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オリジナル 郷愁1 【シャレオの中心で愛を囁く】


「ミシモさん好きです」

 でこでこに飾りたてた石の広場では、でかいテレビが置いてあって、夏を先取りした番組を垂れ流している。

「ミシモさんミシモさん」
「じゃかしい」

 正直ここは独り者にはましては女っ気のない野郎にはそっけない。
 こじゃれて小分けにした区画はミシモにしてみたら惣菜市場のポテトサラダとマカロニサラダが並んでるようだと思う。味は多少違うが見た目は似たようなものだ。
 けれどもミシモはここにいなくちゃいけない。
 なにしろしがない警備員なもので違和感いっぱいの青い制服で万引きやらアストラムの無賃乗車を警戒しなくちゃならん。
 だが万引きより無賃乗車よりたちのわるいものがここにはたまりやすい。

「地下じゃけんかの…」
「え?え?え?ミシモさんなに?」

 むっすり立つミシモの目の前を挙動不振にふらふら動くのはそこらにいそうな風体の青年だが、洗い晒したデニムジーンズが膝のあたりからすぱっとない。足もない。

「地場のせいもあるが上から下に流れてもでるとこがのうて溜まるんじゃなあ」
「ミシモさぁん!俺を無視しないでくださいよう!」

 こいつは幽霊と言う奴だ。それも一方的にミシモについて回る。

「見えてるくせに無視なんてひどいです」

 見るものが見たら華やかな地下モールは大小様々な連中が浮かんだり沈んだり流されたり溜まったりしている。

「あー頭いてぇ…」
「大丈夫ですかミシモさん!頭の痛みはサインですよ病院いってください!」
「余計おまえみたいなのがおる場所にいくわけないじゃろが」

 所詮ミシモみたいな人間はマイノリティ。
 地縛霊がとりつきそうだから場所を変えてくれとは言えないのだった。

「ミシモさんー」

 べったり憑いた男は今日も元気に愛をアプローチする。




広島の懐かしさに惹かれて書いてみる。
ミシモタガヤ:三十路まで後一ヶ月の独身警備員さん