こたうじ11 +けーじ
「あのなあ…あんた、なんか勘違いしてるぜ」
物言わぬ小太郎は空気で語る。慶次はやれやれと息を吐く。
「俺は北条のじっちゃんが好きだけど、恋してる訳じゃないんだよ。そこんとこわかってる?」
あんたみたいにはさ、と恋の気に聡い慶次は悪童めいた笑いを浮かべる。
小太郎はただ沈黙のままに主の賓客を送り出す。
「でもまあ、うかうかしてっと誰かに…」
「!」
カカッ
慶次が竦めた頭の上の桜の木にクナイがささる。
「うへっ、おっかねえおっかねえ。…しかし、あのじっちゃんに恋するのはまたまた奇特だね」
俺に負けるけどイイ男なのに。
「まあ頑張れよ」
男だろうが女だろうが老いていようが若かろうが。
慶次は恋するすべてのものの味方だ。
最終更新:2006年12月02日 00:14