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ダークエッジ妄想2 吉白1

 
佐藤の声が遠い。
聞く気がないためかそれは低いBGMとなって吉国の耳を流れる。
大きくとった教室の窓からはその分だけおとなしく切り込まれた蒼がある。
いい天気だった。
次はフケるか、と決意する。


「いい天気だぜ、遠山白右」

墓場に突出した扉を背に預けながら呟いてみる。

「また来たか」
「来ちゃ悪いか」

沈黙。
否定も肯定もなし。
感情の欠落した遠山には取り繕うための口も突き放すための口も持たないからか。

「…授業があるんじゃないのか」
「次は土屋なんだ。あいつの言ってること半分もわかんねえなら、ここで空でも眺めてても同じだろ?」

相手はどっちも死人だし、と揶揄しても沈黙。

「ま、おまえにゃ興味ない話だろ」
「いや…」

今日初めての話のつなぎ。扉の向こうから遠山の声が聞こえる。

「本をよく読んでいた、知識を吸収するのは好きだったようだ。感覚は思い出せないが」

今ごろ教室で土屋の弾丸チョークを受けているかもしれない高城の声と姿形は一緒なのだから同じはず。けれど吉国に届く遠山のそれは深く暗い。落ち着いている、を通り越して底のない淵を覗いた気がしてくる。

「ようだ…ってなあ、他人事みたいなこと言うなよ」

吉国だって昔のことはもう思い出せないこともある。けれどきっかけがあれば不意にでてくる。記憶は箪笥の引き出しのようにしまいこまれ、取っ手を引くことができれば記憶はその時の感情とともに蘇るのだと、テレビの誰かがいっていた。

「不死族になっちまうと箪笥ごとなくしちまうんだな…」

それは楽かもしれない。すべてがさざ波立たないフラットな世界。

「今度俺の超絶お宝本と超おすすめマンガ持ってきてやる」
「…むしろおまえの箪笥とマンガの関連性のほうが興味深い気がする」

吉国は乾いた笑いを浮かべた。


そうだ、おまえももっと揺らいでしまえばいいと。





吉白大好きだ!白右は猫属性だ!懐かない猫だ!