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こたとゆかいな北条家3


風魔の姓はもともと風間といった。「その技、風か魔か」と忍術の冴えからいつしか風魔と字をあてるようになった。
確かにその身のこなしは風のように素早い。

「兄者、最近あの忍びを見ぬなあ」

氏政のすぐ下の弟氏照が顎を撫でながら首をひねった。一門でも武闘派の氏照は特に小太郎を追いかけていた一人だ。

「ぬしが猫の子じゃあるまいにしつこく追い回すからじゃ」

年を考えろと半ば呆れた氏政はしっしと手で追い払った。氏照はあちこちきょろきょろ見回した後その場を辞した。

「…もう良いぞ」

竜虎の屏風の裏からひそと音も立てず現れ、氏政の傍らに影が控えた。氏照の探し人、小太郎その人だった。

「やれ、好かれるも度がすぎると面倒じゃのう」

氏政がぽたぽた小太郎の肩を叩いて笑う。
小太郎はため息をついたわけでもないのに、肩が少し落ち気味だ。
風か魔かといった忍者の頭領のその姿は情けないというよりは氏政にはほほえましくてならないものであったが。

「兄者ー忍びを見なかったかー」
「!!」
「おらぬぞ氏邦」

遠くの声だというのにしゅばっとそれこそ猫のように天井に飛びついた小太郎にたまらず氏政は笑いだした。