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セムリリ5 


二人で古い洋画を見た。
モノクロの世界でも銃という凶器は黒々としていて、精悍な男達の命をあっさりと奪っていく。
妹は視線をそらさず、集中して見ているようだったが、俺のほうは少し飽きてきていた。SFXやらそういう小細工をしていないだけ、古い映画というものは見る価値があるけれど、妹が見るには西部劇というジャンルはちょっと食い違っているような気がする。

「面白いか」
「うん」

出てくる男共が揃いも揃って髭面だからだろうかと一抹の不安にかられたが、妹の次の返答でさらにこんがらがった。

「銃が、面白いの」

どうしよう。妹が銃器に興味を持った。
そんな危ないものは日本では持ってはいけないんだと諭すべきなのか。いやいや、年頃になって銃なんて物騒なものより、もうすこし棘とか可愛げのあるものを見た方がいいんじゃないか。待て、棘は俺の趣味であって妹はこういうものよりは同級生たちが持っているようなチープそうなアクセサリーも嫌いじゃない。だとすると……
ぐるぐる回る俺を尻目に妹は、溜息混じりに囁く。
その時ばかりは、何故か俺を見て。
こちらの息を止まらせるほどの、真っ直ぐな光を宿した瞳で。


「心ごと撃ちぬく、銃弾があればいいのにって思っただけ」


形のない、心まで貫くそういう銃があればいいのに。
妹はそれだけ言うと、また映画の世界に戻ってしまった。



俺は何もかもが通過していった頭で考えた。
心を撃ちぬかれた相手は死ぬのだろうか。