84pの小説
遊義皇23話(前)
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84gzatu
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以前はバイパス道路として幅広く使われていた行きと帰りの二車線しかない国道。
今はもっと便利な片道四車線の道ができ、日付が変わる頃には利用者は皆無と云っていい。
横断歩道を通る人間も少なく、まして歩道橋といえば出番はないのだが、今晩は違った。
今はもっと便利な片道四車線の道ができ、日付が変わる頃には利用者は皆無と云っていい。
横断歩道を通る人間も少なく、まして歩道橋といえば出番はないのだが、今晩は違った。
「さて、それでは最後に…〔グローアップ・バルブ〕と〔ジェネティック・ウーマン〕をシンクロ。
〔A・O・J カタストル〕ですが、何かチェーンは?」
「…あ?」
「神成さま、優先権の確認です」
「ああ、いいよ、何もしねえ」
〔A・O・J カタストル〕ですが、何かチェーンは?」
「…あ?」
「神成さま、優先権の確認です」
「ああ、いいよ、何もしねえ」
寂びれた歩道橋の上で繰り広げられているデュエルは、どこか覇気が感じられない。
対戦中のデュエリストのひとり、神成鏡真のどこを見ているのか判らない定まらない視点は、なにを考えているのかすらわからず、ただ気だるそうにデュエルディスクを操作する。
対戦中のデュエリストのひとり、神成鏡真のどこを見ているのか判らない定まらない視点は、なにを考えているのかすらわからず、ただ気だるそうにデュエルディスクを操作する。
「…さて、神成鏡真様。
私、ティマイレ・ハーヴェスのサイキックシンクロ戦術は…あなた様の真・サイバー流に見劣るものでしょうか?」
私、ティマイレ・ハーヴェスのサイキックシンクロ戦術は…あなた様の真・サイバー流に見劣るものでしょうか?」
ティマイレ・ハーヴェス
- LP:7000
- 手札3
- モンスター:〔スターダスト・ドラゴン〕〔ナチュル・ランドオルス〕〔トライデント・ドラギオン〕〔A・O・J カタストル〕
- 魔法・罠:脳開発研究所(カウンター2)、幽体離脱、伏せ
神成鏡真
- LP:8000
- 手札4
- モンスター:〔サイバー・オーガ〕〔綿毛トークン〕〔綿毛トークン〕
- 魔法・罠:伏せ 伏せ
スターダスト・ドラゴン | 風属性 | ドラゴン族 | レベル8 | ATK2500 | DEF2000 |
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上:「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。 この効果を適用したターンのエンドフェイズ時、この効果を発動するためにリリースされ墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。 |
トライデント・ドラギオン | 炎属性 | ドラゴン族 | レベル10 | ATK3000 | DEF2800 |
ドラゴン族チューナー+チューナー以外のドラゴン族モンスター1体以上:このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。 このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分フィールド上に存在するカードを2枚まで破壊する事ができる。 このターンこのカードは通常の攻撃に加えて、このカードの効果で破壊した数だけ1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。 |
A・O・J カタストル | 闇属性 | 機械族 | レベル5 | ATK2200 | DEF1200 |
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上:このカードが闇属性以外のモンスターと戦闘を行う場合、 ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。 |
ナチュル・ランドオルス | 地属性 | 岩石族 | レベル7 | ATK2350 | DEF1600 |
地属性チューナー+チューナー以外の地属性モンスター1体以上:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 手札の魔法カード1枚を墓地へ送る事で、効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。 |
脳開発研究所 | フィールド魔法 | ||
このカードがフィールド上に存在する限り、通常召喚に加えて1度だけサイキック族モンスター1体を召喚する事ができる。 この方法でサイキック族モンスターの召喚に成功した時、このカードにサイコカウンターを1つ置く。 また、自分フィールド上に存在するサイキック族モンスターの効果を発動するためにライフポイントを払う場合、代わりにこのカードにサイコカウンターを1つ置く事ができる。 このカードがフィールド上から離れた時、このカードのコントローラーはこのカードに乗っているサイコカウンターの数×1000ポイントダメージを受ける。 |
幽体離脱(アストラル・トリップ) | 永続罠 | ||
500ライフポイントを払い、フィールド上のサイキック族を選択して以下の効果を適応する。 ●指定したモンスターがチューナーではない場合、そのモンスターがフィールド上に表側表示で存在する限り、チューナーとして扱う。 ●指定したモンスターがチューナーだった場合、そのモンスターがフィールド上に表側表示で存在する限り、チューナーとは扱われない。 この効果は1ターンに3回までしか使用できない。 |
サイバー・オーガ | 地属性 | 機械族 | レベル5 | ATK1900 | DEF1200 |
このカードを手札から墓地に捨てる。 自分フィールド上に存在する「サイバー・オーガ」1体が行う戦闘を1度だけ無効にし、 さらに次の戦闘終了時まで攻撃力は2000ポイントアップする。 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。 |
「えーっと…あんたさあ、えーっと…」
「ティマイレです、ティマイレ・ハーヴェス」
「俺、メンドーなのとか嫌いなんだよね。
だから最後まで諦めないでデュエルとかか根性丸出しなのとかイヤでさァ。
サレンダーとかなにが悪いの? って系の人なんだよね」
「ティマイレです、ティマイレ・ハーヴェス」
「俺、メンドーなのとか嫌いなんだよね。
だから最後まで諦めないでデュエルとかか根性丸出しなのとかイヤでさァ。
サレンダーとかなにが悪いの? って系の人なんだよね」
ティマイレの脳内からは、ゲームが始まってからひとつのクエスチョンマークが消えなかった。
今回の正念党の始めた“テロ大会”では、ティマイレのような七人衆に次ぐ実力者と戦うには星4~5クラスのメンバーをデュエルで倒さねばならないルール。
つまり、目の前の神成という男は正念党の主力メンバーを倒し、自分に挑んでいることになる。
名門:サイバー流の分家である真・サイバーという流派の党首というが、こんな男に代表が勤まるというのが輪をかけて胡散臭い。
今回の正念党の始めた“テロ大会”では、ティマイレのような七人衆に次ぐ実力者と戦うには星4~5クラスのメンバーをデュエルで倒さねばならないルール。
つまり、目の前の神成という男は正念党の主力メンバーを倒し、自分に挑んでいることになる。
名門:サイバー流の分家である真・サイバーという流派の党首というが、こんな男に代表が勤まるというのが輪をかけて胡散臭い。
「それでは神成さま、サレンダーをどうぞ]
「…俺さあ、理解力が残念な人って嫌いなんだよね、二度も三度も説明させるからさ…」
「は?」
「俺が勝つからサレンダーしてもいいぞ、っつってんでしょうがよ。
伏せカード発動〔鬼ヶ道〕…発動だ、理解力の低いアンタのためにもう一回云ってやると、発動だよ」
「…俺さあ、理解力が残念な人って嫌いなんだよね、二度も三度も説明させるからさ…」
「は?」
「俺が勝つからサレンダーしてもいいぞ、っつってんでしょうがよ。
伏せカード発動〔鬼ヶ道〕…発動だ、理解力の低いアンタのためにもう一回云ってやると、発動だよ」
鬼ヶ道(オーガ・バイロード) | 通常罠 | ||
。フィールド上の「サイバー」と名の付くモンスター1体をリリースして発動する。 自分の手札からリリースしたモンスターのレベル+3以下のレベルの「オーガ」と名の付くモンスター1体を召喚条件を無視して通常召喚する。 |
瞬間的に〔サイバー・オーガ〕の体が分解、そして神成の手札へと繋がるジェラルミンの道として建設される。
その道を、鉄の花道を1体のモンスターが歩いてくる。
その道を、鉄の花道を1体のモンスターが歩いてくる。
「長い名前だから一度しか云ってやらないぞ、〔キメラテック・バリスティック・オーガ〕…召喚だ」
キメラテック・バリスティック・オーガ | 地属性 | 機械族 | レベル8 | ATK2000 | DEF2500 |
このカードは通常召喚できず、「キメラテック・バリスティック・オーガ」の効果以外で特殊召喚できない。 このカードを手札から捨てることで、手札または墓地に存在するこのカードの同名カードを特殊召喚する。 また、フィールド上の任意の機械族モンスターをリリースする事で、次の戦闘終了時までリリースしたモンスターの数×1000ポイント攻撃力がアップする。 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。 |
シルバーメタリックな球体ボディに、深夜でなければ空が移りこんだと思うような青を帯びて、真ん丸の胴体に一本角の頭を生やした巨体、それが神成の切り札だった。
「攻撃力2000…弱くはないが強くもない、そんな数字に感じますが?
攻撃力上昇の効果は有っても、あなたのフィールドには機械族なんて1体も居ませんし、ね」
「あんたさ、学校の先生とか親から、もうちょっと自分の考えを持てって云われなかったか?
伏せカードオープン、〔DNA改造手術〕ね、指定するのは機械族…」
攻撃力上昇の効果は有っても、あなたのフィールドには機械族なんて1体も居ませんし、ね」
「あんたさ、学校の先生とか親から、もうちょっと自分の考えを持てって云われなかったか?
伏せカードオープン、〔DNA改造手術〕ね、指定するのは機械族…」
DNA改造手術 | 永続罠 | ||
発動時に1種類の種族を宣言する。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の全ての表側表示モンスターは自分が宣言した種族になる。 |
「ああ、なるほど、それで〔綿毛トークン〕を機械族にする作戦ですか…。
ただどれだけパワー上げても〔カタストル〕の前では無力。
それでも一応、〔ツイスター〕を手札から使わせていただきます」
ただどれだけパワー上げても〔カタストル〕の前では無力。
それでも一応、〔ツイスター〕を手札から使わせていただきます」
ツイスター | 速攻魔法 | ||
500ライフポイントを払って発動する。フィールド上に表側表示で存在する魔法または罠カード1枚を破壊する。 |
ティマイレ:LP7000→LP6500
「…だからさあ、そういう無駄なことするの、やめてもらえねぇかなぁ…。
〔悪魔の手鏡〕で〔ツイスター〕を〔脳開発研究所〕にズラすわ」
〔悪魔の手鏡〕で〔ツイスター〕を〔脳開発研究所〕にズラすわ」
悪魔の手鏡 | 通常罠 | ||
フィールド上の魔法・罠カード1枚を対象に発動した相手の魔法を、別の正しい対象に移し替える。 |
脳開発研究所:破壊、墓地へ。
ティマイレ:LP6500→LP4500(〔脳開発研究所〕の効果)
ティマイレ:LP6500→LP4500(〔脳開発研究所〕の効果)
神成は無駄な解説をしたがらないが、〔悪魔の手鏡〕はそれ自体が破壊能力をもつわけではないので、〔スターダスト・ドラゴン〕の系列のカードでは妨害できない。
よって、〔DNA〕には〔ツイスター〕はとどかない。
よって、〔DNA〕には〔ツイスター〕はとどかない。
スターダスト・ドラゴン:ドラゴン族→機械族
ナチュル・ランドオルス:岩石族→機械族
トライデント・ドラギオン:ドラゴン族→機械族
綿毛トークン:植物族→機械族
綿毛トークン:植物族→機械族
ナチュル・ランドオルス:岩石族→機械族
トライデント・ドラギオン:ドラゴン族→機械族
綿毛トークン:植物族→機械族
綿毛トークン:植物族→機械族
「…一回だけ説明してやる。『バリスティック』ってマジギレとかそんな意味で、キメラテックって云ったらどういう意味か、判らないかなァ…?」
「? なにが…」
「…ああ、マジで教えられないと何も考えられない系かよ、いいよ、もう…。
食べ尽くせ、〔バリスティック・オーガ〕」
「? なにが…」
「…ああ、マジで教えられないと何も考えられない系かよ、いいよ、もう…。
食べ尽くせ、〔バリスティック・オーガ〕」
待ってました、とばかりに〔バリスティック〕は足元の〔綿毛トークン〕を丸呑みにし、それに順じて球体の胴体に左右一対の腕が生える。
攻撃力1000アップ=腕の増加、というわかりやすいデザインらしい。
攻撃力1000アップ=腕の増加、というわかりやすいデザインらしい。
「何度も云いますが…攻撃力を上げたところで〔カタストル〕相手では…」
「〔カタストル〕は最初から問題じゃねーんだよ、最初から機械族だからよぉ…」
「〔カタストル〕は最初から問題じゃねーんだよ、最初から機械族だからよぉ…」
跳ねた。〔バリスティック〕が跳ねた。
正面から〔カタストル〕に噛み砕き、嚥下し、次に〔トライデント〕に視線を向ける。
正面から〔カタストル〕に噛み砕き、嚥下し、次に〔トライデント〕に視線を向ける。
「…な、なん…?」
「ヘイ、ド低脳。自分で考えろ」
「ヘイ、ド低脳。自分で考えろ」
何度かテキストを読み返してもティマイレはこの状況が判らなかった。
焦燥の果てに、ふと〔キメラテック・バリスティック・オーガ〕という名前に意識を向けたとき、そこに答えがあった。
焦燥の果てに、ふと〔キメラテック・バリスティック・オーガ〕という名前に意識を向けたとき、そこに答えがあった。
「キメラテック…って、相手モンスターもリリースできるのか…っ!?」
「最初からそう云ってンだろうがよォ~…」
「最初からそう云ってンだろうがよォ~…」
最も一般的な“キメラテック”と名の付くモンスターは、おそらく〔キメラテック・フォートレス・ドラゴン〕だろう。
召喚条件や攻撃力は大して高くはないのだが、もっとも恐ろしいのは相手フィールド上のモンスターでも融合素材としてしまえること。
このカードがカードプールに存在だけで、機械族という種族の採用を考えるプレイヤーも決して少なくない。
同じように、〔バリスティック〕は相手フィールドのモンスターまで喰い荒らすのだ。
召喚条件や攻撃力は大して高くはないのだが、もっとも恐ろしいのは相手フィールド上のモンスターでも融合素材としてしまえること。
このカードがカードプールに存在だけで、機械族という種族の採用を考えるプレイヤーも決して少なくない。
同じように、〔バリスティック〕は相手フィールドのモンスターまで喰い荒らすのだ。
「防御、防御だ! 〔スターダスト〕…っ!」
「無駄で無知で無理、〔スターダスト〕は防げないエフェクトの方が多いんだよ。
ソリッドビジョンの都合でまだフィールドにモンスターが居るが、実際は発動宣言だけで全部リリースしてんだよ」
「無駄で無知で無理、〔スターダスト〕は防げないエフェクトの方が多いんだよ。
ソリッドビジョンの都合でまだフィールドにモンスターが居るが、実際は発動宣言だけで全部リリースしてんだよ」
スターダスト・ドラゴン:フィールド→リリース
ナチュル・ランドオルス:フィールド→リリース
トライデント・ドラギオン:フィールド→リリース
A・O・J カタストル:フィールド→リリース
綿毛トークン:フィールド→消滅
綿毛トークン:フィールド→消滅
ナチュル・ランドオルス:フィールド→リリース
トライデント・ドラギオン:フィールド→リリース
A・O・J カタストル:フィールド→リリース
綿毛トークン:フィールド→消滅
綿毛トークン:フィールド→消滅
キメラテック・バリスティック・オーガ:攻撃力2000→攻撃力8000
「…で、まだあんたのメインフェイズなわけだけど…どうすんの、こうなったら」
「ぐぅぐっ…ァァア…」
「ぐぅぐっ…ァァア…」
ティマイレは残り少ない自身の手札を見てから、無言でデッキの上に手を置いた。
「だから最初から云ったじゃねーか。無駄なことはせず、サレンダーしろってよぉ~」
第23話 鏡・真
後編に続く。
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