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オリジナル 逃亡者1 【ナイフとフォークでなにが切れる?】
※痛い表現アリ


「ナイフとフォークでなにが切れる?」

昼下がり。
軽食堂ツァラストゥラの自慢といえば、ランチタイムのシェフおすすめコース。
オードブルからデザートまでちょっとした高級感を与えながら、それでもお手頃価格。
中流から上流の連中が住まう住宅街にほど近いこの店の戦略はなかなか当たっているといえよう。
そのメインディッシュ。
仔牛のソテーを切り分け、ほとんどを腹におさめながら、赤い義眼をはめた男が呟いた。いや、呟くというよりは周りにさらりと聞こえる程度に。

「食器はなかなかに神聖な歴史を持っていると思うんだよ。今じゃお茶の間でも手に入る代物になっているけど、これだけ浸透してると聖書みたいだよな」

万人に扱えるその単純なシルバーを手にする彼の周りを、じりじりと輪を狭めてくる老若男女。異様な光景であったが咎める者もいない。すべてが彼の「追っ手」だった。

「…せめてさ、俺とコミュニケーションしてくれない?その気がないんだろうけど…まぁいいか。あんまり俺も賢くないけどそれなりに教育は受けさせてもらったのよ、今はペーパーナイフだってナイフの一種だって忘れられてるけど、古くは異教の神様に捧げる秘儀にだって用いられてたって言うじゃない。心臓とか内臓とか何か。」

最後の一切れをゆっくり咀嚼し終えた彼は、無造作に赤ワインソースに染まったフォークとナイフを投げつけた。
ぬぐッ、と最も近くに寄ろうとした老人と、その連れ合いを装っていた老婦人のそれぞれ右目に銀の柄が生える。二人の手には短銃。

「それを人の血で染めるのは懐古的、だよねぇ」

逃亡者はテーブルを蹴り上げ一陣の風を巻き起こす。



ナイフとフォークでなにが切れる?
目玉が2つほど。