ。
   「―――こんにちは、開いてる?」
ラーメン屋『神童』、俺は会ったことは無いが、ここの息子さんが何年か前にクラッシュクラリネッドとかいう世界的に有名なロックバンドでギターを担当してたとかで有名に為ったラーメン屋で、
昔、まだ正念党を設立するより前にクロックと一緒に来ていて、その時から大阪に来た時は必ず寄る事にしていた。
   「いらっしゃい……って、二封気ちゃんやん、暫くぶり、元気してた?」
店主のおばさんに頭を下げてから店内を見渡すと、昼飯というには早いお陰か、ガラガラでもなく一杯でもない気楽なぐらいの客数……そこで俺は、カウンター席に座る見覚えのあるを発見した。
   「 熾貴おき !」
   「んあ……ああ、二封気じゃん、長い間会ってない内にまた綺麗になったな………俺の隣は開いてるぜ、座れよ。」
灸焔3兄弟の末弟、灸焔 熾貴(19歳)、特徴は上はシルクハットから下は靴まで黄色で統一されたスーツ姿、性格は男女問わず求愛する事。
   「あ、おばさん、醤油ラーメン1つ、トッピングはチャーシューとタマゴで……にしても熾貴、どうして大阪にいるんだ? てっきり実家に帰ったと思ったぜ。」
   「まぁ、最初は姉貴や兄貴の仕事を手伝おうとも思ったけどさぁ、
    何より今は愛さ、愛、大阪は男も女も個性に溢れててさぁ、大阪弁なら何を言われても欲情するぜ、今の俺のツボ。」
始めて逢った時から思っていたが、こいつとは絶対に2人きりになりたくねえ。
   「今は、大阪府警 デュエル課の助っ人やってんのさ、作ったばっかりでまだメンバーが居ないんでね……二封気、なんならお前もどうだ?」
カウンターの中から差し出されたラーメンを受け取り、割り箸を割ってから受け答えた。
   「遠慮する、それに俺は今日は松猪さんに会いに来ただけだからな――ところで熾貴、松猪さんの連絡先を知らないか? 電話番号変えたみたいで繋がらないんだ。」
   「ハァ、お前って本当に何も知らないんだな、松猪さんは携帯の電磁波が平均寿命を5年短くするとかとかで、最近は持ってないんだよ、
    あの人はそんなバカ話でも結構真面目に信じちゃって……そこもまた可愛いんだけどな。」
この言い方だと、熾貴は松猪さんを標的に定めたようだ、松猪さんも可哀想に。
   「あの人って本当に無邪気でよぉ、守ってやらなきゃ悪い奴に られるんじゃないかって心配で心配で……そこもまた、母性本能を擽るんだけどな。」
   「………熾貴、あの人を襲うのはお前ぐらいだし、野郎の口から母性本能なんて言葉は出ないだろう、普通は。」
   「ふ、そんな辛口のお前も可愛いぜ?……って、おい、無視するなよ、オイ。」
やっと俺は思い出した、こいつに付き合ってたらラーメンが冷めるという事を。


(福助視点)
   「蕎祐ぇ~~~~!」
   「ぐぇっ!」
長い間車に揺られて、お日様がもう沈んだ夕暮れ時、やっと着いた刃咲くんのお父さんが経営するお風呂屋さん、
そこで出迎えてくれた人は、刃咲くんにソックリなツリ目にハッキリとした目鼻立ち、だけど身長はクロックさんより高いオジサン、
分からない事は、何で刃咲くんの名前を叫びながら壱華ちゃんに抱きつくかだ。
   「あぁー、バクタスクよ、そっちは蕎祐じゃないぞ、そっちは蕎祐の友達、こっちのナマイキそうな方がお前の息子だ。」
間違えたの!? 子供を間違えたの!? 性別ごと!?
   「をを、そっちかぁー! 蕎祐ー……しゃぺぉ!?」
抱きついてきたバクタスクさんのスピードを利用し、刃咲くんは見事なカウンターのタイミングで中指と薬指で目潰しを掛けた。
   「息子を間違えておいて どのツラ下げて抱き付くつもりだ、ダメ大人3号ォッ!
    ……てめぇ見たいな奴だから母さんが『目潰しぐらい覚えておけ』って言ったのか、納得した。」
   「…ったぁー、しょうがねぇだろぉ、助姫も蕎祐も写真の1枚も送った事無いんだから……。」
   「あぁー、ダメ大人2号としての意見なんだが、お前は鏡を見たことが有るか? そっくりだぞ?」
クロックさんの突っ込みは聞かず、嬉しそうに両目を押さえるバクタスクさん。
   「でも…久しぶりだな、蕎祐! 父さんはお前の育った姿…今は目潰しで見えないが、会えて嬉しいぞ!」
   「とりあえず…俺に謝れ…くふぉ、ふはぁ……。」
   「身代わり、とても感謝するぞ、壱華。」


   「松猪四郎に会いに来た? なんであいつに?」
   「将来の希望がデュエル職なんだよ、それで参考になりそうな奴に聞きに行きたかったんだ。」
へぇ、刃咲くんもデュエル職を目指すんだ、嬉しいな。
   「8歳でもう進路を決めてるのかぁ……6年会ってない間に立派になって……。」
…ぼく、デュエルモンスターズやってるから、足し算と引き算はできるつもりなんだけど、これだと2才の時から会ってない事に為るよね?
   「あいつは電話持たないし、今は受講してる頃だから連絡は取れない。」
   「受講? 刑事って聞いてたが? ダメ大人3号?」
   「その呼び名も懐かしいなぁ、覚えてるか? 助姫が俺をそう罵ってて、それをお前がマネしてたんだぞ?」
   「あぁー……俺が蕎祐に名前を呼ばれないのは間接的に助姫さんのせいだったのか、なんとなく納得できた。」
大人の2人がしみじみとしてる中、刃咲くんがクロックさんとバクタスクさんを睨みつける。
   「俺がァッ! なんの受講かと訊いたら答えろ元祖ダメ大人ァッ!」
あ、3号から元祖になった。
   「松猪はいわゆるライセンスゲッターってヤツでな、今は確か……速記技能と犬訓練士だったかな。」
免許だけ取って使わない人なのかな? 受講もタダじゃないのになぁ。
   「毎日、朝風呂に入り来るから、ちょっと待て……それじゃあ蕎祐! 一緒に入ろう!」
露骨に嫌そうな顔で、バクタスクさんを睨みつける刃咲くん、その視線を気にせず笑顔のバクタスクさん。
   「コルァ! 番台! 仕事中やろ! ちゃんと仕事せいや!」
   「うー………よしッ! クロック! やれっ!」
   「あぁー、俺は別に構わんが、銭湯に無関係の男が番頭やるわけにも行かないだろ、女湯も有るんだしよ。」
聞いた途端、バクタスクさんの表情は暗黒界系列モンスターのように歪んだ。
   「っちぃ、それでは壱華ちゃん、バイト代を払うから引き受けてくれ。」
   「――俺への謝罪も済まない内から頼み事か? 礼ぐらいは通せ。」
   「ごめんなさい、本当にごめんなさい、壱華さんごめんなさい。」
   「元祖ダメ大人、6歳の女の子に威圧された程度で萎縮するからダメ大人なんだぞ? 自覚を持て?」
壱華ちゃんと刃咲くんに威圧され、バクタスクさんは、クロックさんとぼくに視線を投げ掛けるが、こういう時の僕達は戦力外だ。
   「……反省してるというなら受けてやっても良いぜ、悪人でも息子との時間は欲しいだろ。」
   「悪人ッ!? 俺って悪人!? でもありがとうッ!」
   「報酬は大阪に居る間、俺と福助、クロックをお前の家に泊まらせろ、ホテル代が惜しい。」
   「ありがとね、壱華ちゃん。」
――実は泊まれるということよりも、オセロ村には銭湯が無いから銭湯に入れると言うのが嬉しかった。

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