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オリジナル 逃亡者9 


逃げることは責任の放棄だと誰かが言った。珍しく理性的に俺をおいかける奴が放った言葉だったと思う。

「あのね、俺自身にはなんの責任もないんだよ。おっかけられてる理由も思い至りませんのことよ」
「あなたになくとも我らが祖国にはあるのです」
「その我ら、ってのに俺までいれてません?」

俺が逃げる理由は本当単純。追いかけられているからだ。身に覚えもないのに。何かしら俺が国にとってマズイことを知っているかららしい…本当に知らないんだけど!?

「いや確かに拾ってくれたし育ててもらったのは恩義は感じてるよ」

ただしそれは国家ではなく個人に対して。そいつらがこぞって特殊な軍属であったから、追いかけてる人たちは俺を恩知らずとまで詰る。

「六課がノータッチなら俺に戻る義理はないね」

六課の名に追っ手の顔が強ばるが知ったこっちゃない。一応、六課の存在は国の秘匿事項だし。

「では、彼らが」
「戻れって言ったら戻るか?そいつもノーだ。俺ぁ六課やめたんだもの」

懐かしき顔ぶれに二度とあわないつもりで国を出た。あいつらも承知の上。

「ちなみに一つ聞くけどあの人ら元気?」

男は頷いてくれた。優しい人だなあ。

「俺の名前は『絶たれた者』。その名にふさわしく今をふらふら楽しく漂っていたいんだよ。あと国には会いたくない顔もいる」

案外あいつが自分の手で俺を殺したくて国に戻そうとしてるのかもしれない。長い逃亡生活ではじめてそう気づいた。俺をなぶり殺しにし損ねたのを未だに根に持って。

「ま、どちらにしても謹んでお断りですよ」

俺は男と組み合うべく向き合った。


俺の価値は俺にしかわからない。上っ面の他人の評価は、いらない。