「遊義皇第7話」(2008/11/01 (土) 23:31:08) の最新版変更点
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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">プロボクサー、バンスイ・ブラックマイン氏、世界王者への夢叶わず死去。<BR>バンスイ・ブラックマイン氏は昨日(11月10日)に世界王者決定戦に挑戦者として出場。<BR>ブラックマイン氏は1Rにダウンした際に頭蓋骨と脳を損傷したが、出血は無くブラックマイン氏も痛みを申告せずに試合を続行。<BR>そして3R時、氏は突如意識を失い病院への搬送中に死亡。<BR>対戦相手の爬露 神保(ハロ・ジンボ)氏への責任追及と、<BR>ブラックマイン氏の創立した孤児院の子供達の今後に注目が行く。<BR>以上、10年前の11月11日発行スポーツドッポン一面記事より抜粋。</Td></Table>)
&html(<font color="#ff0000">(巳式視点)</font)
「……私が…最弱の無限融合に負けた……。」
信頼してくれてるホーティック第3幹部や、私を応援している部下達への申し訳なさで、私は手元のティッシュがなくなるほどに目を濡らした。
「代わりのティッシュです、どうぞ。」
「あ、ありがとう…。」
代えのティッシュを出そうと、助手席のダッシュボードは私が手を伸ばした瞬間、
私がダッシュボードに触れるより早く、私にティッシュの箱を手渡してくれる小さな手……え?
ダッシュボードを開けると、そこには黒髪を短く切りそろえ、先端をくるんとさせた5~7歳ぐらいの可愛らしい女の子が1人入っていた。
もちろん、私はダッシュボードに幼女を招いた覚えは無い。
「な、何をやってるの? あなた!?」
大声を出した私に、女の子は急にオドオドとし、目に涙を浮かべて私に哀願し始めた。
「そ、それがっ、こんな立派な車ははじめて見たので……乗ってみたかったんです、ごめんなさいっ!」
私の乗っている車は、メルセデスベンツのそこそこ高い乗用車なので、珍しいのは事実だし、女の子でもこのフォルムの美しさを分かる子はいるだろう。
その点については疑問は無いのだが、もうひとつ、解明しなければならない疑問がある。
「あなた、ダッシュボードはどうやって開けたの?」
「取っ手を持って開けたんですぅ。」
「入る時はそれで良いでしょうけど、今はどうやって開けたの?
ダッシュボードの中に取っ手を付けた覚えは無いわよ?」
「……え?」
私は爬虫類が獲物を凝視するように観察を怠らない。
相手の伏せカードを警戒するように、私は少女の表情に注意を払いながらもダッシュボードの状況を観察している。
「外からなら取っ手を持ってあければロックは外せるけど、内側からはロックは外せないわよね、取っ手が無いんだから。」
多分、入る時に鍵に何か……例えば、デッキ用のカードスリーブか何かを挟んで、ロックされないようにしてたんでしょ?」
それならば取っ手が無くとも、留め金が降りないので押すだけで開く。
「………すると、これはかなり違和感があるわよね?」
「何が……ですかぁ?」
「あなたは好奇心に身を任せてこの車に乗るような無邪気な女の子でありながら、
この車のエンジン音よりも小さな物音しか立てずに侵入・潜伏する暗殺者のような冷静さと能力を持っているってことになるわよね?」
「……なるんですかぁ?」
演技には見えない、感覚に頼ればただの可愛いお嬢さん……だが私の人生経験は嘘だと大声で叫んでいる。
「私はあなたのような女の子を1人だけ知ってるわ、
彼女は生まれながらの勝負師で、どんな大人相手にでも決して負けない覚悟を持ってたの。」
「自分の事ですかぁ、それ。」
女の子の言葉に肯定も否定もせず、喋り続ける私。
「そして、貴方がその女の子のように、考える力を持つ本物のデュエリストならばタダでは見過ごせないわ。」
彼女の持っているものはKCの販売したデュエルモンスターズ専用のカードスリーブ、
そして彼女の背後、ダッシュボードの中にはデッキが装填されたデュエルディスクが一台あるのが彼女の身体の動きから十分に推測できる。
「ど、どうするんですか?」
「あなたは私と二封気さんのデュエルを見てたでしょうから知ってるでしょうけど、
私はレアハンターで、あなたのレアカードを見過ごせないのよ。」
「レアカードなんて……私……持ってません。」
「奪う気は無いわ、デッキを見せてくれるだけで良いの。
ベンツに勝手に乗った………そう、お礼と考えてくれればいいの。」
彼女が本当の事を言っている無邪気な少女ならば、デッキを見せるのを拒む理由があるわけもないのだが、彼女はデッキを出さず、年齢に合わない下品で浅い笑みを浮かべた。
「っち、二封気にも負ける程度のヤツに見破られるとは、オレもまだまだだな。」
彼女の口調が変わった瞬間、私は女の子からデュエリスト特有の殺気を感じ取った。
……この年齢で一端のデュエリストというのも驚くべきことだが、それ以上に驚嘆すべきはその闘志を今まで完全に隠し切っていた、ということだろう。
「賭けデュエルは嫌いなんでね、できるなら戦いたくなかったんだが……あんたの観察眼、デュエルしたくなってきたがね。」
「それは光栄ね、私が賭けるカードは〔サイクロン・ブレイク〕を3枚…偽造カードだけど、デュエルディスクの認証は通るわ。」
「偽造か本物かは問題じゃないな、どちらにしろお前の選抜したカードだろう?
オレのレアカードは〔コスモ・クイーン〕、レアリティも思い入れもどこに出しても恥ずかしくないカードだ。」
この子、見た目は5~7才ほどだと思うのだが……発言と年齢が完全に食い違っている気がするのは私だけだろうか。
「私の名前は爬露 巳式、あなたは?」
「イッカ、倉塔 壱華だ。」
----
&html(<font color="#ff0000">(壱華視点)</font)
やれやれ、好奇心も持ちすぎると厄介だな。
オレに非があるといっても、いきなりレアハンターとデュエルすることになるとはな。
さっきの二封気とのデュエル、負けはしたが、開始数ターンでトライアングルパワーで一撃必殺を狙っただけでなく、
そのままでは破壊される異次元トレーナーを生贄に幻魔皇ラビエルを召喚するコンボスピード……アレがマグレじゃないとすると……かなり厄介ない相手ということになる。
……困ったな、コスモ・クイーンを奪われる不安以上に、こいつと戦えることを悦びを感じてやがる、オレも、オレのデッキもよ。
オレと巳式は車の運転席と助手席からそれぞれ降り、車を挟む形でデュエルディスクの電源を入れた。
『デュエル!!』
先攻を示すランプは……巳式のデュエルディスクに点った。
「ドロー。(手札6) 私はモンスターをセットして、2枚のカードをセット、終了よ。(手札3・伏せ2)」
こいつの戦術は二封気とのデュエルは一度見ている。
サイクロン・ブレイクや無限の力もある上、地力も充分。
しかし、弱点はある。
巳式のデッキは低レベルの通常モンスターを主力にしているから、全般的に攻撃力が低い。
上級出されるより前に高い攻撃力のカードを出せば、フィールドを制圧できるはずだ。
「オレの先攻ぉ! ドロー! (手札6) 〔トゥーン・ヂェミナイ・エルフ〕を召喚する。
カードを1枚セットして、終了だ。(手札4・伏せ1)」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>トゥーン・ヂェミナイ・エルフ</Td><Td>地属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1900</Td><Td>DEF900</Td></Tr><Td ColSpan="6">召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。<BR>フィールド上の「トゥーン・ワールド」が破壊された時このカードも破壊する。<BR>自分のフィールド上に「トゥーン・ワールド」があり相手がトゥーンをコントロールしていない場合、このカードは相手プレイヤーを直接攻撃できる。<BR>このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手はランダムに手札を1枚捨てる。 </Td></Table>)
このカードなら、攻撃力も充分。
手札破壊もあるし、これ1枚で削れるだけ削る!
「私のターン、ドロー。(手札4) 手札から〔軽量化3〕を発動するわ。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>軽量化3</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">全てのプレイヤーは、1ターンに1度だけ手札の通常モンスター1枚を相手に公開できる。<BR>公開されたモンスターは、エンドフェイズまでレベルが2つ下がり、直接攻撃できない。</Td></Table>)
かつて、〔軽量化〕というカードが発売された。
そのカードはあるカードデザイナーが初めてカード製作を任せられ、その時に自分の全てを込めた良カードを作ろうと考えをめぐらせた。
まず、強すぎないこと、カード名と効果がしっくり来ること、どんなデッキにでも入る可能性があること、新しすぎず古すぎない効果……そして、軽量化は発売された。
しかし、そのデザイナーは『弱すぎてはいけない』という条件を無視してしまい、その時に効果から『こんなカードを入れたんじゃデッキ全体が重くなる』と皮肉を30万人(当社調べ)が思ったという伝説のカードである。
製作スタッフは、その皮肉を受け、軽量化をシリーズ化してしまったのだ!
※:この小説は全面的にフィクションです。
「この効果で、手札の〔サイバティック・ワイバーン〕を公開し、レベルを2ダウンさせ、通常召喚するわ。」
サイバティック・ワイバーン:手札→フィールド
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>サイバティック・ワイバーン</Td><Td>風属性</Td><Td>機械族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK2500</Td><Td>DEF1600</Td></Tr><Td ColSpan="6">メカで強化された翼竜。ドラゴンにやられ、死にかけたところを飼い主にサイボーグ化された。</Td></Table>)
っく、予想より上級が出るのが早いかッ!?
「バトルフェイズ突入! 〔サイバティック・ワイバーン〕で、〔トゥーン・ヂェミナイ・エルフ〕を攻撃!」
だが、ただで倒されるわけにはいかないな。
「〔トゥーン・ヂェミナイ・エルフ〕を生贄に捧げ、〔ディメンション・マジック〕発動するぜ。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>ディメンション・マジック</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。<BR>自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。<BR>その後、フィールド上のモンスター1体を破壊する事ができる。</Td></Table>)
予定では、無限の力が発動した瞬間に装備モンスターを破壊するつもりだったんだが……仕方ない。
とりあえず、サイバティックを除去して、手札唯一の上級モンスターを出しておく。
トゥーン・ヂェミナイ・エルフ:フィールド→生贄
サイバティック・ワイバーン:フィールド→破壊
魔法の操り人形:手札→フィールド
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>魔法の操り人形</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK2000</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">自分または相手が魔法カードをを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1個乗せる。<BR>このカードに乗っている魔力カウンター1個につき、このカードの攻撃力は200ポイントアップする。<BR>また、魔力カウンターを2個取り除く事で、フィールド上のモンスター1体を破壊する。</Td></Table>)
「手札から〔魔法の操り人形〕を特殊召喚だ。」
「なら……私も特殊召喚するわね、〔正統なる血統〕。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>正統なる血統</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地から通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。 </Td></Table>)
「……く!?」
「今破壊された〔サイバティック・ワイバーン〕を蘇生して〔魔法の操り人形〕へ攻撃を仕掛けるわ。」
〔サイバティック・ワイバーン〕(攻撃力2500)VS(攻撃力2000)〔魔法の操り人形〕→魔法の操り人形、破壊・墓地へ。
壱華:LP8000→LP7500
「カードを1枚セットして、終了するわ。(手札2・伏せ1)」
こいつ、強い。
観戦しただけだと二封気に惨敗した姉ちゃん、という印象だったが実際にデュエルしてみると戦術の広さが知れる。
とにかく、できることをするしかないか。
「オレのターン(手札4)、裏守備でモンスターを召喚して、カードを2枚セット。 終了だ。(手札1・伏せ2)」
オレの一挙一動にも注意し、表情から伏せカードを読もうとする。
伏せカードが2枚出しておけば、それを警戒してくれると助かるのだが。
「ドロー(手札3)。
もう少しあなたを観察したい気もするけど……時間を掛けるわけにもいかないのよ。」
「……。」
会話はしない。
情けない話だが、この女相手に嘘を付き通せる気がしない。
「――裏守備モンスター、〔コザッキー〕を反転召喚して、伏せカード発動。 〔同姓同名同盟〕ッ。」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>コザッキー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル1</Td><Td>ATK400</Td><Td>DEF400</Td></Tr><Td ColSpan="6">魔界言語の研究に全てを捧げているモーレツ悪魔。<BR>働きすぎで精神が崩壊している。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>同姓同名同盟</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に表側表示で存在するレベル2以下の通常モンスター1体を選択して発動する。<BR>自分のデッキから選択したカードと同名のカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。 </Td></Table>)
二封気とのデュエルでも見せたカードだ。
おそらくラビエルかトライアングルパワーのどちらか、あるいは両方が手札に有るのだろう。
……だが、これを黙ってみているつもりはない。
「伏せカード発動! 〔攪乱作戦〕ッ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>撹乱作戦</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手は手札をデッキに加えてシャッフルした後、元の手札の数だけ カードをドローする。 </Td></Table>)
今、巳式の手札には必ず切り札が有るはずだ。
ならば、そのカードをデッキに戻せば良いッ!
「へえ、やるわね。」
この防御方は、いかなるコンボにでも対抗できる。
しかし、欠点として再度ドローされる可能性が有るので、いかなるコンボにも対抗できるが、それが効力を及ぼすとは限らない。
「手札3枚をデッキに戻して……3枚引くわ。」
巳式は感情の起伏を見せずにカードを引き、同姓同名同盟の処理に入って2体のコザッキーを召喚した。
「……〔サイバティック・ワイバーン〕で、あなたの裏側守備表示モンスターを攻撃したいんだけど、いい?」
トライアングル・パワーもラビエルも来ない! 防いだ!
「ああ、オレの伏せモンスターは〔見習い魔術師〕。」
〔サイバティック・ワイバーン〕(攻撃力2500)VS(守備力800)〔見習い魔術師〕→見習い魔術師、破壊・墓地へ。
「破壊されるが、デッキからもう1体〔見習い魔術師〕をフィールドに召喚するぜ。」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>見習い魔術師</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK400</Td><Td>DEF800</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、<BR>フィールド上で表側表示の魔力カウンターを乗せる事ができるカード1枚に魔力カウンターを1個乗せる。<BR>このカードが戦闘で破壊された場合、デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を選択して自分フィールド上にセットする事ができる。</Td></Table>)
見習い魔術師:デッキ→フィールド
巳式はカードを1枚セットして、ターンを終了した。
「オレのターン、ドロー(手札2)…っしゃッ!」
このドローはうれしい。 隠せない♪
「巳式! お前のカード、使わせて貰うぜッ! 〔軽量化3〕を起動、手札の〔コスモ・クイーン〕を公開する。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>軽量化3</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">全てのプレイヤーは、1ターンに1度だけ手札の通常モンスター1枚を相手に公開できる。<BR>公開されたモンスターは、エンドフェイズまでレベルが2つ下がり、直接攻撃できない。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>コスモクイーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル8</Td><Td>ATK2900</Td><Td>DEF2450</Td></Tr><Td ColSpan="6">宇宙に存在する、全ての星を統治していると言う女王。</Td></Table>)
「〔軽量化3〕で、生贄が1体減ったので〔見習い魔術師〕を生贄にするだけで召喚可能!
来い! 〔コスモクイーン〕!」
見習い魔術師:フィールド→墓地
コスモクイーン:手札→フィールド
「これは不味いわね。
どうする? 私の場には攻撃力2500の〔サイバティック・ワイバーン〕と攻撃力400〔コザッキー〕。
戦力を削るという考えだったら〔ワイバーン〕、ダメージを優先するなら〔コザッキー〕を倒すことをお勧めするけど?」
余裕ぜん、としている巳式。
1体しか倒せないなら、長い目で考えて脅威であるサイバティック・ワイバーンを消すのが凡庸だが、利巧というものである。
それでもそれは、『1体しか倒せないならば』の話でしかない! オレにはコレがあるッ!
「手札からカードを発動ぉぉっ! 〔拡散する……波動〕ッ!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>拡散する波動</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">1000ライフポイントを払う。<BR>自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体を選択する。<BR>このターン、選択したモンスターのみが攻撃可能になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃する。<BR>この攻撃で破壊された効果モンスターの効果は発動しない。</Td></Table>)
壱華:LP7500→LP6500
全部、叩く! それでいい! それがいい!
「通さない! 伏せカード発動! 〔グラヴィティ・バインド-超重力の網-〕ッ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>グラヴィティ・バインド-超重力の網-</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。</Td></Table>)
「通すんだよ! 〔王宮のお触れ〕ぇっ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>王宮のお触れ</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の罠カードの効果を無効にする。</Td></Table>)
巳式の防御罠を即座に無効にし、コスモクイーンの攻撃は続行される!
「〔サイバティック・ワイバーン〕破壊ァっ!
そして〔コザッキー〕粉砕ッッ 続いて〔コザッキー〕撃破っっ 締めに〔コザッキー〕爆砕ッッっっ!」
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力2500)〔サイバティック・ワイバーン〕→サイバティック・ワイバーン、破壊・墓地へ。
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力400)〔コザッキー〕→コザッキー、破壊・墓地へ。
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力400)〔コザッキー〕→コザッキー、破壊・墓地へ。
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力400)〔コザッキー〕→コザッキー、破壊・墓地へ。
&html(<font color="#ff0000">作者として言うならば、この状況。<BR>コスモ・クイーンの攻撃によって、巳式のフィールドのモンスターは全滅。<BR>その上、相手のライフポイントは100ポイント、低いように見えて高いように見えて、その実は低い数値。<BR>裏守備を攻撃した反射ダメージや効果のちょっとしたオマケダメージで即死し、ライフコストは何一つ使えない!<BR>先ほどまでの状況は巳式が有利といえる状況だったが、今のこの状況はこう断言しても良いだろう!</font)
&html(<font size="4">逆転、完了ッ!</font>)
「ターン、終了!(手札0・伏せ0)」
「………ふ、ふふふふ……。」
いきなり、巳式は表情を崩し、カードを構える。
「なんか、予感はしてたのよ。 ここは〔王宮のお触れ〕で無効にされるんじゃないかなーって。」
般若の仮面、は知っていると思う。
当たる光の角度次第で、怒顔にも笑顔にも泣顔にすら見えるというものなんだが……今、オレ達に有る光源はソリッドビジョンが出す光のみ。
その光が上下左右から絶妙に巳式の顔を照らし出し、表情を曖昧な物にしていた。
「さっきは最弱の無限融合に負けて、……調子悪いなー、って確信してたのよ。
調子悪いと私ね? いっつも苦戦するの……だから、逆転されて安心してるのよ?
今、私は『相手からは猛反撃を受けた』…苦戦は終わったわ、だから、ここからは私が再逆転するだけ。」
よくわからない理屈を捏ねる巳式。
再逆転されたとしても、オレが再々逆転するだけだ。
「そして、さっきの〔撹乱作戦〕あったでしょ……?
あの時に〔グラヴィティ・バインド〕と『このカード』を引いた時から、この展開は見えてたわ。」
「……何の話だ?」
「あなたは私の〔軽量化3〕を利用して〔コスモクイーン〕を出した。
だけど、その前に私はあなたの〔撹乱作戦〕でこのカードを引いてたし、あなたの〔王宮のお触れ〕も利用させてもらうわ。」
………?
「本来、〔正統なる血統〕は効果対象である〔サイバティック・ワイバーン〕を失った時点で自身の効果で破壊されるはずだった。
けど、その自身を破壊する効果をあなたの〔王宮のお触れ〕で無効にしてくれた。 だから私のフィールドにまだ残ってるわ。」
「だからッ! なんの話をしているのかと聞いているんだッ!!」
「今、私のフィールドには3枚の永続罠カードが有るわ。 あなたのお陰で、ね。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>正統なる血統</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地から通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>軽量化3</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">全てのプレイヤーは、1ターンに1度だけ手札の通常モンスター1枚を相手に公開できる。<BR>公開されたモンスターは、エンドフェイズまでレベルが2つ下がり、直接攻撃できない。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>グラヴィティ・バインド-超重力の網-</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。</Td></Table>)
「……3枚の、永続罠カード……そういえば、お前の切り札は……幻魔皇ラビエル……?」
「私はね、欲張りなの。 3枚あるなら、3枚全部使うわ。
ドローフェイズ!(手札2) 3枚の永続罠を墓地に送り――来なさい! 〔神炎皇ウリア〕ァアアアア!」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>神炎皇ウリア</Td><Td>炎属性</Td><Td>炎族</Td><Td>レベル10</Td><Td>ATK0</Td><Td>DEF0</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは通常召喚できない。<BR>自分フィールド上に表側表示で存在する罠カード3枚を墓地に送った場合のみ特殊召喚する事ができる。<BR>このカードの攻撃力は自分の墓地の永続罠カード1枚につき1000ポイントアップする。<BR>1ターンに1度だけ、相手フィールド上にセットされている魔法・罠カード1枚を破壊する事ができる。<BR>この効果の発動に対して魔法・罠カードを発動する事はできない。</Td></Table>)
神炎皇ウリア:攻撃力3000
とぐろを巻き、空中に現れた炎の化身、神炎皇ウリアァッ!
「バトルフェイズ! 〔コスモクイーン〕を攻撃! ハぁぁイパァ~~~ッ・ブレイイィィィィッズッ!」
100ポイント。
その差は、小さいように見えて果てしなく大きいッ!
〔神炎皇ウリア〕(攻撃力3000)VS(攻撃力2900)〔コスモクイーン〕→コスモクイーン、破壊・墓地へ。
壱華:LP6500→LP6400
コスモクイーンが、やられた。
&html(<font color="#ff0000">作者として語らせてもらうならばッ!<BR>ライフポイントだけで言えば、未だに壱華が勝っている。<BR>しかし、LP6400ぐらいウリアの攻撃力ならたったの3発!<BR>3発といえば3ターン! 3ターンといえば光の護封剣で防げる数! 光の護封剣といえばたった1枚のカード!<BR>――そう、巳式にはまだ手札1枚も残っているッ! あの手札があれば『たった1枚分』のLPなんぞ、すぐにでも削りきれるのだッ!<BR>すなわちこの状況、こう言っても間違いない状況なのだ!</font)
&html(<font size="6">再逆転、完了ッ!</font>)
「私はカードを1枚セット、ターン終了よ!(手札0・伏せ1)」
手札は無い。
フィールドも無い。
オレにあるのは、次のドローだけだ。
「………。」
勝つには、再々逆転するしかない。
できるのか? 次のドローで?
……いや、そもそも、負けてはならないのか? 負けてもコスモクイーンを奪われるだけ。
別に一生デュエルモンスターズで遊ぶというわけでもないし、コスモクイーンがなくともゲームはできる。
じゃあ、負けても良いんじゃないかな……オレ、女の子だし。 コレを機にもっと女の子っぽい遊びとかをすれば……。
&html(<font size="3">違う!</font>)
男とか女とか、そんな些細なことはどうだっていい!
今! 今! オレは少女である前に! 人間で有る前に! デュエリストなのだ!
デュエリストには負けていいデュエルなんて存在しない! 全力で勝利を見詰める義務があるのだ!
そうとも簡単な話だ。 勝利するためには再々逆転しなければならない……しかし、逆に言えば再々逆転すれば勝てるのだ。
次の1枚のドローで、ウリアをなんとかすればいい! それだけでいい! なんと簡単なのだ!
「オレのターン、ドロオオオオ!(手札1」
ドローカード:早すぎた埋葬
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>早すぎた埋葬</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">800ライフポイントを払う。<BR>自分の墓地からモンスターカードを1体選択して攻撃表示でフィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。<BR>このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。 </Td></Table>)
墓地には、再逆転できるモンスターは無い。
「教えてやろう! 爬露巳式! 今、オレは〔早すぎた埋葬〕を引いた!」
「……それじゃあ、逆転は無理ね?」
「いや! 違う! ここで、ハッキリと言ってやろう!」
&html(<font size="9">再々逆転、内定ッ!</font>)
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&html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>)
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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">プロボクサー、バンスイ・ブラックマイン氏、世界王者への夢叶わず死去。<BR>バンスイ・ブラックマイン氏は昨日(11月10日)に世界王者決定戦に挑戦者として出場。<BR>ブラックマイン氏は1Rにダウンした際に頭蓋骨と脳を損傷したが、出血は無くブラックマイン氏も痛みを申告せずに試合を続行。<BR>そして3R時、氏は突如意識を失い病院への搬送中に死亡。<BR>対戦相手の爬露 神保(ハロ・ジンボ)氏への責任追及と、<BR>ブラックマイン氏の創立した孤児院の子供達の今後に注目が行く。<BR>以上、10年前の11月11日発行スポーツドッポン一面記事より抜粋。</Td></Table>)
&html(<font color="#ff0000">(巳式視点)</font)
「……私が…最弱の無限融合に負けた……。」
信頼してくれてるホーティック第3幹部や、私を応援している部下達への申し訳なさで、私は手元のティッシュがなくなるほどに目を濡らした。
「代わりのティッシュです、どうぞ。」
「あ、ありがとう…。」
代えのティッシュを出そうと、助手席のダッシュボードは私が手を伸ばした瞬間、
私がダッシュボードに触れるより早く、私にティッシュの箱を手渡してくれる小さな手……え?
ダッシュボードを開けると、そこには黒髪を短く切りそろえ、先端をくるんとさせた5~7歳ぐらいの可愛らしい女の子が1人入っていた。
もちろん、私はダッシュボードに幼女を招いた覚えは無い。
「な、何をやってるの? あなた!?」
大声を出した私に、女の子は急にオドオドとし、目に涙を浮かべて私に哀願し始めた。
「そ、それがっ、こんな立派な車ははじめて見たので……乗ってみたかったんです、ごめんなさいっ!」
私の乗っている車は、メルセデスベンツのそこそこ高い乗用車なので、珍しいのは事実だし、女の子でもこのフォルムの美しさを分かる子はいるだろう。
その点については疑問は無いのだが、もうひとつ、解明しなければならない疑問がある。
「あなた、ダッシュボードはどうやって開けたの?」
「取っ手を持って開けたんですぅ。」
「入る時はそれで良いでしょうけど、今はどうやって開けたの?
ダッシュボードの中に取っ手を付けた覚えは無いわよ?」
「……え?」
私は爬虫類が獲物を凝視するように観察を怠らない。
相手の伏せカードを警戒するように、私は少女の表情に注意を払いながらもダッシュボードの状況を観察している。
「外からなら取っ手を持ってあければロックは外せるけど、内側からはロックは外せないわよね、取っ手が無いんだから。」
多分、入る時に鍵に何か……例えば、デッキ用のカードスリーブか何かを挟んで、ロックされないようにしてたんでしょ?」
それならば取っ手が無くとも、留め金が降りないので押すだけで開く。
「………すると、これはかなり違和感があるわよね?」
「何が……ですかぁ?」
「あなたは好奇心に身を任せてこの車に乗るような無邪気な女の子でありながら、
この車のエンジン音よりも小さな物音しか立てずに侵入・潜伏する暗殺者のような冷静さと能力を持っているってことになるわよね?」
「……なるんですかぁ?」
演技には見えない、感覚に頼ればただの可愛いお嬢さん……だが私の人生経験は嘘だと大声で叫んでいる。
「私はあなたのような女の子を1人だけ知ってるわ、
彼女は生まれながらの勝負師で、どんな大人相手にでも決して負けない覚悟を持ってたの。」
「自分の事ですかぁ、それ。」
女の子の言葉に肯定も否定もせず、喋り続ける私。
「そして、貴方がその女の子のように、考える力を持つ本物のデュエリストならばタダでは見過ごせないわ。」
彼女の持っているものはKCの販売したデュエルモンスターズ専用のカードスリーブ、
そして彼女の背後、ダッシュボードの中にはデッキが装填されたデュエルディスクが一台あるのが彼女の身体の動きから十分に推測できる。
「ど、どうするんですか?」
「あなたは私と二封気さんのデュエルを見てたでしょうから知ってるでしょうけど、
私はレアハンターで、あなたのレアカードを見過ごせないのよ。」
「レアカードなんて……私……持ってません。」
「奪う気は無いわ、デッキを見せてくれるだけで良いの。
ベンツに勝手に乗った………そう、お礼と考えてくれればいいの。」
彼女が本当の事を言っている無邪気な少女ならば、デッキを見せるのを拒む理由があるわけもないのだが、彼女はデッキを出さず、年齢に合わない下品で浅い笑みを浮かべた。
「っち、二封気にも負ける程度のヤツに見破られるとは、オレもまだまだだな。」
彼女の口調が変わった瞬間、私は女の子からデュエリスト特有の殺気を感じ取った。
……この年齢で一端のデュエリストというのも驚くべきことだが、それ以上に驚嘆すべきはその闘志を今まで完全に隠し切っていた、ということだろう。
「賭けデュエルは嫌いなんでね、できるなら戦いたくなかったんだが……あんたの観察眼、デュエルしたくなってきたがね。」
「それは光栄ね、私が賭けるカードは〔サイクロン・ブレイク〕を3枚…偽造カードだけど、デュエルディスクの認証は通るわ。」
「偽造か本物かは問題じゃないな、どちらにしろお前の選抜したカードだろう?
オレのレアカードは〔コスモ・クイーン〕、レアリティも思い入れもどこに出しても恥ずかしくないカードだ。」
この子、見た目は5~7才ほどだと思うのだが……発言と年齢が完全に食い違っている気がするのは私だけだろうか。
「私の名前は爬露 巳式、あなたは?」
「イッカ、倉塔 壱華だ。」
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&html(<font color="#ff0000">(壱華視点)</font)
やれやれ、好奇心も持ちすぎると厄介だな。
オレに非があるといっても、いきなりレアハンターとデュエルすることになるとはな。
さっきの二封気とのデュエル、負けはしたが、開始数ターンでトライアングルパワーで一撃必殺を狙っただけでなく、
そのままでは破壊される異次元トレーナーを生贄に幻魔皇ラビエルを召喚するコンボスピード……アレがマグレじゃないとすると……かなり厄介ない相手ということになる。
……困ったな、コスモ・クイーンを奪われる不安以上に、こいつと戦えることを悦びを感じてやがる、オレも、オレのデッキもよ。
オレと巳式は車の運転席と助手席からそれぞれ降り、車を挟む形でデュエルディスクの電源を入れた。
『デュエル!!』
先攻を示すランプは……巳式のデュエルディスクに点った。
「ドロー。(手札6) 私はモンスターをセットして、2枚のカードをセット、終了よ。(手札3・伏せ2)」
こいつの戦術は二封気とのデュエルは一度見ている。
サイクロン・ブレイクや無限の力もある上、地力も充分。
しかし、弱点はある。
巳式のデッキは低レベルの通常モンスターを主力にしているから、全般的に攻撃力が低い。
上級出されるより前に高い攻撃力のカードを出せば、フィールドを制圧できるはずだ。
「オレの先攻ぉ! ドロー! (手札6) 〔トゥーン・ヂェミナイ・エルフ〕を召喚する。
カードを1枚セットして、終了だ。(手札4・伏せ1)」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>トゥーン・ヂェミナイ・エルフ</Td><Td>地属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1900</Td><Td>DEF900</Td></Tr><Td ColSpan="6">召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。<BR>フィールド上の「トゥーン・ワールド」が破壊された時このカードも破壊する。<BR>自分のフィールド上に「トゥーン・ワールド」があり相手がトゥーンをコントロールしていない場合、このカードは相手プレイヤーを直接攻撃できる。<BR>このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手はランダムに手札を1枚捨てる。 </Td></Table>)
このカードなら、攻撃力も充分。
手札破壊もあるし、これ1枚で削れるだけ削る!
「私のターン、ドロー。(手札4) 手札から〔軽量化3〕を発動するわ。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>軽量化3</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">全てのプレイヤーは、1ターンに1度だけ手札の通常モンスター1枚を相手に公開できる。<BR>公開されたモンスターは、エンドフェイズまでレベルが2つ下がり、直接攻撃できない。</Td></Table>)
かつて、〔軽量化〕というカードが発売された。
そのカードはあるカードデザイナーが初めてカード製作を任せられ、その時に自分の全てを込めた良カードを作ろうと考えをめぐらせた。
まず、強すぎないこと、カード名と効果がしっくり来ること、どんなデッキにでも入る可能性があること、新しすぎず古すぎない効果……そして、軽量化は発売された。
しかし、そのデザイナーは『弱すぎてはいけない』という条件を無視してしまい、その時に効果から『こんなカードを入れたんじゃデッキ全体が重くなる』と皮肉を30万人(当社調べ)が思ったという伝説のカードである。
製作スタッフは、その皮肉を受け、軽量化をシリーズ化してしまったのだ!
※:この小説は全面的にフィクションです。
「この効果で、手札の〔サイバティック・ワイバーン〕を公開し、レベルを2ダウンさせ、通常召喚するわ。」
サイバティック・ワイバーン:手札→フィールド
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>サイバティック・ワイバーン</Td><Td>風属性</Td><Td>機械族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK2500</Td><Td>DEF1600</Td></Tr><Td ColSpan="6">メカで強化された翼竜。ドラゴンにやられ、死にかけたところを飼い主にサイボーグ化された。</Td></Table>)
っく、予想より上級が出るのが早いかッ!?
「バトルフェイズ突入! 〔サイバティック・ワイバーン〕で、〔トゥーン・ヂェミナイ・エルフ〕を攻撃!」
だが、ただで倒されるわけにはいかないな。
「〔トゥーン・ヂェミナイ・エルフ〕を生贄に捧げ、〔ディメンション・マジック〕発動するぜ。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>ディメンション・マジック</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。<BR>自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。<BR>その後、フィールド上のモンスター1体を破壊する事ができる。</Td></Table>)
予定では、無限の力が発動した瞬間に装備モンスターを破壊するつもりだったんだが……仕方ない。
とりあえず、サイバティックを除去して、手札唯一の上級モンスターを出しておく。
トゥーン・ヂェミナイ・エルフ:フィールド→生贄
サイバティック・ワイバーン:フィールド→破壊
魔法の操り人形:手札→フィールド
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>魔法の操り人形</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK2000</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">自分または相手が魔法カードをを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1個乗せる。<BR>このカードに乗っている魔力カウンター1個につき、このカードの攻撃力は200ポイントアップする。<BR>また、魔力カウンターを2個取り除く事で、フィールド上のモンスター1体を破壊する。</Td></Table>)
「手札から〔魔法の操り人形〕を特殊召喚だ。」
「なら……私も特殊召喚するわね、〔正統なる血統〕。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>正統なる血統</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地から通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。 </Td></Table>)
「……く!?」
「今破壊された〔サイバティック・ワイバーン〕を蘇生して〔魔法の操り人形〕へ攻撃を仕掛けるわ。」
〔サイバティック・ワイバーン〕(攻撃力2500)VS(攻撃力2000)〔魔法の操り人形〕→魔法の操り人形、破壊・墓地へ。
壱華:LP8000→LP7500
「カードを1枚セットして、終了するわ。(手札2・伏せ1)」
こいつ、強い。
観戦しただけだと二封気に惨敗した姉ちゃん、という印象だったが実際にデュエルしてみると戦術の広さが知れる。
とにかく、できることをするしかないか。
「オレのターン(手札4)、裏守備でモンスターを召喚して、カードを2枚セット。 終了だ。(手札1・伏せ2)」
オレの一挙一動にも注意し、表情から伏せカードを読もうとする。
伏せカードが2枚出しておけば、それを警戒してくれると助かるのだが。
「ドロー(手札3)。
もう少しあなたを観察したい気もするけど……時間を掛けるわけにもいかないのよ。」
「……。」
会話はしない。
情けない話だが、この女相手に嘘を付き通せる気がしない。
「――裏守備モンスター、〔コザッキー〕を反転召喚して、伏せカード発動。 〔同姓同名同盟〕ッ。」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>コザッキー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル1</Td><Td>ATK400</Td><Td>DEF400</Td></Tr><Td ColSpan="6">魔界言語の研究に全てを捧げているモーレツ悪魔。<BR>働きすぎで精神が崩壊している。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>同姓同名同盟</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に表側表示で存在するレベル2以下の通常モンスター1体を選択して発動する。<BR>自分のデッキから選択したカードと同名のカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。 </Td></Table>)
二封気とのデュエルでも見せたカードだ。
おそらくラビエルかトライアングルパワーのどちらか、あるいは両方が手札に有るのだろう。
……だが、これを黙ってみているつもりはない。
「伏せカード発動! 〔攪乱作戦〕ッ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>撹乱作戦</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手は手札をデッキに加えてシャッフルした後、元の手札の数だけ カードをドローする。 </Td></Table>)
今、巳式の手札には必ず切り札が有るはずだ。
ならば、そのカードをデッキに戻せば良いッ!
「へえ、やるわね。」
この防御方は、いかなるコンボにでも対抗できる。
しかし、欠点として再度ドローされる可能性が有るので、いかなるコンボにも対抗できるが、それが効力を及ぼすとは限らない。
「手札3枚をデッキに戻して……3枚引くわ。」
巳式は感情の起伏を見せずにカードを引き、同姓同名同盟の処理に入って2体のコザッキーを召喚した。
「……〔サイバティック・ワイバーン〕で、あなたの裏側守備表示モンスターを攻撃したいんだけど、いい?」
トライアングル・パワーもラビエルも来ない! 防いだ!
「ああ、オレの伏せモンスターは〔見習い魔術師〕。」
〔サイバティック・ワイバーン〕(攻撃力2500)VS(守備力800)〔見習い魔術師〕→見習い魔術師、破壊・墓地へ。
「破壊されるが、デッキからもう1体〔見習い魔術師〕をフィールドに召喚するぜ。」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>見習い魔術師</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK400</Td><Td>DEF800</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、<BR>フィールド上で表側表示の魔力カウンターを乗せる事ができるカード1枚に魔力カウンターを1個乗せる。<BR>このカードが戦闘で破壊された場合、デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を選択して自分フィールド上にセットする事ができる。</Td></Table>)
見習い魔術師:デッキ→フィールド
巳式はカードを1枚セットして、ターンを終了した。
「オレのターン、ドロー(手札2)…っしゃッ!」
このドローはうれしい。 隠せない♪
「巳式! お前のカード、使わせて貰うぜッ! 〔軽量化3〕を起動、手札の〔コスモ・クイーン〕を公開する。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>軽量化3</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">全てのプレイヤーは、1ターンに1度だけ手札の通常モンスター1枚を相手に公開できる。<BR>公開されたモンスターは、エンドフェイズまでレベルが2つ下がり、直接攻撃できない。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>コスモクイーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル8</Td><Td>ATK2900</Td><Td>DEF2450</Td></Tr><Td ColSpan="6">宇宙に存在する、全ての星を統治していると言う女王。</Td></Table>)
「〔軽量化3〕で、生贄が1体減ったので〔見習い魔術師〕を生贄にするだけで召喚可能!
来い! 〔コスモクイーン〕!」
見習い魔術師:フィールド→墓地
コスモクイーン:手札→フィールド
「これは不味いわね。
どうする? 私の場には攻撃力2500の〔サイバティック・ワイバーン〕と攻撃力400〔コザッキー〕。
戦力を削るという考えだったら〔ワイバーン〕、ダメージを優先するなら〔コザッキー〕を倒すことをお勧めするけど?」
余裕ぜん、としている巳式。
1体しか倒せないなら、長い目で考えて脅威であるサイバティック・ワイバーンを消すのが凡庸だが、利巧というものである。
それでもそれは、『1体しか倒せないならば』の話でしかない! オレにはコレがあるッ!
「手札からカードを発動ぉぉっ! 〔拡散する……波動〕ッ!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>拡散する波動</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">1000ライフポイントを払う。<BR>自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体を選択する。<BR>このターン、選択したモンスターのみが攻撃可能になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃する。<BR>この攻撃で破壊された効果モンスターの効果は発動しない。</Td></Table>)
壱華:LP7500→LP6500
全部、叩く! それでいい! それがいい!
「通さない! 伏せカード発動! 〔グラヴィティ・バインド-超重力の網-〕ッ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>グラヴィティ・バインド-超重力の網-</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。</Td></Table>)
「通すんだよ! 〔王宮のお触れ〕ぇっ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>王宮のお触れ</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の罠カードの効果を無効にする。</Td></Table>)
巳式の防御罠を即座に無効にし、コスモクイーンの攻撃は続行される!
「〔サイバティック・ワイバーン〕破壊ァっ!
そして〔コザッキー〕粉砕ッッ 続いて〔コザッキー〕撃破っっ 締めに〔コザッキー〕爆砕ッッっっ!」
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力2500)〔サイバティック・ワイバーン〕→サイバティック・ワイバーン、破壊・墓地へ。
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力400)〔コザッキー〕→コザッキー、破壊・墓地へ。
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力400)〔コザッキー〕→コザッキー、破壊・墓地へ。
〔コスモクイーン〕(攻撃力2900)VS(攻撃力400)〔コザッキー〕→コザッキー、破壊・墓地へ。
&html(<font color="#ff0000">作者として言うならば、この状況。<BR>コスモ・クイーンの攻撃によって、巳式のフィールドのモンスターは全滅。<BR>その上、相手のライフポイントは100ポイント、低いように見えて高いように見えて、その実は低い数値。<BR>裏守備を攻撃した反射ダメージや効果のちょっとしたオマケダメージで即死し、ライフコストは何一つ使えない!<BR>先ほどまでの状況は巳式が有利といえる状況だったが、今のこの状況はこう断言しても良いだろう!</font)
&html(<font size="4">逆転、完了ッ!</font>)
「ターン、終了!(手札0・伏せ0)」
「………ふ、ふふふふ……。」
いきなり、巳式は表情を崩し、カードを構える。
「なんか、予感はしてたのよ。 ここは〔王宮のお触れ〕で無効にされるんじゃないかなーって。」
般若の仮面、は知っていると思う。
当たる光の角度次第で、怒顔にも笑顔にも泣顔にすら見えるというものなんだが……今、オレ達に有る光源はソリッドビジョンが出す光のみ。
その光が上下左右から絶妙に巳式の顔を照らし出し、表情を曖昧な物にしていた。
「さっきは最弱の無限融合に負けて、……調子悪いなー、って確信してたのよ。
調子悪いと私ね? いっつも苦戦するの……だから、逆転されて安心してるのよ?
今、私は『相手からは猛反撃を受けた』…苦戦は終わったわ、だから、ここからは私が再逆転するだけ。」
よくわからない理屈を捏ねる巳式。
再逆転されたとしても、オレが再々逆転するだけだ。
「そして、さっきの〔撹乱作戦〕あったでしょ……?
あの時に〔グラヴィティ・バインド〕と『このカード』を引いた時から、この展開は見えてたわ。」
「……何の話だ?」
「あなたは私の〔軽量化3〕を利用して〔コスモクイーン〕を出した。
だけど、その前に私はあなたの〔撹乱作戦〕でこのカードを引いてたし、あなたの〔王宮のお触れ〕も利用させてもらうわ。」
………?
「本来、〔正統なる血統〕は効果対象である〔サイバティック・ワイバーン〕を失った時点で自身の効果で破壊されるはずだった。
けど、その自身を破壊する効果をあなたの〔王宮のお触れ〕で無効にしてくれた。 だから私のフィールドにまだ残ってるわ。」
「だからッ! なんの話をしているのかと聞いているんだッ!!」
「今、私のフィールドには3枚の永続罠カードが有るわ。 あなたのお陰で、ね。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>正統なる血統</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地から通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>軽量化3</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">全てのプレイヤーは、1ターンに1度だけ手札の通常モンスター1枚を相手に公開できる。<BR>公開されたモンスターは、エンドフェイズまでレベルが2つ下がり、直接攻撃できない。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>グラヴィティ・バインド-超重力の網-</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。</Td></Table>)
「……3枚の、永続罠カード……そういえば、お前の切り札は……幻魔皇ラビエル……?」
「私はね、欲張りなの。 3枚あるなら、3枚全部使うわ。
ドローフェイズ!(手札2) 3枚の永続罠を墓地に送り――来なさい! 〔神炎皇ウリア〕ァアアアア!」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>神炎皇ウリア</Td><Td>炎属性</Td><Td>炎族</Td><Td>レベル10</Td><Td>ATK0</Td><Td>DEF0</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは通常召喚できない。<BR>自分フィールド上に表側表示で存在する罠カード3枚を墓地に送った場合のみ特殊召喚する事ができる。<BR>このカードの攻撃力は自分の墓地の永続罠カード1枚につき1000ポイントアップする。<BR>1ターンに1度だけ、相手フィールド上にセットされている魔法・罠カード1枚を破壊する事ができる。<BR>この効果の発動に対して魔法・罠カードを発動する事はできない。</Td></Table>)
神炎皇ウリア:攻撃力3000
とぐろを巻き、空中に現れた炎の化身、神炎皇ウリアァッ!
「バトルフェイズ! 〔コスモクイーン〕を攻撃! ハぁぁイパァ~~~ッ・ブレイイィィィィッズッ!」
100ポイント。
その差は、小さいように見えて果てしなく大きいッ!
〔神炎皇ウリア〕(攻撃力3000)VS(攻撃力2900)〔コスモクイーン〕→コスモクイーン、破壊・墓地へ。
壱華:LP6500→LP6400
コスモクイーンが、やられた。
&html(<font color="#ff0000">作者として語らせてもらうならばッ!<BR>ライフポイントだけで言えば、未だに壱華が勝っている。<BR>しかし、LP6400ぐらいウリアの攻撃力ならたったの3発!<BR>3発といえば3ターン! 3ターンといえば光の護封剣で防げる数! 光の護封剣といえばたった1枚のカード!<BR>――そう、巳式にはまだ手札1枚も残っているッ! あの手札があれば『たった1枚分』のLPなんぞ、すぐにでも削りきれるのだッ!<BR>すなわちこの状況、こう言っても間違いない状況なのだ!</font)
&html(<font size="6">再逆転、完了ッ!</font>)
「私はカードを1枚セット、ターン終了よ!(手札0・伏せ1)」
手札は無い。
フィールドも無い。
オレにあるのは、次のドローだけだ。
「………。」
勝つには、再々逆転するしかない。
できるのか? 次のドローで?
……いや、そもそも、負けてはならないのか? 負けてもコスモクイーンを奪われるだけ。
別に一生デュエルモンスターズで遊ぶというわけでもないし、コスモクイーンがなくともゲームはできる。
じゃあ、負けても良いんじゃないかな……オレ、女の子だし。 コレを機にもっと女の子っぽい遊びとかをすれば……。
&html(<font size="3">違う!</font>)
男とか女とか、そんな些細なことはどうだっていい!
今! 今! オレは少女である前に! 人間で有る前に! デュエリストなのだ!
デュエリストには負けていいデュエルなんて存在しない! 全力で勝利を見詰める義務があるのだ!
そうとも簡単な話だ。 勝利するためには再々逆転しなければならない……しかし、逆に言えば再々逆転すれば勝てるのだ。
次の1枚のドローで、ウリアをなんとかすればいい! それだけでいい! なんと簡単なのだ!
「オレのターン、ドロオオオオ!(手札1」
ドローカード:早すぎた埋葬
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>早すぎた埋葬</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">800ライフポイントを払う。<BR>自分の墓地からモンスターカードを1体選択して攻撃表示でフィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。<BR>このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。 </Td></Table>)
墓地には、再逆転できるモンスターは無い。
「教えてやろう! 爬露巳式! 今、オレは〔早すぎた埋葬〕を引いた!」
「……それじゃあ、逆転は無理ね?」
「いや! 違う! ここで、ハッキリと言ってやろう!」
&html(<font size="9">再々逆転、内定ッ!</font>)
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