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セムリリアミ1 【桜月の夢見姫】


「桜はもう散ってしまったわね」
「サクラ…?」
「あのうちに来る無礼な女とは違うぞ」
「花のことよ」

 見たことはないかしら、と黒髪がさらりと流れる。
 同じ黒でも、いつも手にしていなければ安心できない、あの鉄とは違う、少女の髪。
 わざと攻撃的に、鋭角的にしているその兄の髪も同じように黒い。二人は兄妹、といって同じ男と女からできたもの。

「サクラ。接ぎ木でしか増えない、木」
「なんだ知ってるんじゃないか。ま、それはソメイヨシノだけの話だが」
「ソメイ…?」
「サクラの種類よ」

 そう、そんな名前だった。
 自分と少し似ていたからとデータを拾っていた時に覚えていただけ。薄い薄い色の花。 

「来年は三人で行きましょうか」

 二人がいてくれさえすれば、世界の綺麗なものをまだ、知ることが出来そうだ。