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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">フォウズ・B・ウノンテ氏(94)自殺?<BR>アメリカで大手シェアを誇る株式企業、「ウノンテソーセージ」の社長、ウノンテ氏の遺体が昨晩発見された。<BR>氏はウノンテソーセージの所有するビルの屋上から落下したとされているが、氏は車椅子無しできないにも関わらず、<BR>飛び降りたとされる屋上に車椅子はなく、(車椅子は社長室と自宅に1台ずつ有った。)<BR>自殺であるはずがないが、廊下の防犯カメラには誰の姿も映っていなかった。<BR>以上、一犯新聞より抜粋。<BR></Td></Table>)
(壱華視点)
私はクソ寒い秋の夕暮れ、明日には帰ると思われるクロックのイカサマを見極める為に刀都屋へ訪れた。
だが、刀都屋前には見覚えの無いベンツ、 この村に業務用トラック以外の車が有ったのか?
気配を断ち、刀都屋のシャッター前に行って立ち聞き…デュエルするらしい……面白そうだ。
数分後、ゾンバイアと冥界の使者の戦闘後。
(二封気視点)
巳式ドローフェイズ、ドロー前。
二封気:LP8000 手札手札4枚 巳式:LP7500 手札4枚(1枚は異次元トレーナー)
場:ダーク・ヒーロー ゾンバイア 伏せ0 場:無し 伏せ1
…さてさて、〔暴政〕が破壊された今、巳式のコンボを防げるかどうかは分からないな、全く反則だなアレは。
「カードを1枚引き、(手札5枚)私は〔異次元トレーナー〕を攻撃表示で召喚します。」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>異次元トレーナー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル1</Td><Td>ATK100</Td><Td>DEF2000</Td></Tr><Td ColSpan="6">異次元に吸い込まれてしまった哀れなゴブリン、しかし、今新たな向かって日々努力している。</Td></Table>)
次元の狭間から場に、眼帯を付けたゴブリンを背中に乗せた奇形モンスターが泣きながら出現した…攻撃表示?
「あぁー、守備力が2000有るのに攻撃表示だぁ? 嘗めてんのか?」
「良いんですよ、私は伏せカード〔同姓同名同盟〕を使います。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>同姓同名同盟</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に表側表示で存在するレベル2以下の通常モンスター1体を選択して発動する。<BR>自分のデッキから選択したカードと同名のカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。 </Td></Table>)
さっきの奇形モンスターと同じ様に2体のモンスターが続き出現する。
デッキ→異次元トレーナー×2、巳式の場に特殊召喚。
「この狂獣のように貴方にも泣いてもらいます! 〔トライアングルパワー〕を2枚使います!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>トライアングルパワー</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に表側表示で存在する全てのレベル1通常モンスター(トークンを除く)の元々の攻撃力と守備力は2000ポイントアップする。<BR>エンドフェイズ時に自分フィールド上に存在するレベル1通常モンスターを全て破壊する。</Td></Table>)
二重に出現したピラミッド型立体の下で、狂獣はゴブリンの支持の下、筋肉を苛め抜き、腕や足を磨き上げる!
異次元トレーナー×3 攻撃力100・守備力2000→攻撃力2100 守備力4000→攻撃力4100・守備力6000
「あぁー、3体の総攻撃力は余裕で8000オーバー、凄いな。」
「アハハハハ、もし〔暴政〕が有れば止められたかも知れませんが残念でしたね! 〔異次元トレーナー〕で〔ゾンバイア〕を攻撃!」
いかに死神の肉体を持つゾンバイアといえども狂獣の鍛え抜かれた足腰から繰り出されるタックルには耐え切れず、破壊された。
〔異次元トレーナー〕(攻撃力4100)VS(攻撃力1900)〔ダーク・ヒーロー ゾンバイア〕→ゾンバイア、破壊・墓地へ、二封気LP8000→LP5800
「この瞬間…手札から〔ノロボ ー〕を発動!」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ノロボー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK100</Td><Td>DEF100</Td></Tr><Td ColSpan="6">コントローラーがライフにダメージを受けた時、手札からこのカードを捨てる事ができる。<BR>捨てたターンのエンドフェイズまでコントローラーはダメージを受けない。(オリカ)</Td></Table>)
ダメージを感知し、俺の手札から小さな悪魔がフィールドに降り立つ。
「な、なんですか、そのカードは!?」
「こいつはとろい〔クリボ ー〕の中でも特に遅くてな、
ダメージを止めるのも受けてから、効果が消えるのもターンが終了してからだ。」
二封気LP5800→5800→5800
「前にホーティックの1キル対策用に入れたソレ、まだ入れてたのか?」
クロックは懐かしそうにノロボーを見ている。
「俺のデッキはゴツイモンスターが多いから、マスコット代わりに入れっぱなしだったんだが
最強コンボも止められたし、結果オーライだ。」
コンボの不成立に落胆するかと思ったが、巳式の表情にはまだ余裕がある……いや、逆に力がみなぎっている!?
「私はターンを終了する前にフィールド上の3体の〔トレーナー〕を生贄に捧げ、〔幻魔皇 ラビエル〕を特殊召喚します。」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>幻魔皇ラビエル</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル10</Td><Td>ATK4000</Td><Td>DEF4000</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは通常召喚できない。<BR>自分フィールド上に存在する悪魔族モンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。<BR>相手がモンスターを召喚する度に、自分フィールド上に「幻魔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守1000)を1体特殊召喚する。<BR>このトークンは攻撃宣言を行う事はできない。<BR>1ターンに1度だけ自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる事で、<BR>このターンのエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの元々の攻撃力分アップする。 </Td></Table>)
三匹の悪魔を礎とし、蒼き悪魔がフィールドに降り立つ!
「更に第3のパワードカード、〔無限の力〕を装備し、ターンエンド!(手札1枚・伏せ0枚)。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>無限の力</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードを装備したモンスターは魔法・罠・モンスターの効果を受けず、攻撃力・守備力を2000ポイントアップする。(オリカ)</Td></Table>)
幻魔皇 ラビエル 攻撃力4000・守備力4000→攻撃力6000・守備力6000
「あぁー、〔トライアングルパワー〕のデメリットを生贄と言う手段で中和、
更に〔無限の力〕で除去効果を遮断し、ダメ押しで攻撃力アップ
…〔無限の力〕を除去るか攻撃力6000以上を叩き出す、難しいな。」
冷静に状況を考察するクロックを横目に、俺は〔無限力〕に強い憤りを感じていた。
「巳式つったか、…面白くないぞ、そのカード。」
「……でしょうね、貴方にとっては。」
「それより二封気! 思考時間がなくなるぞ! 早くカードを引け!」
クロックの言うとおり思考時間3分が減っていくが、そんな事は気にしない。
「カードは基本的に2種類、『使っても使われても楽しいカード』と『使っても使われても盛り下がるカード』だ、
そして〔無限の力〕は明らかに後者、魔法・罠の除去カードが無い時はどうしようもなく、
運というプレイヤーに関与し難く、ほとんどのリスク無しに理不尽すぎる魔・罠・効果への対抗能力を持つ、クソカードだ。」
「…で? 貴方が〔無限の力〕を除去できない言い訳ですか?」
「確かに俺の手札に〔無限の力〕を除去する手段は無いが、ドロー(手札4枚)!
コイツがある!俺は手札から〔デビル・フランケン〕を通常召喚!」
俺の自慢のノーマルカードを見た途端、巳式がいきなり笑い出した。
「アハハハハハハハハハ! 確かに融合モンスターには魔法や罠の除去・無効能力を持つモンスターも有る!
でも〔無限の力〕を無効に出来たとしても攻撃力4000のラビエルには勝てない、
更にこの瞬間、〔ラビエル〕の効果によって〔幻魔トークン〕が生まれ、私の防御を固める!」
無→巳式の場、幻魔トークン
「関係ないな、俺は〔デビル・フランケン〕の効果で、〔青眼の究極竜〕を特殊召喚する。」
機械人間は大量のライフを召喚エネルギーに転化し、そのエネルギーを立体に作り出した。
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>デビル・フランケン</Td><Td>闇属性</Td><Td>機械族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK700</Td><Td>DEF500</Td></Tr><Td ColSpan="6">5000ライフポイントを払い、自分の融合デッキから融合モンスター1体をフィールド上に攻撃表示で特殊召喚する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン)</Td><Td>光属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK4500</Td><Td>DEF3800</Td></Tr><Td ColSpan="6">「青眼の白龍」+「青眼の白龍」+「青眼の白龍」</Td></Table>)
二封気LP5800→二封気LP800
融合デッキ→二封気の場、青眼の究極竜
「究極の名を持つドラゴンとはいえ〔無限の力〕を持つ〔ラビエル〕には届きませんよ?」
「届かないなら質を変える、〔突然変異〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>突然変異</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のフィールド上モンスター1体を生け贄に捧げる。<BR>生け贄に捧げたモンスターのレベルと同じレベルの融合モンスターを融合デッキから特殊召喚する。 </Td></Table>)
青眼の究極竜→墓地へ。
融合デッキ→二封気の場、真紅眼の守護竜
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>真紅眼の守護竜(レッドアイズガーディアンドラゴン)</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル11</Td><Td>ATK3800</Td><Td>DEF4500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「真紅眼の黒竜」+「真紅眼の黒竜」+「真紅眼の黒竜」(オリカ)</Td></Table>)
「あぁー、質もさほど変わってないぞ、二封気。」
「アハハハ…ゲフゥガフォ!」
笑って腹筋を押さえて倒れ付す巳式…良いんだよ、これで。
「クロック! お前に貰ったカードを使うぜ!
手札から〔龍の鏡〕 を発動し、墓地の〔青眼〕と場の〔真紅眼〕を融合して〔十二眼の暴攻竜〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>龍の鏡</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、<BR>ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする) </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>十二眼の暴攻竜(ツウェルブアイズ・バスタードラゴン)</Td><Td>地属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK6500</Td><Td>DEF6000</Td></Tr><Td ColSpan="6">「青眼の究極竜」+「真紅眼の守護竜」<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できず、このカードの融合召喚に成功した場合、カードを3枚ドローする。(オリカ)</Td></Table>)
青眼の究極竜・真紅眼の守護竜→除外
融合デッキ→二封気の場、十二眼の暴攻竜
二封気→3枚ドロー
「ハハハハハハハハハ…え?」
空間の狭間から灰色の巨大な塊が降り立った…首こそは3本だが、
それぞれの頭部は、融合前の火炎の真紅・海の群青の瞳を2つずつを闘志と共に受け継いでいる。
「あぁー、超えたなぁ、攻撃力、さすがは元オレのカード、ってところか?」
「〔十二眼〕の効果で3枚引き、〔融合〕を発動して、
場の〔十二眼〕と手札の〔カオス・ソルジャー〕を〔融合〕し――創始界竜総督だ。」
灰色の巨体は分解し、混沌の剣士に青い装飾の付いた白い鎧と、真紅の刃の黒い剣として収束する。
融合デッキ→二封気の場、創始界竜総督
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>融合</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">決められたモンスターとモンスターを融合させる。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>創始界竜総督(ドラゴンアドミラル・オブ・ジェネシス)</Td><Td>光属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK8000</Td><Td>DEF8000</Td></Tr><Td ColSpan="6">「カオス・ソルジャー」+「十二眼の暴攻竜」<BR>「青眼の究極竜」+「黒炎防護戦士」<BR>「真紅眼の守護竜」+「究極竜騎士」<BR>このカードは融合召喚でしか召喚できず、上記の3組の内の1つを融合しなければならない。<BR>またこのカードのコントローラーのターン中、このカード以外の全てのカードの攻撃力・守備力は0となり、効果は無効となる。<BR>(このカードは自分のスタンバイフェイズに融合デッキに戻る。)(オリカ)</Td></Table>)
「…んな…第三形態で攻撃力8000!?」
「驚いて欲しいのは何も無い状態から1ターンで第3形態まで融合したって事とこいつの能力なんだがな。」
フィールドに創始世界を総べる龍戦士が降り立った瞬間、
三幻魔のラビエル含む全てのモンスターがまるで見えない重りを背負うように跪いた。
「全てのモンスターは、本能的に〔総督〕との格差を理解し、己の護身や無限の力すらも放棄して、自ら首を献上し、攻守は0と為る!」
幻魔皇 ラビエル 攻撃力6000 守備力6000→攻撃力0 守備力0
デビル・フランケン 攻撃力700 守備力500→攻撃力0 守備力0
幻魔トークン 攻撃力1000 守備力1000→攻撃力0 守備力0
「…く…。」
「そして攻撃! アドミラルエグゼキューショナァアアア!」
大声で叫んだ必殺技名とは対照的に、総督はゆったりとした動作で跪くラビエルへと近づき、居合い切りのような姿勢で振り抜いた、
刃はすり抜けるように滑らかにラビエルの体を上下に寸断し、そのまま延長線上に立つ巳式のライフも等しく削る。
〔創始界竜総督〕(攻撃力8000)VS(攻撃力0)〔幻魔皇 ラビエル〕
→ラビエル、破壊・墓地へ、巳式LP7500→0
「俺の勝ちだな…あー、疲れた。」
俺は肩を回しながら、ディスクの電源を切る。
「あぁー、何度見ても凄いなぁ、お前の『超融合』、無限融合最弱でよくやるぜ。」
「さ…最弱!?」
「このカードゲームでは、どんなに凄まじい破壊力よりも、カード消費や安定性が重視されえるからな、
俺の無限融合は初期素材に最上級を使うから、破壊力は高く為るが、安定性はガタガタの最弱だ。」
「最弱に負けたのか…私は…。」
彼女はそのまま車に乗って去って行く…アレ?
ベンツから感じる気配は2つ…来る時は気付かなかったが、誰か乗ってたのか?
(クロック視点)
「あぁー、俺らも帰るか、酒も飲みたいしな。」
「それよりもクロック、シャモンは俺を戻すのを諦めないだろうし、次は…シャモン自身が来る筈だ。」
俺は少し考えてから首を縦に振った、イエス。
「あぁー、十中八九、シャモンが来るな…だが、それに勝てればなんとか…。」
「…無理だ…。」
「あぁー? 無理? どういう事だ?」
「…シャモンは俺より各段に強い。」
「あぁー、なるほど……っで、えええええ!?」
その時の俺は、いつものクールな俺からはイメージ出来ないほどのバカ面をしていたと思う、
二封気の現役時代からずっと正念党内では組織の二大巨頭として二封気・シャモンがいて、
その2人は互角とされていて、俺も今までそう思っていた。
「世界のプロ制度『星』で計るなら、俺が8と9の間ぐらいで、シャモンは……。」
「あぁー、オレが大体7ぐらいだが1や2なんて誤差だぞ、二封気と10回やれば3~5回は勝てるしな。」
「4~5ぐらいの星の差だったら奇跡を信じれるんだが…アイツの星は……20ぐらいだ。」
破顔一笑。
「んなドラゴンボールやブリーチの能力値みたいなインフレ数値が有るかァアアア!」
「無いだろうがシャモンの力を形容する数字はソレしかない、
俺と灸焔長男で、2対1でやっても勝てないんだからな。」
星の数は基本 的に合計値が同じならばそれでほぼ 互角とされている、
星8・5の二封気と星9の灸焔長男を合わせれば単純計算で17・5、
確かにそれが勝てなったならば「20」と言う数字も妥当かもしれないが納得は出来ない。
「で? どうするんだ? 選択肢は逃げるか、正念党に戻るか、だな。」
「…俺は戻るわけにはいかない。」
「だったらオレとしても味方できるかは微妙だな、
お前には自由にやって欲しいし、お前が主催のデュエル大会も見てみたいから、
本気の度合いによっては手伝いも出来るが、その内容が『飽きたから』とかクソみてぇな理由だったら・・・。」
言いながらデュエルディスクを構えるオレ。
「俺がお前を連れ戻す。
話せよ、事情を。」
「…クロックはそもそも正念党が何の組織か知ってるか?」
「あぁー? カード強奪組織だろ、グールズ以外の唯一の。」
「元々の正念党はグールズにカードが奪われたヤツに、
自己防衛の為に護身術・デュエルテクを教える組織なんだよ。」
「…嘘だろ?」
「いや、事実だ創設から数ヶ月の間だけだったけどな。」
「…それがなんで真逆のカードハント組織に為ったんだよ?」
「ある1人の正念党員が自分のカードを奪ったレアハンターを見つけた事で始まった、
グールズの完全な管理体制の中をどうやって情報を手に入れたのかは分からないが・・・、
そいつは『猩々鬼』…つまりオレの教えた武術とデュエルテクニックでリベンジを果たした。」
オレは次に何が起きたかを予想しながらも黙って二封気の言葉を聞いていた。
「その後も何人かが報復して、何人かは自分のレアカードを取り戻したが、正念党は完全にグールズを敵に回しちまった。」
「…ま、組織規模で奇襲されて、反撃しない、なんて温和な組織でも無いだろうしな、当然だ。」
「そして俺達は戦った、仲間を守る為に選択肢は無かったからな、
戦いの最中、俺達は作戦を立てて何とか戦っていたが、途中から戦力差が当然生じた。」
それはそうだろうな、敵はレアカードや強力カードが使い放題で…ってオイ、まさか……。
「無関係の人間からカードを奪い取る連中が出て来た…いや違うな、ほとんどがカードハントをするようになった。」
「あぁー、途中で予測できたよ。」
「組織が内部崩壊をする寸前で、
幸か不幸か当時グールズ内で、かなりの力を持っていた灸焔3兄弟がデュエルを仕掛けてきた。」
「…あぁー、そこからは知ってる、俺が入党したのはそこからだからな。」
当時は事情も知らず、とりあえず二封気を助ける一心だった、後悔は無いが若かったな、俺。
「あの事件とクロック・灸焔3兄弟の力も有ってなんとか耐えて、
その後に別組織の台頭等も有って何とか落ち着いた。」
「あぁー…メデタシメデタシじゃねえか、それでどうして抜けたんだ? 正念党を?
まさか今更、『ボ クはカードハントは怖いんです』なーんて言わないよな、レッドアイズ使いよぉ。」
あの3枚は成り行きとは言え、灸焔3兄弟とのデュエルでのアンティで奪ったカードであり、二封気の切り札だ。
「それは『コレ』の理由だ。」
言いながらデュエルディスクを指し、本題を告げた、
実に嘘臭い内容だったが、確かに辞めざるを得ない理由であり、手助けしてやりたい内容だった。
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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">フォウズ・B・ウノンテ氏(94)自殺?<BR>アメリカで大手シェアを誇る株式企業、「ウノンテソーセージ」の社長、ウノンテ氏の遺体が昨晩発見された。<BR>氏はウノンテソーセージの所有するビルの屋上から落下したとされているが、氏は車椅子無しできないにも関わらず、<BR>飛び降りたとされる屋上に車椅子はなく、(車椅子は社長室と自宅に1台ずつ有った。)<BR>自殺であるはずがないが、廊下の防犯カメラには誰の姿も映っていなかった。<BR>以上、一犯新聞より抜粋。<BR></Td></Table>)
(壱華視点)
私はクソ寒い秋の夕暮れ、明日には帰ると思われるクロックのイカサマを見極める為に刀都屋へ訪れた。
だが、刀都屋前には見覚えの無いベンツ、 この村に業務用トラック以外の車が有ったのか?
気配を断ち、刀都屋のシャッター前に行って立ち聞き…デュエルするらしい……面白そうだ。
数分後、ゾンバイアと冥界の使者の戦闘後。
(二封気視点)
巳式ドローフェイズ、ドロー前。
二封気:LP8000 手札手札4枚 巳式:LP7500 手札4枚(1枚は異次元トレーナー)
場:ダーク・ヒーロー ゾンバイア 伏せ0 場:無し 伏せ1
…さてさて、〔暴政〕が破壊された今、巳式のコンボを防げるかどうかは分からないな、全く反則だなアレは。
「カードを1枚引き、(手札5枚)私は〔異次元トレーナー〕を攻撃表示で召喚します。」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>異次元トレーナー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル1</Td><Td>ATK100</Td><Td>DEF2000</Td></Tr><Td ColSpan="6">異次元に吸い込まれてしまった哀れなゴブリン、しかし、今新たな向かって日々努力している。</Td></Table>)
次元の狭間から場に、眼帯を付けたゴブリンを背中に乗せた奇形モンスターが泣きながら出現した…攻撃表示?
「あぁー、守備力が2000有るのに攻撃表示だぁ? 嘗めてんのか?」
「良いんですよ、私は伏せカード〔同姓同名同盟〕を使います。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>同姓同名同盟</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に表側表示で存在するレベル2以下の通常モンスター1体を選択して発動する。<BR>自分のデッキから選択したカードと同名のカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。 </Td></Table>)
さっきの奇形モンスターと同じ様に2体のモンスターが続き出現する。
デッキ→異次元トレーナー×2、巳式の場に特殊召喚。
「この狂獣のように貴方にも泣いてもらいます! 〔トライアングルパワー〕を2枚使います!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>トライアングルパワー</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上に表側表示で存在する全てのレベル1通常モンスター(トークンを除く)の元々の攻撃力と守備力は2000ポイントアップする。<BR>エンドフェイズ時に自分フィールド上に存在するレベル1通常モンスターを全て破壊する。</Td></Table>)
二重に出現したピラミッド型立体の下で、狂獣はゴブリンの支持の下、筋肉を苛め抜き、腕や足を磨き上げる!
異次元トレーナー×3 攻撃力100・守備力2000→攻撃力2100 守備力4000→攻撃力4100・守備力6000
「あぁー、3体の総攻撃力は余裕で8000オーバー、凄いな。」
「アハハハハ、もし〔暴政〕が有れば止められたかも知れませんが残念でしたね! 〔異次元トレーナー〕で〔ゾンバイア〕を攻撃!」
いかに死神の肉体を持つゾンバイアといえども狂獣の鍛え抜かれた足腰から繰り出されるタックルには耐え切れず、破壊された。
〔異次元トレーナー〕(攻撃力4100)VS(攻撃力1900)〔ダーク・ヒーロー ゾンバイア〕→ゾンバイア、破壊・墓地へ、二封気LP8000→LP5800
「この瞬間…手札から〔ノロボ ー〕を発動!」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ノロボー</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK100</Td><Td>DEF100</Td></Tr><Td ColSpan="6">コントローラーがライフにダメージを受けた時、手札からこのカードを捨てる事ができる。<BR>捨てたターンのエンドフェイズまでコントローラーはダメージを受けない。(オリカ)</Td></Table>)
ダメージを感知し、俺の手札から小さな悪魔がフィールドに降り立つ。
「な、なんですか、そのカードは!?」
「こいつはとろい〔クリボ ー〕の中でも特に遅くてな、
ダメージを止めるのも受けてから、効果が消えるのもターンが終了してからだ。」
二封気LP5800→5800→5800
「前にホーティックの1キル対策用に入れたソレ、まだ入れてたのか?」
クロックは懐かしそうにノロボーを見ている。
「俺のデッキはゴツイモンスターが多いから、マスコット代わりに入れっぱなしだったんだが
最強コンボも止められたし、結果オーライだ。」
コンボの不成立に落胆するかと思ったが、巳式の表情にはまだ余裕がある……いや、逆に力がみなぎっている!?
「私はターンを終了する前にフィールド上の3体の〔トレーナー〕を生贄に捧げ、〔幻魔皇 ラビエル〕を特殊召喚します。」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>幻魔皇ラビエル</Td><Td>闇属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル10</Td><Td>ATK4000</Td><Td>DEF4000</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは通常召喚できない。<BR>自分フィールド上に存在する悪魔族モンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。<BR>相手がモンスターを召喚する度に、自分フィールド上に「幻魔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守1000)を1体特殊召喚する。<BR>このトークンは攻撃宣言を行う事はできない。<BR>1ターンに1度だけ自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる事で、<BR>このターンのエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの元々の攻撃力分アップする。 </Td></Table>)
三匹の悪魔を礎とし、蒼き悪魔がフィールドに降り立つ!
「更に第3のパワードカード、〔無限の力〕を装備し、ターンエンド!(手札1枚・伏せ0枚)。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>無限の力</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードを装備したモンスターは魔法・罠・モンスターの効果を受けず、攻撃力・守備力を2000ポイントアップする。(オリカ)</Td></Table>)
幻魔皇 ラビエル 攻撃力4000・守備力4000→攻撃力6000・守備力6000
「あぁー、〔トライアングルパワー〕のデメリットを生贄と言う手段で中和、
更に〔無限の力〕で除去効果を遮断し、ダメ押しで攻撃力アップ
…〔無限の力〕を除去るか攻撃力6000以上を叩き出す、難しいな。」
冷静に状況を考察するクロックを横目に、俺は〔無限力〕に強い憤りを感じていた。
「巳式つったか、…面白くないぞ、そのカード。」
「……でしょうね、貴方にとっては。」
「それより二封気! 思考時間がなくなるぞ! 早くカードを引け!」
クロックの言うとおり思考時間3分が減っていくが、そんな事は気にしない。
「カードは基本的に2種類、『使っても使われても楽しいカード』と『使っても使われても盛り下がるカード』だ、
そして〔無限の力〕は明らかに後者、魔法・罠の除去カードが無い時はどうしようもなく、
運というプレイヤーに関与し難く、ほとんどのリスク無しに理不尽すぎる魔・罠・効果への対抗能力を持つ、クソカードだ。」
「…で? 貴方が〔無限の力〕を除去できない言い訳ですか?」
「確かに俺の手札に〔無限の力〕を除去する手段は無いが、ドロー(手札4枚)!
コイツがある!俺は手札から〔デビル・フランケン〕を通常召喚!」
俺の自慢のノーマルカードを見た途端、巳式がいきなり笑い出した。
「アハハハハハハハハハ! 確かに融合モンスターには魔法や罠の除去・無効能力を持つモンスターも有る!
でも〔無限の力〕を無効に出来たとしても攻撃力4000のラビエルには勝てない、
更にこの瞬間、〔ラビエル〕の効果によって〔幻魔トークン〕が生まれ、私の防御を固める!」
無→巳式の場、幻魔トークン
「関係ないな、俺は〔デビル・フランケン〕の効果で、〔青眼の究極竜〕を特殊召喚する。」
機械人間は大量のライフを召喚エネルギーに転化し、そのエネルギーを立体に作り出した。
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>デビル・フランケン</Td><Td>闇属性</Td><Td>機械族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK700</Td><Td>DEF500</Td></Tr><Td ColSpan="6">5000ライフポイントを払い、自分の融合デッキから融合モンスター1体をフィールド上に攻撃表示で特殊召喚する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン)</Td><Td>光属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK4500</Td><Td>DEF3800</Td></Tr><Td ColSpan="6">「青眼の白龍」+「青眼の白龍」+「青眼の白龍」</Td></Table>)
二封気LP5800→二封気LP800
融合デッキ→二封気の場、青眼の究極竜
「究極の名を持つドラゴンとはいえ〔無限の力〕を持つ〔ラビエル〕には届きませんよ?」
「届かないなら質を変える、〔突然変異〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>突然変異</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のフィールド上モンスター1体を生け贄に捧げる。<BR>生け贄に捧げたモンスターのレベルと同じレベルの融合モンスターを融合デッキから特殊召喚する。 </Td></Table>)
青眼の究極竜→墓地へ。
融合デッキ→二封気の場、真紅眼の守護竜
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>真紅眼の守護竜(レッドアイズガーディアンドラゴン)</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル11</Td><Td>ATK3800</Td><Td>DEF4500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「真紅眼の黒竜」+「真紅眼の黒竜」+「真紅眼の黒竜」(オリカ)</Td></Table>)
「あぁー、質もさほど変わってないぞ、二封気。」
「アハハハ…ゲフゥガフォ!」
笑って腹筋を押さえて倒れ付す巳式…良いんだよ、これで。
「クロック! お前に貰ったカードを使うぜ!
手札から〔龍の鏡〕 を発動し、墓地の〔青眼〕と場の〔真紅眼〕を融合して〔十二眼の暴攻竜〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>龍の鏡</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、<BR>ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする) </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>十二眼の暴攻竜(ツウェルブアイズ・バスタードラゴン)</Td><Td>地属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK6500</Td><Td>DEF6000</Td></Tr><Td ColSpan="6">「青眼の究極竜」+「真紅眼の守護竜」<BR>このカードは融合召喚でしか特殊召喚できず、このカードの融合召喚に成功した場合、カードを3枚ドローする。(オリカ)</Td></Table>)
青眼の究極竜・真紅眼の守護竜→除外
融合デッキ→二封気の場、十二眼の暴攻竜
二封気→3枚ドロー
「ハハハハハハハハハ…え?」
空間の狭間から灰色の巨大な塊が降り立った…首こそは3本だが、
それぞれの頭部は、融合前の火炎の真紅・海の群青の瞳を2つずつを闘志と共に受け継いでいる。
「あぁー、超えたなぁ、攻撃力、さすがは元オレのカード、ってところか?」
「〔十二眼〕の効果で3枚引き、〔融合〕を発動して、
場の〔十二眼〕と手札の〔カオス・ソルジャー〕を〔融合〕し――創始界竜総督だ。」
灰色の巨体は分解し、混沌の剣士に青い装飾の付いた白い鎧と、真紅の刃の黒い剣として収束する。
融合デッキ→二封気の場、創始界竜総督
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>融合</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">決められたモンスターとモンスターを融合させる。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>創始界竜総督(ドラゴンアドミラル・オブ・ジェネシス)</Td><Td>光属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK8000</Td><Td>DEF8000</Td></Tr><Td ColSpan="6">「カオス・ソルジャー」+「十二眼の暴攻竜」<BR>「青眼の究極竜」+「黒炎防護戦士」<BR>「真紅眼の守護竜」+「究極竜騎士」<BR>このカードは融合召喚でしか召喚できず、上記の3組の内の1つを融合しなければならない。<BR>またこのカードのコントローラーのターン中、このカード以外の全てのカードの攻撃力・守備力は0となり、効果は無効となる。<BR>(このカードは自分のスタンバイフェイズに融合デッキに戻る。)(オリカ)</Td></Table>)
「…んな…第三形態で攻撃力8000!?」
「驚いて欲しいのは何も無い状態から1ターンで第3形態まで融合したって事とこいつの能力なんだがな。」
フィールドに創始世界を総べる龍戦士が降り立った瞬間、
三幻魔のラビエル含む全てのモンスターがまるで見えない重りを背負うように跪いた。
「全てのモンスターは、本能的に〔総督〕との格差を理解し、己の護身や無限の力すらも放棄して、自ら首を献上し、攻守は0と為る!」
幻魔皇 ラビエル 攻撃力6000 守備力6000→攻撃力0 守備力0
デビル・フランケン 攻撃力700 守備力500→攻撃力0 守備力0
幻魔トークン 攻撃力1000 守備力1000→攻撃力0 守備力0
「…く…。」
「そして攻撃! アドミラルエグゼキューショナァアアア!」
大声で叫んだ必殺技名とは対照的に、総督はゆったりとした動作で跪くラビエルへと近づき、居合い切りのような姿勢で振り抜いた、
刃はすり抜けるように滑らかにラビエルの体を上下に寸断し、そのまま延長線上に立つ巳式のライフも等しく削る。
〔創始界竜総督〕(攻撃力8000)VS(攻撃力0)〔幻魔皇 ラビエル〕
→ラビエル、破壊・墓地へ、巳式LP7500→0
「俺の勝ちだな…あー、疲れた。」
俺は肩を回しながら、ディスクの電源を切る。
「あぁー、何度見ても凄いなぁ、お前の『超融合』、無限融合最弱でよくやるぜ。」
「さ…最弱!?」
「このカードゲームでは、どんなに凄まじい破壊力よりも、カード消費や安定性が重視されえるからな、
俺の無限融合は初期素材に最上級を使うから、破壊力は高く為るが、安定性はガタガタの最弱だ。」
「最弱に負けたのか…私は…。」
彼女はそのまま車に乗って去って行く…アレ?
ベンツから感じる気配は2つ…来る時は気付かなかったが、誰か乗ってたのか?
(クロック視点)
「あぁー、俺らも帰るか、酒も飲みたいしな。」
「それよりもクロック、シャモンは俺を戻すのを諦めないだろうし、次は…シャモン自身が来る筈だ。」
俺は少し考えてから首を縦に振った、イエス。
「あぁー、十中八九、シャモンが来るな…だが、それに勝てればなんとか…。」
「…無理だ…。」
「あぁー? 無理? どういう事だ?」
「…シャモンは俺より各段に強い。」
「あぁー、なるほど……っで、えええええ!?」
その時の俺は、いつものクールな俺からはイメージ出来ないほどのバカ面をしていたと思う、
二封気の現役時代からずっと正念党内では組織の二大巨頭として二封気・シャモンがいて、
その2人は互角とされていて、俺も今までそう思っていた。
「世界のプロ制度『星』で計るなら、俺が8と9の間ぐらいで、シャモンは……。」
「あぁー、オレが大体7ぐらいだが1や2なんて誤差だぞ、二封気と10回やれば3~5回は勝てるしな。」
「4~5ぐらいの星の差だったら奇跡を信じれるんだが…アイツの星は……20ぐらいだ。」
破顔一笑。
「んなドラゴンボールやブリーチの能力値みたいなインフレ数値が有るかァアアア!」
「無いだろうがシャモンの力を形容する数字はソレしかない、
俺と灸焔長男で、2対1でやっても勝てないんだからな。」
星の数は基本 的に合計値が同じならばそれでほぼ 互角とされている、
星8・5の二封気と星9の灸焔長男を合わせれば単純計算で17・5、
確かにそれが勝てなったならば「20」と言う数字も妥当かもしれないが納得は出来ない。
「で? どうするんだ? 選択肢は逃げるか、正念党に戻るか、だな。」
「…俺は戻るわけにはいかない。」
「だったらオレとしても味方できるかは微妙だな、
お前には自由にやって欲しいし、お前が主催のデュエル大会も見てみたいから、
本気の度合いによっては手伝いも出来るが、その内容が『飽きたから』とかクソみてぇな理由だったら・・・。」
言いながらデュエルディスクを構えるオレ。
「俺がお前を連れ戻す。
話せよ、事情を。」
「…クロックはそもそも正念党が何の組織か知ってるか?」
「あぁー? カード強奪組織だろ、グールズ以外の唯一の。」
「元々の正念党はグールズにカードが奪われたヤツに、
自己防衛の為に護身術・デュエルテクを教える組織なんだよ。」
「…嘘だろ?」
「いや、事実だ創設から数ヶ月の間だけだったけどな。」
「…それがなんで真逆のカードハント組織に為ったんだよ?」
「ある1人の正念党員が自分のカードを奪ったレアハンターを見つけた事で始まった、
グールズの完全な管理体制の中をどうやって情報を手に入れたのかは分からないが・・・、
そいつは『猩々鬼』…つまりオレの教えた武術とデュエルテクニックでリベンジを果たした。」
オレは次に何が起きたかを予想しながらも黙って二封気の言葉を聞いていた。
「その後も何人かが報復して、何人かは自分のレアカードを取り戻したが、正念党は完全にグールズを敵に回しちまった。」
「…ま、組織規模で奇襲されて、反撃しない、なんて温和な組織でも無いだろうしな、当然だ。」
「そして俺達は戦った、仲間を守る為に選択肢は無かったからな、
戦いの最中、俺達は作戦を立てて何とか戦っていたが、途中から戦力差が当然生じた。」
それはそうだろうな、敵はレアカードや強力カードが使い放題で…ってオイ、まさか……。
「無関係の人間からカードを奪い取る連中が出て来た…いや違うな、ほとんどがカードハントをするようになった。」
「あぁー、途中で予測できたよ。」
「組織が内部崩壊をする寸前で、
幸か不幸か当時グールズ内で、かなりの力を持っていた灸焔3兄弟がデュエルを仕掛けてきた。」
「…あぁー、そこからは知ってる、俺が入党したのはそこからだからな。」
当時は事情も知らず、とりあえず二封気を助ける一心だった、後悔は無いが若かったな、俺。
「あの事件とクロック・灸焔3兄弟の力も有ってなんとか耐えて、
その後に別組織の台頭等も有って何とか落ち着いた。」
「あぁー…メデタシメデタシじゃねえか、それでどうして抜けたんだ? 正念党を?
まさか今更、『ボ クはカードハントは怖いんです』なーんて言わないよな、レッドアイズ使いよぉ。」
あの3枚は成り行きとは言え、灸焔3兄弟とのデュエルでのアンティで奪ったカードであり、二封気の切り札だ。
「それは『コレ』の理由だ。」
言いながらデュエルディスクを指し、本題を告げた、
実に嘘臭い内容だったが、確かに辞めざるを得ない理由であり、手助けしてやりたい内容だった。
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