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オリジナル 逃亡者7 須磨ゼツ3

べべべん、と琵琶をかき鳴らす。
撥裁きは上手いとも下手とも言えない。技巧で曲想をなぞっているようにも、わざと気怠げに歌わせているようにも聞こえた。

「今日はご機嫌ななめナリ」
「そういう風にみえる?」
「天気が悪いからなあ。ゼツの気分って天気に左右されてるっしょ」
「そういうところで見透かされたのは初めてだなぁ」

べぅん
べべぅ…

「雨で古傷が痛むのさ」

ゼツの片目が義眼の所以を須磨は知らない。
出会った時から真っ赤な義眼が嵌っていたので、それ以外の姿をイメージしにくい。自他共に認める逃亡者はその過去も雨の彼方においてきてしまっていて須磨にわからせない。
それでもいいもんねと半分ひねくれながらも須磨は思う。

「ゼツはゼツだしね」
「雨でもおまーさんはご機嫌だな」
「俺はゼツが一緒ならしあわせはぴねす」
「ちぇ、でかい図体になっちまってさ」

化け烏に成長してしまった須磨の足元で雨宿り。