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こたうじ24

氏政は寒がりだ。海風の冷たい日には火鉢から離れたがらない。何枚重ねても着膨れないのは老人の薄い体のせいで、よけいに寒々しい。

「小太郎はそれで寒うはないのか」
「…?」

小太郎のむき出しの腕や肩を見、氏政はそれだけでぶるりと震えた。
着膨れた忍など聞いたこともない。小太郎は日々鍛錬を怠っておらず、寒風に晒されていても寒そうには見えなかった。

「…儂もおぬしを見習わねばのう…よし!」

氏政はいきなり上着を脱ぎ捨てた。

「!?」
「心頭滅却すれば雪も温しじゃあ!乾布摩擦をするのじゃー!!」
「!!!!???」

蜂の羽のようにぶぶぶぶと首を振りながら、小太郎はあわてて氏政の上着をかけなおしに奔走した。


…年寄りの冷や水とはよく言ったもので、洗濯板のごとき肋を風にさらした氏政は見事に風邪をこじらせた。
そのそばでせっせと薬草を擦りおろす小太郎は珍しく薄ものを羽織っていた。氏政の風邪が治るまで、それは続いた。