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学園こたうじ3


新任の体育教師に髪を切れと言われて三回目。校則におおらかな利家がとりなしているので難を逃れているが「目をあわさないと人と人の心は通じあわない」などと漫画のようなことを言う体育教師が疎ましい。顔があらわになったところで心が露見するわけもなく、大前提にその体育教師と心が通じたいなどとは欠片も思わないのでは、迷惑以外なんでもない。

「熱心なのは結構じゃがの」

図書室のヌシの異名を持つ氏政は湯呑み片手に若い若いと笑い飛ばした。

「押しつけがましいのは嫌われるものじゃ。教師の名前に肩の力が入りすぎておるわい」

全力でぶつかるには、この学園は曲者強者変わり者だらけだ。

「…」

夫婦湯呑みの片割れをもらった小太郎は茶を飲み干した。
ぽかぽかと差し込む日を背中に受ける好々爺の前には小太郎のそれはあっと言う間にゆるむ。
小太郎にとって、心を通じさせたいと思う相手は氏政だけだが。

「豆大福でも食うかの、甘さがさっぱりしておってな。小太郎はそういうほうが好きであろ」
「!」

時々その必要も感じないのではと小太郎は幸せな確信にとらわれるのだった。