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エレシロ4 【「……におう」】


士朗がぐっと寄せた眉根を白々と見あげた。

「片づけ、兄貴がしろよ」
「…おまえもやれよ」
「俺はいいの」

ごろっとソファに寝転がって、雑誌をめくる。写真の綺麗な撮り方、撮られ方。むしろ汚いものを美しいと思わせる撮り方がしたいね。そのほうが生きているものの匂いを感じる。

「なんで」
「昨日の晩は俺がやったし。今日は兄貴」

兄弟で家賃も折半、ならお互い家事も当番なり役割振ったほうがいいだろ? 最初それでいいって言ったのをもう忘れてるなコイツは。

「ほっとくとハエがわくから生ゴミ早いとこ処理しろよ」
「…ゴミの日は」
「月水金」

引っ越したところのゴミ収集日くらい覚えろ。どうせこれから住み続けるんなら。
三角コーナーの水を切り始めた兄貴は頻りに臭い臭いと言う。
指と指で囲ったファインダーにげんなりした顔を収めながら、俺は自業自得だろと言った。
最終更新:2006年07月26日 05:36