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オリジナル 悪魔3 【細切れの正体】


 天使喰らいはおまえのおかげで流行ったんだよと、ヤジフーは言った。
 枯れた大樹の枝に座り、瞼をあげたことのない悪魔はひっそり苦笑した。
 ヤジフーもまた下級の悪魔だが、暴食の王の支配下にある彼は何でも口にしなければ気が済まない。

「一度食ってみたいとは思っていたんだが、まぁものの見事にハマッちまったよ」

 真白い細切れの肉を囓りながらヤジフーは語る。

「土塊を食むのがそれほど快感か」
「ああ、肉には飽きた。俺にはサッパリしてて美味い」

 では菜食に挑んでみたらどうかと口を開きかけたが、自分が口を出す問題ではないとそれに関するコメントは控えることにした。

「おまえの羽根、また大きくなったな」
「先日、シスターを食った」
「女か。女の肉は甘いな。年をくったのは脂っこいが俺は嫌いじゃない」

 さっきと言っていることが矛盾しているが、どうせヤジフーが語るのは今まで喰らったものへの感想であるから、前後の会話などあまり気にしない。
 そのうちこの悪魔は同族すら喰らうかもしれないと思いながら、それはその時、どのような罪業が重なり、悪魔としての価値はあがるのだろうかと考える。
 つまり血涙の悪魔はそれ以外には興味がないのだ。
 天使を喰らったことにより、ヤジフーの曲がって生える角の拗くれが一層酷くなったのを見届けながら、その口からこぼれる肉を眺めた。

「明日あたりも天使を狩りに行くが、おまえもどうだ?」
「天使を喰らうくらいなら地上へ行く」

 これでも血涙の悪魔にとっては、ましなほうの友人である。