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遊義皇プロローグ」(2010/12/21 (火) 21:55:53) の最新版変更点

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&html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>) [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/43.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]] &html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">御世路村(おせろむら)関東地方に有る人口283人の村。 <BR>名物は計18人の主夫・主婦のアイデア商品の製造・販売、観光名所は六角翡翠。 <BR>海・山に面している部分も多く新鮮な食事がいただけるが、宿泊施設が一つも無いので観光には向かない。 <BR>流行はデュエルモンスターズで、そのユーザー人数は全283人中252人、 <BR>村民が挙げる理由としては、「2人集れば面白いし、人数が増えても面白いから」と言う理由が多い。 <BR>以上、小英社「日本の村民事情」127ページより抜粋。 </Td></Table>) 秋のオセロ山に、カゴを背負った小さな人影が三つ。 大きさでいえば丘と見違える程度のものだが、熊が安定して生息できる程度の豊かさを持っているものの、 起伏の大きな斜面、塊根が張り出した悪路、観光することもできないほどのほったらかしの山だったが、近隣住民に取っては庭のようなもの。    「刃咲くん、前に植えたサクランボの種って、もう生えてるかなァ?」 丸みを帯びた顔に人懐っこい笑みを浮かべて、目元には2つの泣きボクロ。 どことなくデュエルモンスターズのカード、サイレントソードマンに似ているか。 散策する三人の幼児の中でも最年少にあたる五歳児、&html(<ruby><rb>倉塔<rt>くらとう)&html(<ruby><rb>福助<rt>ふくすけ)は疲れた様子もなく、先頭を歩くもうひとりの少年に問いかけた。    「3ヶ月前に種を植えたぐらいで木が生えるわけはないだろ。     生えるのは俺たちにニキビが出来たり性に目覚めるころじゃないか。」 三人の中では最年長とはいえ、早熟というにも早すぎる意見を飛ばす八歳の童子。 彼の名は&html(<ruby><rb>刃咲<rt>はさき)&html(<ruby><rb>蕎祐<rt>きょうすけ)、どことなく日本人離れしたエラの張った顔であり、肌が青くないギゴバイト、といったところだろうか。    「えー? 今食べたいんだけど、サクランボ。」    「仮に十年前に植えてたとしても、今は旬じゃねーよ。     確か柿の木だったら少し歩けばあったはずだから、キノコ狩りが終ったら行ってみるか?」    「うー……じゃ、柿で我慢するよ、僕。」    「っつか、ゴネてもサクランボはでねぇけどな。     ……ん? 壱華はどこ行った?」 これで顔が似ていれば兄弟にしか見えなかったであろう会話をしていた二人だったが、もうひとりの連れの姿が無い事に気が付き、周囲を見渡した。 その時、件の壱華の疾呼が山中に広がった。 悲鳴の類ではないが、緊急であることはすぐにわかった。    「走るぞ。」 カゴを揺らし、不安と全力疾走で息を切らして狭い山路を走ること数十秒、少年たちは壱華を発見した。 フルネームを&html(<ruby><rb>倉塔<rt>くらとう)&html(<ruby><rb>壱華<rt>いっか)、福助の従姉妹で六歳。 少々短いボブカットに健康なくせに青白い肌……他の二人のようにカードで例えるなら、ヴァンパイア・ロードを小さくしたような容姿だ。    「って、えーっと……。」    「呼んだ理由はこれか? 壱華?」 壱華の視線の先にはダンボール箱の山が詰まれ、ダンボールの塔の下には台座のように人間がひとり埋まっていた。 最初は死体にも見えたが、肌の色がよすぎるし、何よりも少年たちを凝視している。    「あはははは……足を滑らせてバランスを崩してこんな状態だ。 起してくれないか?」 周囲は数日前に振った雨で少々ヌカルみ、どうやらそれに足を取られたらしい。    「これはひとつ貸しだぜ、オッサン。」    「オッサンって……俺、まだ21なんだけどなァ?」 ひとりでは困難な状況でも、他に三人も居ても解決できない状況というのはそうそうありはしないもので。 さほど時間も掛けず、男は土中から這い出ることができた。    「ぷはぁ…助かったぜ、ありがとな、子供達たちよ。」 少年たちが発掘したのは、土にまみれていながらも判然できるほどに馴染んだ赤い髪が印象的な若い男。 泥を払い落としつつ、男は少年たちに軽く会釈してみせた。    「ハジメマシテ。 俺の名前は&html(<ruby><rb>列効<rt>れっこう) &html(<ruby><rb>二封気<rt>にふうき)。     オセロ村ってところに行く途中に電車が止まっちまったんで歩いてきたらたら……いやー、死ぬかと思ったぜ。」 自力で起き上がれなかったところを見ると、壱華や刃咲が発見していなければ本当に死んでいたかもしれない。 小さな山とはいえ、予備知識も装備も無く、大量のダンボール箱を持ったまま秋の山を歩いた。 その行動は、刃咲の目には“ある人種”の基準を満たしているように写った。    「あんた、完璧にダメな大人だな。」    「初対面の相手にそういう事を言うか? 普通?     ………ところで子供たちよ、助けてもらったついでと言ったらなんだが、荷物を運ぶのも手伝ってくれないか?     1つ1つは対した重さじゃないんだが、流石に20個も持ってると腰が痛くてな。」    「その年で腰痛持ちか? アンタ。     命を助けた貸しにそれを運ぶ貸し……アンタには借し2つ、利子付きで3つは返せよ。」 年の差は干支一周以上あるというのに、刃咲には敬う気持ちは一片もないらしい。 そんな様子を福助はニコニコと見守り、壱華は面白くもなさそうに眺めている。    「んじゃあ、持って帰ったらこれを貸してやるよ。     えーっと、ホラ、なんつったっけ? ゲ…ゲ…」    「ゲド戦記の作者はアーシュラ・K・ル=グウィンですよ。」 やたらにマニアックな切り返しをする福助。 なぜにゲド戦記。    「いや、そうじゃなくて……ゲド?…ゴ?…あ、デだ……そうだ、デュエルディスクだよ。」    「20代で言葉が出てこないようなら、老後は間違い無く痴呆にな……って、デュエルディスク!?」 刃咲の毒舌も、デュエルディスクという言葉に止められた。 デュエルディスクといえば、2ヶ月ほど前にバトルシティというイベントにおいて発表された立体映像を生み出す機械。 デュエルモンスターズがブームになっているオセロ村でも欲しがっている人間は多いが、配達してくれる店もなく最も感心のある玩具である。    「明日からオセロ村で雑貨屋兼カード屋を開くことになってるんだ、&html(<ruby><rb>贔屓<rt>ひいき)に頼むぜ、子供たち。     っつーわけで、貸してやるから運んでくれねーかな。 貸し借りナシってことで。」    「じゃあ! 僕! 今デュエルしたいです!」 そこで元気よく手を上げたのは、やたらに目をキラキラさせた最年少、福助だった。    「や、俺としては早く山を降りたいんだが……まあ良いか。     お前ら、デッキは持ってるのか?」    「もちろんです! 刃咲くん! 壱華ちゃん!」 福助は至極当然といった様子で云っているが、当初の目的は山菜やキノコ狩りであって、デッキまで持ってくる必要は無い。    「俺は持ってきてねぇよ。」    「持って来てないわ。」 むしろ山菜を取りに来て、デッキまで持ってきてるお前はどうなんだ?    「相手がいねぇか……。     それならボウズ、今すぐやりたいって言うなら俺とやるか。」 ギ、っと目を釣り上がらせて笑みを浮かべる二封気。 こいつもデュエルモンスターズのユーザー、ということだろう。    「望むところです! お願いします!」 二封気は泥まみれのダンボール箱からテレビで見た半月状の機械を福助の手に巻きつけた。 そして当の二封気自身はリュックサックから少年たちがテレビで見たものとは違う形のデュエルディスクを取り出した。 いや、異なると言うよりも、デッキホルダーのすぐ後ろに別のホルダーのようなモノがすえつけられているのだ。    「……オジさんのディスクに付いてる、そのツノみたいなのは何ですか?」 デッキケース部分から伸びた数十センチに及ぶ奇妙な突起物、 そんな物はテレビで見たデュエルディスクにも、福助の手元にあるディスクにも無い初見の物だ。    「ただの自主改造だ、気にすんな。     ……それよりも、俺はオッサンじゃなくてお兄さん、または二封気さんって呼んでくれよ、老けたみたいじゃないか。」    「それなら僕も子供扱いではなく、福助と名前でお願いします。」 見よう見まねで自分の腕にディスクを装着し、デッキホルダーにデッキを差込みつつも福助はハッキリと言い放つ。    「なるほど、それでは福助さん……例の挨拶でもしますか。」    「ええ、そうですね、二封気さん?」 両者ともにソリッドビジョンのために数メートルずつ後退し、そこであの言葉をハッキリと言い放つ。    『&html(<font size="5">デュエル!</font>)』 後々、このデュエルが福助だけでなく、刃咲や壱華、それにこれから出会う多くの人間も巻き込むことになる。 だが、そんなこと、この時点で知る由もなく、彼らはただただ始めて体感するソリッドビジョンにただただ興奮していた。    「それでは僕のターン(手札6)、僕は〔マンジュ・ゴッド〕を召喚します!」 カードセンサーは、配置されたカードのイラストを読み込み、光の速さでモンスターを形成した。 マンジュ・ゴッド:手札→福助のフィールド    「こいつぁ……すげぇな。」    「うん、凄いね、これは……。」 少年たちの感嘆は予想通りだったらしく、嬉しそうに、誇らしげに二封気はほほえんでいた。 間が抜けているところはあるが、悪人というわけではないらしい。    「うわぁ……っと。     僕は〔マンジュ・ゴッド〕の効果で〔精霊術師 ドリアード〕を手札に加え、ターン終了(手札6・伏せ0)です。」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>マンジュ・ゴッド</Td><Td>光属性</Td><Td>天使族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが召喚・反転召喚された時、自分のデッキから儀式モンスターカード、<br>または儀式魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。 </Td></Table>) このデュエルモンスターズは対戦型のカードゲームである。 野球のように攻守を“ターン”という単位で区分し、相手プレイヤーのライフポイントを0にすれば勝利だ。 つまり、今の福助のターンは『モンスターを召喚してとりあえず終った』といったところ。 序盤ならこんなもんである。    「俺のターン、 ドロー!(手札6)、     ……〔キラー・トマト〕を召喚して〔マンジュ・ゴッド〕へ攻撃するぜ。」 キラー・トマト:手札→二封気のフィールド &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>キラー・トマト</Td><Td>闇属性</Td><Td>植物族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF1100</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の<br>闇属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。 </Td></Table>) 〔キラー・トマト〕(攻撃力1400)VS(攻撃力1400)〔マンジュ・ゴッド〕→共に破壊、墓地へ。 モンスターの戦闘は、互いの数値を比べ、高い方が勝つ。 負けたモンスターは墓地に送られるのだが、今の戦闘は両者の攻撃力値が同じなので相殺となる。    「〔キラー・トマト〕の効果で〔ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-〕を特殊召喚するぜ! &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが場に表側表示で存在する限り、<br>お互いの場の表側表示ドラゴン族モンスターは魔法・罠・効果の対象にはならない。 </Td></Table>) ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-:デッキ→二封気のフィールド ただし、モンスターの優劣は攻撃力・守備力戦闘の数値だけで決まるわけではない。 キラー・トマトのように『敗北によって』能力を発動する物も多く、ただ攻撃力の高いモンスターを使えば良いわけではない。    「いくぜ! 今召喚した〔ロードオブドラゴン〕で福助を直接攻撃!」 特殊召喚された魔法使い型モンスターの立体映像は召喚された勢いをそのままに、福助にパンチを叩き込む。    「ッ!」 福助:LP8000→LP6800    「いたたたた……。」 モンスターが存在しない場合、モンスターはプレイヤーに直接攻撃をすることができる。 直接攻撃はモンスターの攻撃力分だけライフポイントにダメージを与えることができ、最も効率的なダメージ源といえる。    「ターンエンド(手札5・伏せ0)だ。」    「……ダメ大人よぉ、福助をなめてるのか? 伏せカードもださねぇなんてよぉ?」 刃咲少年は、二封気のプレイングに少々呆れたように口を尖らせている。 〔ロードオブドラゴン〕の1200という数値は低くはないが、決して安心できる数値ではない。 だが、二封気は気にも止めず、ケロっとしている。    「作戦だよ、作戦。……さあ、福助、お前のターンだ。」    「ドローします(手札7枚)、     僕は〔ドリアードの祈り〕を発動して、手札の〔黄金のホムンクルス〕をリリース。     手札から〔精霊術師 ドリアード〕を守備表示で降臨させます!」 4種類の光を帯びる金髪の少女は、福助を守るように跪いた。 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>ドリアードの祈り</Td><Td>儀式魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">「精霊術師 ドリアード」の降臨に必要。<BR>フィールドか手札から、レベルが3以上になるように生け贄に捧げなければならない。</Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#1162b2" Border="2"><Tr><Td>精霊術師 ドリアード</Td><Td>光属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1400</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ドリアードの祈り」により降臨、このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。</Td></Table>) 精霊術師ドリアード:手札→福助のフィールド 魔法カードはモンスターをサポートするカードだが、時には戦術の基軸ともなる重要なカードだ。 今福助の使ったカードは、手札から特定のモンスターを呼び出すカードである。    「僕は伏せカードを1枚出して、ターンエンドです。(手札3・伏せ1)」 福助の出したモンスターの攻撃力は1200、〔ロードオブドラゴン〕とは相打ち。 そのため、比較的高い守備表示を選択して壁として使うらしい。    「俺のターンな、ドロー(手札6枚)。     とりあえず〔融合〕を発動、フィールドの〔ロード・オブ・ドラゴン〕と手札の〔沼地の魔神王〕を代用にする。     来い! 〔竜魔人 キングドラグーン〕を融合召喚だ。」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>融合</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">決められたモンスターとモンスターを融合させる。</Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>竜魔人 キングドラグーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF1100</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-」+「神竜 ラグナロク」<BR>このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、<BR>相手はドラゴン族モンスターを魔法・罠・モンスターの効果の対象にする事はできない。<BR>1ターンに1度だけ、手札からドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。 </Td></Table>) デュエルモンスターズの代名詞、融合。 定められたモンスター同士を墓地に送ることで、強力なモンスターを出す事が出来る。 二封気の使った〔沼地の魔神王〕は他の融合素材の代用として使える特殊能力を持っている。    「こいつはほとんどの魔法や罠は効かない! 〔ドラグーン〕で〔ドリアード〕を攻撃だッ!」 しかし、福助はそのモンスターに動揺する様子はなく、緩やかにセットされたカードを発動させる。 これは罠カードに多く見られる行為で、相手の行動に合わせて発動し、相手の出鼻を挫いたりすることができる。    「させませんっ! 僕はここで〔風林火山〕を発動して、除去効果を使います!」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>風林火山</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">風・水・地・炎属性モンスターが全てフィールド上に表側表示で存在する時に発動する事ができる。<BR>次の効果から1つを選択して適用する。<BR>●相手フィールド上モンスターを全て破壊する。<BR>●相手フィールド上の魔法、罠カードを全て破壊する。<BR>●相手の手札を2枚ランダムに捨てる。<BR>●カードを2枚ドローする。 </Td></Table>)    「オイオイ。     そのカードはフィールドに四種類の属性のモンスターが居ないと使えない。     お前のフィールドには、〔精霊術師 ドリアード〕しかないないだろ?」 チッチと指を振りつつ諭すように言う二封気。    「そうです! 二封気さん! 僕のフィールドには〔精霊術師 ドリアード〕が居ます!」    「……あ。」 思い出したらしく、指を振ったまま凍りついた。 &html(<Table Border BorderColor="#1162b2" Border="2"><Tr><Td>精霊術師 ドリアード</Td><Td>光属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1400</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ドリアードの祈り」により降臨、このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。</Td></Table>) 〔風林火山〕はフィールドに異なる地・水・火・風のカードを揃えなければならない発動難易度の高いカード。 だがしかし、〔精霊術師ドリアード〕は例外で、このカードが居るだけで5種類の属性のモンスターがいることになる。 このように、お互いの効果の欠点を埋めるように戦術を考え、デッキを組む。 それがデュエルモンスターズだ。    「そして、〔風林火山〕の除去効果は発動時に対象を指定しません。     だから〔キングドラグーン〕の『対象をとる効果を無効にする』効果では、無効にできません!」 カードから噴出した大津波は、いともたやすく黄金の竜を飲み込んだ。 竜魔人 キング・ドラグーン:二封気のフィールド→墓地    「かぁー……ドリアードといえば〔風林火山〕か、ミスったミスった…。     しゃあねぇ、〔戦士ダイ・グレファー〕を攻撃表示で通常召喚して1枚セット、エンドだ。(手札2・伏せ1)」 &html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>戦士ダイ・グレファー</Td><Td>地属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1700</Td><Td>DEF1600</Td></Tr><Td ColSpan="6">ドラゴン族を操る才能を秘めた戦士。過去は謎に包まれている。</Td></Table>) 原則的に手札からモンスターを普通に出すことを通常召喚といい、通常召喚は1ターンに1度しかできない。 しかし融合のようにカードの効果でモンスターを出す場合、通常召喚とは別に何度でも行うことができる。    「僕のターンです(手札4)。     〔ドリアード〕を攻撃表示に変更し、〔エレメント・ドラゴン〕を召喚っ!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>エレメント・ドラゴン</Td><Td>光属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1500</Td><Td>DEF1200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このモンスターはフィールド上に特定の属性を持つモンスターが存在する場合、以下の効果を得る。<BR>●炎属性:このカードの攻撃力は500ポイントアップする。<BR>●風属性:このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、もう一度だけ続けて攻撃する事ができる。 </Td></Table>)    「攻撃力1500…だが、確かあのモンスターには…っ!」    「僕のバトルフェイズ! 〔エレメント・ドラゴン〕で〔戦士ダイ・グレファー〕を攻撃します!」 本来のエレメント・ドラゴンでは、攻撃力1700のダイ・グレファーには勝ち目が無い。 しかし、現在のエレメント・ドラゴンはドリアードの放つ炎の精霊力を爪に巻き込み、攻撃力を上げている。 〔エレメント・ドラゴン〕(攻撃力2000)VS(攻撃力1700)〔ダイ・グレファー〕→戦士 ダイ・グレファー破壊、二封気LP8000→7700    「そして、〔ドリアード〕は風属性も兼ねます。     〔エレメント・ドラゴン〕は風属性が存在する時に限って2回攻撃が許されます!     さっきの〔ロード・オブ・ドラゴン〕の仕返しです! エレメントブレス!」 エレメント・ドラゴンの放った衝撃波に弾き飛ばされるダメ大人、ナイスリアクション。    「ぐお……。」 二封気:LP7700→5700    「行って! 〔ドリアード〕! スピリッツライダアァァァァアッ キィック!」 ドリアードは、福助の声に答え、精霊とは思えない脚力で空中へと飛び、ドロップキックを二封気の腹を踏み込んだ。    「うぐ………ァあっ!」 二封気:LP5700→LP4500    「僕のターンはカードを1枚セットして終了です!(手札2・伏せ1)」 今のターンは、ドリアードの効果を熟知した上で、相性のいいエレメント・ドラゴンを組み込んでいた福助のコンボ勝ち、といったところか。    「ぐ……このドローに全てをかける! ドロー! (手札3・伏せ1)」    「5歳のガキ相手に本気でゲームたぁ……本当にダメ大人だな。」    「うるせーなっ! 負けても面白ければいいけど、やっぱやるからには勝ちたいだろっ!     俺は〔ダークソード〕を召喚して、バトルフェイズで〔精霊術師 ドリアード〕へ攻撃だ!」 &html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>闇魔界の戦士 ダーク・ソード</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1800</Td><Td>DEF1500</Td></Tr><Td ColSpan="6">ドラゴンを操ると言われている闇魔界の戦士。邪悪なパワーで斬りかかる攻撃はすさまじい。</Td></Table>) 2本の刀を振るい、黒い甲冑を纏った剣士は素早く精霊術師へと飛び掛る。 だがしかし、ドリアードは福助の伏せたカードを信じているように、恐れる気配はない。    「させません! 〔エレメント・ドラゴン〕を生贄に捧げて、伏せカード〔光霊術-「暁」〕を発動します!」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>光霊術-「暁」</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に存在する光属性モンスター1体を生け贄に捧げる。<BR>相手フィールド上に存在する表側表示のカード1枚を選択し、ゲームから除外する。(オリカ)</Td></Table>) エレメント・ドラゴンの体は光の粒へと転じ、闇の肉体を持つダークソードへと殺到する。 直撃すれば、黒い鎧がさらに黒コゲになる威力を持っているが、黒い騎士はひるむ事は無い。    「そんなに何発も罠カードで除去されたとあっちゃ情けねぇ。     伏せカードを発動ッ! 〔合身〕だ。」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>合身</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">融合カードに定められたモンスターを融合する。(オリカ)</Td></Table>)    「こいつは罠カード版の〔融合〕でな、     〔光霊術-「暁」〕は対象を取る除去効果だから、効果の対象が消えれば無効になる。     攻撃した〔ダーク・ソード〕と手札の〔沼地に住まうドラゴン〕を融合して、〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕を召喚!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>沼地に住まうドラゴン</Td><Td>水属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1500</Td><Td>DEF200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。(その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。)<BR>このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、お互いのプレイヤーはカードを1枚ずつドローする。(オリカ)</Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>闇魔界の竜剣士 ダークソード</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2700</Td><Td>DEF1500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「闇魔界の戦士 ダークソード」+「騎竜」<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できず、このカードは1ターンに2回まで攻撃宣言を行う事ができる。(オリカ)</Td></Table>) 剣士は素早く赤竜の背に乗って光の粒を回避し、精霊術師の少女を一刀の元に切り伏せる! 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻撃力2700)VS(攻撃力1200)〔聖霊術師 ドリアード〕、精霊術師 ドリアード破壊、福助LP8000→LP6500    「うあぁっ! ドリアードがっ!」    「〔ダークソード〕は自身の特殊効果によって、続けて一度だけ攻撃を行なうことができる! 福助を直接攻撃!」 福助:LP6500→LP3800 ダークソードの剣が素早く福助の胸をえぐるが、福助はリアクションも取らない。 ただただ、ボソボソと『ドリアードが…僕のドリアードが…』と呟いている。    「1枚伏せてターン・エンド。(手札0・伏せ1)     …大丈夫か? 福助?」    「ああ、いつもの事だ、気にしなくていーぜ。     ドリアードが破壊されるとああなんだ。 あと20秒ぐらいしたら…。」    「破壊されたドリアードのためにも、このデュエル! 絶対に負けません!」 刃咲の予想を裏切り、パパっと復活して涙を拭う福助。    「…な? 心配なんかいらねぇだろ?」    「面白いヤツだな、お前ら。」 ら、と複数形で呼ばれたことに刃咲が抗議しようとするが、福助がプレイを再開していることに気が付き、自粛した。    「僕のターン、ドロ……う、うえええっっ!?(手札3)」    「どうした? 手詰まりか?」    「……いいえ、勝つ為の布石は揃いました。」 福助は引いたカードを覗き込み、意を決したようにカードをデュエルディスクに配置する。    「いきますッ! 墓地の〔精霊術師ドリアード〕と〔ドリアードの祈り〕を除外して〔オクジュ・ゴッド〕を召喚します。」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>オクジュ・ゴッド</Td><Td>光属性</Td><Td>天使族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1000</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">墓地に存在する儀式モンスターと儀式魔法をゲームから除外して特殊召喚する。<BR>このカードの特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式モンスターと儀式魔法を1枚づつ手札に加える。(オリカ)</Td></Table>)    「効果でデッキから〔精霊術師 ドリアード〕と〔ドリアードの祈り〕を手札に加えます。」 場に出現したのはパッと見はウニ状のモンスター。 実際は黒い腕に更に腕が生え更にまた、と何本もの腕に腕が連なり胴体が見えない異形の天使。 そのモンスターが僕のデッキに何束かの腕を差し込み、2枚のカードを福助の手札に加えた。 精霊術師 ドリアード:デッキ→福助の手札 ドリアードの祈り:デッキ→福助の手札    「そして、このターンのドローカード、〔天使の施し〕を発動! 3枚引き―――うぅ、うっ……」    「? どうした? 2枚捨てろ?」    「〔オクジュ〕で手札に加えた……〔精霊術師 ドリアード〕と〔ドリアードの祈り〕を……」 どうやらドリアードを墓地に置くのが苦痛らしく、手が止まる。 戦わせたくないならデッキに入れなければいいのだろうが、そうしないのが彼なりの美学なのだろう。    「っくう……〔ドリアードの祈り〕と〔精霊術師 ドリアード〕を捨てます。     そして僕は今墓地に送った2枚を除外して、2枚目の〔オクジュ・ゴッド〕を出します。」 さっきと全く同じ手順、同じビジョンで福助の手札に2枚のカードを渡すオクジュ。 精霊術師 ドリアード:デッキ→手札 ドリアードの祈り:デッキ→福助の手札    「そして僕は手札の〔エレメント・ザウルス〕を生贄に、最後の〔精霊術師 ドリアード〕を降臨させます。     僕は〔リチュアル・ウェポン〕を〔ドリアード〕に装備させて………攻撃。」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>リチュアル・ウェポン</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">レベル6以下の儀式モンスターのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力と守備力は1500ポイントアップする。</Td></Table>) ドリアードは4つの精霊力を一発の矢に折り合わせ、ダークソードと騎竜を纏めて射抜く。 だがしかし、当たる寸前にダークソードは左手に握った刀を投げ付け、正確にドリアードの胸を貫いている。 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻撃力2700)VS(攻撃力2700)〔精霊術師 ドリアード〕。 →共に破壊、墓地へ。    「ううう……2体の〔オクジュ・ゴッド〕で……二封気さんに攻撃します!」 疾走する二体のオクジュ・ゴッド。 しかし、二封気はセットされたカードに手を伸ばした。    「伏せられた〔リビングデッドの呼び声〕を発動し墓地から〔竜魔人 キングドラグーン〕を復活させる、攻撃するか?」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>リビングデッドの呼び声</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 </Td></Table>) 墓地から出現したのは、先ほど倒したはずのドラゴンの翼を持った魔術師。 攻撃力差は歴然、中断せざるを得ない。    「…っう………攻撃はキャンセルしてバトルフェイズは終了、1枚セットして…ターンエンドです。(手札2・伏せ1)」 攻撃は失敗したものの、まだ手札の枚数では福助の方が優位。 落ち着き、怯まずに二封気を見据える。    「ドロー(手札1枚)……オ、こいつか。     俺は〔アームズ・ホール〕で〔再融合〕を手札に加える。」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>アームズ・ホール</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送り発動する。<BR>自分のデッキまたは墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。<BR>このカードを発動する場合、このターン自分はモンスターを通常召喚する事はできない。</Td></Table>) 超融合:二封気のデッキ→墓地へ。(アームズ・ホールのコスト)    「〔再融合〕……って…!?」    「いくぜ? 〔再融合〕発動、〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕を復活させる。」 二封気:LP4500→LP3700 闇魔界の竜剣士 ダークソード:墓地→二封気のフィールド &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>再融合</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">800ライフポイントを払う。<BR>自分の墓地から融合モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。<BR>このカードが破壊された時、装備モンスターをゲームから除外する。</Td></Table>)    「で、〔ダークソード〕には、〔エレメント・ドラゴン〕と同じようにの2回攻撃能力が有る。     2体の〔オクジュ〕を攻撃だ。」 &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>闇魔界の竜剣士 ダークソード</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2700</Td><Td>DEF1500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「闇魔界の戦士 ダークソード」+「騎竜」<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できず、このカードは1ターンに2回まで攻撃宣言を行う事ができる。(オリカ)</Td></Table>) ドラゴンの騎士が腕まみれの天使に襲い掛かっる瞬間、天使は銀色の装甲に身を包んだ。 これこそ、攻撃を仕掛けた者を爆破・消滅させるスタンダードな除去罠カードである。    「させません! 伏せカード発動、〔炸裂装甲〕っ!」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>炸裂装甲</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体を破壊する。 </Td></Table>) 広がる爆撃、爆風。 しかしながら、黒騎士どころか馬代わりのドラゴンにすら傷ひとつ付けられていない。    「…あれ?」    「残念。 〔キング・ドラグーン〕の能力だ。 そういう類の罠は効かない。」 &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>竜魔人 キングドラグーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF1100</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-」+「神竜 ラグナロク」<BR>このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、<BR>相手はドラゴン族モンスターを魔法・罠・モンスターの効果の対象にする事はできない。<BR>1ターンに1度だけ、手札からドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。 </Td></Table>)    「え、ええええっっ!?」    「俺の出してたのが別の種族の融合モンスターだったらなんとかなっただろうが……惜しかったな。」 当初の宣言どおり、ダークソードは二体の天使をあっさりと粉砕した。 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻2700)VS(攻1000)〔オクジュ・ゴッド〕、オクジュ・ゴッド破壊、福助LP3800→LP2100 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻2700)VS(攻1000)〔オクジュ・ゴッド〕、オクジュ・ゴッド破壊、福助LP2100→LP900    「トドメだ。 〔キングドラグーン〕の攻撃。」 福助:LP900→LP0    「………ありがとうございました。」 会釈したまま頭を上げず、福助は項垂れたままだ。    「俺が出してたのがE・HEROや機械系だったら防がれてたな。     最後はハナ差、ってところか。 一馬身も付いてなかった……だから、泣くなって。」 福助本人も気付かないうちから、福助は泣いていた。 ドリアードを犠牲にしながらの対戦は初めてではないが、犠牲にしつつ敗北したのは初めてだった。 無念で、申し訳なくて、ただどうしようもなかった。    「泣きたい時は泣かせとけよ、それが一番だ。     ……それより二封気、お前のデッキ、ドラゴン系の融合じゃないよな? 口振りからすると。」    「ん? ああ、俺のデッキは『全ての融合モンスターを使いこなす』ってテーマだからな。     相手のカードも奪ったりすれば、出せない融合モンスターはそうは居ないぜ。     融合モンスターも、この“角”に全部入ってるしな。」 なるほど、と刃咲と壱華は納得したように頷いた。 どうやら、二封気のデュエルディスクに備え付けられた突起物は、通常では入りきらない融合デッキの補助スペースという事らしい。    「そういえば、近々ルール改正で融合デッキは15枚って枚数制限が掛かるって聞いた事あるんだけど。     確か、シンクロっていう新システムの都合上、融合デッキの枚数制限があると使えないとかで。」    「抜かりなし。 こういうカードも少数出回ったんだよ。」 &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>破法博士 コザッキー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル1</Td><Td>ATK?</Td><Td>DEF?</Td></Tr><Td ColSpan="6">融合モンスター+融合モンスター1体以上<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。<BR>このカードがエクストラデッキに存在する場合、自分のエクストラデッキにシンクロモンスターは入れることはできない。<BR>このカードがエクストラデッキに入っている場合、融合デッキの枚数制限はなくなる。<BR>このカードの元々の攻撃力・守備力は融合素材にしたモンスターの数×1500ポイントの数値になる。(オリカ)</Td></Table>)    「大会イベントの先着カードだったんだけどな。     ダチと一緒に並んで、3枚ゲットした自慢のカードだ。」 下品なまでにビカビカ光る3枚のカード、効果からして1枚でもデッキにあれば十分という気もするが。    「……うぅっ、どんなカードですか? 僕にも見せてくださ~い。」 涙を拭い、鼻水をすすり、福助も歩み寄る。    「なんだ、立ち直り早いな。」    「ずっと泣いてて、ドリアードに嫌われたら嫌だもん。     ……次は絶対勝つためにも、二封気さんのカードは見たいです。」 身の丈も、二封気の膝頭ほどしかない小さなデュエリストは敢然と言い切った。 その発言に、二封気は嬉しそうに使い終わったデッキをシャッフルしていた。 [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/43.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]] &html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>) &counter()
&html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>) [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/43.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]] &html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">御世路村(おせろむら)関東地方に有る人口283人の村。 <BR>名物は計18人の主夫・主婦のアイデア商品の製造・販売、観光名所は六角翡翠。 <BR>海・山に面している部分も多く新鮮な食事がいただけるが、宿泊施設が一つも無いので観光には向かない。 <BR>流行はデュエルモンスターズで、そのユーザー人数は全283人中252人、 <BR>村民が挙げる理由としては、「2人集れば面白いし、人数が増えても面白いから」と言う理由が多い。 <BR>以上、小英社「日本の村民事情」127ページより抜粋。 </Td></Table>) 秋のオセロ山に、カゴを背負った小さな人影が三つ。 大きさでいえば丘と見違える程度のものだが、獣たちが憂いつつも生きられるほどの豊かさを持っている。 起伏の大きな斜面、塊根が張り出した悪路。 観光者には勧めないような山だったが、近隣住民に取っては庭のようなもの。    「刃咲くん、前に植えたサクランボの種って、もう生えてるかなァ?」 丸みを帯びた顔に人懐っこい笑みを浮かべて、目元には2つの泣きボクロ。 どことなくデュエルモンスターズのカード、サイレントソードマンに似ているか。 野性の五歳児、&html(<ruby><rb>倉塔<rt>くらとう)&html(<ruby><rb>福助<rt>ふくすけ)は疲れた様子もなく、先頭を歩くもうひとりの少年に問いかけた。    「3ヶ月前に種を植えたぐらいで木が生えるわけはないだろ。     生えるのは俺たちにニキビが出来たり性に目覚めるころじゃないか。」 早熟というにも早すぎる意見を飛ばす八歳の童子。 彼の名は&html(<ruby><rb>刃咲<rt>はさき)&html(<ruby><rb>蕎祐<rt>きょうすけ)、どことなく日本人離れしたエラの張った顔であり、肌が青くないギゴバイト、といったところだろうか。    「えー? 今食べたいんだけど、サクランボ。」    「仮に十年前に植えてたとしても、今は旬じゃねーよ。     確か柿の木だったら少し歩けばあったはずだから、キノコ狩りが終ったら行ってみるか?」    「うー……じゃ、柿で我慢するよ、僕。」    「っつか、ゴネてもサクランボはでねぇけどな。     ……ん? 壱華はどこ行った?」 もうひとりの連れの姿が無い事に気が付き、周囲を見渡す中、その少女の疾呼が山中に広がった。 悲鳴の類ではないが、緊急であることはすぐにわかった。    「走るぞ。」 カゴを揺らし、慣れた様子で狭い山路を走ること数十秒、少年たちは壱華を発見した。 フルネームを&html(<ruby><rb>倉塔<rt>くらとう)&html(<ruby><rb>壱華<rt>いっか)、福助の従姉妹で六歳。 少々短いボブカットに健康なくせに青白い肌……他の二人のようにカードで例えるなら、ヴァンパイア・ロードを小さくしたような容姿だ。    「って、えーっと……。」    「呼んだ理由はこれか? 壱華?」 壱華の視線の先にはダンボール箱が塔のように詰まれ、塔の下には台座のように人間がひとり埋まっていた。 最初は死体にも見えたが、血色がよすぎるし、何よりも少年たちを凝視している。    「あはははは……足を滑らせてバランスを崩してこんな状態だ。 起してくれないか?」 周囲は前日に振った雨でヌカルみ、どうやらそれに足を取られたらしい。    「これはひとつ貸しだぜ、オッサン。」    「オッサンって……俺、まだ21なんだけどなァ?」 ひとりでは困難な状況でも、他に三人も人間が居れば解決できない状況というのはそうそうありはしないもので。 さほど時間も掛けず、男は土中から這い出ることができた。    「ぷはぁ…助かったぜ、ありがとな、子供達たちよ。」 少年たちが発掘したのは、土にまみれていながらも判然できるほどに馴染んだ赤い髪が印象的な若い男。 泥を払い落としつつ、男は少年たちに軽く会釈してみせた。    「ハジメマシテ。 俺の名前は&html(<ruby><rb>列効<rt>れっこう) &html(<ruby><rb>二封気<rt>にふうき)。     オセロ村ってところに行く途中に電車が止まっちまったんで歩いてきたらたら……いやー、死ぬかと思ったぜ。」 自力で起き上がれなかったところを見ると、壱華や刃咲が発見していなければ本当に死んでいたかもしれない。 小さな山とはいえ、予備知識も装備も無く、大量のダンボール箱を持ったまま秋の山を歩いた。 その行動は、刃咲の目には“ある人種”の基準を満たしているように写った。    「あんた、完璧にダメな大人だな。」    「初対面の相手にそういう事を言うか? 普通?     …ところで子供たちよ、助けてもらったついでと言ったらなんだが、荷物を運ぶのも手伝ってくれないか?     1つ1つは対した重さじゃないんだが、流石に20個も持ってると腰が痛くてな。」    「その年で腰痛持ちか? アンタ。     命を助けた貸しにそれを運ぶ貸し……アンタには借し2つ、利子付きで3つは返せよ。」 年の差は干支一周以上あるというのに、刃咲には敬う気持ちは一片もないらしい。 そんな様子を福助はニコニコと見守り、壱華は面白くもなさそうに眺めている。    「んじゃあ、持って帰ったらこれを貸してやるよ。     えーっと、ホラ、なんつったっけ? ゲ…ゲ…」    「ゲド戦記の作者はアーシュラ・K・ル=グウィンですよ。」 やたらにマニアックな切り返しをする福助。 なぜにゲド戦記。    「いや、そうじゃなくて……ゲド?…ゴ?…あ、デだ……そうだ、デュエルディスクだよ。」    「20代で言葉が出てこないようなら、老後は間違い無く痴呆にな……って、デュエルディスク!?」 刃咲の毒舌も、デュエルディスクという言葉に止められた。 デュエルディスクといえば、2ヶ月ほど前にバトルシティというイベントにおいて発表された立体映像を生み出す機械。 デュエルモンスターズがブームになっているオセロ村でも欲しがっている人間は多いが、配達してくれる店もなく最も感心のある玩具である。    「明日からオセロ村で雑貨屋兼カード屋を開くことになってるんだ、&html(<ruby><rb>贔屓<rt>ひいき)に頼むぜ、子供たち。     っつーわけで、貸してやるから運んでくれねーかな。 貸し借りナシってことで。」    「じゃあ! 僕! 今デュエルしたいです!」 そこで元気よく手を上げたのは、やたらに目をキラキラさせた最年少、福助だった。    「や、俺としては早く山を降りたいんだが……まあ良いか。     お前ら、デッキは持ってるのか?」    「もちろんです! 刃咲くん! 壱華ちゃん!」 福助は至極当然といった様子で云っているが、当初の目的は山菜やキノコ狩りであって、デッキまで持ってくる必要は無い。    「俺は持ってきてねぇよ。」    「持って来てないわ。」 むしろ山菜を取りに来て、デッキまで持ってきてるお前はどうなんだ?    「相手がいねぇか……。     それならボウズ、今すぐやりたいって言うなら俺とやるか。」 ギ、っと目を釣り上がらせて笑みを浮かべる二封気。 こいつもデュエルモンスターズのユーザー、ということだろう。    「望むところです! お願いします!」 二封気は泥まみれのダンボール箱からテレビで見た半月状の機械を福助の手に巻きつけた。 そして当の二封気自身はリュックサックから少年たちがテレビで見たものとは違う形のデュエルディスクを取り出した。 いや、異なると言うよりも、デッキホルダーのすぐ後ろに別のホルダーのようなモノがすえつけられているのだ。    「……オジさんのディスクに付いてる、そのツノみたいなのは何ですか?」 デッキケース部分から伸びた数十センチに及ぶ奇妙な突起物、 そんな物はテレビで見たデュエルディスクにも、福助の手元にあるディスクにも無い初見の物だ。    「ただの自主改造だ、気にすんな。     ……それよりも、俺はオッサンじゃなくてお兄さん、または二封気さんって呼んでくれよ、老けたみたいじゃないか。」    「それなら僕も子供扱いではなく、福助と名前でお願いします。」 見よう見まねで自分の腕にディスクを装着し、デッキホルダーにデッキを差込みつつも福助はハッキリと言い放つ。    「なるほど、それでは福助さん……例の挨拶でもしますか。」    「ええ、そうですね、二封気さん?」 両者ともにソリッドビジョンのために数メートルずつ後退し、そこであの言葉をハッキリと言い放つ。    『&html(<font size="5">デュエル!</font>)』 後々、このデュエルが福助だけでなく、刃咲や壱華、それにこれから出会う多くの人間も巻き込むことになる。 だが、そんなこと、この時点で知る由もなく、彼らはただただ始めて体感するソリッドビジョンにただただ興奮していた。    「それでは僕のターン(手札6)、僕は〔マンジュ・ゴッド〕を召喚します!」 カードセンサーは、配置されたカードのイラストを読み込み、光の速さでモンスターを形成した。 マンジュ・ゴッド:手札→福助のフィールド    「こいつぁ……すげぇな。」    「うん、凄いね、これは……。」 少年たちの感嘆は予想通りだったらしく、嬉しそうに、誇らしげに二封気はほほえんでいた。 間が抜けているところはあるが、悪人というわけではないらしい。    「うわぁ……っと。     僕は〔マンジュ・ゴッド〕の効果で〔精霊術師 ドリアード〕を手札に加え、ターン終了(手札6・伏せ0)です。」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>マンジュ・ゴッド</Td><Td>光属性</Td><Td>天使族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが召喚・反転召喚された時、自分のデッキから儀式モンスターカード、<br>または儀式魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。 </Td></Table>) このデュエルモンスターズは対戦型のカードゲームである。 野球のように攻守を“ターン”という単位で区分し、相手プレイヤーのライフポイントを0にすれば勝利だ。 つまり、今の福助のターンは『モンスターを召喚してとりあえず終った』といったところ。 序盤ならこんなもんである。    「俺のターン、 ドロー!(手札6)、     ……〔キラー・トマト〕を召喚して〔マンジュ・ゴッド〕へ攻撃するぜ。」 キラー・トマト:手札→二封気のフィールド &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>キラー・トマト</Td><Td>闇属性</Td><Td>植物族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF1100</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の<br>闇属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。 </Td></Table>) 〔キラー・トマト〕(攻撃力1400)VS(攻撃力1400)〔マンジュ・ゴッド〕→共に破壊、墓地へ。 モンスターの戦闘は、互いの数値を比べ、高い方が勝つ。 負けたモンスターは墓地に送られるのだが、今の戦闘は両者の攻撃力値が同じなので相殺となる。    「〔キラー・トマト〕の効果で〔ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-〕を特殊召喚するぜ! &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが場に表側表示で存在する限り、<br>お互いの場の表側表示ドラゴン族モンスターは魔法・罠・効果の対象にはならない。 </Td></Table>) ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-:デッキ→二封気のフィールド ただし、モンスターの優劣は攻撃力・守備力戦闘の数値だけで決まるわけではない。 キラー・トマトのように『敗北によって』能力を発動する物も多く、ただ攻撃力の高いモンスターを使えば良いわけではない。    「いくぜ! 今召喚した〔ロードオブドラゴン〕で福助を直接攻撃!」 特殊召喚された魔法使い型モンスターの立体映像は召喚された勢いをそのままに、福助にパンチを叩き込む。    「ッ!」 福助:LP8000→LP6800    「いたたたた……。」 モンスターが存在しない場合、モンスターはプレイヤーに直接攻撃をすることができる。 直接攻撃はモンスターの攻撃力分だけライフポイントにダメージを与えることができ、最も効率的なダメージ源といえる。    「ターンエンド(手札5・伏せ0)だ。」    「……ダメ大人よぉ、福助をなめてるのか? 伏せカードもださねぇなんてよぉ?」 刃咲少年は、二封気のプレイングに少々呆れたように口を尖らせている。 〔ロードオブドラゴン〕の1200という数値は低くはないが、決して安心できる数値ではない。 だが、二封気は気にも止めず、ケロっとしている。    「作戦だよ、作戦。……さあ、福助、お前のターンだ。」    「ドローします(手札7枚)、     僕は〔ドリアードの祈り〕を発動して、手札の〔黄金のホムンクルス〕をリリース。     手札から〔精霊術師 ドリアード〕を守備表示で降臨させます!」 4種類の光を帯びる金髪の少女は、福助を守るように跪いた。 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>ドリアードの祈り</Td><Td>儀式魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">「精霊術師 ドリアード」の降臨に必要。<BR>フィールドか手札から、レベルが3以上になるように生け贄に捧げなければならない。</Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#1162b2" Border="2"><Tr><Td>精霊術師 ドリアード</Td><Td>光属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1400</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ドリアードの祈り」により降臨、このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。</Td></Table>) 精霊術師ドリアード:手札→福助のフィールド 魔法カードはモンスターをサポートするカードだが、時には戦術の基軸ともなる重要なカードだ。 今福助の使ったカードは、手札から特定のモンスターを呼び出すカードである。    「僕は伏せカードを1枚出して、ターンエンドです。(手札3・伏せ1)」 福助の出したモンスターの攻撃力は1200、〔ロードオブドラゴン〕とは相打ち。 そのため、比較的高い守備表示を選択して壁として使うらしい。    「俺のターンな、ドロー(手札6枚)。     とりあえず〔融合〕を発動、フィールドの〔ロード・オブ・ドラゴン〕と手札の〔沼地の魔神王〕を代用にする。     来い! 〔竜魔人 キングドラグーン〕を融合召喚だ。」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>融合</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">決められたモンスターとモンスターを融合させる。</Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>竜魔人 キングドラグーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF1100</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-」+「神竜 ラグナロク」<BR>このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、<BR>相手はドラゴン族モンスターを魔法・罠・モンスターの効果の対象にする事はできない。<BR>1ターンに1度だけ、手札からドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。 </Td></Table>) デュエルモンスターズの代名詞、融合。 定められたモンスター同士を墓地に送ることで、強力なモンスターを出す事が出来る。 二封気の使った〔沼地の魔神王〕は他の融合素材の代用として使える特殊能力を持っている。    「こいつはほとんどの魔法や罠は効かない! 〔ドラグーン〕で〔ドリアード〕を攻撃だッ!」 しかし、福助はそのモンスターに動揺する様子はなく、緩やかにセットされたカードを発動させる。 これは罠カードに多く見られる行為で、相手の行動に合わせて発動し、相手の出鼻を挫いたりすることができる。    「させませんっ! 僕はここで〔風林火山〕を発動して、除去効果を使います!」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>風林火山</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">風・水・地・炎属性モンスターが全てフィールド上に表側表示で存在する時に発動する事ができる。<BR>次の効果から1つを選択して適用する。<BR>●相手フィールド上モンスターを全て破壊する。<BR>●相手フィールド上の魔法、罠カードを全て破壊する。<BR>●相手の手札を2枚ランダムに捨てる。<BR>●カードを2枚ドローする。 </Td></Table>)    「オイオイ。     そのカードはフィールドに四種類の属性のモンスターが居ないと使えない。     お前のフィールドには、〔精霊術師 ドリアード〕しかないないだろ?」 チッチと指を振りつつ諭すように言う二封気。    「そうです! 二封気さん! 僕のフィールドには〔精霊術師 ドリアード〕が居ます!」    「……あ。」 思い出したらしく、指を振ったまま凍りついた。 &html(<Table Border BorderColor="#1162b2" Border="2"><Tr><Td>精霊術師 ドリアード</Td><Td>光属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1400</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ドリアードの祈り」により降臨、このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。</Td></Table>) 〔風林火山〕はフィールドに異なる地・水・火・風のカードを揃えなければならない発動難易度の高いカード。 だがしかし、〔精霊術師ドリアード〕は例外で、このカードが居るだけで5種類の属性のモンスターがいることになる。 このように、お互いの効果の欠点を埋めるように戦術を考え、デッキを組む。 それがデュエルモンスターズだ。    「そして、〔風林火山〕の除去効果は発動時に対象を指定しません。     だから〔キングドラグーン〕の『対象をとる効果を無効にする』効果では、無効にできません!」 カードから噴出した大津波は、いともたやすく黄金の竜を飲み込んだ。 竜魔人 キング・ドラグーン:二封気のフィールド→墓地    「かぁー……ドリアードといえば〔風林火山〕か、ミスったミスった…。     しゃあねぇ、〔戦士ダイ・グレファー〕を攻撃表示で通常召喚して1枚セット、エンドだ。(手札2・伏せ1)」 &html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>戦士ダイ・グレファー</Td><Td>地属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1700</Td><Td>DEF1600</Td></Tr><Td ColSpan="6">ドラゴン族を操る才能を秘めた戦士。過去は謎に包まれている。</Td></Table>) 原則的に手札からモンスターを普通に出すことを通常召喚といい、通常召喚は1ターンに1度しかできない。 しかし融合のようにカードの効果でモンスターを出す場合、通常召喚とは別に何度でも行うことができる。    「僕のターンです(手札4)。     〔ドリアード〕を攻撃表示に変更し、〔エレメント・ドラゴン〕を召喚っ!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>エレメント・ドラゴン</Td><Td>光属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1500</Td><Td>DEF1200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このモンスターはフィールド上に特定の属性を持つモンスターが存在する場合、以下の効果を得る。<BR>●炎属性:このカードの攻撃力は500ポイントアップする。<BR>●風属性:このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、もう一度だけ続けて攻撃する事ができる。 </Td></Table>)    「攻撃力1500…だが、確かあのモンスターには…っ!」    「僕のバトルフェイズ! 〔エレメント・ドラゴン〕で〔戦士ダイ・グレファー〕を攻撃します!」 本来のエレメント・ドラゴンでは、攻撃力1700のダイ・グレファーには勝ち目が無い。 しかし、現在のエレメント・ドラゴンはドリアードの放つ炎の精霊力を爪に巻き込み、攻撃力を上げている。 〔エレメント・ドラゴン〕(攻撃力2000)VS(攻撃力1700)〔ダイ・グレファー〕→戦士 ダイ・グレファー破壊、二封気LP8000→7700    「そして、〔ドリアード〕は風属性も兼ねます。     〔エレメント・ドラゴン〕は風属性が存在する時に限って2回攻撃が許されます!     さっきの〔ロード・オブ・ドラゴン〕の仕返しです! エレメントブレス!」 エレメント・ドラゴンの放った衝撃波に弾き飛ばされるダメ大人、ナイスリアクション。    「ぐお……。」 二封気:LP7700→5700    「行って! 〔ドリアード〕! スピリッツライダアァァァァアッ キィック!」 ドリアードは、福助の声に答え、精霊とは思えない脚力で空中へと飛び、ドロップキックを二封気の腹を踏み込んだ。    「うぐ………ァあっ!」 二封気:LP5700→LP4500    「僕のターンはカードを1枚セットして終了です!(手札2・伏せ1)」 今のターンは、ドリアードの効果を熟知した上で、相性のいいエレメント・ドラゴンを組み込んでいた福助のコンボ勝ち、といったところか。    「ぐ……このドローに全てをかける! ドロー! (手札3・伏せ1)」    「5歳のガキ相手に本気でゲームたぁ……本当にダメ大人だな。」    「うるせーなっ! 負けても面白ければいいけど、やっぱやるからには勝ちたいだろっ!     俺は〔ダークソード〕を召喚して、バトルフェイズで〔精霊術師 ドリアード〕へ攻撃だ!」 &html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>闇魔界の戦士 ダーク・ソード</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1800</Td><Td>DEF1500</Td></Tr><Td ColSpan="6">ドラゴンを操ると言われている闇魔界の戦士。邪悪なパワーで斬りかかる攻撃はすさまじい。</Td></Table>) 2本の刀を振るい、黒い甲冑を纏った剣士は素早く精霊術師へと飛び掛る。 だがしかし、ドリアードは福助の伏せたカードを信じているように、恐れる気配はない。    「させません! 〔エレメント・ドラゴン〕を生贄に捧げて、伏せカード〔光霊術-「暁」〕を発動します!」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>光霊術-「暁」</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に存在する光属性モンスター1体を生け贄に捧げる。<BR>相手フィールド上に存在する表側表示のカード1枚を選択し、ゲームから除外する。(オリカ)</Td></Table>) エレメント・ドラゴンの体は光の粒へと転じ、闇の肉体を持つダークソードへと殺到する。 直撃すれば、黒い鎧がさらに黒コゲになる威力を持っているが、黒い騎士はひるむ事は無い。    「そんなに何発も罠カードで除去されたとあっちゃ情けねぇ。     伏せカードを発動ッ! 〔合身〕だ。」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>合身</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">融合カードに定められたモンスターを融合する。(オリカ)</Td></Table>)    「こいつは罠カード版の〔融合〕でな、     〔光霊術-「暁」〕は対象を取る除去効果だから、効果の対象が消えれば無効になる。     攻撃した〔ダーク・ソード〕と手札の〔沼地に住まうドラゴン〕を融合して、〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕を召喚!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>沼地に住まうドラゴン</Td><Td>水属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1500</Td><Td>DEF200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。(その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。)<BR>このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、お互いのプレイヤーはカードを1枚ずつドローする。(オリカ)</Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>闇魔界の竜剣士 ダークソード</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2700</Td><Td>DEF1500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「闇魔界の戦士 ダークソード」+「騎竜」<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できず、このカードは1ターンに2回まで攻撃宣言を行う事ができる。(オリカ)</Td></Table>) 剣士は素早く赤竜の背に乗って光の粒を回避し、精霊術師の少女を一刀の元に切り伏せる! 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻撃力2700)VS(攻撃力1200)〔聖霊術師 ドリアード〕、精霊術師 ドリアード破壊、福助LP8000→LP6500    「うあぁっ! ドリアードがっ!」    「〔ダークソード〕は自身の特殊効果によって、続けて一度だけ攻撃を行なうことができる! 福助を直接攻撃!」 福助:LP6500→LP3800 ダークソードの剣が素早く福助の胸をえぐるが、福助はリアクションも取らない。 ただただ、ボソボソと『ドリアードが…僕のドリアードが…』と呟いている。    「1枚伏せてターン・エンド。(手札0・伏せ1)     …大丈夫か? 福助?」    「ああ、いつもの事だ、気にしなくていーぜ。     ドリアードが破壊されるとああなんだ。 あと20秒ぐらいしたら…。」    「破壊されたドリアードのためにも、このデュエル! 絶対に負けません!」 刃咲の予想を裏切り、パパっと復活して涙を拭う福助。    「…な? 心配なんかいらねぇだろ?」    「面白いヤツだな、お前ら。」 ら、と複数形で呼ばれたことに刃咲が抗議しようとするが、福助がプレイを再開していることに気が付き、自粛した。    「僕のターン、ドロ……う、うえええっっ!?(手札3)」    「どうした? 手詰まりか?」    「……いいえ、勝つ為の布石は揃いました。」 福助は引いたカードを覗き込み、意を決したようにカードをデュエルディスクに配置する。    「いきますッ! 墓地の〔精霊術師ドリアード〕と〔ドリアードの祈り〕を除外して〔オクジュ・ゴッド〕を召喚します。」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>オクジュ・ゴッド</Td><Td>光属性</Td><Td>天使族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1000</Td><Td>DEF1000</Td></Tr><Td ColSpan="6">墓地に存在する儀式モンスターと儀式魔法をゲームから除外して特殊召喚する。<BR>このカードの特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式モンスターと儀式魔法を1枚づつ手札に加える。(オリカ)</Td></Table>)    「効果でデッキから〔精霊術師 ドリアード〕と〔ドリアードの祈り〕を手札に加えます。」 場に出現したのはパッと見はウニ状のモンスター。 実際は黒い腕に更に腕が生え更にまた、と何本もの腕に腕が連なり胴体が見えない異形の天使。 そのモンスターが僕のデッキに何束かの腕を差し込み、2枚のカードを福助の手札に加えた。 精霊術師 ドリアード:デッキ→福助の手札 ドリアードの祈り:デッキ→福助の手札    「そして、このターンのドローカード、〔天使の施し〕を発動! 3枚引き―――うぅ、うっ……」    「? どうした? 2枚捨てろ?」    「〔オクジュ〕で手札に加えた……〔精霊術師 ドリアード〕と〔ドリアードの祈り〕を……」 どうやらドリアードを墓地に置くのが苦痛らしく、手が止まる。 戦わせたくないならデッキに入れなければいいのだろうが、そうしないのが彼なりの美学なのだろう。    「っくう……〔ドリアードの祈り〕と〔精霊術師 ドリアード〕を捨てます。     そして僕は今墓地に送った2枚を除外して、2枚目の〔オクジュ・ゴッド〕を出します。」 さっきと全く同じ手順、同じビジョンで福助の手札に2枚のカードを渡すオクジュ。 精霊術師 ドリアード:デッキ→手札 ドリアードの祈り:デッキ→福助の手札    「そして僕は手札の〔エレメント・ザウルス〕を生贄に、最後の〔精霊術師 ドリアード〕を降臨させます。     僕は〔リチュアル・ウェポン〕を〔ドリアード〕に装備させて………攻撃。」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>リチュアル・ウェポン</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">レベル6以下の儀式モンスターのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力と守備力は1500ポイントアップする。</Td></Table>) ドリアードは4つの精霊力を一発の矢に折り合わせ、ダークソードと騎竜を纏めて射抜く。 だがしかし、当たる寸前にダークソードは左手に握った刀を投げ付け、正確にドリアードの胸を貫いている。 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻撃力2700)VS(攻撃力2700)〔精霊術師 ドリアード〕。 →共に破壊、墓地へ。    「ううう……2体の〔オクジュ・ゴッド〕で……二封気さんに攻撃します!」 疾走する二体のオクジュ・ゴッド。 しかし、二封気はセットされたカードに手を伸ばした。    「伏せられた〔リビングデッドの呼び声〕を発動し墓地から〔竜魔人 キングドラグーン〕を復活させる、攻撃するか?」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>リビングデッドの呼び声</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 </Td></Table>) 墓地から出現したのは、先ほど倒したはずのドラゴンの翼を持った魔術師。 攻撃力差は歴然、中断せざるを得ない。    「…っう………攻撃はキャンセルしてバトルフェイズは終了、1枚セットして…ターンエンドです。(手札2・伏せ1)」 攻撃は失敗したものの、まだ手札の枚数では福助の方が優位。 落ち着き、怯まずに二封気を見据える。    「ドロー(手札1枚)……オ、こいつか。     俺は〔アームズ・ホール〕で〔再融合〕を手札に加える。」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>アームズ・ホール</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送り発動する。<BR>自分のデッキまたは墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。<BR>このカードを発動する場合、このターン自分はモンスターを通常召喚する事はできない。</Td></Table>) 超融合:二封気のデッキ→墓地へ。(アームズ・ホールのコスト)    「〔再融合〕……って…!?」    「いくぜ? 〔再融合〕発動、〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕を復活させる。」 二封気:LP4500→LP3700 闇魔界の竜剣士 ダークソード:墓地→二封気のフィールド &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>再融合</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">800ライフポイントを払う。<BR>自分の墓地から融合モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。<BR>このカードが破壊された時、装備モンスターをゲームから除外する。</Td></Table>)    「で、〔ダークソード〕には、〔エレメント・ドラゴン〕と同じようにの2回攻撃能力が有る。     2体の〔オクジュ〕を攻撃だ。」 &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>闇魔界の竜剣士 ダークソード</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2700</Td><Td>DEF1500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「闇魔界の戦士 ダークソード」+「騎竜」<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できず、このカードは1ターンに2回まで攻撃宣言を行う事ができる。(オリカ)</Td></Table>) ドラゴンの騎士が腕まみれの天使に襲い掛かっる瞬間、天使は銀色の装甲に身を包んだ。 これこそ、攻撃を仕掛けた者を爆破・消滅させるスタンダードな除去罠カードである。    「させません! 伏せカード発動、〔炸裂装甲〕っ!」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>炸裂装甲</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体を破壊する。 </Td></Table>) 広がる爆撃、爆風。 しかしながら、黒騎士どころか馬代わりのドラゴンにすら傷ひとつ付けられていない。    「…あれ?」    「残念。 〔キング・ドラグーン〕の能力だ。 そういう類の罠は効かない。」 &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>竜魔人 キングドラグーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF1100</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-」+「神竜 ラグナロク」<BR>このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、<BR>相手はドラゴン族モンスターを魔法・罠・モンスターの効果の対象にする事はできない。<BR>1ターンに1度だけ、手札からドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。 </Td></Table>)    「え、ええええっっ!?」    「俺の出してたのが別の種族の融合モンスターだったらなんとかなっただろうが……惜しかったな。」 当初の宣言どおり、ダークソードは二体の天使をあっさりと粉砕した。 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻2700)VS(攻1000)〔オクジュ・ゴッド〕、オクジュ・ゴッド破壊、福助LP3800→LP2100 〔闇魔界の竜剣士 ダークソード〕(攻2700)VS(攻1000)〔オクジュ・ゴッド〕、オクジュ・ゴッド破壊、福助LP2100→LP900    「トドメだ。 〔キングドラグーン〕の攻撃。」 福助:LP900→LP0    「………ありがとうございました。」 会釈したまま頭を上げず、福助は項垂れたままだ。    「俺が出してたのがE・HEROや機械系だったら防がれてたな。     最後はハナ差、ってところか。 一馬身も付いてなかった……だから、泣くなって。」 福助本人も気付かないうちから、福助は泣いていた。 ドリアードを犠牲にしながらの対戦は初めてではないが、犠牲にしつつ敗北したのは初めてだった。 無念で、申し訳なくて、ただどうしようもなかった。    「泣きたい時は泣かせとけよ、それが一番だ。     ……それより二封気、お前のデッキ、ドラゴン系の融合じゃないよな? 口振りからすると。」    「ん? ああ、俺のデッキは『全ての融合モンスターを使いこなす』ってテーマだからな。     相手のカードも奪ったりすれば、出せない融合モンスターはそうは居ないぜ。     融合モンスターも、この“角”に全部入ってるしな。」 なるほど、と刃咲と壱華は納得したように頷いた。 どうやら、二封気のデュエルディスクに備え付けられた突起物は、通常では入りきらない融合デッキの補助スペースという事らしい。    「そういえば、近々ルール改正で融合デッキは15枚って枚数制限が掛かるって聞いた事あるんだけど。     確か、シンクロっていう新システムの都合上、融合デッキの枚数制限があると使えないとかで。」    「抜かりなし。 こういうカードも少数出回ったんだよ。」 &html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>破法博士 コザッキー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル1</Td><Td>ATK?</Td><Td>DEF?</Td></Tr><Td ColSpan="6">融合モンスター+融合モンスター1体以上<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。<BR>このカードがエクストラデッキに存在する場合、自分のエクストラデッキにシンクロモンスターは入れることはできない。<BR>このカードがエクストラデッキに入っている場合、融合デッキの枚数制限はなくなる。<BR>このカードの元々の攻撃力・守備力は融合素材にしたモンスターの数×1500ポイントの数値になる。(オリカ)</Td></Table>)    「大会イベントの先着カードだったんだけどな。     ダチと一緒に並んで、3枚ゲットした自慢のカードだ。」 下品なまでにビカビカ光る3枚のカード、効果からして1枚でもデッキにあれば十分という気もするが。    「……うぅっ、どんなカードですか? 僕にも見せてくださ~い。」 涙を拭い、鼻水をすすり、福助も歩み寄る。    「なんだ、立ち直り早いな。」    「ずっと泣いてて、ドリアードに嫌われたら嫌だもん。     ……次は絶対勝つためにも、二封気さんのカードは見たいです。」 身の丈も、二封気の膝頭ほどしかない小さなデュエリストは敢然と言い切った。 その発言に、二封気は嬉しそうに使い終わったデッキをシャッフルしていた。 [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/43.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]] &html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>) &counter()

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