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[[前へ戻る。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/61.html]] [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/63.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]] エビエスやウォンビックがレアハンターらしくデュエルする最中、ある七人衆だけはデュエルをしていなかった。 その男の名は神次郎、己のライフを大量消費してでもボードアドバンテージに固執する……という変わったデュエリストだ。 実力で言えば、ウォンビックに負けはしたものの互角といっていい戦いをし、エビエスには5戦全勝している。 それほどのデュエリストでありながら、彼は……    「ほがぁああああ!」    「うべぇええぇっ……!」 なぜか口に、大量のプリッツを突っ込んでいた! そもそも、この神次郎と部下達は、ロールウィッツという男からレアカードを奪いにやってきた。 だがしかし、その男がまた変人で『自分の腹の上に積木を乗せて遊ぶ』という競技を考案し、そのゲームを挑んできた。 しかし、そのゲームの結果は双方の積木が同時に倒れてしまい、引き分け。 そこで他に勝負できるものは無いか、と探して神次郎の部下の牡鹿啓介という男が偶然持っていたプリッツに目をつけ、 『お互いにプリッツを口に挟んでいき、何本口に入るかを競う』という競技を神次郎が考案し、挑んだ。 ……素直にデュエルで決着をつけたほうが効率的なのは誰から見ても明らかだが、それでもこういうゲームに挑むのが神次郎という人物なのだ。 詳細なルールとしては、ターンプレイヤーが本数をメモ用紙に書き、神次郎の部下がその本数のプリッツをターンプレイヤーに手渡し、 それを全て口に入れられればクリアとなり、相手はそれ以上の本数を口に追加しなければならない。 その繰り返しによって双方の口に入ってるプリッツの本数は既に100本を超えており、今はロールウィッツが本数をコールするターンだ。 彼が書いた数字は……5!    「ご、5本!? 今が121本だから、一気に126本だ!」 神次郎の部下の牡鹿が叫ぶ。 [[やってみればわかるが、>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/113.html]]100本を越えると追加できる本数は2本か3本になる。    「(このロールウィッツ様でも5本の追加は辛ェ、だけどよぉ~~~、このロールウィッツ様ならいけるぜ!)」 根拠の無い自身を胸に秘め、ロールウィッツは唾液をボダボダと垂らしながら受け取ったプリッツを差し込めるスペースを口触りで探る。    「(ここだっ!)」 ロールウィッツはプリッツに半回転を加え、かつ折れないギリギリのパワーを見極めて5本をぶちこんだ! 結果は……一本も折れていない!    「(よし!)」 口の中に広がるプリッツの塩ッ気によって味覚が刺激され、どんどん唾液が垂れてきている。 そのため、プリッツは時間経過と共に強度が落ち、折れやすくなる。 だからゆっくり入れようとすると逆に柔らかいプリッツを押してしまい、危険な状況になる。 それすらも克服した半回転プリッツ差込み。 初めてするゲームではあるが、ロールウィッツは完全にコツを掴んでいた。 一方、神次郎はといえば………    「(ぐ、うううう!)」 このゲーム、口がどれほど開くかという生来の資質によって入る本数が大きく左右される。 ロールウィッツは握り拳を口にすっぽり入れる、という特技を持つほどの大口であり、加えて天性のゲームセンスでプリッツ半回転まで修得した。 だがしかし、神次郎の口はむしろ小さく、ゲームセンスも恵まれているといえない。 商売道具であるデュエルモンスターズも、綿密なデッキ構築と執着的な戦術を駆使しなければ現在の地位を取れなかったほどであるし。 しかし、凡才である神次郎はなぜか『自分は他の誰よりも優れている』という盲信的なまでプライドをもっており、そのプライドは123本のプリッツを銜えるほどのエネルギィを生んでいる。    「(負けられん、私は……私は、最も優れた人間だッ!)」 神次郎は、本数オーダーに驚異的な数字を書きなぐった。    「さ、30本!?」    「が……!?」 余りのオーダーに、ロールウィッツもプリッツを吐き出しそうになった。    「本気ですか、神第5幹部!?」    「……!」 同行の部下が上司に訴えるが、神次郎は目で肯定する。    「(勝負を捨てたか、神次郎!)」 ロールウィッツは、幼少の折から腹上ジェンガのようなバカバカしいゲームを考案していたが、どんなに仲のいい友達も最後まで本気でプレイはしなかった。 途中からゲームを投げたり、果ては絶交するものまでいた。 敵ながら自分のゲームを始めて真剣にプレイし、尚且つデュエルの次に得意だった腹上ジェンガを自分と引き分けるほどの根性の持ち主だと思っていたが……、 30本というプリッツ追加は人体の骨格上不可能。 それはプレイしている断言できる。    「……!」 そんな思惑は露知らず、神次郎は30本のプリッツを右手に鷲掴みし、空中に放り投げ、続いて口に入ってたプリッツも空中に噴出した!    「!?」 ……捨てた!? いや、そんなバカな!?    「奥義・顎外しッ!」 神次郎はプリッツが一本も入っていない口内に両手の人差し指を突っ込み――次の瞬間、指を鳴らすような軽い音がし、 神次郎の顎は糸が切れたようにだらん、と垂れ下がった。 ――そう、さらに30本の追加は『骨格上は無理』なだけで、『顎の関節を外しさえすれば』入れることは可能。 続き、神次郎は虚空に向かった凄まじいスピードで続けて拳を振るい、そのまま顎へと戻し、再度拳で虚空を切る。 数度それを繰り返すと、神次郎の外れた顎の中には、数十本のプリッツが出現し、10秒後には吐き出す前の状態……否、噴出す前の123本に30本を加えた153本を口に挟んでいた。 このゲームは、プリッツが口か手以外のものに触れたらアウトというルールであり、投げ捨てる分には問題はない。    「……はあ、ほぉふひぃっつ、ふひはほはえら。(訳:さあロールウィッツ、次はお前だ)」 ロールウィッツは次に最低でも28本以上に挑戦しなければならないが……不可能だ。 できるわけがない。 観念したようにロールウィッツは口のプリッツを出すべく、手を添えた。    「ふひはへふなっ!(諦めるなっ!)」    「って、何言ってるんですか、神第5幹部!」 この『何を言ってるんですか』が、『敵を激励してなんのつもりだ』という意味か『口にモノ入れて喋ってるから意味が分からない』という意味かは知る術はない。    「ほほへはははしほひひはへふほろのへんしっ! ほろへいほのひゃっひょうでハレンハーふるはろへんはひゅるひへもはらしがひゅるはん!     (訳:お前は私と引き分けるほどの戦士っ!  この程度の逆境でサレンダーするなんぞ、天が許しても私が許さん!)」 通じるわけが無い、『ひひゃひゃひゃは』とか言ってるだけで成立するほど日本語は洗練されてはいない。    「……ははっは、ひゃうへ。 ひりゅうきゅうひょんら(訳:分かった、やるぜ。 29本だ。)」 通じたよ、ひひゃひゃひゃは、とか言ってただけなのに通じたよ。    「ほーふひっふ、ほうへんら!(訳:ロールウィッツ、当然だ!)」    「では、29本に挑戦していただきます! 立場上応援はできませんが、頑張ってください!」 神次郎の連れてきた部下の一人、牡鹿啓介が矛盾したことを言いながら29本のプリッツを手渡した。 ……って、ちょっと待て? まだロールウィッツは29本という本数をメモしてない。 故に牡鹿が29本という数字を知るには、神次郎やロールウィッツの『ひひゃひゃひゃは語』を解読した、ということになる。 ――恐るべし、牡鹿啓介!    「ひふれ……。(訳:行くぜ)」 前述したとおり、150本を超えるには顎を外すしか方法は無い。 しかし、顎を外すというのは口で言うほど簡単ではなく、素人にできる技ではない。    「ひほうほにふいはら………ほろひゅんはんでッッ! 玄人になるまでのことォォッ!(素人に無理ならこの瞬間で玄人になるまでのことォォッ!)」 ロールウィッツは神次郎に習い、口から全てのプリッツを排出し、即座に口に手を入れ、関節をはがそうとする。    「うおおおおお……(ガツォっ)……らぁっ!」 恐るべしロールウィッツ・ウェンディエゴ! たった一回見ただけで顎外しを修得していた! だがしかし、ロールウィッツには喜んでいる余裕は無い! 早く吐き出したプリッツを拾い、更に27本のプリッツをいれなければならない! ロールウィッツは素早く空中に目を向け、最も低空を飛ぶプリッツに目を向け……目にプリッツが刺さったッ!    「でぃぃいい……ごおおおおおお!?」 まあ冷静に考えれば、物質を真上に放り投げれば真下に落ちる。 それなら目に刺さるのは当たり前なわけで。 無論、刺さった1本以外は床にダイブし、砕け散った。    「……私の勝ちだ、ロールウィッツ。」 口に入ったプリッツを吐き出し、自分のアゴ関節を入れてから、神次郎は言った。 ※競技後、プリッツは全て美味しく頂きました、唾液塗れだったけど。    「ロールウィッツ、貴様の敗因はただひとつだ。」 口元は唾液とプリッツの粉でベダベダだということを知ってか知らずか、神次郎は流し目でポーズを決める。    「貴様の相手は神次郎。     勇猛なるアメリカと屈強たるドイツの魂を併せ持つ男を父に持ち、     晩成たるジャパンと誇り高きチャイナの間に生まれた女を母とする男だった、というだけのことだ。」 ドイツ人の体格の男はアメリカ人の目鼻立ちで日本語を喋り、中国武術の関節外しの応用でロールウィッツのアゴを入れた    「バッカじゃねぇの?     4つの血を引く……クォーターだからってお前が強いわけじゃねぇ。     俺が負けたのはただ赤いだけの血になんかじゃない、神次郎ってレアハンターに負けたんだよ。」 賛辞以外の何物でもない言葉に対し、神次郎は眉をひそめて、彼には珍しく小さな声で呟いた。    「……『神次郎』という個人には生きている資格なんぞない。」    「……は?」    「私は――『あの人』と同じ血族の人間だ。 だから生きている。」 会話が要領を得ない、何を言いたいのだ? この男は?    「バッカじゃねぇの? 何があったかは知らねーけどよ、その会った事もねえ他人にこのロールウィッツ様は負けたんじゃねぇ。     何度でも言うぞ。 このロールウィッツ様は制々正念党七人衆・神次郎に負けたんだ。 異論は許さ―」 ロールウィッツが言い終わらないうちに神次郎は、入れたばかりのロールウィッツの下顎を鷲掴みにし、ゆったりと後頭部を壁に叩きつけた。    「――貴様がアメリカ人で無ければ殺しているところだ、ロールウィッツ・ウェンディエゴ。」 正確に後頭部を叩かれ、出血などはしていないもののロールウィッツは完全に意識を失っていた。    「……ゲームには勝った、奴のデッキから〔ヴァンパイア・ジェネシス〕を抜き取れ。」 歴然と言い放つ神に対し、大半の部下はデュエルディスクに向かうが……牡鹿啓介は神次郎へと歩み寄、睨み付けた。    「神次郎さん……いえ、神第五幹部、暴力は制々正念党では禁則事項です!」    「………引き上げるぞ。」 牡鹿の言葉には耳も貸さず、神次郎は部下達を残して部屋のドアへと向かっていった。    「神第五幹部! 僕はクラッシュクラーリネッドってロックバンドが好きでした!」 クラッシュクラーリネッドは5年前に解散するまで世界中を熱狂させたロックバンドで、牡鹿はそのファンクラブの支部長になるほどのファンだったりする。    「……。」    「そこのメインボーカルの『神次郎』って人はの声は今でも忘れられません!     大好きな実家のラーメン屋の広告のための歌だけを作詞して、ラーメンの味の宣伝を歌い続けて!」 意も解さず、神次郎はドアを開け、部下を置いて出て行った。    「……神次郎さん……。」 同時刻、別のホテルではエビエスが本領を発揮していた。     「このゲームには、以上の4つの勝利方法が存在しますが、どの戦術でも相手と互角。      それに加え、仮にその人物が正念党員ならば、〔無限の力〕や〔サイクロン・ブレイク〕などの強力カードが使える分、優位と言うことですからね。」 そこまで聞き、シグの脳裏に他のデュエリストから訊いたある噂話が蘇った。     「まさか……あなたは、あの『四界の王』ッ!?」     「――おや? 私は名乗り忘れていましたか、シグ・ゴールドさん。」 四つの勝利において常に優位に立ち、如何なるデュエリストにも負けない王者。 ――故にその名を『四界の王』、ただの都市伝説だと思われているデュエリストのひとりだ。 存在すら否定されていた『伝説のデュエリスト』と、自分は知らなかったとはいえ対峙している……この状況! 目の前に現れた都市伝説的なデュエリスト、四界の王のエビエスに対し、シグは……!     「オイシイ! オイシすぎる!」 両腕を広げ、テンションを高めて大笑いするシグ。     「『四界の王』ほどのデュエリストなら、倒すだけで名が上がる!      モチベーション上がるわァ~~~! ……鵜殿やロールウィッツのところより先にここに来てくれて感謝するわ。」 目を爛々と輝かせ、シグはネズミを狩るフクロウのような目でエビエスを見据えた。     「――疑問が尽きたようでしたらデュエルを続行いたします。      私は〔ウジャト眼を持つ男〕を攻撃表示で召喚し、効果を発動します。」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ウジャト眼を持つ男</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1600</Td><Td>DEF1600</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードを通常召喚した時と自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上にセットされているカード1枚を選択してめくり、確認した後元に戻す。 </Td></Table>) エビエスのフィールドに出現したローブを来た男は、シグの伏せカードに向けて額から怪光線を発射した。 そして、その光の中に薄っすらと浮かび上がるそのカードの絵柄。 シグの伏せカード:聖なるバリア-ミラーフォース-     「おやおや、これでは攻撃できませんね。      私は1枚のカードを伏せ、ターンエンドです(手札2・伏せ2)。」     「あたしのターン、カードを引くわ!(手札4)」 ドローカード:幽馬目撃     「ふふ、ナァーイス。      あたしは手札から〔幽馬目撃〕を発動し、デッキから〔カイザー・シーホース〕を特殊召喚する!」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>幽馬目撃(ユーマモクゲキ)</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">デッキからレベル4以下の海竜族モンスター1体を自分のフィールド上に特殊召喚する。<BR>(この効果によって特殊召喚されたモンスターは、召喚ターンに攻撃宣言を行う事ができない。)(オリカ) </Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>カイザー・シーホース</Td><Td>光属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1700</Td><Td>DEF1650</Td></Tr><Td ColSpan="6">光属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。 </Td></Table>)     「そして〔カイザー・シーホース〕を生贄に〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を生贄召喚!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>畏怖を纏し異父 テュポーン</Td><Td>光属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル10</Td><Td>ATK4000</Td><Td>DEF3800</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは特殊召喚できず、海竜族を生贄に含む生贄召喚でのみ通常召喚できる。<BR>手札の海竜族モンスター1体を墓地に送ることで相手のデッキの一番上のカードを確認し、デッキの1番下に戻す。<BR>確認したカードがモンスターカードだった場合、自分のフィールド上に「ジュニアトークン」(ドラゴン族 闇属性 星5 攻/守2300)1体を特殊召喚する。<BR>また、このカードと「ジュニアトークン」はめくったモンスターと同じ効果を得る。<BR>(この効果は1ターンに1度しか使用できない。)(オリカ)</Td></Table>)     「それでは、シグさんの召喚に合わせ、私は〔徴兵令〕を発動します。」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>徴兵令</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手のデッキの一番上のカードを1枚めくる。<BR>めくったカードが通常召喚可能なモンスターだった場合、自分フィールド上に特殊召喚する。<BR>それ以外のカードだった場合、そのカードを相手の手札に加える。 </Td></Table>) 徴兵令の存在は、もちろんシグの想定の範囲内だが……、 まさか、ここで発動するとはシグは思っていなかった。 この発動、実はシグの方が利が大きい。     「そのカードをこんなタイミングで発動するとはね、四界の王、あんたデッキを使いこなせてないわ。      〔徴兵令〕は相手のデッキの一番上を確認してから使うのが定石……いくら〔テュポーン〕相手に焦ったといってもそれはないわ。」     「御託を並べる暇があるなら、手早くデッキの上を確認してくれませんか?」 焦りにも見える緩急のない口調で、エビエスが静かに薦める。     「はいはい、それではデッキの上のカードを確認するわ。」 笑顔のままデッキの上のカードを確認し……エビエスにかざした。 デッキトップ:畏怖を纏し異父 テュポーン     「〔テュポーン〕はモンスターだけど特殊召喚はできない……、      よって、〔徴兵令〕の効果であたしの手札に加わるッッ!」 徴兵令は、運がよければ相手の切り札モンスターをも一瞬で奪い取れる強力なカードではあるが、 何らかの方法で相手のデッキを知らなければ、今のエビエスのように逆に敵に塩を送る展開も珍しくないのだ。 ――それにしても、驚くべきはシグのデッキ、正念党幹部が動くほどのアカードである〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を複数所持していたとは。 畏怖を纏し異父 テュポーン:デッキトップ→シグの手札     「まだまだァッ! 私は今手札に加えた〔テュポーン〕を墓地に送って、フィールドの〔テュポーン〕の効果を発動!      あなたのデッキの一番上のカードがモンスターカードだった場合、そのカードト同じ効果を持つ〔ジュニアトークン〕を特殊召喚するわ!」     「しかし、私のデッキトップが魔法や罠だった場合、貴女はカードを1枚捨て損となってしまうのでは……?」     「何言ってるのよ、デッキトップは既に〔ネッシー〕で確認済み。      四界の王、あんたのデッキの1番上のカードは……魔法効果を受けない効果を持つモンスター、〔ガーディアン・ケースト〕!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ガーディアン・ケースト</Td><Td>水属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK00</Td><Td>DEF00</Td></Tr><Td ColSpan="6">「静寂のロッド-ケースト」が自分のフィールド上に存在する時のみ、このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。<BR>このカードは魔法の効果を受けない。また、相手モンスターから攻撃対象にされない。</Td></Table>)     「おや、そうでしたね。 それでは私は罠カード、〔無謀な欲張り〕を発動します。」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>無謀な欲張り</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">カードを2枚ドローし、以後自分のドローフェイズを2回スキップする。</Td></Table>) 一時は制限にも指定されていた中々強力な罠カードだが、今となっては中堅レベル。 使われて驚くカードであるはずもないのだが、なぜかシグの顔は歪んでいる。     「……んなッ!? あたしのデッキにそんなカードはないのに……?      ……四界の王は、相手のデッキを完全にコピーするんじゃないの!?」     「何度も言うようですが、私はあなたのデッキをコピーしたわけではありませんよ?      ……仮に、私が四界の王だったとしするならば、相手のデッキを知りった時点で、そのデッキのアンチカードも投入するのではないですか……?」 常識で考えれば、エビエス=四界の王の言うとおりである。 カードの効果でデッキの一番上の〔ガーディアン・ケースト〕をドローすれば、もちろんデッキの一番上のカードは〔ケースト〕ではなくなる。 つまり、この無謀な欲張りのカードは、相手のデッキトップの情報を武器にするシグ相手には、立派なアンチテーゼとなる。    「でも、『四界の王は、コピーデッキに九大レアを加えたデッキを使う』って情報は、     マウスコミューンでも扱われている情報で、あのマウスコミューンが誤報をするなんて……っ」 マウスコミューンとは、数ヶ月前にネット上に開設された情報サイトであり、 開設して1週間で、「本日・15時30分頃、アメリカ:ニューヨーク市の○○○ホテルにプロパガンダ・テロが発生するので、周囲の方はご注意を。」と報道し、的中したことから注目を浴びる。 その後に運営者を探そうと世界中が躍起になったが、チームの人数、国籍、リーダーのいずれも判明せず、謎の組織としてウェブ上に君臨している。 そんなサイトが、この四界の王については、アンチカードを使うという簡単な情報をつかめず、今も誤った情報を配信し続けているといえば、シグの反応も当然といえる。     「さぁて、ゲーム続行といきましょうか。      私は〔無謀の欲張り〕でカードを2枚ドローし、 チェーン1の〔テュポーン〕の効果処理と為ります。」 エビエス手札:2枚→4枚     「そして、新たなデッキの一番上のカードは……、      おそらく貴方のデッキにも入っていることでしょう、〔強欲なウツボ〕です。」     「な……!?」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>強欲なウツボ</Td><Td>水属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK2300</Td><Td>DEF800</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードがフィールド上に存在する限り、このカードのコントローラーはこのカード以外のモンスターで攻撃宣言を行う事ができない。<BR>ターン終了時、自分のフィールド上に存在するモンスターの攻撃力を合計した数値の半分のダメージを受ける。<BR>また、このカードが相手プレーヤーに戦闘ダメージを与えた時、与えたダメージ分のライフポイントを回復する。(オリカ)</Td></Table>) 遅ればせながら、テュポーンが咆えた。 大地を揺るがし、全ての者に等しく恐怖を与える――はずなのだが、 この後に訪れる状況を考えれば、この力強さが滑稽以外の何物でもない。     「効果により、〔ジュニアトークン〕が貴女のフィールドに発生します。      そして、〔テュポーン〕の効果によって、〔ジュニアトークン〕と〔テュポーン〕自身が〔強欲なウツボ〕の効果を得ます。」 ジュニアトークン:無→シグのフィールド     「あ……あ………?」     「お気づきですね? 〔強欲なウツボ〕には『このカードのコントローラーはこのカード以外のモンスターで攻撃宣言を行う事ができない』と明記されていました。」 親子であるはずの二頭の大蛇は、お互いにエビエスのフィールドのモンスターを己の食料だと主張するようにフィールド上で牽制しあっている。     「うぅ、うううう?」     「その効果を父と子が、正しく双頭蛇のようにお互いに動きを封じあい、攻撃はできません。      そして、〔強欲なウツボ〕に更なる効果として、ターン終了時にフィールド上のモンスターの攻撃力の半分のダメージをコントローラーに与える効果があります。      貴女の場には攻撃力2000の〔ネッシー〕、2300の〔ジュニアトークン〕、4000の〔テュポーン〕、      よって受けるダメージは4150、それを親子がそれぞれ食べようとするならば、ダメージの総計は8300です。」     「そんなっ……あそこでエビエスが、〔徴兵令〕をプレイングミスで使っていなければ、こんなことには……!」 あの時、実はシグの手札には海竜族がなかった。 その為、あそこで徴兵令を使われさせしなければ、テュポーンの効果すら発動できなかったのだ。     「最初に申したはずですよね? 『デッキはシャッフルした方が良い』、と。」 その言葉の意味を把握出来なかったシグは、さきほど握り砕いて床に散らばったキラキラと光るピアスの破片を見て、ある可能性に気が付いた。 だが、そんなことができる人間がいるのか………いや、だが、それならば、エビエスの発言や、なぜ徴兵令を発動したのかも合点がいく。     「まさかとは思うけど、デッキを右手と左手で20枚ずつシャッフルしてる最中、      それぞれの山の1番下のカードを自分の手の平につけたピアスを鏡みたいに反射させて、デッキ内容を覚えた、とか……?」 ありえない。 確かに、この方法ならば、相手のデッキを完全に把握し、 しかも相手に渡した時点でデッキの順番も完全に思い通りであり、徴兵令で好きなカードを指定できただろう。 だがしかし、エビエスは20枚ずつに分けたデッキを、おおよそ0,5秒ごとに両方同時で一回シャッフルしていたので、 必然的に1秒間で約4枚のカードが表面に出てくるので、それを全て一回で正確に記憶するには、人並みはずれた記憶能力と動体視力が必要となる。 そんなことのできる人間が、いるはずがない。     「なななななななななんのことをいっ、言ってらっしゃるのか、この私には全ァァったく分ぁかりませんねぇっッッ!!!???」     「え、ウソ、図星?」     「分かりません、あなたの言葉をまったく理解できませんッ! それよりも早くターンを終了してくださいッッ!」     「……こんなわかりやすい相手に、どうしてマウスコミューンは誤情報なんかを……ターン、終了よ(手札2・伏せ1)。」 その瞬間、強欲なウツボの性質を受け継いだテュポーンとジュニアトークンが、同時に飼い主であるシグに襲い掛かった。 ――おそらく、シグ・ゴールド人生初となる自分の切り札モンスターたちによるワンターンキルだ。 シグ:LP7200→LP3050→LP0     「それでは、〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を頂戴いたします。」     「……っっ!」 2分で作った即席デッキ、しかも自分自身のミラーに、人並みはずれたトンデモ技を使われた満足とは程遠い敗北……、 自暴自棄になってか、シグは商売道具であるデュエルディスクをエビエスへと思いっきり投げ付けた。     「確かに頂戴しました。      では、私はこれにて失礼致します。」 フレスビーのように飛んできたデュエルディスクを右手一本で受け止め、 墓場とフィールドから、ちゃっかりと2枚の〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を抜き取った。 (賭ける枚数について、事前に話していないのがポイント。) エビエスは懐にカードをしまい、床をギシギシと呻かせながら入ってきたドアから自然な動作で出て行った。 ホテルから抜け出したエビエスの腕には、改造デュエルディスク『学(マナ)』が輝いていた。 改造デュエルディスク『学(マナ)』。 デュエルディスク職人、列効二封気から&html(<ruby><rb>灸焔<rt>きゅうえん)&html(<ruby><rb>灸<rt>やいと)へと譲渡され、その後エビエスの手元に渡ってきた改造デュエルディスク。 能力は、専用の台紙カードに高速でカードイラストを印刷するカード偽造。 しかし、コピーカードとしてのクオリティは低く、デュエルディスクのカードセンサーにギリギリカードと認証される程度で、 1度でもデュエルディスクの特殊な電気信号を浴びるとインクが剥離してボロボロになる使い捨てのコピーカード。  その為、売買はできず、灸焔ヤイト以外の人間では持っていても特に意味のないデュエルディスクであった。 [[前へ戻る。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/61.html]] [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/63.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]]
[[前へ戻る。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/165.html]] [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/167.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]] エビエスやウォンビックがレアハンターらしくデュエルする最中、ある七人衆だけはデュエルをしていなかった。 その男の名は神次郎、己のライフを大量消費してでもボードアドバンテージに固執する……という変わったデュエリストだ。 実力で言えば、ウォンビックに負けはしたものの互角といっていい戦いをし、エビエスには5戦全勝している。 それほどのデュエリストでありながら、彼は……    「ほがぁああああ!」    「うべぇええぇっ……!」 なぜか口に、大量のプリッツを突っ込んでいた! そもそも、この神次郎と部下達は、ロールウィッツという男からレアカードを奪いにやってきた。 だがしかし、その男がまた変人で『自分の腹の上に積木を乗せて遊ぶ』という競技を考案し、そのゲームを挑んできた。 しかし、そのゲームの結果は双方の積木が同時に倒れてしまい、引き分け。 そこで他に勝負できるものは無いか、と探して神次郎の部下の牡鹿啓介という男が偶然持っていたプリッツに目をつけ、 『お互いにプリッツを口に挟んでいき、何本口に入るかを競う』という競技を神次郎が考案し、挑んだ。 ……素直にデュエルで決着をつけたほうが効率的なのは誰から見ても明らかだが、それでもこういうゲームに挑むのが神次郎という人物なのだ。 詳細なルールとしては、ターンプレイヤーが本数をメモ用紙に書き、神次郎の部下がその本数のプリッツをターンプレイヤーに手渡し、 それを全て口に入れられればクリアとなり、相手はそれ以上の本数を口に追加しなければならない。 その繰り返しによって双方の口に入ってるプリッツの本数は既に100本を超えており、今はロールウィッツが本数をコールするターンだ。 彼が書いた数字は……5!    「ご、5本!? 今が121本だから、一気に126本だ!」 神次郎の部下の牡鹿が叫ぶ。 [[やってみればわかるが、>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/113.html]]100本を越えると追加できる本数は2本か3本になる。    「(このロールウィッツ様でも5本の追加は辛ェ、だけどよぉ~~~、このロールウィッツ様ならいけるぜ!)」 根拠の無い自身を胸に秘め、ロールウィッツは唾液をボダボダと垂らしながら受け取ったプリッツを差し込めるスペースを口触りで探る。    「(ここだっ!)」 ロールウィッツはプリッツに半回転を加え、かつ折れないギリギリのパワーを見極めて5本をぶちこんだ! 結果は……一本も折れていない!    「(よし!)」 口の中に広がるプリッツの塩ッ気によって味覚が刺激され、どんどん唾液が垂れてきている。 そのため、プリッツは時間経過と共に強度が落ち、折れやすくなる。 だからゆっくり入れようとすると逆に柔らかいプリッツを押してしまい、危険な状況になる。 それすらも克服した半回転プリッツ差込み。 初めてするゲームではあるが、ロールウィッツは完全にコツを掴んでいた。 一方、神次郎はといえば………    「(ぐ、うううう!)」 このゲーム、口がどれほど開くかという生来の資質によって入る本数が大きく左右される。 ロールウィッツは握り拳を口にすっぽり入れる、という特技を持つほどの大口であり、加えて天性のゲームセンスでプリッツ半回転まで修得した。 だがしかし、神次郎の口はむしろ小さく、ゲームセンスも恵まれているといえない。 商売道具であるデュエルモンスターズも、綿密なデッキ構築と執着的な戦術を駆使しなければ現在の地位を取れなかったほどであるし。 しかし、凡才である神次郎はなぜか『自分は他の誰よりも優れている』という盲信的なまでプライドをもっており、そのプライドは123本のプリッツを銜えるほどのエネルギィを生んでいる。    「(負けられん、私は……私は、最も優れた人間だッ!)」 神次郎は、本数オーダーに驚異的な数字を書きなぐった。    「さ、30本!?」    「が……!?」 余りのオーダーに、ロールウィッツもプリッツを吐き出しそうになった。    「本気ですか、神第5幹部!?」    「……!」 同行の部下が上司に訴えるが、神次郎は目で肯定する。    「(勝負を捨てたか、神次郎!)」 ロールウィッツは、幼少の折から腹上ジェンガのようなバカバカしいゲームを考案していたが、どんなに仲のいい友達も最後まで本気でプレイはしなかった。 途中からゲームを投げたり、果ては絶交するものまでいた。 敵ながら自分のゲームを始めて真剣にプレイし、尚且つデュエルの次に得意だった腹上ジェンガを自分と引き分けるほどの根性の持ち主だと思っていたが……、 30本というプリッツ追加は人体の骨格上不可能。 それはプレイしている断言できる。    「……!」 そんな思惑は露知らず、神次郎は30本のプリッツを右手に鷲掴みし、空中に放り投げ、続いて口に入ってたプリッツも空中に噴出した!    「!?」 ……捨てた!? いや、そんなバカな!?    「奥義・顎外しッ!」 神次郎はプリッツが一本も入っていない口内に両手の人差し指を突っ込み――次の瞬間、指を鳴らすような軽い音がし、 神次郎の顎は糸が切れたようにだらん、と垂れ下がった。 ――そう、さらに30本の追加は『骨格上は無理』なだけで、『顎の関節を外しさえすれば』入れることは可能。 続き、神次郎は虚空に向かった凄まじいスピードで続けて拳を振るい、そのまま顎へと戻し、再度拳で虚空を切る。 数度それを繰り返すと、神次郎の外れた顎の中には、数十本のプリッツが出現し、10秒後には吐き出す前の状態……否、噴出す前の123本に30本を加えた153本を口に挟んでいた。 このゲームは、プリッツが口か手以外のものに触れたらアウトというルールであり、投げ捨てる分には問題はない。    「……はあ、ほぉふひぃっつ、ふひはほはえら。(訳:さあロールウィッツ、次はお前だ)」 ロールウィッツは次に最低でも28本以上に挑戦しなければならないが……不可能だ。 できるわけがない。 観念したようにロールウィッツは口のプリッツを出すべく、手を添えた。    「ふひはへふなっ!(諦めるなっ!)」    「って、何言ってるんですか、神第5幹部!」 この『何を言ってるんですか』が、『敵を激励してなんのつもりだ』という意味か『口にモノ入れて喋ってるから意味が分からない』という意味かは知る術はない。    「ほほへはははしほひひはへふほろのへんしっ! ほろへいほのひゃっひょうでハレンハーふるはろへんはひゅるひへもはらしがひゅるはん!     (訳:お前は私と引き分けるほどの戦士っ!  この程度の逆境でサレンダーするなんぞ、天が許しても私が許さん!)」 通じるわけが無い、『ひひゃひゃひゃは』とか言ってるだけで成立するほど日本語は洗練されてはいない。    「……ははっは、ひゃうへ。 ひりゅうきゅうひょんら(訳:分かった、やるぜ。 29本だ。)」 通じたよ、ひひゃひゃひゃは、とか言ってただけなのに通じたよ。    「ほーふひっふ、ほうへんら!(訳:ロールウィッツ、当然だ!)」    「では、29本に挑戦していただきます! 立場上応援はできませんが、頑張ってください!」 神次郎の連れてきた部下の一人、牡鹿啓介が矛盾したことを言いながら29本のプリッツを手渡した。 ……って、ちょっと待て? まだロールウィッツは29本という本数をメモしてない。 故に牡鹿が29本という数字を知るには、神次郎やロールウィッツの『ひひゃひゃひゃは語』を解読した、ということになる。 ――恐るべし、牡鹿啓介!    「ひふれ……。(訳:行くぜ)」 前述したとおり、150本を超えるには顎を外すしか方法は無い。 しかし、顎を外すというのは口で言うほど簡単ではなく、素人にできる技ではない。    「ひほうほにふいはら………ほろひゅんはんでッッ! 玄人になるまでのことォォッ!(素人に無理ならこの瞬間で玄人になるまでのことォォッ!)」 ロールウィッツは神次郎に習い、口から全てのプリッツを排出し、即座に口に手を入れ、関節をはがそうとする。    「うおおおおお……(ガツォっ)……らぁっ!」 恐るべしロールウィッツ・ウェンディエゴ! たった一回見ただけで顎外しを修得していた! だがしかし、ロールウィッツには喜んでいる余裕は無い! 早く吐き出したプリッツを拾い、更に27本のプリッツをいれなければならない! ロールウィッツは素早く空中に目を向け、最も低空を飛ぶプリッツに目を向け……目にプリッツが刺さったッ!    「でぃぃいい……ごおおおおおお!?」 まあ冷静に考えれば、物質を真上に放り投げれば真下に落ちる。 それなら目に刺さるのは当たり前なわけで。 無論、刺さった1本以外は床にダイブし、砕け散った。    「……私の勝ちだ、ロールウィッツ。」 口に入ったプリッツを吐き出し、自分のアゴ関節を入れてから、神次郎は言った。 ※競技後、プリッツは全て美味しく頂きました、唾液塗れだったけど。    「ロールウィッツ、貴様の敗因はただひとつだ。」 口元は唾液とプリッツの粉でベダベダだということを知ってか知らずか、神次郎は流し目でポーズを決める。    「貴様の相手は神次郎。     勇猛なるアメリカと屈強たるドイツの魂を併せ持つ男を父に持ち、     晩成たるジャパンと誇り高きチャイナの間に生まれた女を母とする男だった、というだけのことだ。」 ドイツ人の体格の男はアメリカ人の目鼻立ちで日本語を喋り、中国武術の関節外しの応用でロールウィッツのアゴを入れた    「バッカじゃねぇの?     4つの血を引く……クォーターだからってお前が強いわけじゃねぇ。     俺が負けたのはただ赤いだけの血になんかじゃない、神次郎ってレアハンターに負けたんだよ。」 賛辞以外の何物でもない言葉に対し、神次郎は眉をひそめて、彼には珍しく小さな声で呟いた。    「……『神次郎』という個人には生きている資格なんぞない。」    「……は?」    「私は――『あの人』と同じ血族の人間だ。 だから生きている。」 会話が要領を得ない、何を言いたいのだ? この男は?    「バッカじゃねぇの? 何があったかは知らねーけどよ、その会った事もねえ他人にこのロールウィッツ様は負けたんじゃねぇ。     何度でも言うぞ。 このロールウィッツ様は制々正念党七人衆・神次郎に負けたんだ。 異論は許さ―」 ロールウィッツが言い終わらないうちに神次郎は、入れたばかりのロールウィッツの下顎を鷲掴みにし、ゆったりと後頭部を壁に叩きつけた。    「――貴様がアメリカ人で無ければ殺しているところだ、ロールウィッツ・ウェンディエゴ。」 正確に後頭部を叩かれ、出血などはしていないもののロールウィッツは完全に意識を失っていた。    「……ゲームには勝った、奴のデッキから〔ヴァンパイア・ジェネシス〕を抜き取れ。」 歴然と言い放つ神に対し、大半の部下はデュエルディスクに向かうが……牡鹿啓介は神次郎へと歩み寄、睨み付けた。    「神次郎さん……いえ、神第五幹部、暴力は制々正念党では禁則事項です!」    「………引き上げるぞ。」 牡鹿の言葉には耳も貸さず、神次郎は部下達を残して部屋のドアへと向かっていった。    「神第五幹部! 僕はクラッシュクラーリネッドってロックバンドが好きでした!」 クラッシュクラーリネッドは5年前に解散するまで世界中を熱狂させたロックバンドで、牡鹿はそのファンクラブの支部長になるほどのファンだったりする。    「……。」    「そこのメインボーカルの『神次郎』って人はの声は今でも忘れられません!     大好きな実家のラーメン屋の広告のための歌だけを作詞して、ラーメンの味の宣伝を歌い続けて!」 意も解さず、神次郎はドアを開け、部下を置いて出て行った。    「……神次郎さん……。」 同時刻、別のホテルではエビエスが本領を発揮していた。     「このゲームには、以上の4つの勝利方法が存在しますが、どの戦術でも相手と互角。      それに加え、仮にその人物が正念党員ならば、〔無限の力〕や〔サイクロン・ブレイク〕などの強力カードが使える分、優位と言うことですからね。」 そこまで聞き、シグの脳裏に他のデュエリストから訊いたある噂話が蘇った。     「まさか……あなたは、あの『四界の王』ッ!?」     「――おや? 私は名乗り忘れていましたか、シグ・ゴールドさん。」 四つの勝利において常に優位に立ち、如何なるデュエリストにも負けない王者。 ――故にその名を『四界の王』、ただの都市伝説だと思われているデュエリストのひとりだ。 存在すら否定されていた『伝説のデュエリスト』と、自分は知らなかったとはいえ対峙している……この状況! 目の前に現れた都市伝説的なデュエリスト、四界の王のエビエスに対し、シグは……!     「オイシイ! オイシすぎる!」 両腕を広げ、テンションを高めて大笑いするシグ。     「『四界の王』ほどのデュエリストなら、倒すだけで名が上がる!      モチベーション上がるわァ~~~! ……鵜殿やロールウィッツのところより先にここに来てくれて感謝するわ。」 目を爛々と輝かせ、シグはネズミを狩るフクロウのような目でエビエスを見据えた。     「――疑問が尽きたようでしたらデュエルを続行いたします。      私は〔ウジャト眼を持つ男〕を攻撃表示で召喚し、効果を発動します。」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ウジャト眼を持つ男</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1600</Td><Td>DEF1600</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードを通常召喚した時と自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上にセットされているカード1枚を選択してめくり、確認した後元に戻す。 </Td></Table>) エビエスのフィールドに出現したローブを来た男は、シグの伏せカードに向けて額から怪光線を発射した。 そして、その光の中に薄っすらと浮かび上がるそのカードの絵柄。 シグの伏せカード:聖なるバリア-ミラーフォース-     「おやおや、これでは攻撃できませんね。      私は1枚のカードを伏せ、ターンエンドです(手札2・伏せ2)。」     「あたしのターン、カードを引くわ!(手札4)」 ドローカード:幽馬目撃     「ふふ、ナァーイス。      あたしは手札から〔幽馬目撃〕を発動し、デッキから〔カイザー・シーホース〕を特殊召喚する!」 &html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>幽馬目撃(ユーマモクゲキ)</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">デッキからレベル4以下の海竜族モンスター1体を自分のフィールド上に特殊召喚する。<BR>(この効果によって特殊召喚されたモンスターは、召喚ターンに攻撃宣言を行う事ができない。)(オリカ) </Td></Table>) &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>カイザー・シーホース</Td><Td>光属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1700</Td><Td>DEF1650</Td></Tr><Td ColSpan="6">光属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。 </Td></Table>)     「そして〔カイザー・シーホース〕を生贄に〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を生贄召喚!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>畏怖を纏し異父 テュポーン</Td><Td>光属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル10</Td><Td>ATK4000</Td><Td>DEF3800</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは特殊召喚できず、海竜族を生贄に含む生贄召喚でのみ通常召喚できる。<BR>手札の海竜族モンスター1体を墓地に送ることで相手のデッキの一番上のカードを確認し、デッキの1番下に戻す。<BR>確認したカードがモンスターカードだった場合、自分のフィールド上に「ジュニアトークン」(ドラゴン族 闇属性 星5 攻/守2300)1体を特殊召喚する。<BR>また、このカードと「ジュニアトークン」はめくったモンスターと同じ効果を得る。<BR>(この効果は1ターンに1度しか使用できない。)(オリカ)</Td></Table>)     「それでは、シグさんの召喚に合わせ、私は〔徴兵令〕を発動します。」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>徴兵令</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手のデッキの一番上のカードを1枚めくる。<BR>めくったカードが通常召喚可能なモンスターだった場合、自分フィールド上に特殊召喚する。<BR>それ以外のカードだった場合、そのカードを相手の手札に加える。 </Td></Table>) 徴兵令の存在は、もちろんシグの想定の範囲内だが……、 まさか、ここで発動するとはシグは思っていなかった。 この発動、実はシグの方が利が大きい。     「そのカードをこんなタイミングで発動するとはね、四界の王、あんたデッキを使いこなせてないわ。      〔徴兵令〕は相手のデッキの一番上を確認してから使うのが定石……いくら〔テュポーン〕相手に焦ったといってもそれはないわ。」     「御託を並べる暇があるなら、手早くデッキの上を確認してくれませんか?」 焦りにも見える緩急のない口調で、エビエスが静かに薦める。     「はいはい、それではデッキの上のカードを確認するわ。」 笑顔のままデッキの上のカードを確認し……エビエスにかざした。 デッキトップ:畏怖を纏し異父 テュポーン     「〔テュポーン〕はモンスターだけど特殊召喚はできない……、      よって、〔徴兵令〕の効果であたしの手札に加わるッッ!」 徴兵令は、運がよければ相手の切り札モンスターをも一瞬で奪い取れる強力なカードではあるが、 何らかの方法で相手のデッキを知らなければ、今のエビエスのように逆に敵に塩を送る展開も珍しくないのだ。 ――それにしても、驚くべきはシグのデッキ、正念党幹部が動くほどのアカードである〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を複数所持していたとは。 畏怖を纏し異父 テュポーン:デッキトップ→シグの手札     「まだまだァッ! 私は今手札に加えた〔テュポーン〕を墓地に送って、フィールドの〔テュポーン〕の効果を発動!      あなたのデッキの一番上のカードがモンスターカードだった場合、そのカードト同じ効果を持つ〔ジュニアトークン〕を特殊召喚するわ!」     「しかし、私のデッキトップが魔法や罠だった場合、貴女はカードを1枚捨て損となってしまうのでは……?」     「何言ってるのよ、デッキトップは既に〔ネッシー〕で確認済み。      四界の王、あんたのデッキの1番上のカードは……魔法効果を受けない効果を持つモンスター、〔ガーディアン・ケースト〕!」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ガーディアン・ケースト</Td><Td>水属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK00</Td><Td>DEF00</Td></Tr><Td ColSpan="6">「静寂のロッド-ケースト」が自分のフィールド上に存在する時のみ、このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。<BR>このカードは魔法の効果を受けない。また、相手モンスターから攻撃対象にされない。</Td></Table>)     「おや、そうでしたね。 それでは私は罠カード、〔無謀な欲張り〕を発動します。」 &html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>無謀な欲張り</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">カードを2枚ドローし、以後自分のドローフェイズを2回スキップする。</Td></Table>) 一時は制限にも指定されていた中々強力な罠カードだが、今となっては中堅レベル。 使われて驚くカードであるはずもないのだが、なぜかシグの顔は歪んでいる。     「……んなッ!? あたしのデッキにそんなカードはないのに……?      ……四界の王は、相手のデッキを完全にコピーするんじゃないの!?」     「何度も言うようですが、私はあなたのデッキをコピーしたわけではありませんよ?      ……仮に、私が四界の王だったとしするならば、相手のデッキを知りった時点で、そのデッキのアンチカードも投入するのではないですか……?」 常識で考えれば、エビエス=四界の王の言うとおりである。 カードの効果でデッキの一番上の〔ガーディアン・ケースト〕をドローすれば、もちろんデッキの一番上のカードは〔ケースト〕ではなくなる。 つまり、この無謀な欲張りのカードは、相手のデッキトップの情報を武器にするシグ相手には、立派なアンチテーゼとなる。    「でも、『四界の王は、コピーデッキに九大レアを加えたデッキを使う』って情報は、     マウスコミューンでも扱われている情報で、あのマウスコミューンが誤報をするなんて……っ」 マウスコミューンとは、数ヶ月前にネット上に開設された情報サイトであり、 開設して1週間で、「本日・15時30分頃、アメリカ:ニューヨーク市の○○○ホテルにプロパガンダ・テロが発生するので、周囲の方はご注意を。」と報道し、的中したことから注目を浴びる。 その後に運営者を探そうと世界中が躍起になったが、チームの人数、国籍、リーダーのいずれも判明せず、謎の組織としてウェブ上に君臨している。 そんなサイトが、この四界の王については、アンチカードを使うという簡単な情報をつかめず、今も誤った情報を配信し続けているといえば、シグの反応も当然といえる。     「さぁて、ゲーム続行といきましょうか。      私は〔無謀の欲張り〕でカードを2枚ドローし、 チェーン1の〔テュポーン〕の効果処理と為ります。」 エビエス手札:2枚→4枚     「そして、新たなデッキの一番上のカードは……、      おそらく貴方のデッキにも入っていることでしょう、〔強欲なウツボ〕です。」     「な……!?」 &html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>強欲なウツボ</Td><Td>水属性</Td><Td>海竜族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK2300</Td><Td>DEF800</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードがフィールド上に存在する限り、このカードのコントローラーはこのカード以外のモンスターで攻撃宣言を行う事ができない。<BR>ターン終了時、自分のフィールド上に存在するモンスターの攻撃力を合計した数値の半分のダメージを受ける。<BR>また、このカードが相手プレーヤーに戦闘ダメージを与えた時、与えたダメージ分のライフポイントを回復する。(オリカ)</Td></Table>) 遅ればせながら、テュポーンが咆えた。 大地を揺るがし、全ての者に等しく恐怖を与える――はずなのだが、 この後に訪れる状況を考えれば、この力強さが滑稽以外の何物でもない。     「効果により、〔ジュニアトークン〕が貴女のフィールドに発生します。      そして、〔テュポーン〕の効果によって、〔ジュニアトークン〕と〔テュポーン〕自身が〔強欲なウツボ〕の効果を得ます。」 ジュニアトークン:無→シグのフィールド     「あ……あ………?」     「お気づきですね? 〔強欲なウツボ〕には『このカードのコントローラーはこのカード以外のモンスターで攻撃宣言を行う事ができない』と明記されていました。」 親子であるはずの二頭の大蛇は、お互いにエビエスのフィールドのモンスターを己の食料だと主張するようにフィールド上で牽制しあっている。     「うぅ、うううう?」     「その効果を父と子が、正しく双頭蛇のようにお互いに動きを封じあい、攻撃はできません。      そして、〔強欲なウツボ〕に更なる効果として、ターン終了時にフィールド上のモンスターの攻撃力の半分のダメージをコントローラーに与える効果があります。      貴女の場には攻撃力2000の〔ネッシー〕、2300の〔ジュニアトークン〕、4000の〔テュポーン〕、      よって受けるダメージは4150、それを親子がそれぞれ食べようとするならば、ダメージの総計は8300です。」     「そんなっ……あそこでエビエスが、〔徴兵令〕をプレイングミスで使っていなければ、こんなことには……!」 あの時、実はシグの手札には海竜族がなかった。 その為、あそこで徴兵令を使われさせしなければ、テュポーンの効果すら発動できなかったのだ。     「最初に申したはずですよね? 『デッキはシャッフルした方が良い』、と。」 その言葉の意味を把握出来なかったシグは、さきほど握り砕いて床に散らばったキラキラと光るピアスの破片を見て、ある可能性に気が付いた。 だが、そんなことができる人間がいるのか………いや、だが、それならば、エビエスの発言や、なぜ徴兵令を発動したのかも合点がいく。     「まさかとは思うけど、デッキを右手と左手で20枚ずつシャッフルしてる最中、      それぞれの山の1番下のカードを自分の手の平につけたピアスを鏡みたいに反射させて、デッキ内容を覚えた、とか……?」 ありえない。 確かに、この方法ならば、相手のデッキを完全に把握し、 しかも相手に渡した時点でデッキの順番も完全に思い通りであり、徴兵令で好きなカードを指定できただろう。 だがしかし、エビエスは20枚ずつに分けたデッキを、おおよそ0,5秒ごとに両方同時で一回シャッフルしていたので、 必然的に1秒間で約4枚のカードが表面に出てくるので、それを全て一回で正確に記憶するには、人並みはずれた記憶能力と動体視力が必要となる。 そんなことのできる人間が、いるはずがない。     「なななななななななんのことをいっ、言ってらっしゃるのか、この私には全ァァったく分ぁかりませんねぇっッッ!!!???」     「え、ウソ、図星?」     「分かりません、あなたの言葉をまったく理解できませんッ! それよりも早くターンを終了してくださいッッ!」     「……こんなわかりやすい相手に、どうしてマウスコミューンは誤情報なんかを……ターン、終了よ(手札2・伏せ1)。」 その瞬間、強欲なウツボの性質を受け継いだテュポーンとジュニアトークンが、同時に飼い主であるシグに襲い掛かった。 ――おそらく、シグ・ゴールド人生初となる自分の切り札モンスターたちによるワンターンキルだ。 シグ:LP7200→LP3050→LP0     「それでは、〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を頂戴いたします。」     「……っっ!」 2分で作った即席デッキ、しかも自分自身のミラーに、人並みはずれたトンデモ技を使われた満足とは程遠い敗北……、 自暴自棄になってか、シグは商売道具であるデュエルディスクをエビエスへと思いっきり投げ付けた。     「確かに頂戴しました。      では、私はこれにて失礼致します。」 フレスビーのように飛んできたデュエルディスクを右手一本で受け止め、 墓場とフィールドから、ちゃっかりと2枚の〔畏怖を纏し異父 テュポーン〕を抜き取った。 (賭ける枚数について、事前に話していないのがポイント。) エビエスは懐にカードをしまい、床をギシギシと呻かせながら入ってきたドアから自然な動作で出て行った。 ホテルから抜け出したエビエスの腕には、改造デュエルディスク『学(マナ)』が輝いていた。 改造デュエルディスク『学(マナ)』。 デュエルディスク職人、列効二封気から&html(<ruby><rb>灸焔<rt>きゅうえん)&html(<ruby><rb>灸<rt>やいと)へと譲渡され、その後エビエスの手元に渡ってきた改造デュエルディスク。 能力は、専用の台紙カードに高速でカードイラストを印刷するカード偽造。 しかし、コピーカードとしてのクオリティは低く、デュエルディスクのカードセンサーにギリギリカードと認証される程度で、 1度でもデュエルディスクの特殊な電気信号を浴びるとインクが剥離してボロボロになる使い捨てのコピーカード。  その為、売買はできず、灸焔ヤイト以外の人間では持っていても特に意味のないデュエルディスクであった。 [[前へ戻る。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/165.html]] [[次へ進む。>http://www11.atwiki.jp/84gzatu/167.html]] [[遊義皇トップへ>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/12.html]] [[小説置き場に戻る>http://www12.atwiki.jp/wahamuda84g/5.html]]

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