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学園こたうじ2


小太郎はとかくマメな性分らしいと氏政は感心する。誰よりも早く図書室に着て貸し出し受付に勤しみ、ギリギリになってようやく書架から離れる。

「風魔よ、こっちに来んか?」

元々は司書控え室であるが氏政ひとりの城に小太郎に招く。

「平生からよく働いてくれておるお主に褒美じゃ」

他の委員には内緒じゃぞと氏政手ずから二人分の茶を入れようとすると。

「!」

入り口で所在なげに立ち尽くしていた小太郎が慌てて湯呑みを持ってきた。焼き色が気に入って買った夫婦茶碗だった。

「おうおう、この片割れは使われる機会が少なくてのう。儂も久しぶりじゃわい」
「…!」

煎茶をいれた湯呑みを捧げ持つように両手で支え、小太郎はそっと音もなくすすり出す。
作法はよくわからないが一連の動きは流れるようだった。

「儂等だけの秘密じゃぞ」

あられを手にのせてやると小太郎はこくこくせわしなく頷いた。
穏やかな昼下がりだった。