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こたうじ4 


春日山は忍が多くて困る。相手が同業者だけに痛いところをついてくることもしばしば。それでも歴戦の忍は乗り越えてただひたすら駆ける。春日山のあちらこちらにある戦火…いやこの場合は戦氷をみつけてはしまう。
ただこの酷暑に疲労する主のために。

「ごろうたいにこのあつさはこくでしょう」

懐の氷塊を気にしていて気配を読み違えた。軍神と美神がそろっている。
小太郎は珍しく奥歯を噛みしめた。
顔面に感情が出ぬ訓練をしても軍神を前にすればその覇気に僅かながら畏れを抱く。

「わざわざぬすびとのようなまねはせずともいってくださればよういしたものを」
「謙信様…あの風魔が氷だけのためにこの城に入るのは思えません」

同じ氷を扱えど、小太郎の主は自らの涼のために先祖伝来の妙技は使わぬ。
だが一国一城の主が水盥に足だけをつける姿をみていてもたってもいられなくなった。
忍にあらざる私情が小太郎を動かす。

「わたくしにやましきことはありませんよ、おだわらのしのび」

これはその証、と軍神が剣を一閃して氷山をつくる。

「ほうじょうどのにもよろしくおつたえを」

わたくしからのしょちゅうみまいですと軍神が微笑した。