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葉皆5 ヒロシマリアン2


「のーのー」
「…」

 そっぽを向いた皆守はしつこくついて回る葉佩を無視してどんどんと屋上へと足を運ぶ。

「甲ちゃーん、甲たろー!のー、これ以上休んだらいけんてヒナ先生言っとったでー…おーい」

 ねばり強さは悪く言えばしつこいの別の名前だ。よくよく回る口を持って生まれた葉佩はぴったりくっついてそのまま皆守の気に入りの場所である、屋上にひとつでぱった浄水タンクの上までやってきた。

「はぶてとるん?」
「…」
「あ、キャラメル食う? やっちーがくれたんじゃ…ってやお!?ぶちやおくなっとる!」

 ポケットにいれて動き回っていたのだから、当然キャラメルなど熱で溶けてぐにゃぐにゃになってしまっている。葉佩はそれを捨てようかどうしようか迷っていたようだが、元あった場所に…つまりポケットに戻した。
 …捨てるか食うかどっちかにしろよ。
 それらすべてを無言で返していた皆守だったがさすがに胸のうちでそう言わずにはいられなかった。

「甲ちゃん」

 アロマパイプから流れこんでくる香気を吸い込む。そうすることで呼び掛けは何度でも無視できた。

「…あんなぁ…甲ちゃんが…喋ってくれんと、俺いごいごするんじゃ…こう、俺じっとするん、苦手じゃけん」
「……」

 いごいご? 目線だけで盗み見ると、葉佩は居心地悪そうにタンクのそばで足をぶらつかせている。

「クエストようけあるけ、今日つきあってくれん?…甲ちゃんがおらんと俺、すぐわやになるけ…」

 皆守の視線が自分に向いたというだけで、葉佩はまたいつものように喋りだす。

「いがんだガラスじゃろ? それから、やっちーでジャンプ手伝うてもらって、たわんかったツボ割りに行って…」

 本当にこいつは将来有望、とされているトレジャーハンターなのだろうか。指折り色々と今日の探索をたてている姿では、背中を預けるどころか非常に不安になるほどだ。

「あ~弾もみてたんじゃった…貧乏…」
「葉佩」
「ん!? なん、甲ちゃん!」

 パッと顔をあげた葉佩に皆守は言った。

「…とりあえず日本語喋れ」
「……、ひっっでー! そら広島県民に対する挑戦か!? 全国道府県に宣戦布告なんか!? トーキョー弁以外日本語じゃないっていう気か甲ちゃん!」

 それから何だか荒々しい言葉使いになっていく葉佩をぼんやり見ながら、皆守はやっぱりこいつは俺がついてやらないとダメみたいだ、と認識した。







はぶてる=すねる、むくれる。